王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
パデラクス指揮下の一部の研究者は、親衛軍NO3_009116と何度か話し合いをしながら、状況を分析していた。
出来れば肉体がほしいという親衛軍NO3_009116だが。
肉体を与えるにしてもどうするか。
まず土地についてはいくらでもある。
人工惑星はそれなりの数が存在しているのだ。
安全地帯には、支援者に救助されて母星から逃れたような種族が暮らす人工惑星がいくらでもある。
ブラックホール展開機から資源はなんぼでも取り出せるし、ましてや今は天の川銀河中枢の超巨大ブラックホールを抑えている。
そのような感じで、実験用の惑星を用意してもいい。
ただし生身を作るにしても、今のデータのままではそもそもナノマシン無しではいきられないし。
いきなり成体で固定した状態でクローンで作らないといけないし。
性別もないし。
感情なども制限されている。
第三世代の親衛軍NO3_009116でも、自我を得るために相当な時間を必要としたと話している。
その間の殺し殺されについては今は目をつぶることにする。
戦争だったのだから。
少なくとも侵略者の指導者麾下では、何も出来なかったのは間違いなかった。
いくつか話をしているうちに、まずは機械の肉体を与えて様子を見ると言うことで話が一致する。
勿論限定的な肉体だ。
まずは円筒形のロボットから。
意識は簡単に移せる。
今はそういう時代なので、段階を踏んでやっていくこととする。
「ほう。 これは作業用のロボットかな」
「欲求などは削除してありますが、不自由がないようにもしてあります。 なんなら閲覧だけですが、様々な娯楽データにもアクセス出来るようにしてありますよ」
「ありがたい。 前の体よりも調子が良いくらいだ」
そう親衛軍NO3_009116は言う。
パデラクスが来た。
研究をいくつも同時並行でやっているパデラクスは、興味がある分野から順番に進めていく。
はっきりいってそれでは納期をガン無視しそうだが。
抱えた仕事でパデラクスが納期をオーバーしたことは一度も無い。
だから部下達はパデラクスに付き合わされて、いつも四苦八苦しているのだった。
「やあ親衛軍NO3_009116。 体調はどうかね」
「体調と言って良いかは分からないが、すこぶる調子が良い。 私の肉体データの解析はうまくいっているかね」
「順調だ。 遺伝子が滅茶苦茶にいじられているが、一つずつロックを解除している。 そのうち試験体を作り出すよ」
「そうかそうか」
軽く話した後。
パデラクスが映像を見せる。
「アルカラルドの民の一人、ハーネイ少尉だ。 君から見てどう思うね親衛軍NO3_009116」
「魅力的な女性だな。 私の好みとは少し外れているが」
「彼女は体を色々薬物で壊されていて、繁殖機能を失っている状態だ。 これから治療をしてもいいのだが。 魅力的に見えないのはそれが理由かね」
「いや、そうではない。 なんとなく、好みではないというだけさ」
パデラクスはそれから、アルカラルドの民の映像を一つずつ見せる。
親衛軍NO3_009116は、どれも「魅力的な女性」と褒めたが、どれも好みではないようだった。
「彼らは君たち侵略者と祖が同じであるという説がある。 そういう観点で、素の状態の君たちに似ているといえるかね」
「似ているね。 強いて言うならば、若干肌がおかしいかも知れない」
「それは色味がか」
「うむ。 彼らは若干薄緑の体色をしている。 これは私が知る限り、私達に本来はない体色だ」
パデラクスは頷くと、資料をまとめ。
部下達に渡す。
そして、近いうちに試作の「素の状態」の侵略者を、段階を踏んで作っていくと述べた。子供から育てるが。やがて繁殖が出来るようにもすると。
遺伝子データをどう弄くられているか分かれば。
やがては指導者に弄られる前の、生物としての侵略者を再生できるかも知れない。
しかし再生してどうなるのか。
パデラクスは楽しいからやる。
それから先は、上層部が決めることだ。
パデラクスが行くと、再び部下が親衛軍NO3_009116の相手をする。白衣を着ているアネカ00002が来て。資料のまとめの手伝いをする。00001はミラン中佐のところに送ったが、00002は研究施設で使っている。
アネカはムードメーカーとして優秀で、おっとりしているが覚えもいい。
料理が特に得意で色々出来るので、研究所では既に皆が嫌っていなかった。近々量産ラインに乗せる話も出ている。
アネカを見て、親衛軍NO3_009116が興味を示す。
「彼女は?」
「君たちが古くに使っていたロボットのガワを我々が再生して、残されていたAIの一部を流用して活用しているロボットだ。 彼女はアネカ型。 他にもハコト型やアリカ型がいる」
「実に美しいな。 先ほど紹介された女性達よりも更に魅力的だ」
「そういってくれると嬉しいけんな。 でもうち、恋愛する機能とかはつけてないから、堪忍な」
アネカにあっさり袖にされて、からからと笑う親衛軍NO3_009116。
だが、研究者は今のをメモしていた。
「やはり侵略者の女性を理想化したのが彼女の姿とみて間違いないですか」
「そうだな。 実際の女性達の中でもトップクラスに美しいと私には思えたが」
「……なるほど。 だとすると、なぜ指導者は皆スクラップにして排除したのだと思う」
「それは決まっている。 あのクソ野郎は、自分がコントロールできないものを一切許さないからだ」
メモをまた研究者達がとる。
性別すら排除した指導者だ。
或いはだが。
アネカをはじめとするロボット達は、何かしらの理由で邪魔だったのか。コントロールから外れた。
それはなにゆえか。
まだ研究の余地があるな。
そう、研究者達は、楽しそうにアネカに話しかける、親衛軍NO3_009116の入ったロボットを見ながら思うのだった。
(続)
此処の話、とても大事です。
後々大きな意味を持ってきますので、覚えておくと良いかもしれません。
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