王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
戦闘は間違いなく有利に進んでいます。しかしそれ以外があまりにも状況が悪すぎる。
数多の種族と仲良くやってきた支援者も、アルカラルドの民には手を焼き続けています。
こんな星からはさっさと離れるべき。
誰もがそう思う戦況を打開するべく、大規模作戦が動きます。
序、掃討作戦実施
親衛軍ウォーリアが出てくるまでまだ少し時間がある。その間に、第六十一艦隊参謀や、ガルヴァード准将と話し合って、落としやすい工場ユニットを潰しておく。それで少しは戦況が楽になる。
攻勢開始から、合計八つの工場ユニットを潰した。
ハッキングまでした工場ユニットは、現在解析中だ。自爆装置は完全に取り外され、内部の物資なども確認されている。
忌まわしいコンテナも見つけた。
内部にはこの星の生物を肉にして加工したものも含まれていた。勿論アルカラルドの民のものも。
侵略者と祖が同じではないかという説がある種族まで。
こういう目に遭わせるのか。
或いは、違うからそうしているのか。
ミランにはよく分からない。
ハッキングはしたが、データの解析には時間が掛かる。その間に、今のうちに戦力を削れるだけ削る。
今も、孤立した敵工場ユニットに、駆逐艦が主砲の硬X線ビーム砲を撃ち込んだ所だ。位相変換シールドが見る間に食い破られ。
爆発四散。
後は処理だけだ。
ワーカーの残党を駆逐する。
戦闘機隊がまだ周囲を監視してくれている中、ミランは先に戻る。この戦いでも、味方を助けられるだけ助けた。
自分の武勲よりも味方の命だ。
それに武勲には興味はない。
だから、やれることをやるだけだ。
駆逐艦に戻ると、アネカが料理を作ってくれていた。ファーガの栄養液を分析して、似た味を作れるようになったらしい。
惑星アラタの復興も進んでいて、クローンで増やされたファーガやテフもかなり見かけるようになってきたと、故郷からの手紙を見て知った。その過程で、ファーガの栄養液についても調査されたのかも知れない。
あちこちの戦線で、アラタの民も見かけるようになってきたようだ。
もう、新たの民は支援者に馴染んでいる。
席に着くと、アネカが料理を並べてくれる。ありがたくいただく。なるほど、これは大分食べやすい。
凝った料理はあまり好きじゃない。
ファーガの栄養液を如何に食べるかが課題なのだが。アネカはそれを短時間で分析して、料理の腕を上げている。
今日はスープ料理だが。
これは食べやすい。
黙々と食べていると、不思議そうな顔でハーネイ少尉がこちらを見る。
同席している。
一応部下扱いなので、食事は一緒にするようにしているのだが。ファーガの栄養液については、理解できていないらしい。
「そのよく分からないものが大好物なんですか?」
「複製品ですが。 ただ、元々自分達は、ファーガとともに暮らしてきた民です。 ファーガの栄養液を食事の基本にしてきた種族なので、味の好みはどうしてもそれが基本となります」
「食文化は意外と狭いんですね」
「支援者はそうでもないですが、アラタの民はそもそも支援者に合流して日がありません。 支援者の文化が浸透していけば、いずれは変わるかも知れません」
一方ハーネイ少尉は、肉料理を口にしている。
上手に道具を使って、手で触れないようにして食器から肉料理を口にしているが。まあそういう文化なのだろう。
どうでもいい。
食事を終えると、またおいしくなったとアネカに礼をいい、休憩に向かう。
横になって少しでも休む。
起き出して、それでガルヴァード准将に連絡を入れるが。
丁度用事があるようだった。
代わりにマルラ大佐が出る。
「すまないなミラン中佐。 ガルヴァード准将は、アルカラルドの民からの訳が分からない抗議を受けている最中でな」
「作戦行動中ですが……」
「なんでも不当占拠している土地を返せだとかほざいているらしい。 侵略者を追い払ったばかりなのに、既に連中の土地だから出て行けだとか喚いていてな」
「なんでそんなものをガルヴァード准将に回したんですか」
外交官代わりのロボットがいるはずだ。
それなのにどうしてガルヴァード准将が対応しなければならない。
それによると、国家元首が出向いてきたらしい。
国家元首と言っても100もある国家の一つだろう。別に突っ返せばいいだけだろうと思うのだが。
なんでも支援者の規約で、国家元首が出てきた場合は、相応に対応しなければならないそうだ。
成功体験をくれてやると面倒極まりないのだが。
それでも法は法だ。
「後、ハーネイ少尉を返せとも喚いているそうだな」
「!」
「こちらについては、正当な亡命の申請を受けたとして突っ返した。 ただ、連中にとってハーネイ少尉は所有物らしい。 所有物の略奪だと喚いているらしくて、手を焼いている」
所有物か。
ますます侵略者と思想が似ているなと思って、ミランもげんなりする。
こんな連中を守らなければならないのか。
そう思うと、悲しくもなった。
ともあれ、なんとか国家元首とやらを追い返したようだ。
ガルヴァード准将が出る。
「待たせてしまったなミラン中佐」
「いえ。 休憩は終わりました。 いつでも出られます」
「うむ、頼もしい。 今、後二つの工場ユニットを潰せそうなので、それを潰したら一度戦線を整理する。 恐らく、そろそろ親衛軍ウォーリアが再生されてくる頃なのでな。 今度は守りを固めて、奴が現れる予想地点にミラン中佐は向かってほしい」
「承りました」
同じ奴が相手なら、もう負けることは……余程のトラブルがない限りはない。ただ絶対は戦場にはない。
親衛軍ウォーリアも、亜光速ミサイルの直撃を受ければひとたまりもないのだ。
宇宙で散々それを見て来た。
ミランのウォーリア三型だって、それは全く同じ。
何かの間違いで至近からイーターの射撃でも貰ったら、それがコアに直撃でもしたら、助からないだろう。
ガルヴァード准将は、作戦予想地点を三カ所まで絞り込んでくれて、その中心地点まで移動する。
現在後七つの工場ユニットのどれが親衛軍ウォーリアを生産できる中枢工場ユニットなのかを分析中で。
恐らく、親衛軍ウォーリアがまた現れる頃くらいには、特定できるそうだ。
ハーネイ少尉が来る。
青ざめていた。
「少し会話が聞こえました」
「貴方が自主意思で亡命してきたのなら、返すつもりはありません。 ましてやモノ扱いしている連中には、支援者としても返す理由がありません」
「しかし、それで後方から攻撃を受けたりしたら……」
「なんら問題ありません。 貴方達の最大兵器である核が通用しない基地ユニットです。 原始的な兵器なんて、どれだけ押し寄せてきても相手になりません」
そもそもだ。
此処から侵略者を追い払ったら、さっさと縁切りをする予定なのだ。
別に友好的な関係なんて構築するつもりもない。
ガルヴァード准将からそれは聞いている。
だったらミランも、それに従った応えが出来る。
「貴方にとって祖国は絶対に逆らえない恐怖そのものだったのだと思います。 我々にとっては貴方の祖国の兵器は小虫も同じです。 それだけの話ですよ」
「……ありがとうございます」
「戦闘がある可能性があります。 まずは銃座の射手として経験を積んでください。 まずは互いの信頼構築からです」
「はい!」
ハーネイ少尉も、随分と態度が変わったな。
ミランも見送ると、シミュレーションマシンに入り、何度か訓練をしておく。
ヴァージョンが上がっても、ウォーリア三型の性能が飛躍的に向上する訳では残念ながらない。
少しずつ性能は上がっているが、それもあくまで少しずつだ。
例えば、解体屋のように位相変換シールドを、それもウォーリア全機体が装備できるくらいになれば、ブレイクスルーが起きるだろうが。
それにはコストの圧縮と、技術の強化が必須である。
反物質炉の更に上の炉を完成させれば、それも話が変わってくるのかも知れないが。あのパデラクスでも手こずっているようだから、簡単にはいかないだろう。
勿論、あの大剣とは違う親衛軍ウォーリアが出てくる可能性もある。
今まで目撃されている親衛軍ウォーリアと色々戦闘を試しているうちに、待機地点に到達。
シミュレーションマシンを出ると、ウォーリア三型に乗り込む。
コアで、通信を受けた。
「マルラ大佐だ。 ミラン中佐の耳に入れておこうと思ってね」
「お願いします」
「ハーネイ少尉だが、能力試験などを見た感じ、訓練を経てから正式に軍属として迎える事になった。 後は聴取をしたあと、亡命希望者がいないか調べてみるつもりだ」
「民間人ですら、我々をバカにしくさっている連中ですが……」
それが、そうでもないらしいとマルラ大佐はいう。
何でも大半のアルカラルドの民はそうだが。
それはそもそも言論統制や情報統制が徹底されているからで。支配のシステムとして、反支援者が現在アルカラルドの民の100を超える国家で国是にされているのが原因であるらしい。
これらの国家はそれぞれが特色のある統治をしている訳ではなく、基本的に世襲独裁制に近い代物で、要するにそのトップ層が私物化している国家同士が争っているだけ、らしい。
故に、どの国もやり方は恐ろしく似ているそうだ。
「世襲独裁制がとにかく研究され尽くされている種族のようでね。 如何にして独裁を続けるかを極めた種族のようだ。 だが、それでもどうしても反抗したくなる者はいるらしい」
「接触してきたんですか」
「ああ。 ハーネイ少尉とは違う国の科学者や、他にもただの若者なんかだな。 これから特務ではないが、特殊部隊を使って、それらと接触する。 間諜ではないか冷静に吟味した後保護し、亡命申請を受け入れるつもりだ。 こちらとしても、アルカラルドの民のデータを得られるという意味もあるそうだ」
生体実験とかするつもりでの話ではない。
こんな星である。
侵略者を追い払った後、位相変換シールドで星ごと封じてしまうとして。実は100期以内に致命的に資源が不足するというシミュレーションが出ているそうだ。
支援者から資源をある程度供与する話もあるのだが。
それでもこんな有様の星だ。
あっという間に食い尽くしてしまうだろう。
それに、戦争で技術が発展するなんて事もこれではないだろう。
自分達は常に最も優れている。
そんな妄想を国家レベル、それどころか種族レベルで抱いている者達だ。
コロニー船の復旧さえできないのだから。
「そういうわけで、救助できる人間はこれから救助して回る。 ただ、対応は我々でやるので、ミラン中佐は気にしなくても構わない」
「了解です。 後、基地に来ている義勇軍と称する連中は、追い返した方が良いかと」
「それも検討している。 ハーネイ少尉は例外中の例外と分析はもう出来ている。 状況を見て、そうするつもりだ」
通信を終える。
同時に、親衛軍ウォーリアが現れたと報告がある。
やはり予想されていた三地点の一つだ。
駆逐艦が動き出す。
アラートが鳴り、皆が忙しく動く。駆逐艦四隻が艦隊を組んで行動を開始。
いきなり戦線に親衛軍ウォーリアが現れたのではない。
偵察の無人ドローンが発見したのだ。
「親衛軍ウォーリアの姿、出ます!」
「大剣……じゃないな」
「大きな武器を持っているのは同じだが……」
アレは太刀か。
侵略者から伝わった武器の一つ。片刃の剣で、刀といわれるものの一つ。
それを一本だけ持って、低空飛行で突っ込んでくる。
全身が黒い機体で、非常に威圧的だ。
「照合確認。 過去にいくつかの戦線で目撃例があります」
「聞かせてください」
ハコトが分析完了。
相手の事を知らせてくれる。
「通称ブシ。 よく分かりませんが、ブシと名乗ることからそう言われています」
「ブシ……」
「武を行う士の意味だそうです」
「まあいい。 それなら自分も武士です。 早々に片付けます。 他のウォーリアは近づかないように。 周囲の露払いをお願いします」
駆逐艦の戦士達が、おおっと声を上げた。
既に親衛軍ウォーリアを倒してくれるという信頼があるのが分かる。信頼されきっても困るが。
それでも、此処はやらなければならない。
駆逐艦が速力を上げ、前哨基地ユニットの上空に到着。敵は相当数のスォームに、ワーカー、イーター、ブレイカーまで出してきているようだ。
今回は味方の戦力も多いので、それほど以前ほどの恐怖感はない。
敵も統率がとれていないようで、無秩序に兵を出してきているのが分かる。或いはただ戦力を消耗させることだけが目的なのか。
駆逐艦から出撃。
既に出撃している戦闘機隊に続く。
制空権の奪い合いが始まるが、戦力はこちらが有利だ。
今回は、試験投入されている地上戦闘用の対空車両が出てきている。パルスレーザーを空に向けてばらまく車両で、凄まじい弾幕を展開する事が可能だ。
更に駆逐艦四隻が主砲を斉射。
敵が一瞬で消し飛ぶ。だが、それでもまだまだたくさん押し寄せてくる。
この星に元々いた生物は気の毒だ。
アルカラルドの民に荒らされ、そして侵略者に食い尽くされ。
ただ、侵略者の工場をハッキングに成功したことで、そのデータはとれた。生体情報から、食い尽くされた生物たちを再生できるかも知れない。
そうなったら、支援者の人工惑星で保護区画にて生きることが出来るだろう。
戦車部隊が猛烈な射撃をワーカーにたたき込んだ後、接近戦に移行する。
敵親衛軍が、ミランのウォーリア三型の前に来た。
「見事な戦いを見せる敵がいると聞いて参上した。 我武士である。 一戦お相手願いたい」
「これはまた古風な相手ですね」
「いかにも。 肉肉と同僚は相手を馬鹿にするが、我はそのようなことをするつもりはない。 強者には敬意を払う。 その力、是非見せてみよ」
「……分かりました。 良いでしょう」
これは、相応に敬意を払うべき相手か。
古い考え方でも、嫌いじゃない。
太刀に手を掛けると、抜かずに突っ込んでくる。確かあれは。
抜き打ち。
長槍で受け止めるが、凄まじい火花が散る。これは、生半可な機体では瞬殺だな。
抜き打ちの一瞬後の隙を、瞬時にブースターを噴かして潰し、距離を取ってくる。しかも太刀を鞘に収めた。今度はミランの番だ。
連続して刺突をたたき込むが、最小限の動きで回避してくる。それでも一撃を入れるが、抜かない太刀で受け止めてきた。
「曇りなき太刀筋、見事!」
「あの指導者になぜ従うのか聞かせてください。 貴方は尊敬できる武人とみた」
「それは仕方なき事、故に」
「……そうですか」
ギアを上げる。
相手もだ。
抜き打ちを長槍でいなしつつ、連続して槍技をたたき込む。
これは周囲に気を配る余裕はない。
近接戦闘で最強だと感じたのはこの間の親衛軍NO3_009116だったのだが。これは、近接戦闘限定なら、この相手も同格か。
三十合を瞬く間に撃ち合った後、離れる。
武士が深く腰を落とす。
あれはただの抜き打ちじゃないな。
ミランはすっと槍を長めに構える。相手もその意図を察してか、スラスターを噴かして、ジグザグに突っ込んでくる。
これは斬るしかない。
左前。
其処で、ブースターを用いて機体をいきなり強引に安定させた武士が、超高速で抜き打ちをたたき込んでくる。
長槍を、それどころかウォーリア三型を下手すると真っ二つにされかねなかったが。
左腕を犠牲に、長槍を寝かしながら、はじく。左腕を切り飛ばされ、装甲を深々抉られるが、コアを避ける。
返す刀で、こちらも反撃。
長槍を回転させ、相手を袈裟に叩き切る。
今の渾身に全てを賭けていた敵は避けられなかった。
だが、コアにも届かなかった。
「見事! 互いに傷ついたか。 一度引く。 貴殿の名を聞こう」
「ミラン」
「そうか、我は武士とだけ名乗っている。 次で決着をつけようぞ!」
コアを戦闘機に変形させると、去って行く武士。
これは厄介な相手だ。
しかも困ったことに。
憎むことも、難しそうだった。
「ミラン中佐、無事か」
「無事です。 しかしあれは相当な難敵です。 幸い話が通じる相手に見えました。 次も自分が対処します」
「分かった。 大剣であったなら、もう遅れはとらないだろうか」
「はい」
即答。
余程の横やりでも入らない限り、あれには負けない。
ただ今の武士。
近接戦でいうなら、今までの親衛軍ウォーリアの中でもトップクラスの相手だ。しかも飛び道具を持ってさえいなかった。
近接戦に本気で全力を注いだ機体か。
それに乗っている相手は極めてフェアな奴に思えた。親衛軍なんかにしておくのは勿体ない。
ため息が出る。
あの武士も、屑野郎である指導者には逆らえないのだろう。
それを思うと、陰鬱でならなかった。
※武士
親衛軍ウォーリアです。全高17.4m。全身黒づくめで、機動力に特化した構造をしていますが。
それ以上に特徴的なのは、巨大な刀一つだけを武器にしている事です。
射撃兵器を一切搭載せず、接近戦だけで勝負を挑む非常にとがった機体ですね。
乗っている存在も、自身を武士と名乗り。その名乗りに恥ずかしくない振る舞いをしています。
そんなことをあの指導者に許されるのも、それで最大のコスパを発揮できるから、ですね。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘