王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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4、深まる謎

クアーラ議長の下に、パデラクスから連絡が入る。

 

惑星アルカラルドⅠの攻防の過程で、侵略者から回収したコロニー船の残骸についての一次報告だ。

 

早すぎると思ったが、それでも聞くことにする。

 

クアーラ議長から見てもパデラクスははっきり言って不愉快な奴だ。所属組織によってはマッドサイエンティストと呼ばれていたのは確定だろう。

 

それでも技量は確かだ。

 

だから見張りを厳重につけながら、研究をさせているし。

 

複数の研究を同時にこなしながら、成果も出してくる。

 

だから罷免もしづらい。

 

難しい相手である。

 

クアーラ議長も若くはない、しかも寝起きだ。四苦八苦して寝台からおきながら、報告を聞く。

 

寝起きだと言うことを意に介さず、パデラクスはとても嬉しそうだった。

 

「議長! 直接調べるまでもなく、外観情報から面白い事が分かりましたよ!」

 

「それは具体的に?」

 

「あれは二次的に使われたものですね!」

 

二次的。

 

よく分からない。

 

あくびが出たが、ともかく続きを言わせる。

 

パデラクスによると、コロニー船は明らかに一度着陸して役割を果たしたのだという。

 

どのコロニー船もそうだが、何度も星に降りては植民をするような事はなく、基本的に無人惑星で最初のインフラ源となるのが普通であるそうだ。

 

それについてはクアーラも分からないでもない。

 

実際問題、侵略者から取り返した星にまた現地の民が戻る時。

 

支援者から初期インフラを兼ねたコロニー船を提供。

 

それによって再度降り立ち、また最初から星を開拓し直すのが普通だ。それが一番効率が良いからである。

 

侵略者の場合はやるのは「植民」ではなく「略奪」と「鏖殺」なので。工場ユニットを投下して、後は機械的にやる。

 

生物のやり方ではない。

 

「つまり一度コロニー船として利用され、一度惑星の基礎インフラ構成で使われたコロニー船がもう一度使われたと。 何のためにそんなことを」

 

「それはなんとも言えませんが、間違いありません。 しかもコロニー船がつぎはぎだらけ。 最初の利用に比べて、明らかに技術が劣化しているのが確認できます。 二度目の着陸……つまり惑星アルカラルドⅠへの着陸は、殆ど不時着に近かったようですね」

 

「……そうか」

 

つまりだ。

 

アルカラルドの民は、一度どこかしらで植民を始めた。

 

だがそれから、なぜか同じコロニー船を用いてその星を離れて、アルカラルドⅠに来た。そういうことか。

 

「考えられる理由は」

 

「分かりません!」

 

「……」

 

「今、アルカラルドⅠの政府のDBを根こそぎに引っこ抜いているようなので、それを解析してからですね! 元々中身はすっからかんになるまでアルカラルドⅠの各国に略奪されていたようですので、運が良ければそれらから何か分かるかも知れません! 連中ときたら伝承の類を焚書までして、指導者層を讃える歌だのねつ造した歴史だのばっかり作っているので! データは民間伝承とかからは得られないでしょう!」

 

嬉しそうなパデラクスは元気いっぱいだ。

 

クアーラはうんざりしながら、追加での報告は後でよこすようにと言って。

 

それから少し考えた後、執事にしているロボットを呼ぶ。

 

円筒形のロボットだ。ランサルと言う。

 

執事とは言うが、育ての親でもある。

 

今時ロボットを育ての親にしている者は珍しくない。特に古参の支援者の種族にはとても多い。

 

親によって左右される子供の人格や能力が、ロボットによる育成で跳ね上がるからだ。

 

親の方にも、子供をわざわざ育てたくないと考える者もいる。

 

この論争は支援者の中では長く続いていて、どちらにもシンパがいるが。それぞれ不干渉で決められている。

 

クアーラの両親はそうだった。

 

クアーラもそうで。

 

生体データをとって子供は何人か作ったが。自分で産むことはせず、人工子宮で育成は任せたし。

 

子供はロボットに任せた。

 

血筋は既にそれで保たれているし、義務は果たしている。

 

政治家として一生を過ごす覚悟は出来ていて。

 

議長となった今もそうだ。

 

アンチエイジングまでしているのも、自分が長生きしたいからではない。議長の間は判断を間違いたくないからだ。

 

「ランサル。 カ・ト中将に後で良いから連絡を送っておいて」

 

「分かりました。 内容は如何いたしますか」

 

「恐らくそれほど遠くない星系に、原始生活をしているアルカラルドの民の同族がいる。 見つけ出し次第保護するように」

 

「了解です。 カ・ト中将のスケジュールを確認し、データを転送しておきます」

 

パデラクスの報告を聞く限り。

 

そんなコロニー船で、長期間の星系間航行など不可能だ。

 

コロニー船を修復したテクノロジーが劣化していたのも確定。だとすると、何があったのか分からない。

 

ともかく、侵略者の正体につながるかも知れない話だ。

 

調べておく意味がある。

 

現在、カ・ト中将が展開しているアルカラルド星系の周囲にある恒星系は、パトロール艦が展開するだけの状態。

 

しかし、あの辺りに知的生命体がいる星など見つかっていなかった筈だが。

 

とりあえず寝直すことにする。

 

パデラクスと話して疲れたし。

 

今の統括議長は、其処までの激務でもない。

 

それでも睡眠で体を休めないと。

 

いざという時に十全なパフォーマンスを発揮できないのだ。

 

政治家として生き。

 

政治家として死ぬ。

 

政治家は、国を政にて治める者のことを指し、権力を握ることに終始する者の事ではない。

 

ランサルに何度も繰り返し教わったことだ。

 

だからクアーラはその言葉にそって。

 

権力を握ることに全てを賭ける政治屋ではなく。

 

国を富ませ政で治める政治家になるべく。

 

人生の全てを賭けるのだった。

 

 

 

(続)







※コロニー船

今回回収したものもそうですが、本作世界では基本的にコロニー船というのは、そのまま惑星間移民船です。移民が終わったら、普通はその星の初期インフラとして活用されます。

しかし今回発見されたコロニー船は、なぜか一度星に立ち寄ったあと、無理矢理旅立った形跡が見つかりました。

それが意味することは。

アルカラルドの民と同祖の存在が、他にもいるかもしれない、ということです。





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