王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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アンノウンは案の定ですが、アンドロメダ銀河から持ち込まれた侵略者の新兵器です。

しかしながら、侵略者程度に御せる相手ではありませんでした。

奇行の数々は、それが理由ですね。






2、光のいさな

侵略者の指導者は、研究チームに当たり散らしていた。

 

アンドロメダから持ち帰った情報を基に作り上げた生物兵器。通称いさな。これがどうもうまく動いていないのである。

 

指導者も目を通したが。

 

それでもどうしても不具合が出る。

 

そして現在、肉どもによる攻勢で全戦線が崩壊状態だ。しかも生意気にも肉どもは、一定の範囲で戦線を再構築。

 

其処を新たな戦線と定めて、その内側の範囲を掃討するつもりだ。

 

肉に領地が荒らされているだけでも不愉快なのに。

 

戦略のまねごとをされることなど、それこそ不快感をこれ以上もないほど刺激する。

 

だからアンドロメダから情報だけ持ち帰った粒子生命体「いさな」を再現して、生物兵器化しているのだが。

 

これが言うことを聞かない。

 

しかも、本来の性能を再現も出来ていなかった。

 

「どうしてどれだけ餌を与えても6㎞程度にまでしか育たない!」

 

「分かりません。 何度も検証していますが、そうとしかならないのです」

 

「気合いが足りないからだ!」

 

喚き散らすと、指導者はまた研究者を焼き尽くした。

 

全く不愉快な無能ものどもだ。

 

一人だけ口答えを許している優秀なのがいるが。

 

それに至っては、「なぜそうならないか分からない事が収穫」等とほざく有様である。しかも優秀なので切ることが出来ない。

 

結果として、怒りをぶつけるのは、他の研究者になるのだった。

 

「アンドロメダでは全長100㎞を超える個体も確認されている! それがなぜこんな程度にしか育たない!」

 

「餌は豊富に与えています」

 

「黙れっ! 結果を出せ! 出せなければまた拷問をくれてやるからな!」

 

怒鳴り散らした後、指導者は大きく嘆息した。

 

なんと自分は可哀想なのだろう。

 

そう思いながら。

 

宇宙の全ては自分のものなのに、天の川銀河でさえ未だに肉どもが好き勝手をしている。アンドロメダには手も出せない種族がのさばり、大小マゼランは所詮小規模銀河に過ぎない。

 

それどころか、メタトロンを失って以降、ケチがつきっぱなしだ。

 

新しく最大親衛艦を建造させてはいるが。

 

どうにも前線に出そうという気にはなれなかった。

 

このままだと、聖地まで失うかも知れない。

 

そう思うと、指導者は無能な部下に足を引っ張られる自分の不憫さを何度も嘆くしかなかった。

 

「指導者様。 連絡にございます」

 

「なんだ」

 

「前線におけるいさなの戦果です」

 

「見せよ」

 

連絡をしてきた部下。

 

遠隔通信でだが、全ては見ている。その内容を見て、発作的に指導者は、連絡をしてきた部下を焼き殺していた。

 

大きく育たないばかりか。

 

命令を聞かない個体も多い。

 

実際に戦闘をさせても、アンドロメダ銀河に生息している個体とは比較にならない弱さだ。

 

大きさだけではない。

 

個体としての強ささえ、再現できていない。

 

アンドロメダ銀河にいる個体は、超新星爆発が起きると、大喜びで集まり。そのエネルギーを食らって繁殖するほどの超生命体だ。

 

手を出さなければ攻撃はしてこないが。そもそもとして全てが指導者の私物なのだから、アンドロメダの生物だろうが、指導者に従わなければならない。

 

それが為されない。

 

全ては無能な部下のせい。

 

あらゆる伝承に残る神を上回る指導者に従わない存在がいるのは、無能どもが悪さをしているせいだ。

 

そう、指導者は考えて。

 

手当たり次第に部下をしばし拷問して、憂さ晴らしをした。

 

しばらく憂さ晴らしを続けて落ち着いたところで、命令を出す。

 

「現在生産したいさなの数は」

 

「2000ほどです」

 

「どうせいくらでも作れる。 戦線に全て放り込め」

 

命令は絶対だ。

 

すぐに部下は実施に移す。それだけは、ちゃんと調整が出来ていると、指導者は満足していた。

 

不意に直通の連絡が入る。

 

唯一、口答えを許している科学者だ。

 

「指導者様、まずいことが分かりました」

 

「なんだまずいこととは」

 

「いさなですが、あれ命令を聞いていません。 興味本位で連れて行かれた先で、ただ遊んでいるだけです」

 

「なんだと……!」

 

科学者は言う。

 

いさなは粒子生命体だが、そもそもとして破壊されて死ぬことは基本的にないことが分かったという。

 

いさなという存在は、アンドロメダを縄張りにしていて、基本的にそこから離れる気がない。

 

それを無理矢理再現しても、本能は消せない。

 

粒子生命体を再現するという時点で、相当な無茶をやっているのだ。その不可解な生態まではいじれないのだ。

 

そう科学者は結論していた。

 

青筋が、生きている間だったら浮かんでいたかも知れない。

 

だがこいつは、口答え出来るように敢えてしている。

 

そうすることで、他の無能どもよりちゃんと動くからだ。

 

「粒子生命体であるいさなは、ワープを地力で出来ます。 それもアンドロメダまで。 戦場で撃破されたいさなは、面白くないと思ったか、或いは単に遊び飽きたかで、アンドロメダに戻っただけです」

 

「それでは、ただいさなを増やしてやっただけだというのか!」

 

「増えてさえいないかと。 アンドロメダ銀河にいるいさなの生態を確認しましたが、そもそもとして粒子の総量は変わっていません。 繁殖行動らしいものも観察はされましたが、それは何らかの理由で単に肉体を分割しているだけ、と見てよろしいかと思いますねえ」

 

「何らかの理由とは何だ!」

 

指導者の苛立ちはピークに達しているのだが。

 

科学者はのほほんとしたものだ。

 

滅多刺しにして焼き殺してやりたいが。

 

此奴は親衛軍で、作るのにもコストがかなりかかる。それに此奴の能力は確かで、指導者としても簡単には切れないのだ。

 

「まずいさなをコントロールすることが無理なら、肉を敵として認識させるところから始めては如何でしょうか」

 

「出来るのか」

 

「難しいですが。 そもそも飽きたらアンドロメダに戻ってしまう存在ですので、その間だけでも敵視させるしかありません。 アンドロメダに派遣した先遣隊がいさなの攻撃を受けたのは、排除しようとしたからです。 それまでは興味深そうにこちらを見ているだけで、攻撃どころか排除さえしませんでした。 それは要するに、いさなには明確な知性があると言うことです。 下手をすると私より賢いかも知れないです」

 

此奴より賢いかどうかなんてどうでもいい。

 

いさなに肉どもを憎ませる方法。

 

しかしだ。

 

縄張りに入り込んだ存在でさえ、排除をしようとしなければ攻撃しなかった。

 

肉どもも、いずれいさなに攻撃しなければ、攻撃してこないと気付きかねない。

 

例えば肉どもの兵器を利用して、攻撃させて学習させるという手もあるが。それも通じるかどうか。

 

指導者は考え込むと。

 

いくつかの条件を提示した。

 

「まず戦場をアンドロメダの環境と近づけろ」

 

「そう言われても、空間の揺らぎを戦場全域に拡大するのは非常に難しいですが」

 

「良いからやる方法を考えろ。 続いて、いさなに似せた粒子兵器を用いて、肉どもを攻撃させろ。 そうすれば、肉どもが勝手にいさなに仕掛ける」

 

「そちらは簡単ですが、問題は前線に送られたいさなに、肉が簡単に狙い通りの攻撃をしてくれるか、ですねえ」

 

口答えをしても許す。

 

それが此奴を使いこなす条件だ。

 

不愉快極まりないが、だから許す。

 

ともかく、作業をするように支持すると、指導者は舌打ちして。そして、また出来損ない達を拷問して、憂さを晴らした。

 

 

 

研究する内容が多すぎる。

 

普通だったら目を回しそうな状況だが、パデラクスは潤沢な資金と、スタッフに恵まれて。

 

むしろ大喜びで、並行作業をしていた。

 

あらゆる全てが楽しすぎる。

 

脳を酷使しすぎた結果、しばらく休むように言われても。その間に何をしておくかを事前に準備して展開しておく。

 

スタッフは多い。

 

頭脳で知られるル・ルの民も多いし。

 

それ以外にも、科学者が支援者全体から集まっている。

 

だから楽しくて仕方がなかった。

 

寝て起きて。

 

それで結果を聞く。

 

研究施設複数で、現在は同時にいくつかのプロジェクトを同時並行で進めている段階である。

 

一科学者が担当する内容ではないが。

 

パデラクスには出来てしまう。

 

しかも過労死した時に備えて、スペックのクローンと意識のデータまで常時コピーしているのだ。

 

マッドサイエンティストであっても、パデラクスが有能極まりなく。

 

そしてパデラクスが成果を上げ続けているのも、事実なのだった。

 

報告を口頭で聞くなんて無駄はしない。

 

それにこのような無茶を回せるように、パデラクスが色々とカスタマイズしたロボットが、常時百人体制で支援している。

 

本当に隙無く研究をしているのだ。

 

「ふむ……これは」

 

「如何なさいましたか?」

 

氷菓子を食べながら、秘書をしているアリカ094221が聞いてくる。

 

このアリカ型は秘書としてカスタマイズしたタイプで、20体以上を同時にパデラクスは使っていた。

 

軍でもアリカ型は重宝しているようで、指揮官、士官、それから兵士型まで、多数が活躍している。

 

どれも食いしん坊である事に変わりは無いが。

 

「いくつか面白い研究結果が上がってきた。 これを見てくれ」

 

「はあ。 どれどれ」

 

ロボットと言っても、処理速度は基本的に知的生命体の水準に合わせている。計算などは超高速で出来るようにはしてあるが、支援者の種族達をあまりにも超越したスペックにすると、諍いの原因となるからだ。

 

ただ、計算などは極めて速い。

 

見せたのは、以前コヴァルライト星系から回収した古いデータセンタに格納されていたジャンクデータの複製品だ。

 

それらが修復できたので、まとめて見せる。

 

合計で数十自転に達するほどの内容だったが、それでもこういうのの処理速度だけはリミッターを外させ、一瞬で終わらせる。

 

研究のためである。

 

「似ていますね」

 

「そうだ。 親衛軍ウォーリアにそっくりだ」

 

「……なんだかよく分かりませんが、これは娯楽動画に見えます。 原始的な娯楽のデータですね」

 

「そうだ! とても興味深い!」

 

前線で戦っている兵士達が聞いたら怒るかも知れないが。

 

パデラクスはどこまでも無邪気だ。

 

きゃっきゃっと喜んで、しばらくこの発見を精査すると。

 

結論を出していた。

 

すぐに議長に連絡を入れる。

 

これはとても大きな発見だと見て良いだろう。

 

議長も多忙だ。

 

報告書を出して、しばらくは他の研究を集中する。今やっているもっとも優先度が高いのは、侵略者が繰り出してきた謎の兵器についてだ。

 

これについては、まだ研究が進められている段階で。

 

出来ればミラン中……いや今は大佐だ。

 

大佐に話を聞きたいとパデラクスは考えていた。

 

ミランが自分を嫌っている等とは、パデラクスは考えてもいないし。そうだと知ってもなぜ嫌いなのか、面白がって問いただすだけだろう。

 

そういう存在だ。

 

程なくして、仕事の合間に時間を作った議長が、連絡をしてくる。

 

クアーラは、また疲れ果てている様子だった。

 

「また妙な研究が上がってきましたね。 これはそれほど急ぎだと言うことですか」

 

「勿論です!」

 

大喜びのパデラクスの様子に。

 

あからさまにクアーラ議長はげんなりしたが。

 

その反応すら、パデラクスには面白くて仕方がない。森羅万象の未知全てが、パデラクスにとっては興奮につながる。

 

それが自分に対する嫌悪や敵意であってもである。

 

「クアーラ議長! これらは確実にウォーリアの元となったと判断して良いものかと思います。 そしてこれらは、現実にあった出来事ではなく、娯楽作品のシリーズだったと見て良いでしょう!」

 

「それで、何が重要なのですか」

 

「あの侵略者の指導者は、全てを私物として考えています! その上傲慢極まりなく、気にくわないもの全てを排除する傾向があります! それでいながら、ウォーリアはむしろコスト度外視のものすらもが多数配備されている! これは要するに、侵略者の指導者にとって、これが好きな作品、ということです!」

 

更にだ。

 

内容を分析したところ、戦争におけるそれぞれの侵略者個体(姿は美化されているようだ)の人生を描いているものが多い。

 

そして、多彩な人生を送ったそれら侵略者個体の性格が、どうも親衛軍に反映されているようなのだ。

 

「今まで確認されているウォーリアと、これら娯楽動画に出てくるウォーリアに似た兵器を確認し、更には乗っている侵略者の性格も分析してみました! それらの特徴的な性格的要素だけが抽出され、似た形状の親衛軍ウォーリアに乗っている親衛軍に反映されているとみて間違いなさそうです!」

 

「つまり侵略者の指導者は、ただ自分が好きな娯楽作品の設定や内容を、無理矢理現実に持ち出してきていると」

 

「その通り! 流石は統括議長ですな!」

 

大絶賛を受けて、クアーラ議長は真顔になり。

 

しばらく言葉を失っていたが。

 

やがて、続きを言うように促してくる。

 

「それで、これで戦況を改善できますか?」

 

「そもそも侵略者に模したロボット兵器なんてものが、戦争には向いていません。 戦場での雑兵として特に宇宙戦闘では敵が大量投入してくるから、こちらもそれに付き合わざるを得ない。 此処につけいる隙があると見て良いでしょう!」

 

「……分かりました。 少し参謀本部と相談してみます」

 

「お願いしますっ!」

 

通信が切れた。

 

大興奮したパデラクスは、更に研究に熱が入り、早々にオーバーヒートを起こして倒れるのだった。

 

勿論仮に死んでもスペアはいくらでもあるし。

 

オーバーヒートはいつものことなので、誰も問題にしなかったが。

 

ミラン大佐は、今戦闘の真っ最中らしくて、連絡を入れる訳にはいかないようだ。例の敵新兵器のデータを取ってくれているらしい。

 

だったらやって貰うだけだ。

 

いくつかの実験を進めている間に。

 

この間アルカラルドⅠから亡命してきた者達を管理しているロボットから連絡が来た。

 

やはりクーリアという個体がずば抜けているようだ。

 

もうとっくに偏見を克服。

 

様々な学問を一からやり直して、みるみる習得しているらしい。

 

間違いなくアルカラルドの民の中では最も頭が良いようだ。

 

それも子供のうちだけ早熟で頭が良いタイプではない。

 

アルカラルドⅠの国家では、上層民とやらが絶対独裁を敷いているらしいが。それらは自分を優秀だと信じて止まないようだ。

 

このクーリアは遺伝子データなどを調べたが、間違いなく下層民の子だ。

 

「優生思想」が完全に間違っているいい実例だろう。

 

側にいるアリカが言う。

 

「この子出来ますよ。 もう少し育ったら、研究の手伝いをさせてみては」

 

「まだ幼いし体もできあがっていない。 今の段階では、この修羅場で働くのはかなり難しいだろう」

 

「修羅場の自覚はあるんですね」

 

「ハハハ、当然だろう! 私は修羅場ですら愉しんでいるのだ!」

 

とても嬉しそうにパデラクスは言うと。

 

少し考えてから、研究のリソースを回して、少しクーリアにやって貰うようにと頼んだ。

 

今のうちから、少しずつ修羅場になれていれば。いずれは科学者として、支援者で大成できるかも知れない。

 

それらの仕事を終えてから、パデラクスは本命に入る。

 

どうもパデラクスには、あの侵略者の新兵器を、「倒せていない」気がしている。とにかくデータが少ないし、サンプルもないのだ。

 

だからそれをどうにか結論できる状態にはなかった。

 

仮に、あれが生物兵器だとすると。

 

粒子だけの生物を、どうやってコントロールしているのか。いや、コントロール出来ている様子はない。様々な戦闘データを、今第四艦隊のパドフ中将が送ってくれている。それに目を通す限り。

 

明らかに侵略者も、あの新兵器を扱い切れていない。

 

ただ放し飼いにしているだけ。

 

それでいながらあの戦闘力だ。厄介極まりない話だった。

 

いや、まてよ。

 

ひょっとすると。

 

パデラクスは思いつくと、即座に連絡を入れる。連絡した先は、第108小艦隊だ。

 

そして、現場にこういう。

 

「あの生物兵器、ひょっとすると……攻撃した相手にだけ、反撃しているのかもしれないんですよねえ……」

 

「何だって……!」

 

「ミラン大佐によろしく。 戦闘データというのは、戦闘を回避できるデータも指しますので!」

 

勿論、パデラクスとしてはあらゆるデータを取りたいとも考えている。

 

それもあって、ミランが理性的な対応をするだけではなく。

 

他のデータもほしかった。

 

人命については仕方がないとも思っている。これは、戦争なのだから。

 

 

 

前線にて戦線を構築している支援者第二十九艦隊は、侵略者の艦隊を大破して、湧き上がっていた。

 

今の時点で要塞艦を含めて戦線を構築し、状況は悪くない。

 

いくつかの戦線で大勝利を収めた結果、損害を受けた艦隊はいくつかが統廃合され、その結果最近作られたのが第二十九艦隊だ。前の第二十九艦隊は、大きな打撃を受けて一度廃止された。

 

司令部も一新されており、指揮をしているのは最近中将になったばかりのカムハルであり。

 

とにかく野心的なこともあって、手柄に飢えていた。

 

だからこそ敵艦隊を大破して喜んでいたし。

 

更に敵が来ないかなと、血にも飢えていた。

 

そんな彼の所に、連絡が来る。

 

「接近する多数の反応あり」

 

「なんだ。 敵艦隊か」

 

「いえ、これは……例の敵新兵器です! 数はおよそ2000!」

 

「ほう、面白い! 全艦総力戦用意!」

 

戦艦以上の戦力を持つことは既に分かっている。

 

カムハルも各地で戦績を積んできた将官であり、指揮能力が劣悪なわけでもなかった。ただし、此処ではその戦意が災いしてしまった。

 

接近してくる光の紡錘多数に対して、カムハル中将は一斉攻撃を指示。

 

膨大な硬X線ビーム砲がたたき込まれていた。

 

それらを受けて、光の紡錘はどれもこれもがダメージを受けているように見えた、だが。

 

次の瞬間。

 

一斉に加速。

 

亜光速まで加速すると、第二十九艦隊の至近にまで迫っていたのである。

 

しかも、攻撃を集中すれば倒せるという話はどこに行ったのか。

 

第二十九艦隊四十万隻からの猛射を受けて、敵新兵器は一機もロストしていなかった。

 

「火力を集中しろ!」

 

「敵からの反撃です!」

 

「想定の範囲内……」

 

言い終わることは出来なかった。

 

近距離で猛威を振るう粒子砲が次々放たれ、第二十九艦隊の前衛が瞬く間に壊滅していく。

 

大混乱に陥る第二十九艦隊は、必死に反撃を実施。

 

だが、それはさらなる反撃を招くだけだった。

 

いつの間にか、大量の光の紡錘が、第二十九艦隊の旗艦級戦艦に迫っていた。前衛部隊は支離滅裂。

 

流石にまずいと判断したカムハル中将は、全軍に撤退を指示。

 

大慌てで後退しながらも反撃する第二十九艦隊は、反撃すればするほど大きな被害を出していった。

 

旗艦級戦艦にも粒子砲が多数着弾する。

 

必死にダメコンを命じながら、カムハル中将は叫ぶ。

 

「くそっ! 話が違うぞ! 攻撃を当てれば倒せるはずだ!」

 

「そう聞いています!」

 

「一度引いて陣形を建て直す! 急いで引け!」

 

だが、敵新兵器は追いすがってくる。

 

戦意をなくして逃げ散る艦隊は、それは追われなかった。カムハル中将は一定の指揮能力を持っており、効率的に反撃を試み続け。

 

それが却って徒となった。

 

気がつくと、カムハル中将の旗艦は大破していた。

 

そして戦闘力を失った旗艦の周囲には、既に味方の艦は残存していなかったのである。

 

呆然とするカムハル中将。

 

艦隊を半壊させた光の紡錘は、しばらく辺りを漂っていたが。やがてそのまま、めいめいに散っていく。

 

旗艦は既に動ける状態ではなく、乗員123412名の内、80000以上が戦死する惨状だった。

 

艦隊も被害三割を超えており、文字通り全滅判定である。

 

四十万隻の艦隊が、手も足も出なかったのだ。

 

カムハル中将は、重力発生装置も働なくなった艦橋で、デスクを叩こうとして失敗していた。

 

「ち、畜生! たった二千程度の相手に、此処までの醜態を……っ!」

 

「閣下、それよりも生き残った味方の再編を! 此処は最前線です!」

 

「分かっているっ!」

 

これで出世どころではなくなった。

 

新生したばかりの第二十九艦隊は、ろくな戦績もないまま、大損害を受けることになってしまい。

 

カムハル中将は異動。

 

この戦線に、支援者は三つの艦隊を更に派遣して戦線を構築するのだが。

 

その戦線構築までに、大きな苦労が、各艦隊の構成員を襲うのだった。







※いさな

というわけでアンノウンあらためいさなです。

この存在は基本的に凄まじい能力を持っており、今回描写したように本気になれば二千程度で四十万隻の艦隊を瞬く間に壊滅させるほどです。

しかもこれは未完成で、アンドロメダには全長100㎞を超える個体までいます。

試練の時です。


本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。

  • 詳細なマシンデザイン
  • 圧倒的な武力による蹂躙
  • 緻密な人間ドラマ
  • 種族や文明の描写
  • 近接した力量のライバルとの死闘
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