王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
アルカラルド星系でゲリラ戦を続けていた敵の拠点がついに発見されました。
規模は少ないとはいえ宇宙軍です。
これを撃破すれば、勝利は確定します。
宇宙に呼ばれる。地上はガルヴァード准将がしばらく様子を見るそうだ。ミランが呼ばれたと言うことは、宇宙で何かあったと言うことだ。
現在この星系は孤立していて、少なくとも侵略者が増援を送ってくることはない。四倍の戦力、今は五倍か。ともかく、圧倒的な戦力で、敵を押しつぶせばそれでいい。
四つあるアステロイドベルトに潜んでいる敵をどうあぶり出すか。
それが問題になってくるのだが。
ミランが呼ばれたと言うことは、進展があったと言うことである。
ともかく、カ・ト中将のところに。
今回は幹部会議なので、特務としてミランは参加する。カクラム少将は出ていないが、これはアホどもの相手に忙しいからだ。ガルヴァード准将もいないが、これは地上部隊の相手が大変だからである。
まずは会議が開始される。
参謀部が、立体映像を出した。
アルカラルド星系の内側から二番目のアステロイドベルト。第一惑星と第二惑星の間にあるものだが。
此処でついに侵略者艦隊の拠点を発見したという。
それもかなり大きな拠点だそうだ。
「要塞艦ほどではありませんが、重武装をしている強力な小惑星です。 サイズも大きく、敵艦隊は此処を補給拠点にして、ハラスメント攻撃をしてきていたのは疑いありません」
「今までなぜ気づけなかったのだ」
マルラ大佐が苦々しげに言うと。
まだ大尉らしい参謀部の士官は、恐縮そうにした。
「この小惑星の周囲はデブリとガスが膨大に出ていて、探査が極めて難しかったのです。 この間敵艦隊およそ一万隻を撃破した後、敵の活動領域が限られ、それでやっと発見が出来ました」
「ともかくこれを潰せばいいのだな。 それならばやろう」
カ・ト中将が、死んだ目で言う。
まあ、この星系からはさっさとおさらばしたいというのは分かる。
だが、マルラ大佐が咳払いしていた。
「敵は四万隻、相手は要塞艦に近い性能の拠点、攻めづらい地形。 拙速は多くの兵を死なせるだけです」
「分かっている!」
「それで参謀部には何かしらの攻略作戦があるのか」
「はい。 敵艦隊が現在、ゲリラ戦を諦めて、この小惑星に集まりつつあります。 恐らく発見されたことに気付いた、と見て良いでしょう」
それは好都合だ。
ただ、重粒子砲などの戦略兵器を持ち出されると厄介だなとミランは考えた。あれの破壊力は色々と洒落にならない。
敵艦隊の数もこちらの五分の一程度とは言え、要塞に近い状況で籠城されると色々と面倒である。
「第六十一艦隊は包囲を実施して、まず敵を締め上げます。 その後、これを用います」
「マスドライバか」
「はい」
要はこうだ。
現在いくつかある補給拠点に接している大型マスドライバから、小惑星を直に敵拠点にたたき込む。
かなり乱暴なやり方だが。
それでも、それで敵艦隊を黙らせられるのなら、やってしまうべきだろう。
デブリの拡散などは、工作艦で抑えられる。
勿論敵も抵抗をしてくるだろう。
「敵が一丸となって突破を狙ってきた場合はどうする」
「その場合は、主力をこう動かして、敵を阻止。 他の艦隊は包囲に徹します」
「ふむ……」
「距離を保って相手の接近戦には付き合わず、徹底的に遠距離戦で火力優勢を押しつけて始末するわけだな」
カ・ト中将も頭が回ってきたようだ。
ミランもそれでいいのではないかと思ったが。
まだ問題がある。
「敵の小惑星拠点を潰した後は、残骸を可能な限り回収したいのです」
「どういうことだ」
「惑星アルカラルドⅠの伝承に残るコロニー船ですが、その殆どはアルカラルドの民が解体して持ち去ってしまいました。 しかしながら、彼らのテクノロジーでは船体は解体できなかったのです」
それで放置されていたのだが。
其処に侵略者が来た。
侵略者はそのコロニー船の船体を持ち去った。
資源化した可能性についてカ・ト中将が聞くと、考えにくいという。
「アルカラルドの民にとって歯が立たない硬度であっても、侵略者からすれば後進的な素材に過ぎません。 何かしらの調査のために、小惑星拠点に持ち込んだ可能性があると見て良さそうです」
「しかし小惑星拠点はマスドライバを用いて破壊してしまうのだろう」
「小惑星拠点にある敵軍拠点をピンポイントで撃ち抜きます。 敵艦隊をその後掃討。 小惑星拠点を、出来るだけ以降は無傷で確保してほしいのです」
「なんでそんな面倒なことをしなければならない! 地上戦になれば被害だって増える!」
カ・ト中将が苛立つが。
ミランが呼ばれた理由が分かった。
その地上戦任務のためだ。
「軍事拠点は研究施設を兼ねていますが、この際コロニー船の船体が確保できればそれで構いません。 何なら一部だけでも、です」
「また七面倒くさいことを! なんでそんなことをする!」
「今回の亡命者救助作戦までの情報調査によっていくつか分かってきたことがあります。 やはり、侵略者とアルカラルドの民は無関係ではありません。 遺伝子データはかなりが共通。 恐らくは、侵略者が生物としてまともな状態に戻れば、交配も可能だという話です」
異星人同士の交配なんて、普通は無理だ。
それが出来ると言うことは。
やはりアルカラルドの民は、侵略者と同祖なのか。
なるほど。
「それを確認するために、コロニー船の残骸がほしいんですね」
「そうなります。 ミラン中佐、地上部隊の掃討に協力を」
「了解しました。 ただし被害を最大限まで減らす努力をお願いします」
恐らくだが。
自爆シークエンスの阻止が必要になるだろうな。
侵略者は基本的に、負けとなると相手に何も渡したがらない。
惑星アラタや惑星コヴァルライトの時のような、星ごと粉々に、という事をもくろむことはあまり多くないようだが。
自軍の拠点なんかは自爆させてもなんとも思わないだろう。
最悪の場合、データの取得だけでもする必要がある。
カ・ト中将は咳払い。
「マルラ大佐」
「はい」
「アルカラルドⅠの100を超える国家の機密DBを全部吸い出せ」
「全てですか」
そうだと、カ・ト中将はいう。
コロニー船の残骸が回収されたとなると、各国に分散されて中身が渡ったと見て良いだろう。
それらも解析すれば、更に色々と分かるかも知れない。
マルラ大佐が、分かりましたと言って、即座に作戦に出る。
状況によっては、亡命希望者救助作戦第二弾もやるつもりらしいが。
独裁体制は想像以上に強固だ。
そう簡単にもいかないだろう。
ミランも準備のために空母に戻る。
今回は司令部直下として陸戦部隊が派遣される。その中には、調査チームも加わることになる。
ミランは護衛だ。
敵の規模からして、恐らく親衛軍ウォーリアは出ないという話だが。
それでも速攻で自爆装置などの動力は黙らせる必要がある。
アネカは最初から同行する。
戦闘力の無い調査用飛行機に、調査チームとともに乗り込むそうだ。
護衛用に重戦車が数両手配されるが。
ハーネイ少尉が挙手。
「射手として護衛チームに参加させてください」
「特務の任務はいつも危険です。 それでもやりますか」
「はい! ミラン中佐のお役に立ちたいので!」
更に意気が上がっている。
これはクーリアが助かったからだろう。
クーリアは現在、催眠学習でバリバリ「遅れを取り戻して」いるそうだ。
調査チームが、実際に極めて聡明で、今までは環境が悪くて力が発揮できなかっただけだと太鼓判を押しているそうで。
支援者に対する偏見もなく。
ロボットにさえ敬意を持って接しているため、選民思想を取り去るのが極めて難しい他の亡命者よりも、格段に接しやすいとか。
今は学者になって、ハーネイ少尉を助けたいらしい。
まあ、ミランとしては、二人の友情を否定するつもりはない。実際ハーネイ少尉のこのモチベーション。
あった方が良いに決まっている。
「分かりました。 重戦車の砲手の一人として、申請してみます」
「ありがとうございます!」
「地上が心配ですね……」
ぼやく。
とっくに親衛軍ウォーリア、「武士」は復活しているはずだ。復活させる意思が敵にあれば、だが。
ただ、あいつはミランと一対一での戦いにこだわっていたようだし。
ミランもそれを受けるつもりでいる。
仕掛けてくるかはちょっと分からないし。
とりあえず、この戦いが終わるまでは、控えていてほしいものだと思う。
味方艦隊が準備を整える。
その間にハコトと相談して、ウォーリア三型の調整を済ませておく。アネカは自分専用に調査用のPCをカスタマイズしていて、他の調査チームの面子から呆れられていた。
ハーネイ少尉は、この戦闘が終わったら、正式に支援者の軍に参加が認められるそうである。勿論造反とかしなければ、だが。
ただいきなり少尉というわけにもいかず。
一旦は曹長くらいからになるそうだが。
ハーネイ少尉は、それに対して異論がないようで。
ミランとしては、それならば、と思うだけだった。
作戦の準備が整う。
空母が前線に移動開始。
敵艦隊が捕捉される。
およそ39000隻。
想定される敵の残り全戦力だ。
他にも最大で2000隻程度が想定されるが、それらを抑えられるだけの別働隊が既に待機している。
第六十一艦隊の中で、作戦に参加するのは185000隻。
これが三方向から敵を包囲して、容赦なく削る。
時計を合わせる。
布陣が終わると同時に、カ・ト中将が演説していた。
「今回の作戦は、アルカラルド星系に展開している敵宇宙軍に致命傷を与えるものだ。 このくそったれな星系から、ようやくおさらばできる第一歩と言える」
「おお……!」
「やっとか!」
「敵には増援の可能性はなく、此処を潰せばアルカラルドⅠに残る地上軍だけだ。 後は、作戦のために、敵の拠点を自爆させないようにする必要がある。 敵艦隊は出来るだけ黙らせる。 特務のミラン中佐もいる。 地上部隊、奮戦を期待する」
演説終わり。
そして、指示が飛んだ。
「主砲斉射!」
「斉射!」
「叩き潰せ!」
硬X線ビーム砲がほとばしり、敵艦隊に三方向から突き刺さる。圧倒的な火力の前に、小惑星帯に籠城している敵四万隻弱が、見る間にすり減らされていく。
しかし、敵もそれで終わることはない。
「? こ、これは……」
「報告は正確にせよ」
「小惑星の一つが不自然に動いています!」
「どういうことだ……」
それも、こちらに向けて飛んでくるような軌道を描いている訳でもない。
不審に思いながらも、攻撃を続行。
程なくして、不自然に動いていた小惑星が、いきなり炸裂していた。
炸裂と同時に、ガンマ線バーストがほとばしる。
これは、反物質を利用して、擬似的な超新星爆発の超小型版を引き起こしたのか。
盾艦がまとめて消し飛び、第六十一艦隊にも被害が出る。
ミランはむっと呻く。
今ので、敵艦隊も被害を受けている。
それでも、少しでも。
こちらを道連れにしようというわけだ。
「また小惑星が動いています!」
「や、奴ら滅茶苦茶だ……!」
「知らなかったのか! 侵略者はそういう連中なんだよ!」
兵士達が恐怖と減らず口をたたき合っている。
ともかく、遠距離から射すくめて終わりと言う訳にもいかなくなったようだ。
参謀本部が割り出す。
「ガンマ線バーストの方向を確認! 明らかに惑星アルカラルドⅠを狙っています!」
「直撃した場合の被害は」
「流石にアルカラルドの民は全滅かと……」
「軍基地に指示! 艦隊もだ! あの小惑星に攻撃して、ガンマ線バーストを逸らせろ!」
やっとやる気が出てきたカ・ト中将が指示するが。
指示した時には既に遅く、二個目の小惑星が炸裂。
ガンマ線バーストが撃ち込まれていた。
流石にこの辺境の戦線では、超大型盾艦もない。
盾艦がまとめて消し飛び、艦隊にも被害が出る。しかし、アルカラルドⅠをガンマ線バーストから守ることには成功。
勿論、即座に三つ目が動き出す。
「味方艦隊、想定外の被害です!」
「次はさっさと破壊しろ!」
「攻撃集中!」
「! こ、これは! 敵艦隊、突出! 密集隊形で突撃してきます!」
しかも狙いは司令部か。
カ・ト中将が迎撃の指示を出す。既に三万隻を割り込んでいる敵に、猛烈な射撃がたたき込まれるが。
その分小惑星への攻撃が減衰する。
また炸裂。
味方艦隊がまたしても貫かれ、大きな被害が出る。しかし、カ・ト中将は全艦隊をそれでも巧みに動かし。
突出した敵艦隊を包み込んで、徹底的に包囲殲滅した。
敵艦隊を生かして返すな。
そう叫ぶカ・ト中将は鬼気迫っている。
そして連絡が来る。
「ミラン中佐」
「分かりました」
打ち砕かれていく敵艦隊を抜けるようにして、マスドライバから発射された小惑星が、敵小惑星拠点を直撃。
位相変換シールドを粉砕。
地上部分にあった敵宇宙港や迎撃設備を粉々に打ち砕いたようだった。
そのまま、強襲揚陸艦と、護衛艦隊が突進する。ミランもこの戦闘前に、整備チームと一緒に強襲揚陸艦に移動している。
敵の反撃はもう殆ど無い。
最悪の予想として、敵の残存戦力が後方拠点やアルカラルドⅠに仕掛けてくる事も考えられたのだが。
どうやら正真正銘、今潰されたのが敵の残存戦力全てであったらしい。
敵小惑星拠点に接近しつつ、味方艦が測量。地下の構造図を調査する。恐らくは自爆シークエンスは既に動いているはず。
だったら一刻の猶予もない。
突撃。
強襲揚陸艦が、無理矢理地上に降りる。口を開くと、ウォーリア隊、戦車隊がそれぞれ出る。
地下は狭いので、戦闘機隊は動けない。
代わりに二両の重戦車が出る。
これは調査チームの護衛だ。
調査チームは護衛を受けながら、敵の自爆装置を黙らせる。今まで自爆装置の無力化は何度か行われており、位置さえ確認できればどうにかなるはずだ。
敵の抵抗は。
あるにはあるが、かなりまばらだ。
地上部分が消し飛んだ結果、殆どそれで戦力が枯渇したらしい。
侵略者の一般個体も出てこない。
その代わりと言ってはなんだが。
ワーカーが出てくる。
それも、この状況下だ。片っ端から蹴散らしていくだけである。イーターもいないし、抵抗はそれほど強くなかった。
これは、護衛に出るまでもなかったか。
そう思ったが、即座に反応。
振り返った先にいたのは。
「武士」だった。
侵略者の指導者にとって、親衛軍も私物に過ぎない。
恐らくこっちで作り直したのだ。
まだ「武士」の親衛軍は生きていたが、分解して意識をこっちで作った肉体に転写したのだろう。
作ったり壊したり。本当にモノに対する扱いなのだ。
「恐らく来るだろうと思っていたぞミラン!」
「皆、後退を。 相手は私がします」
「はっ!」
「自爆装置はこっちや! いそげいそげ! 間に合わなくなるで!」
アネカが急かしている。
ミランは皆をウォーリア三型の背に庇いながら、親衛軍ウォーリア「武士」と向き合う。
「どうして此処に」
「宇宙軍の旗色が悪いと判断したのだろうな。 俺はこちらで再生された」
「……そうでしたか」
「自爆まで時間が無いぞ。 決着をつけよう」
頷く。
ワーカーの掃討は完了。
今更邪魔も入らない。
それに、「武士」は楽しそうだ。恐らくは、まともに戦える相手が殆どいなかったから、なのだろう。
その辺はあの親衛軍NO3_009116と同じなのかも知れない。
戦いを好む種族はいくつか見た。
或いは、侵略者は元はそうだったのかも知れない。
だが、それだとアルカラルドⅠの民とは色々と一致しない部分も多いが。
「武士」は太刀を鞘にしまったままだ。
ミランは大きく構えると、ゆっくり槍を回しながら間合いを計る。
なるほど、最大最強の一撃で仕掛けてくるわけだ。
恐らくパルスレーザーを使えば、かなり勝ちやすいとみた。だが、この相手。恐らくだが、親衛軍NO3_009116よりも更に話が分かる。
だったら。
「下手なことを言うとナノマシンに爆破されるのは分かっています。 ですので、応えなくても構いません。 自分が勝ったら、あの屑の指導者に従うのを止めてください。 肉体も意識もこちらで再生します。 その後は、機会があれば肩を並べて戦いましょう」
「……」
「では、行きます」
間合いは理解。
故に、一瞬で勝負をつける。
すっと、音が消えて。
両機が接近。
槍を延ばしたまま、突貫するミラン。それに対して、「武士」は微動だにせず。そして、間合いに入った瞬間。
視認できないほどの速度で、動いていた。
これは、想像以上だ。
抜き打ちは抜き打ちでも、前のとは違う。機体を半ば破壊しながら放つ、絶対最強の一撃。
これは、受けきれない。
長槍を完全に真っ二つにされ、機体を大きく切り裂かれる。
ウォーリア三型の頭部が刎ね飛ばされた。
機体のダメージ、甚大。
更に、だ。
振り抜いた一撃を、火花を機体のあちこちから上げながら、「武士」が振り下ろしてくる。
今のは足止めのための一撃。
勿論倒せればそれで越したことはなかったのだろうが、ミランが身を伏せたことによってウォーリア三型の肩から首を切り飛ばすにとどまった。
今度のは、真上からウォーリア三型をコアごと真っ二つにしに来ている。
だが。
真っ二つにされた長槍を空中でキャッチ。
それをクロスさせて、渾身の唐竹を、受け止める。
ガンと、地面にたたきつけられる。
コアに刃が食い込んでいた。
アラートだらけの中、ミランはふうと息を吐く。頭の直上。ほんのわずかな距離で、刃が止まっていた。
「見事!」
「貴方も」
そのまま、長槍の片方を、身動きできない「武士」のコアに突き刺す。
それで、勝負はついたのだった。
機体ダメージ甚大。
ウォーリア三型に突き刺さった太刀を引き抜くと、倒れている「武士」の側にある鞘も手に取る。
鞘に太刀を収める。
これは、使えと言われているように感じた。
回収しておく。
これは、「武士」にとって、これ一本で勝負すると決めた最高の武器だ。だったら、敬意をもって使いたい。
此処の小惑星拠点をうまいこと制圧できれば、「武士」の意識データも、親衛軍NO3_009116の意識データ同様にあるかも知れない。
もしもあるのなら。
許可を貰って、使わせて貰おう。
そうミランは思った。
殆ど抵抗はなく、自爆装置の停止に成功。
冷や汗を掻く瞬間もあったが、それでも小惑星拠点はこれで落ちた。制圧部隊が本格的に降下。
残敵を掃討する。
ミランは、ウォーリア三型の首を飛ばされた状態で強襲揚陸艦に戻る。
ウォーリア三型の無惨な姿を見て、ハコトが絶句していた。
「だ、だだ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫です。 それよりも、アネカやハーネイ少尉は」
「無事です。 ハーネイ少尉は、ワーカーを多数撃破。 かなりの戦果を挙げたようです」
「それは良かった」
或いはだが。
ハーネイ少尉は、ウォーリア乗りなんかよりも、戦闘機や攻撃機の方が向いているかも知れない。そうミランは思う。
戻ってきた皆が、手配をしている。
アネカが、首を飛ばされたウォーリア三型をみて、絶句していた。
「ひえっ! こんなおっそろしい目に遭ったら、うちだったら漏らしてまうわ」
「いつも寿命が縮むよね……」
「ロボットにも寿命があるんですね」
ハーネイ少尉が冷静な突っ込みを入れる。
アネカが突っ込みの才能があるとかいっていたので、ミランは流石に疲れた。とりあえず、休ませて貰う。
DBが存在していて、比較的無事な状態のようだ。小惑星拠点の地上部分は消し飛んで、その時にダメージはあったようだが。
このDB、恐らくはアルカラルドⅠの最重要基地とも連動している可能性が高く、電源を落として強制的に奪取できたのは大きいようだ。
それに、である。
こっちに「武士」が出てきていたと言うことは。
恐らくだが、惑星アルカラルドⅠに今親衛軍ウォーリアはいない。
一連の戦闘で、第六十一艦隊には合計一万五千隻の損害が出た。殆どはガンマ線バーストによるものだ。
不満の声が上がっている。
あんな連中の盾になって戦友が死んだのは悔しいと。
だが、カ・ト中将がいさめていた。
「今回の戦闘では、アルカラルドⅠを守ったのではなく、支援者のあり方を守ったのだ。 確かにアルカラルドの民はどうしようもないド腐れだが、それでも守らなければならない。 それは我らのためだ。 感情のまま動いていたら、奴らといずれ同じになる。 あんな奴らと同じになってたまるか!」
カ・ト中将の言葉は痛烈で。
それで兵士達も、仕方がないと納得したようだった。
いずれにしても、ウォーリア三型の修理には時間が掛かる。その間、ミランは休ませて貰う。
しばらく寝てから、いやいやながら風呂に入る。
起き出して、食事。
また味が良くなっている
ファーガの栄養液の再現がどんどん出来ているらしい。栄養価もいい。うまい飯は士気を上げる。
ゆっくりくつろいでいると、どうやら朗報が上がったようだった。
コロニー船の船体を発見。
これから後方の調査拠点に運んで、徹底的に調べるそうだ。
アルカラルドの民が侵略者と同祖の可能性がある以上、これには大きな意味がある。解析が進めば、何か分かるかも知れない。
その何か分かるかも知れない、が。
色々な発見を生んできた。
だから、ミランもそれが如何に大事かはよく分かっている。
第六十一艦隊は、総司令部に損害と、敵の宇宙艦隊の撃滅。それに被害の補填を要求しているようだ。
一万五千隻を失ったということは、被害を出した艦艇は全部で五万隻ほど。
三万五千隻ほどが後方に戻され。同時に負傷者も、この星系を離れることになった。
後は、惑星アルカラルドⅠの侵略者を駆逐するだけだ。
勿論二万隻ほどの艦隊が、アルカラルド星系を徹底的に、隅から隅まで調べる。
その間にも、地上攻略作戦を進めることになる。
マルラ大佐から連絡。
「ミラン中佐。 地上にまた降りてほしい」
「すぐに向かいます。 それで何かありましたか」
「ああ。 今回の戦闘で、敵の本陣が特定できた」
「それは素晴らしい成果ですね」
自爆装置をとめた後、調査をした結果。DBが同期している場所を特定。
それが親衛軍ウォーリアを生産できる工場ユニット候補、二つのうちの一つだったのである。
これが決定打になったそうだ。
「親衛軍ウォーリアはしばらくは出てこない。 既にガルヴァード准将は全面攻撃を開始している。 ミラン中佐は、ガルヴァード准将の精鋭とともに、敵の本丸を叩き潰す作戦に参加してほしい」
「了解しました」
「これでやっとこの忌々しい星を離れられる……」
「カクラム少将にも苦労を掛けましたね」
カクラム少将も、次々湧いてくる国家元首をそれぞれ威圧し怒鳴りつけ、這々の体で退散させたそうだ。
無茶苦茶な条約を持ってくる輩も多かったが、全てを拒否。
中には支援者の組織全てをよこせとかほざいている奴までいたらしい。
それはまあ、大変だっただろうなと思う。
「ウォーリア三型も流石に今の君が相手だとパワー不足か?」
「いえ、自分がもっとうまく使えれば問題はないはずです」
「そうか。 だが、君は我が軍の至宝だ。 この戦場が片付いたら、七人目の特務大佐に昇進は確定。 その際には、更にウォーリア三型のカスタマイズをする事が可能になるだろう」
ミランはウォーリアという兵器に、其処まで価値を見いだしていない。
これ以上コストを掛けて、そのコストにふさわしい活躍を出来るかは、かなり微妙だと思ってもいる。
それもあって、今の言葉に魅力はあまり感じなかった。
ともかく、である。
次で終わる。
ハーネイ少尉と食事中に、故国で何があったかは聞かされた。
反吐が出る内容だった。
ミランもアルカラルドⅠからはさっさと離れたい。それについてはカ・ト中将と同じ意見だし。
何よりも、カ・ト中将が、この星の連中と同じになってたまるかと叫んだのにも、全力で同意できる。
好みや欲があるのは勝手だ。
ミランだって風呂は嫌いだし、食事の好みだってうるさい。
だがアルカラルドⅠの民は行きすぎている。
それを擁護は出来なかった。
「ハコト。 ウォーリア三型の修理はどれくらいかかりますか」
「相手の刃の切れ味がものすごかったので、修理は意外と簡単そうです。 恐らく地上に降りて、すぐに出られます。 むしろミラン中佐、もう少し休憩を取って、コンディションを整えてください」
「そうですね、そうします」
アネカが何か持ってきた。
飲み物だ。
口に含んでみると、なんとも言えない酸味が美味しい。
ファーガの栄養液を研究して、それを飲み物にしてみたらしい。なるほど、これはおいしい。
飲み物は全部これでいいくらいだ。
また少し元気が出た。
後は、惑星アルカラルドⅠの戦いに、決着をつけるだけだ。
ミランが敬意を払った「武士」。
作り物の人格であっても、本物の武人となれた。
それは不幸であったのか幸運であったのか、本人にしか分からない事であるかと思います。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘