王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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4、異形の敵

最前線で戦線を構築中のパドフ中将の下に連絡が入る。また妙な敵が出た、というのである。

 

後方の未制圧星系にも出ている。

 

それなりの数が出ていると言うことで、厄介極まりなかった。

 

「前線の様子はどうですか」

 

「今の時点では対応できていますが、損害が大きく……」

 

「対処法を模索し続けてください。 被害を減らす事につながります」

 

「了解!」

 

部下達が散る。

 

パドフ中将がモニタを見ると、敵艦隊が下がり。そして、前に出てきたのは。

 

光り輝く何かの得体が知れないものだ。

 

生物のようにも見えるが、そうでもないように見える。形状は紡錘形で、大きさは長さが6㎞ほどと、戦艦ほどもある。

 

解析の結果、何かしらの粒子が高密度で集まっていることは分かっている。その粒子を操作して、攻防に活用してくる。

 

攻撃が通りにくいと言うよりも、決定打が無い。

 

硬X線ビーム砲をはじめとした主力兵装が貫いても、すぐに再生してしまう。ただし無敵と言う訳でもなく、攻撃を続けていればいずれは倒せる。

 

しかしながら、粒子を活用して、そのまま粒子砲としても使ってくる。

 

火力は凄まじく、戦艦の主砲並み。

 

それを連発してくるのだ。

 

とにかく小型兵器の火力では手に負えず、出てきた場合は大型艦が集中射撃をしなければならない。

 

それもあって、他の戦線でも被害が拡大しているようだった。

 

モニタでも、戦艦が撃沈されている。

 

火力がとにかくえげつない。それも、火力を絞れば多方面にも攻撃できる。爆撃機が接近した所、まとめて撃墜される事件も発生している。

 

打ち出してくる粒子は亜光速まで加速されており、少なくとも近接戦闘では大いに有効だ。

 

とりあえず、火力を集中して倒すも、大きな被害が出る。

 

その間に敵艦隊が接近して、また挑んでくる。親衛軍ウォーリアもいて、対処が面倒だった。

 

「第四分艦隊、後退してください。 第七分艦隊、前進して穴を埋めてください」

 

「了解!」

 

「キキキルルルキル少将から連絡! 敵後方に、複数の「光の塊」確認!」

 

「どの程度の数ですか」

 

キキキルルルキル少将によると、ざっと30。

 

一体でも戦艦複数が相手として必要なのに、30か。勿論現在65万隻に達する第四艦隊の火力であれば対処できる。

 

だが、今平押しで制圧するだけだった筈の星系でもこれが出始めている。

 

早めに対策しなければまずい。

 

「! 敵艦隊が……!」

 

敵艦隊が、いきなり攻撃を受けて次々に爆発する。味方の別働隊の連絡は無い。何が起きているのか。

 

見ると、例の光の何かが。侵略者の艦隊を後方から滅多打ちにしている。その攻撃に、敵の親衛軍ウォーリアも巻き込まれたようだった。

 

「ど、どういうことだこれは……!?」

 

「まだ制御できていない兵器なのかも知れません。 敵艦隊をあの光の塊に追い込んでください。 その後、どうするかは様子を見ます」

 

「了解!」

 

パドフ中将の指示は的確で、即座に艦隊が動く。

 

敵艦隊は後方からの不意の攻撃に混乱したところを、整然たるパドフ中将の指揮する第四艦隊からの猛射を浴びて、壊乱して後退した。

 

とりあえず追い払えたのだからそれでいい。

 

問題は、30体近い光の何かだが。

 

いきなり霧散すると、消えてしまった。

 

「アンノウン消失!」

 

「データはとれましたか」

 

「可能な限りはとりました。 しかしこれでは、すぐには対応はどうしても難しいかと思われます」

 

そうだろう。

 

粒子を兵器活用するのは重粒子砲に限らず様々な例がある。だが、あのような粒子兵器は前代未聞だ。

 

科学班が解析をしている筈だが、うまくいっていない。

 

パドフ中将は少しばかり考え込む。

 

この戦線をしっかり固めておかないと、今回の攻勢での戦線整理がうまくいかない。此処までが、現状安定する最奥のラインで。この背後の星系を全部平定すれば、80億に達する星系が侵略者の魔の手から解放される。その中には、侵略者に母星を奪われた種族の母星が30存在しており、それらを取り戻す意味もある。

 

しかしこの戦線には特にあのアンノウンが現れており、連日被害が増えている。

 

現在要塞艦と追加の兵員を総司令部に申請しているのだが、なかなか。各地の戦線でも、急激に前線を押し進めた事もあって、方面軍司令官達が苦労しているようだった。

 

少し遅れているこの戦線の方面軍司令官ツタータ大将の事も気になる。

 

無能ではないが、どうにも上昇志向が強い人物で。

 

兵士を死なせてでも自分の出世を優先したいというのがパドフ中将にも透けて見える輩だ。

 

有能は有能だが。

 

この戦線に来るのが遅れているのも。

 

そのせいで、先発の筈の第四艦隊が、戦線構築を強いられているのも、どちらも問題だとパドフ中将は考えていた。

 

ともかく。

 

今はここを守るしかない。

 

そういえば、ミラン中佐は大佐に昇進し。後方で今戦ったアンノウンが出ている星系に赴任するそうだ。

 

ウォーリアは更に強化されたそうだが、それでも少しばかり相手が悪い。

 

だが、ミラン大佐なら。

 

何か、画期的な情報を得てくれるかも知れないと、パドフ中将は考えていた。

 

 

 

(続)







此処からシナリオの速度が上がります。

侵略者の正体が分かり始め、その指導者の正体もまた。

支援者がずっと続けてきた過酷な戦いに、終わりが見え始めているのです。




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