王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
アルカラルドの民も全部が腐っているわけではなく、こんな状況はどうにかしたいと思っている者もいます。
ただそれでもどうしようもない選民思想からは逃れられませんし、研究され尽くした独裁からは逃れられません。
それでも、亡命申請があれば支援者は助けます。誰もアルカラルドの民を良く思っていなくても。
亡命申請者を救出する作戦に従事するのは、高度なステルス機能を有した小型のフリゲートだ。
フリゲートといっても地上戦用のカスタムで、光学ステルスをはじめとした様々な機能を有しており、アルカラルドの民の文明レベルでは絶対に察知できない。サイズ的にも支援者駆逐艦よりは劣るが、アルカラルドの民が有する巨大艦と大して変わらない。
これが六隻、作戦行動を行う。
相手の位置を確認。
その後、トラクタービームで回収できるならそうする。
そうでない場合は、回収できるようにお膳立てをする。
武力衝突なんて野暮な真似はしない。
アルカラルドの民の生物的な解析は終わっている。一瞬でまとめて眠らせることくらいは、いくつか手段がある。
ガスマスクなんて装備しても無駄だ。
一応アルカラルドの民はロボットも配備してるが、玩具同然の性能である。
また、電子機器もついでなので黙らせる。
監視カメラに回収の映像とかを残されると、それでギャーギャー騒がれて面倒になるかもしれないからだ。
流石に特務は出ないが。
この作戦に参加する特殊部隊は、回収用の部隊が中心で、戦闘は想定していない。一応戦闘も出来るロボットも連れて行く。
戦場で活躍するロボットはいくらでもあるが、今回連れて行くのは「パル445型」というロボットだ。
外見は様々だが、今回はアルカラルドの民の子供に外見を似せている。
もっとも似ているのは外見だけ。
アルカラルドの民が使っている核融合ミサイルにも普通に耐えるし、なんなら無手で8000人くらいの兵士を全員殺さずに黙らせるくらいの戦闘力も持っている。
テクノロジーのレベルが違うのだ。
逆に言うと、そのくらい技術レベルが違うから、不殺で作戦を実施できる。
データを見ながら、優先度が高い順から救助する。
反政府活動をしているテロリストの類もいるようだが、それらは経歴を徹底的に洗った上で、場合によってははじいている。
それに亡命を受け入れたからといって。
即座に参政権を与えて市民にするわけでもない。
一度人工惑星に移って貰って、其処で最初に法などを催眠学習でたたき込む。
歪んだ常識や選民意識も取り去る。
その上で、やっていけると判断したら、支援者に加わって貰う事になるだろうが。それも最低で10期くらいは掛かるかも知れない。
子供はもう少し早く行けるかも知れないが。
回収開始。
アルカラルドの民の電子ネットワーク防御なんか紙くずのように破れる。軍用のものでも同じだ。
居場所をハッキングも含めて割り出しながら、トラクタービームで即時で回収。回収した者達には、その場で眠って貰う。破壊活動などされると面倒だからである。そういう可能性も当然配慮している。
自爆用の武装なども持ち込んでいるかも知れない。
回収した者が、亡命申請をしていた者かどうかも即座に確認。それらをクリアしながら、作戦を進めていく。
下は酷い有様だ。
「市民団体」がデモとやらをしているが、書いてあるのは空虚なことばかり。しかも軍がやらせているのが、人員の配置などから見え見えだ。
金のためにプラカードを持たされて歩いている子供が、半泣きになっている。
長時間デモをすることが、国への貢献。
それで金になる。
だから歩かされる。
そしてこれを民意として、アルカラルドの民は喧伝しているわけだ。
1%の人間が、99.99%の富を独占しているアルカラルドの民。「下層民」は絶対に成り上がることが出来ず、成り上がろうとすれば確定で潰される。人権の概念など存在せず、「多様性」も「福祉」も上層の人間がレッテルとして使っている。実際、支援者の多様な種族を見ても、アルカラルドの民は自分の決めた「多様性」に一致していないという理由で嘲笑するばかりだ。
歪んだ社会の成れの果て。
自浄作用はもはや残っていない。
技術の進歩も止まってしまっている。
今まで、支援者も様々な知的生命体に接してきた。中には政府が腐敗している生命体もいた。
だがこれはちょっとレベルが違いすぎる。
作戦に参加している者達は、顔を見合わせていた。
「あいつら、主張通りに俺たちが全員引き払ったらどうするつもりなんだろうな。 ワーカー相手にデモでもするのかな」
「食い殺されるだけだ。 この星の軍じゃ、蹴散らされるまで半自転も掛からねえよ」
「こんな有様で、なんで自分を偉いなんて思えるのか、俺には分からねえ」
「俺もだ」
この国での作戦は完了。
次。
思想犯が収監されている強制収容所からの救助作業がある。
次々に、機械的にやっていく。
回収した亡命希望者を政治的に活用する気はないとカ・ト中将は言っているようだ。それはまあ、そうだろう。
一瞬で、強制収容所そのものを眠らせる。
構造は分かっているので、ターゲットがいる地点の上部を瞬間的に切断。
拷問器具に据え付けられていた思想犯をトラクタービームで回収すると、そのまま元に戻す。
一瞬システムダウンが起きたが、それだけ。
思想犯がいなくなっても、強制収容所に異変は検知されていない。勿論監視カメラにも、回収の瞬間など映っていない。それくらいはお手の物だ。
次。
国立の研究所。
急に設定されたターゲットだ。
研究所と言っても、如何に国家元首が優れているかの研究だとか言う、アホな事をさせている場所だ。
其処でプロパガンダとして「天才児」が働かされているのだが。
これを回収してほしいと言うことだ。
「急にねじ込まれた救助対象だが、これってなんかあったのか」
「特務のミラン中佐のところに地力で亡命した奴がいただろ」
「ああ、ウォーリア乗りだったとかいう」
「そいつからの依頼らしい。 実際には其処までの天才児でもないらしくて、プロパガンダとして研究所に入れられているそうだ。 両親とかも既にいないってよ」
ともかく、さっさと済ませる。
手順は同じだが。
状況を確認して、回収班は絶句した。
実際には働かせるどころか、部屋に閉じ込めて、何もさせていない。ぼさぼさの髪は伸び放題。
床にへたり込んで、膝を抱えてじっとしている。
プロパガンダで公的な場に引っ張り出す時だけ使って、それ以外は部屋に閉じ込めているというわけか。
さっとログを確認。
やはり仕事をさせている形跡もない。
そもそも仕事と言っても、この国の国家元首が「如何に偉大であるか」をあらゆる方向からでっち上げるだけのものだ。
しかも、それらについて異議を申し立てて。
以降はこの仕打ちのようだ。
「これが、天才児への実際の仕打ちだと……」
「知能テストの結果もログを引っ張り出せた。 実際よりだいぶ水増しされているなこれは。 もっとも、非効率的な学習で機械的に覚えさせたことを、ただ反芻させただけの極めて低質な知能テストだがな」
「児童虐待か。 いや、この国にはそんな概念もないんだろうな」
「反吐が出やがる」
さっさと済ませる。
研究所からさっさと他と同じように救い出した後、医師が状態を確認する。日常的に暴力を振るわれていたようで、古傷だらけだ。
もっとも、亡命申請をしてきている者は殆どがそうだし。
下層民で、体に生傷がない人間の方が珍しいようだが。
アルカラルドの民の普通がこれか。
作戦チームは、全員が絶句する。
中には怒り心頭の者もいる。
指揮官が、さっさと終わらせようと手を叩く。
作戦は作戦。
この後どうするかは上層部が決める。
支援者に加わらせるつもりは、上層部にはないようだ。そもそもアルカラルドの民は、極めて身勝手な選民思想に全員が足首をつかまれている。そんな種族を加えても意味が無い。
何より今まで確認しただけでも、様々な問題行動を起こし。
それを指摘されても改めない。
他でのルールを軽視して。
自分のルールを絶対だと思い込んでいる。
其処まで独善的な性格の種族を、支援者のような組織には入れられない。
勿論色々な種族がいる支援者だから、仲が悪い種族やあわない種族もいるが。それでも我慢して皆やっているのだ。
アルカラルドの民は、それすら出来ないだろう。
やらないのではない。
やる能力が現状の彼らにはない。
勿論アルカラルドの民は、やらないだけとか嘯くだろうが。
それこそどうでもいい寝言だ。
そうして、高度なステルスをしたフリゲートが予定地点を回り、全員を救出成功。
とはいっても、救出していきなり市民権を与えるわけでもないが。
第一次作戦が終わったので、まずは宇宙に。
そこから護衛を受けて、安全な後方に移動するのだ。
ちなみに、この作戦チームは、これでアルカラルド星系から異動である。
故に、作戦が終わった後、全員が歓声を上げていた。
「やった! これでこんな星系からはおさらばだ!」
「あの勝手極まりない奴らのために命なんか張らなくて良いのは最高だな!」
「いい酒があるんだ! 振る舞うぞ!」
「多少は羽目を外してもいいが、油断だけはするな。 安全圏に出るまではな」
指揮官がそういうが。
指揮官も口調がウキウキなので、兵士達同様相当に頭に来ているのは事実だった。
こうして惑星アルカラルドⅠから二千弱のアルカラルドの民が消えたが。
それが支援者がらみの事件だとアルカラルドの民の100を超える国家では一つも気づけず。
現場の責任者が世にも恐ろしい拷問を受けて更迭されたり。
失踪事故として処理されたのだった。
亡命申請をしていたのは、殆どがネットワークを通じて接触してきていた下層民だ。
下層民なんて、アルカラルドの民の中ではそれこそ使い捨ての消耗品に過ぎない。それがいなくなったところで誰もなんとも思わない。同じ下層民でさえも、死が当たり前だから、誰も気にさえしない。
アルカラルドⅠは、そういう星だった。
目が覚めると、クーリアは体の傷が治っているのを知って驚いた。体もある程度綺麗になっていて、不衛生な着衣も変えられていた。
辺りは清潔だ。
前に入れられていた独房は、汚物だらけだったのに。
不衛生なトイレからは常に虫が湧いていたし。
それどころか、監視役が面白がって汚物を投げつけた。
天才児。
そういって、最初は孤児院から連れ出された。きっかけは確かなんだかの問題を解いたことだった。どんな問題だったかも今は覚えていない。
それ以降、知能テストだかを受けさせられたが、どれも丸暗記のものばかり。それで高得点をとったとかいう話だったけれど。
得点が相当に盛られていて、正解した覚えがない問題まで正解にされていた。
それどころか、いつの間にか「優秀な上層民の子」「優秀な遺伝子どうしを組み合わせた天才児」等という嘘だらけの経歴が生やされていた。
知っている。
典型的なプロパガンダだ。
それからは、研究所でバカみたいな研究をさせられた。
技術の進歩とか、そういうのには誰も興味がなかった。国家元首様とやらが、如何に偉大で優れているかの研究だけをしていた。
こんな研究はおかしい。
一度そう独り言をいったら。
翌日には、独房に入れられていた。
以降はプロパガンダ行事で引っ張り出される時以外は独房で、今まで天才児として表向きだけは大事にされてきたのも、全て過去になった。
死ぬんだろうな。
そう思った。
何度も矯正と称して殴られた。
気絶するまで殴られて、それで部屋に放り込まれた。
もう少し年が行っていたら、強姦もされたかも知れない。
体が小柄で痩せこけていて不衛生だったから、そうされなかっただけ。一応研究所にいたのが国家元首がお気に入りの「上層民」の学者達だったからそうされなかっただけかも知れない。
これが兵士のいる前線とかだったら、それでも容赦なく餌食になっていただろう。
ベッドらしいのから降りる。
布がふかふかだ。
床も冷たくない。それだけで、涙がこぼれた。
親なんて覚えてもいない。子供を売り払う親は珍しくなく、育てずに捨てる親もいる。クーリアもそういう親に捨てられた一人。そもそもクーリアとは後からつけられた名前だ。元は出来損ないとか言われていた。体が小さくて、戦場に送られてもすぐに死ぬだろうという理由からだ。だが、体が頑丈なことを自慢にしていた孤児が、戦場ではむしろ真っ先に死ぬことをクーリアはなんとなく知っていた。
体に自信があるから突出して、頭を撃ち抜かれる。
そういうものであるらしかった。
部屋は広く、空気もくさくない。
周囲を見回していると、円筒形のロボットが入ってくる。動きからして、国産のものじゃない。
支援者のだろう。
支援者についてはクーリアも知っていた。支援者が如何に劣っていて、アルカラルドの民が如何に優れているかの研究論文を書けとか言われたことがある。
馬鹿馬鹿しい話だった。
侵略者の兵器に手も足も出なかったアルカラルドの民と。
侵略者と互角以上に戦っている支援者。
技術を盗むために義勇軍と称するスパイを送り込んでも技術レベルが違いすぎて成果さえ得られない現状。
それらを考えれば、どっちが優れているかなんて論ずるまでもないし。
そもそも話にもならないほど相手の方が上だと、誰でも分かるのに。
ロボットが、話しかけてくる。
流ちょうなアルカラルド語だった。聖なる力の守護者の御言葉とか自分達では称しているが、実際には昔存在したいくつかの言葉を混ぜただけのもの。
だから欠陥と例外だらけ。
それくらいはクーリアも知っていた。
「洗浄、傷の修復、病気からの回復、寄生虫の除去などはしておきました。 衣服は取り替えましたが、洗濯してとってあります。 食事が必要ですか」
「貴方は……」
「当機はR4199型介護ロボットです。 貴方方が使っている言葉に沿って型式をつけています。 名前に値するNOは911114411です」
「……おなかがすきました。 食事をお願いします」
偉い人の前に出るから、マナーだの作法だのは教え込まれた。
だから丁寧な言葉は使える。
相手は介護用ロボットか。
ちょっとした動きを見るだけでも、国産のものとは次元違いの性能だと分かる。少し浮いて移動しているが、あれは反重力かも知れない。
食事がすぐに用意された。
食器もアルカラルドの民が使うものだ。すぐに作れるのだろうか。さもありなん。技術レベルが違いすぎるのだから。
温かいし美味しい。
黙々と食べていて、涙が出るし。
何よりも、こちらの味の好みがしっかり解析されているので驚いた。
それにしても、どうして支援者に。
これは明らかに研究所じゃない。別の場所だ。下手すると、惑星アルカラルドⅠですらないかも知れない。
R4199に聞いてみると、きちんと応えてくれた。
「ハーネイ少尉は覚えていますか」
「はい。 だいぶ年上ですけれど、何度かプロパガンダのパーティで出会いました。 戦場の英雄だと言われていましたけれど、本人は生き延びただけだって。 私と同じだねって、意気投合して」
「彼女から、救援依頼がありました」
「そうですか……」
そうか。
ハーネイ少尉が助けてくれたのか。
とりあえず食事を終えた後、風呂を使わせてくれた。とにかく清潔な上に、体を洗うための設備や石鹸なども非常に衛生的な上に高性能だ。髪の汚れもすぐに落ちる。それに体質にも合わせて作っているらしい。クーリアにあわせてすぐに調整したものを出してくれたのだとすると、その凄まじい技術力には瞠目するしかない。髪を洗って、真っ黒な髪が久しぶりに現れて、曇り一つ無い鏡に顔を写してみて、髪を乾かしながら驚いた。こんな綺麗な鏡、研究所の「上層民」向けのものにもなかった。鏡の技術ですら国では劣化し始めているのだ。それもどこの国でもだ。
伸び放題の髪を切ってもらうが、R4199は国家元首お気に入りの理髪師なんて児戯同然の手際で、ささっと髪を肩口まで切りそろえてくれた。これでだいぶ歩きやすい。
礼を言うと、R4199が驚く。
「我々、ましてやロボットに礼を言うアルカラルドの民は初めてです。 他のアルカラルドの民の亡命者はロボットを露骨に見下すのですが」
「貴方は優れたAIを搭載したロボットです。 凄くよくもしてくれました。 見かけだけを重視して、上層民が決めた多様性だけが正しいなんて考えるのは馬鹿馬鹿しいと私は思っています。 敬意を払うべき相手には、敬意を払います」
「面白い。 とりあえず、催眠学習を受けてください。 貴方はアルカラルドⅠで育ったアルカラルドの民では、最も見込みがありそうです。 ハーネイ少尉でさえ、我々の英雄相手に最初は不遜な態度を取っていたのですが」
頷く。
それに、頭が回り始める。
バカみたいな意味も無い研究じゃなくて、ここではちゃんと考えて、それが意味をなすのかも知れない。
全く知らない事をどんどん知ることが出来る可能性だってある。
とても素晴らしい事だ。
催眠学習を受けてみる。
クーリアにも流石に選民思想みたいなものはある。それを催眠学習で出来る限り取り除いて貰う。
これについては洗脳になりかねないが、自分で頼んでやって貰った。
馬鹿げた選民思想なんていらない。
自分を持つ事は大事だ。
だが、自分が偉いと思い込むのはただの愚か者だ。
王族は王族だから偉いんじゃない。国家元首もそれは同じ。
その地位にふさわしい業績を残していれば偉いのであって、それ以外は別に偉い要素なんてない。
それを誰も考えられずにいる。
クーリアは疑問だったことが、どんどん明確な言葉になっていくのを感じて、驚かされていた。
食事もどんどんとらせて貰う。
見たこともない動物の肉や植物だけれども、腹を壊すことは全くない。
それに美味しい。
話を聞かせて貰うが、支援者が来てから、アルカラルドの民のサンプルデータを回収。これは侵略者にアルカラルドⅠが全滅させられた時の、予防措置であるらしい。
妥当だとクーリアも思う。
ともかくそのサンプルデータを調査して、病気や寄生虫については既に解析も終わっているし。
何を食べれば栄養になるか等も、分かっているらしい。
家畜の中には、アルカラルドⅠで育てられていたものを改良したものもいるのだという。
とにかく何もかもが違いすぎる。
そして、催眠学習で、どんどんクーリアも頭が目を覚ましていく。
今までバカみたいな「国家元首の偉さの研究」なんてものをやらされていたのが、完全に無意味になった。
外を歩かせて貰うが、美しい自然の中にあるドーム状の空間だ。裸足で歩いていても大丈夫なくらい配慮されている。
ロボットが多数行き交っていて、注意深く調整をしていた。
人型のロボットもいるが、多くは円筒形などのロボットで、ロボットアームを用いて仕事をしている。
その素早さ丁寧さは、凄いとしかいえない。
まずは、基礎的な数学や科学から、学び直す。
ハーネイ少尉は、今ミラン中佐という英雄の下で、頑張っているのだという。
だったら。
クーリアは催眠学習のついでに体も動かしてみたが、戦士としての適性はゼロに近いと言われてしまった。
それは自分でも分かっている。
だからせめて、学者になりたい。
催眠学習の効率は凄まじく、クーリアは見る間に高等数学をマスターできた。支援者の解析した科学なども、順調に理解できている。
それでも学者クラスに比べると児戯に近いそうで。
まったく、本当に狭い井戸の中にいたことを思い知らされるばかりだ。
R4199は丁寧に励ましてくれる。
「今回亡命してきた人々、更には今までサンプルデータから再生したアルカラルドの民の中でも、間違いなく貴方は最高の知能の持ち主ですよ。 まっとうな知能テストを受けてみますか?」
「いえ、そんなものよりも、どんどん教えてください。 私は、支援者で学者になりたいです」
「学者は皆変わり者です。 ハーネイ少尉とともに、ミラン中佐の下で働くという手もありますが」
「私は戦場に出ても足手まといです。 せめてハーネイ少尉が、ミラン中佐という人の手助けを出来るように、私なり出来る事がしたいんです」
決意は強い。
プロパガンダのパーティで知り合った。
相手もまともに話せる相手は殆どいないようで、意気投合した。
それくらいしか、まともな関係が構築できない場所だった。
上から下まで腐敗しきっていた。
そこから救い出してくれたのだ。
クーリアは支援者に心の底から感謝していたし。
これからも、それが揺らぐことはないだろう。
意欲が湧いてくる。
クーリアは今、生きていると、実感できていた。
「ところで此処はどこなんですか」
「此処は支援者がいくつか作っている星間研究施設の一つです。 保護区画4221といいます。 現在アルカラルドⅠの1.4倍の面積の空間で、22の種族の様子を見て、調整をしています」
「アルカラルドⅠからはかなり離れているんですか」
「光の速さで1500期……侵略者の単位だと1500弱年掛かるほどの距離です」
そうか、そんなに離れているんだ。
いずれにしても、今はとにかく出来る事を増やして、一刻でも早く学者になりたい。あのバカみたいな現状のアルカラルドの民はもう手遅れだろう。一度文明がクラッシュするくらいしか、救いはない可能性が高い。
アルカラルドの民のために頑張るのではない。
クーリアは、年がずっと上の友のために。
今は頑張りたいと考えていた。
※クーリア
ハーネイと同じプロパガンダ天才児です。元は孤児だったのですが、たまたま実施された記憶テストで好成績を挙げたことから、プロパガンダで担ぎ出されました。名前も後からつけられました。名前がつけらる前は、孤児院で番号で呼ばれていました。アルカラルドⅠの国家にある孤児院はどれもそんなです。
知能テストも受けましたが、知能をまともに測れるような内容ではなく、如何に国家元首が優れているかを解答するだけの内容。しかも相当に点数が改ざんされていたという代物です。
更に学者になってもやらされたのは「国家元首が如何に優れていて偉いのかの研究」。ついでにそれに疑問を持った瞬間独房に放り込まれて今に至ります。
支援者に助けられなければ、後二ヶ月ももたなかったでしょうね。
ハーネイと同じく、環境が悪くて芽が出なかった子です。まともな教育を受けた結果、いち早く馬鹿馬鹿しい偏見から抜け出し、作り物ではない本物の天才児として覚醒していくことになります。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘