王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
アルカラルドⅠの陸上にはそれほど有能な敵はいません。
その代わり徹底的に無能な味方がいます。
地上部隊の編成が進む間、散発的な宇宙での戦闘も発生する。カ・ト中将が対応しているが、敵は粘り強くハラスメント攻撃をしてくる。はっきり言って補給線が脅かされたり工場ユニットを投下してこないだけマシだが。
ただ偵察艦も、複雑なアステロイドベルトの探索に苦戦していて。
敵の拠点をまだ発見できずにいるし。
拠点を発見できても、小分けに複数作られているので、潰してもそれが最後とは限らない。
カ・ト中将には、既に同情の視線をミランは向けるようになっていた。
そして、惑星アルカラルドⅠ攻略作戦の指揮官が来る。
ゲラルラの民だ。
ミランの見た感じでは分からないが、かなりの年配であるらしい。ズヴァールラ提督に比べて、かなり落ち着いた口調だった。肉を食べているのは同じだが。
とげを内向きに、腕を向けてくる。
知っている。
最敬礼だ。ミランも軍式の最敬礼を返していた。
「ガルヴァード准将だ。 君がミラン中佐だな。 数々の勇戦、聞き及んでいる」
「ありがとうございます。 作戦についてすぐに話し合いをしたいのですが」
「うむ。 敵の工場ユニットはまばらで、恐らく親衛軍ウォーリアを作れるものは一つだけと見ていい」
「なにゆえでしょうか」
ガルヴァード准将は、猛将タイプではなく、データから分析するタイプであるらしい。
ゲラルラの民は勇猛な戦士の一族だが、その中ではかなりの変わり種のようだ。
「親衛軍ウォーリアを今まで惑星アルカラルドⅠで撃破した例は4回。 その後の登場までのタイムラグと、毎回同じ奴が出てきているのが理由だ」
「了解です。 確かにそれなら納得は行きますね」
「それにこの星に侵略者の一般個体はいついていない。 重粒子砲などは気にしなくて良いだろう。 本来だったら、時間を掛けて被害を抑えながらの攻略作戦が必須なのだが……」
「この星に兵士達が関わりたがっていないのは、自分も現場を見て理解しました。 極めて閉塞的な選民思想を盲信する民は、流石に接していて守るために戦おうという意欲が湧くものではありません」
ミランも言い切る。
ただし、それをやるかやらないかは話が別だ。
だらだらとこの星の戦線を長引かせて犠牲を出すくらいなら。さっと片付けてしまった方がいいに決まっている。
ガルヴァード准将は、頷くと、作戦を提案してくる。
「作戦としては、敵の切り札を最初に潰す方針で行こうと考えている」
「具体的にお願いします」
「うむ。 まず親衛軍ウォーリアが目撃されている地点で、ミラン中佐に待ち伏せを行ってほしい。 そして親衛軍ウォーリアを倒してほしいのだ」
それについては勿論やる。
奴の縄張りも既に判明していて、いつでも配置につける。
「その後は、即時で宇宙から判明している敵工場ユニット全てに攻撃を仕掛ける。 親衛軍ウォーリアを再生産するためにも、敵はそのタイミングで守りを固める。 それを見極める」
次が地上部隊の出番だ。
敵地に突入して、地上付近から工場ユニットを叩き潰す。
またこのタイプの作戦か。だが、対宙シールドを分厚く敷いている工場ユニットの制圧には、これが一番だ。それもまた知っている。敵は進歩が遅く、味方の方が技術の発展も早い。それもあって、こういう戦術が適している。
ミランは過去に何度も苦戦した、この敵の最重要拠点への強襲作戦を決して好んではいないが。
しかし親衛軍ウォーリアを生産できる工場が極めて限られていることも知っている。
だったら、それで潰してしまえば。
後は全面攻勢で、地上にある敵工場ユニットを破壊していくことは難しくない。
「地上戦闘で、敵を圧倒できるだけの動員を掛ける準備は出来ている。 後は不安要素の排除となる」
「作戦は分かりました。 宇宙軍は大丈夫でしょうか」
「敵の増援については恐らく心配は無い。 油断さえしなければ大丈夫だろう」
「……」
油断、か。
侵略者の指導者でさえ、この星系は見捨てたような雰囲気がある。
ここに来る前に戦局を聞いた。ヴァーグラット戦線での大敗北を喫した侵略者は遅滞戦術に切り替えたが、一気に各地で攻勢に出た支援者の各艦隊が、既に一万近い星系を落としたそうで。更にこの流れは続くらしい。
惑星がない星系や、戦略的価値が皆無な星系などはそのまま抵抗もなく落とされているようで、植民星がないような星系も、形だけの抵抗をして次々に落とされているようだ。
かといって支援者も無作為に餌に食いついている訳ではなく、事前に今回はこの辺りまで戦線を進めて大丈夫、というのを計算した上で前線もそれに従っているらしい。敵に誘引されて各個撃破、というようなことにはならないだろう。
少なくとも、今まで見てきた司令官達は大丈夫だ。
バカがいるかもしれないが。
それもパドフ中将等が前線にいる限り、カバーは出来る筈である。
いずれにしても、今ここにいて、やるべき事をミランはやるべきだ。
ミランはまず、親衛軍ウォーリアを叩き潰す。
それから、親衛軍ウォーリアを生産出来る工場ユニットを特定し、それを叩く。
後は全方位から、兵力にものを言わせて叩き潰す。
内容は把握した。
ミランの役割は重いが。
それでもやれないことはないし。
何よりも、ミランがしくじっても数の暴力でどうにか出来る。それもまた、事実だ。被害は増えるが、ミランがいても被害は出る。
それもまた事実なのだから。
作戦開始まで、作戦案を詰める。
敵は明らかに既に連携をしておらず、恐らく侵略者の指導者も作戦指揮をまともにとっていない。
あの指導者は、少なくとも戦術レベルの指揮能力は高いようだとパドフ中将は評していたっけ。
そういう意味ではミランには厄介な相手だが。
戦略レベルでの不利をひっくり返す力は逆に無いとも言える。
今はただ。
黙々と役割をこなすだけだ。
作戦案が細かいところまで仕上がる。
そしてミランが待ち構えているところに。親衛軍ウォーリアが現れていた。
親衛軍ウォーリアは既に四回撃破されているとは言え、かなり強力な機体だ。データから、ハコトが正体を割り出してくれている。
馬鹿でかい剣を手にしている親衛軍ウォーリアで、それによって真っ二つに斬り伏せる戦術を用いてくる。
大型武器は初速こそ遅いが、勢いが乗れば破壊力、速度、ともによけられる代物ではなくなる。
この馬鹿でかい剣を用いるのに特化した親衛軍ウォーリアで、味方からは大剣とだけ呼ばれているようだった。
「大剣は惑星アルカラルドⅠでの戦闘で、既に四回破壊はされていますが、そのたびに大きな被害を出しています。 大剣を用いていながら、機敏に動き回る難敵です。 気をつけてください」
「了解」
ハコトに返しつつ、出撃する。
わんさかワーカーがいるが、それはいつも通り戦い、味方に任せながら下がる。エネルギーの残量を温存。
こっちに仕掛けてくるのを待つ。
さて、来るか。
ぐんと加速して、ミランのウォーリア三型に、斜め上からそれが突貫してきた。
振り下ろし。
ウォーリアの両腕で大剣を振るっての、凄まじい一撃だ。しかも鋭い。事前に情報を見ていなければ、かなり危なかっただろう。
更に、である。
そこから、切り上げてくる。
太刀筋が凄まじく、ギリギリで見切るのはかなり危ない。少し大げさに距離をとって回避。
パルスレーザーで牽制しながら、相手の出方を見る。
親衛軍ウォーリアと機体という観点では同じ土俵には立てている。
だが初見で、よく分からない能力を持っている可能性が高い親衛軍ウォーリア相手に油断するのはバカがやることだ。
ミランはそんなバカと同じになるつもりはない。
同じになったら死ぬからだ。
「お前が散々殺し回っている肉だな……! こんな星に何しに来やがった……!」
「それはこちらの台詞だ。 手当たり次第に殺戮を繰り返している分際で」
「黙れっ! 俺たちは指導者様の財産を取り戻しているだけだ! 散々指導者様の財産を奪いやがって! 許されねえんだよぉっ!」
「話にならない」
突貫してくる。
大剣をまっすぐ向けて、凄まじい加速を見せた。
ぐんと伸びる加速。
これは手強いな。
下がりつつ、長槍ではじく。
大剣の間合いが予想より長い。はじいたが、恐らくパワーに相当な比重を置いている機体なのだろう。
殆どタイムラグ無しで、連続で斬りかかってくる。
だが、少しずつ太刀筋が見えてきた。
弾きながら、下がる。
一撃ごとにかなりエネルギーの残量を持って行かれる。それに対して、敵はそこまで消耗しているようには見えない。
本当に大剣を使いこなすことだけに特化しているんだな。
そう思いながら、ミランは攻撃を捌きつつ、ひょいとかわす。
イーターの射撃が来る。
そう判断したからだ。
イーターの水平射撃が、あろう事が大剣の親衛軍ウォーリアに直撃。それで、「大剣」は大げさなくらいの悲鳴を上げていた。
「て、てめええっ! 卑劣な戦いをしやがってっ!」
「卑劣などとお前等がいう資格などないがな」
「黙れええええっ!」
更にヒートアップする「大剣」。
別に構わない。
勝手に熱くなっていろ。
そう呟くと、明らかに今の誤射で機体にダメージを受けた親衛軍ウォーリア「大剣」に、逆に突貫。
長槍で突き込む。
機体の動きが鈍ったことに、今更「大剣」は気付いたようだ。それはそうだ。左肩の辺りが吹っ飛んで、その辺りの機構が駄目になっているのだから。同じように大剣などふるえるものか。
連続して突きと斬撃をたたき込む。
腕を、足を、コア近くを、次々抉る。
凄まじい勢いで、「大剣」がブーストを噴かすと、上空に出る。傷つきながらも、必殺の一撃を放つつもりだろう。
ミランは下がりながら、長槍を構え直す。
それを、「大剣」は不遜だと感じ取ったようだった。
「てめええっ! 卑劣な事をして俺を一瞬だけ上回っただけなのに、調子に乗って俺とまともにやりあおうってか!」
「さっきまでは見切りだ。 お前なんか最初から相手だと思っていない」
こんな相手に敬意は不要。
確かに腕は立つがそれだけだ。
だから容赦なく挑発するし、暴言だって浴びせる。
案の定、「大剣」は喚き散らすと、もはや意味をなさない言葉を叫びながら突撃してきた。
最大最強の一撃。
だが、それは最初に撃ってきた奴と同じ。
技も磨きに磨き抜けば、一つ一つがそれぞれ究極の境地に至るらしい。何名か、体を使う武術を重視している種族から、そういう話を聞いた。
ミランは酒の席には立ち会えないので、戦士達とは食事をともにするくらいだが。そういうときに、それぞれの戦い方を取り込みたいので、話を良く聞くのだ。
此奴のは違う。
最初から用意されている肉体に機体。
それに、記憶ですらそう。
この動きも、それが最適だと考えていて、改善しようとさえ思わない。なぜなら自分は最高の存在に作られたと思っているからだ。
そして新しく学習さえしていない。
ミランの事は聞いているのに、ミランの戦術を学習した形跡がない。だからどいつもこいつも、ミランの戦術の裏を掻くようなことはしてこない。
確かに究極の一撃に賭けるのはありだろう。
だが、それは既に数多の情報が得られていて。
ついでにミランも今見た。
ついでに「大剣」の親衛軍ウォーリアも激しく損傷している。
その状況で、必殺の一撃になどなるものか。
ミランは無言で、突貫してくる「大剣」に、逆に突貫。それを見て、明らかに「大剣」は慌てる。
この一撃、インパクトの瞬間が最大の火力が出る。
速度が乗り切る前に距離を詰められたらどうなるのか。
大型武器の利点を生かすことが出来ない。
ミランは既に至近。
「大剣」は大慌てで迎撃しようとするが、既にあちこち傷ついている親衛軍ウォーリアに、その意志に応える力は残されていなかった。
上下両断。
ミランのウォーリア三型が受けた手傷は、最後の交錯でのわずかな手傷だけ。後方で、「大剣」のウォーリア三型が爆発四散する。
「こちらミラン」
「ガルヴァードだ。 戦果を確認した。 流石だな」
「雑魚を仕留めてから、そちらに合流します」
「了解。 くれぐれも油断召されるな」
相手も敬意を払ってくれる。ミランも当然そうする。
ガルヴァード准将が、宇宙からの総攻撃を開始するようだ。ミランはワーカーの部隊と交戦している味方を支援。
やられる味方がどうしても出る。
それはもはや仕方がない。
ましてや今、ミランは親衛軍ウォーリアとやりあっていたのだ。地上近くまで下りると、エネルギーの残量と相談しながら、ワーカーを斬り伏せていく。パルスレーザーで撃ち抜いていく。
「ひ、ひいっ! た、たすけ、たす……」
「歩いて下がってください」
「来るのが遅いんだよ無能なけだものがよォ!」
なんだいきなり。
エネルギー切れを起こして、ワーカーにバラバラにされ掛かっていたウォーリアを助けたら、そんなことを言われた。
むっとしたが、それでも戦力は戦力だ。
周りのワーカーを仕留めつつ、下がるようにもう一度指示。
その瞬間だった。
「命令するんじゃねえけだものの分際でっ!」
「っ!」
いきなり背後から撃たれた。
ウォーリア三型の左肩辺りがそれで大ダメージを受ける。パルスレーザーを取り落とし、それで一気にワーカーが群がってくる。
それでゲラゲラ笑いながら、走ってウォーリアが逃げ出す。
なんだあいつ。
「ミラン中佐!」
「今のは故意ですね」
「恐らくは。 あれはこの星の義勇兵です」
「……軍法会議などは後で。 まあどうにかします」
ウォーリア三型の左腕をパージ。
そのまま、右腕だけで長槍を振るい、集まってきたワーカーを切り伏せながら下がる。エネルギーの残量はまあどうにかなる。問題は相手の数だ。
舌打ちする。
多いな。
そう思いつつも、全周モニタで確認しながら下がる。
味方の戦闘機隊が出てきた。
ミランを救助するためではなく、恐らく宇宙と連動しての全面攻撃を開始するためだろう。
それで、イーターが次々に撃破される。ワーカーの動きがそれで鈍り、ミランは味方部隊のところまでたどり着くが。
その過程で二度ワーカーに体当たりされて、かなりひやりとした。
親衛軍ウォーリアとの戦闘からの連戦。
味方からの誤射を受けたことは、今までにも経験がないわけじゃない。だが、こういう故意の行為は初めてだ。
下がりながら、ワーカーを掃射砲の射程まで誘導。
後は掃射砲に任せる。
撃ちすくめられるワーカーを見て、後は大丈夫と判断。基地に戻る。
ウォーリア三型を見て、ゲラゲラ笑っているのは、義勇兵を称してきているこの星の連中だろう。ウォーリアに乗ることもしないし、基地で戦っている皆をずっと馬鹿にしているだけの連中だ。戦力にならないどころか、むしろ邪魔者である。あれらに比べれば、まだウォーリアに乗って戦う奴はマシだと思ったのだが。どうやらそうでもなかったらしい。
何を笑っているのか、翻訳はしない。
流石に支援者の兵士が何人かくってかかろうとしたが、ロボットが抑える。
ドッグに入ると、ミランは降りる。外の戦況は、既に安定した。味方の被害は最小限で済んだ。
側に来たロボットに話を聞く。
ハコトとアネカは危ないので連れてきていない。
「さっき、自分のウォーリア三型を背後から故意に撃った機体のパイロットは」
「捕縛してあります」
「軍法会議に掛けてください」
「義勇兵という立場上、それは難しいかと思います。 義勇兵を派遣してきた国家に送り返すしかないですが、そもそも抗議をしても聞く耳を持たないでしょうし……それどころか訳が分からない抗議を逆にしてくる可能性すらあります」
無能な味方、どころではないなこれは。
呆れながら、言い分は聞いてみる。
なんでも、生き残る確率を上げるためにやったのだとか。
ミランとウォーリア三型がワーカーに喰われている間に逃げるつもりだったのだとか。
戦場で生き残るためには当然の行動で、親衛軍ウォーリアとの戦闘で手負いなのだから、それくらい活用してやった方が良いだろう。
むしろ活用方法を教えてやったんだから金をよこせ。
そんなことをほざいているらしかった。
ともかく、丁重に基地から放り出して送り返すことにする。それしか出来ないというならそうするしかない。
ミランを見て、ゲラゲラまだ義勇兵どもが笑っている。
ロボットが苦々しく言う。
一部人権を認められているロボット達でさえ、苦情を上げてくるのが、こういう環境だとよく分かる。
「彼らの言葉は翻訳しないほうがよろしいかと。 聞くに堪えませんので」
「分かっています。 自分は休憩を入れます。 ウォーリア三型の修理を。 修理が終わり次第、宇宙に一度戻ります」
なんだかあおり文句みたいなのを叫んでいるのが聞こえた。
どうでもいい。
ミランはあれらに、興味を持つ事を止めた。
あれが水準なのか、そうではないのかはなんとも言えない。一般個体を見ていないから、そう判断できない。
だが、つかまれば即座に食い殺してくる上、テクノロジーが次元違いの侵略者に攻撃を受けていて。支援者がそれを食い止めてくれている状況で。
支援者にそういった罵詈雑言を吐ける精神構造がミランには理解できないし。
仮に理解したとしても、恥や恩の概念がどうやら皆無らしい上、支援者を怒らせて全面撤退が生じたら何が起きるか理解も出来ないような存在に対して、興味を持っても意味がない。
既に今では、ミランはカ・ト中将と同じ気持ちになっていた。
ともかくロボット達には本当に申し訳なく思う。
最初は生身の外交担当が対処に当たっていたらしいが。
皆精神を病んで即座に交代したらしいという話についても、納得しかなかった。この環境では当然だろう。
ため息をつく。
そして、宇宙に戻る。
宇宙では、既に報告書が作られていて。連絡をカ・ト中将が入れてきた。
「ミラン中佐、なんというか、ご苦労だったな」
「いえ。 ウォーリア三型の整備が終わり次第、全面攻撃作戦に移ります」
「すまない。 さっさとこの星系を制圧して、連中とは縁を切りたいものだ」
「……」
敬礼だけして休む。
ガルヴァード准将から連絡が来たのは、仮眠を取った後だ。
どうやら苦労しているらしい。
対宙シールドが非常に分厚くて、なかなか親衛軍ウォーリアを生産している工場ユニットを特定できないそうだ。
無能な人には見えない。
だとすると、何かしらまだ理由でもあるのか。
「この星系での戦況は一方的で、今までも宇宙から攻撃を繰り返し、探索もしていた筈です。 なぜ特定できないのでしょう」
「この星は色々と特殊でな」
「詳しくお願いいたします」
「まずこの星に住んでいるアルカラルドの民は、調査の結果やはりよそから移民船で来たことで間違いないらしい。 問題はその過程だ」
本当に苦労しながら、情報を集めたそうだが。
それによると、色々と面倒な歴史があったらしい。
彼らの祖が侵略者と同一かは分からない。
いずれにしても事故が起きて、移民船が未知の宇宙に放り出された。移民船といっても億の人間を収納できる規模のもので、長期間内部で生存できるものでもあった。
だが彼らの技術は未熟だった。
「移民船でコールドスリープなり、遺伝子データなどを保存したまま現地で再生するなりの技術が彼らにはなく、移民船の内部で既に争いが始まっていたらしい。 当然武力衝突まで起きていたそうだ。 どうにか惑星アルカラルドⅠにたどり着いた時には、武力衝突で移民船はボロボロだったとか」
「移民船が破綻したら全滅するのに正気ですか」
「彼らは元からそういう種族であったようだな。 侵略者と祖が同じと言われても納得できる」
「……」
確かに、それは納得できる話だ。
惑星アルカラルドⅠに降り立った後、彼らはすぐに惑星中に散らばり、「領土」を宣言して暴れ始めた。
核兵器まで普通に飛び交う戦争を始めていたらしい。そしてその過程でコロニー船は破壊され。
技術の多くが失われてしまった。
惑星アルカラルドⅠはそこまで資源が豊富な惑星ではなく、しかも見境なく食い荒らしたせいで、あっという間に在来生物も資源も枯渇した。更には技術を新しく作る事も出来ず、移民船の製造も出来ず。脱出用のロケットを作ろうという計画を立てれば、周りから殺された。
聞いているだけで頭がクラクラしてくる。支援者にも獰猛な種族は参加しているが、ここまで愚かな連中は聞いたことがない。
「問題なのはコロニー船にテラフォーミングの技術が積まれていて、それが惑星中で悪用されたことだ。 既に使い尽くされたようだが、「敵国」を皆殺しにするために、惑星中の環境を滅茶苦茶に荒らしたそうだ」
「それで、ですか」
「ああ。 とにかく侵略者の工場ユニットは、愚行の結果歪んだ惑星環境によって探査が難しくなっている。 だが、今回の好機を逃したくない。 もう少し攻撃を加えてみる。 どうにか特定はしてみせる。 それまでに、コンディションを整えてほしい」
敬礼。
そして通信を切った。
これは大変な任務だ。ミランはそう思った。
参加する兵士達が気の毒でならない。
ミラン自身も気乗りしない。かといって、この星の連中が滅びるのを見過ごすわけにもいかないか。
いずれにしても、技術も資源もくれてやるわけにはいかない。
侵略者をたたき出し次第、この星は位相変換シールドで封じてしまい。絶滅しない程度にはアルカラルドの民に資源供出をする位でいいだろう。それと生物としての情報の取得も必要か。
それは封じ込めに等しいが。
ミランは、それが最善だと、今は思えるようになっていた。
完全に自業自得だ。
そうとしか言えなかった。
良く戦争物である露悪的な考えを実行する兵士に、後ろから撃たれるミラン。
今までもコラテラルダメージをもらった事はありますが、流石に悪意を持って意図的にやられたのは初めてです。
しかも「義勇軍」という立場(を自称して勝手に押しかけてきている)以上、支援者の軍法会議にもかけられません。
とにかく全く会話が通じない相手……
この戦場では、前よりも後ろが危険なのです。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘