王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
流石にこの状況になると、支援者も事態の深刻さに全力で動きます。
いさなへの攻撃は一切禁止。
しかしながら、いさなとの交渉はどうしてもうまくいきません。
いさなに対する攻撃の全面的な禁止。
それを受けてから、パドフ中将はサリナス戦線で対応に追われていた。
サリナス戦線では、いさなが常態的に出現している。今までは攻撃を続けていたが、それを中止しろと言われた。
それだけでかなりの苦労だ。
味方にも言い聞かせなければならないし。
戦術コンピュータにも色々と設定をさせなければならない。
侵略者は戦意が旺盛で、次々に艦隊を繰り出して仕掛けてくる。はっきり言って休む暇もない。
キキキルルルキル少将が最前線で暴れている。
パドフ中将も艦隊を進めるが、大規模な敵が出現。30万隻以上はいる。
現在三つの艦隊が合流してきて、この戦線では既に味方の艦隊が二百万隻を超えている。
敵はその三分の一程度だが、それでも今回の増援で半数ほどになったか。敵としても此処に戦線を作られ、後方を平定されるのを面白く思っていないのだろう。
それについては分かる。
とはいっても、半数程度の相手に突破はさせない。
懸念事項はいさなで。
あれに第二十九艦隊が一蹴された報告を受けているパドフ中将としては、あまり楽観は出来なかった。
現在サリナス戦線では、三十体ほどのいさなが回遊していて、様子を見ているようである。
もう仕掛けるな。
そう指示はしてあるが。
今までこの戦線では、いさなに攻撃をして、反撃もされている。
相手がどう考えているかは分からない。
既にいさなが生物兵器である事はほぼ確定しており。
更には侵略者でも手に余る相手であることもはっきりしてきたが。
その正体はまだ分かっていない。
高次元生命体ではないのかと言われたが。
そう言われても、パドフ中将としても困るだけだ。
そういう存在がいるのではないかという話は聞いたことがあるが、だからといって何か出来る訳でもない。
それに高次元生命体と言っても、それが高度な知能を持っていて、こちらに友好的かどうかなど分からない。
とにかく軍人として、冷静に対処するだけだ。
「また敵艦隊が仕掛けてきます」
「損傷艦を庇いながら戦線を維持。 くれぐれもいさなに攻撃をしないように気をつけてください」
「了解」
味方は良く組織されている。
周囲にいる幕僚達に指示するだけでいい。
敵はそれこそ損害度外視で突っ込んでくるから、味方にも被害が出る。
それを良く受け止めて、反撃で効率よく削る。
味方の将兵はパドフ中将を信頼してくれている。
パドフ中将も、味方を信頼する。
そうしなければ、戦いに勝ち続けることなど出来ないのだから。
激しい交戦がしばし続いて、被害を出した敵艦隊が一時下がる。
兵力の補填を進めているパドフ中将に、連絡が入る。
「いさなが接近!」
「攻撃はしないように。 損傷艦を下げてください」
「分かりました!」
慌てて味方艦隊が下がる。
戦いの後は膨大なスペースデブリが出るが、それだけでは当然終わらない。他にも色々と問題が起きる。
荷電粒子砲やレーザーなどの兵器が飛び交った結果、辺りに膨大な熱が漂うのである。
亜光速ミサイルも、敵に直撃した場合は膨大なデブリと熱をまき散らす。
それらの熱を食べに来たのかも知れない。
あちこちの恒星で、プロミネンスと戯れるいさなが目撃されている。
熱は彼らの餌の可能性もある。
「救助艦急いで」
「負傷者の救助、まだ十分ではありません!」
「パドフ中将、相手を牽制すべきでは」
「いや、手を出せば凄まじい反撃が来ます。 すぐに生存者がいる可能性があるデブリをピックアップしてください」
今の時代は、戦闘の記録は全て残されている。
そこから戦術コンピュータで、生存者がいる可能性がある艦艇を発見することは難しくない。
それをやりながら、多数の艦艇を動かし。
ワイヤーで固定して、即座に牽引を開始。かなり乱暴なやり方だが、いさなはデブリを捕食する事が確認されている。
デブリに生存者が紛れていた場合。
いさなの餌だ。
勿論そうなった事例はまだ確認されていないが。
確認されてからでは遅いのである。
工作艦が急いで作業をしていると、不意にいさなが止まる。
そして、ゆっくり回遊するように、戦場で作業をしている艦艇の側で身をくねらせていた。
味方が恐怖の声を上げるが。
パドフ中将の旗艦がいさなに対して壁になるように立ち塞がっているのを見ると、びびってもいられないと判断したのだろう。
テキパキと作業をこなしていく。
宇宙での戦闘ではどうしても生存者が出にくいが、それでもやる意味はある。程なく、牽引の準備が終わり。
生存者の確認も、ほぼ完了していた。
そのまま、艦隊を下げる。
いさなはそれを興味深そうに見ていたが、やがて下がっていった、ように見えた。いさなが生物兵器だとしても、まだ相手の事はほぼ分かっていないのである。それでは、「どう見える」か等無意味だ。
一度艦隊を立て直して、補給をする。
かなり無理矢理味方の生存者救出を行ったこともあって、補給が遅れている。
敵艦隊にはしたたかに打撃を与えているから、すぐにまた来るとはとても思えないのだが。
それでも万が一に備えなければならない。
隣に展開している第十八艦隊が連絡を入れてくる。
それなりに歴史のある艦隊で、司令官もパドフ中将が信頼する中将の一人だった。
第十八艦隊にも、いさなが接近している。
やはりこちらから仕掛けない限りは、反撃もしてこないようだ。第十八艦隊は先の戦闘での被害が大きく、困惑しているという。
パドフ中将は、後衛に来ている予備部隊に連絡して、第十八艦隊を支援するように頼む。すぐにそれは入れられて、第十八艦隊は補充された。
いさなは第十八艦隊の側でしばらく漂っていたが、以前確認されたデブリの捕食をするでもなく。しばしして去って行った。
侵略者の艦隊の側にも、まとわりついているようだ。
侵略者の艦隊は完全に無反応。
あれは、本当に奴らが持ち込んだものなのか。
そういう声が、既に味方からも上がり始めている事を、パドフ中将は知っていた。
「補給と修理を急いでください。 要塞艦をもう一隻くらいはほしいところですね」
「各地で戦線の再編成が進んでいますが、まだ全体的に準備が不十分です。 総司令部からの距離が開き始めているのも課題になっています」
「総司令部はもう少し戦線に寄せるべきだと、提案をしておいてください」
「分かりました」
部下がすぐに行く。
まだ方面軍司令官が来ない。
それもあって、パドフ中将は、少しばかりまずいかと感じていた。
敵の艦隊が更に増えているからだ。
このままだと、此処はヴァーグラット戦線と似たような状況になるかも知れない。
勿論現れる敵艦隊を片っ端から撃破していけば、生産力で劣り始めている敵に打撃を与えられるのだが。
それは楽観だ。
これだけの規模の艦隊どうしがにらみ合っている状況だ。
何が起きてもおかしくはない。
連絡が来る。
ミラン大佐が、大量のいさなに囲まれている事は、パドフ中将も既に聞いている。
その後の話のようだ。
「第108小艦隊を囲むいさなは更に数を増しているようです。 何をしているのかさえも分かりません」
「いたずらに戦場を混乱させているだけですね。 侵略者の指導者が生物兵器として投入したのであれば、役に立たないといえます。 ただ戦場を混乱させているだけです」
「こちらも敵の孤立した艦隊や領地での行動が掣肘されていますが」
「ええ、その点では役には立っていますね。 ただそれだけです」
現状、各地に敷かれた前線から、敵は支援者の支配地域に踏み込むことが出来る状況にない。
大量に展開されたワープ阻害装置が、それを不可能にしているのだ。
「ミラン大佐はいさなとコミュニケーションを図っているようですが、うまくいっているでしょうか」
「いえ、成果は出ていないと言うことです」
「そうですか。 こればかりは、根気強くやるしかありません。 ミラン大佐なら、きっと成果を挙げられると判断していますが」
幕僚達は不安そうだが。
パドフ中将が泰然としているので、誰もパニックにはならない。
程なくして、敵がまた攻勢に出る。
それを迎え撃ちながら、いさなの動向に目を光らせなければならなかった。
各地の前線でいさなが邪魔になってる報告は、支援者の総司令部がある中枢星系、「中枢」にも届いていた。
中枢は名前の通りの星系で、元は壮年期の安定した恒星だけ、という不可解な星系だった場所だ。
いわゆる支援者六種族にとって、それぞれ利害が関係ない土地に、支援者の中枢を作るべきだ。
そう提案した860期前の統括議長カームエルによって建造が進められ。
8つの人工惑星が中枢の恒星である「陽」の周囲に並べられた。
それから時間を掛けて改装が進み。
星系全体が超強力な要塞となっただけではなく。
支援者全体の政治を決めるための議事堂。
行政府。
軍の総司令部など、重要な施設が様々に並べられている。
更には、第∞艦隊2000万隻余が常駐していることも知られている。
銀河系中枢を守る第一艦隊1500万隻を越える規模の第∞艦隊だが。そもそもこれは実のところ正式な戦闘単位である艦隊ではない。
ここに配属された艦隊は決して最新鋭のものばかりではなく。
再編途上の艦隊や。
大きな損害を受けて後退してきた艦隊。
また、人工惑星の一つである「兵器工廠」で生産されている艦隊が、とりあえず配備される場所であったりと。
精鋭とは言いがたい。
司令官も第一艦隊のように大将格ではなく。
三元帥の一人である、宇宙軍総司令官を務める元帥が、基本的に指揮をするが。第∞艦隊がそのまま戦場に出たことは、支援者の歴史上一度も無い。元帥も指揮を実際に執ることはなく、殆どの場合形式的に指揮官をしているだけだ。実戦になれば役に立たないのは目に見えている。
所属艦や人員が訓練や修理、再編成などを経て役に立つようになると、それぞれ艦隊として独立して任務に向かうのだ。
このため、第∞艦隊は精鋭でもなんでもない、「倉庫」等と兵士達からは揶揄されていて。
実際に此処に配備されている艦隊は、基本的に無人操作の状態におかれていて。
人員が配備され、即応の対応がされているわけではなかった。
要するに中枢は支援者最大のドッグであり。
第∞艦隊は戦うための艦隊ではなく、データプールに近い扱いを受けているのが実情だ。
中には骨董品のような旧型艦が放置されるように配置されたまま、という状態になっている事もあり。
倉庫であるが故に。
管理をしている後方任務担当の中将達は、毎日デスクワークで忙しい思いをしている。
ロボットが最近は多数支援に当たっているが。
それでも最前線の司令官より忙しいのではないか。
そういう声さえ上がっている。
まあ、いずれにしても支援者の艦隊のおよそ一割が此処に常駐しているのは事実である。
中枢そのものが途轍もなく強大な「星系要塞」であり、その戦力は要塞艦などの比ではないのだが。
それでも、決して難攻不落の要塞などではない。
現在、此処に常駐しているクアーラ議長は、前線からのいさなの連絡をまとめては、各地に指示を出していたが。
それが、前線の事ではなくなった。
会議中に、警報が鳴る。
この警報は訓練時以外に鳴った事が無い。
統括議長であるクアーラでさえ、思わず何事かと周囲に聞いたほどだ。
飛び込んできたのは、三元帥の一人。
現在宇宙艦隊総司令官をしている、ガルマザルマ元帥だった。プラパルダの女性で、最近元帥に就任した。それまでは、方面軍司令官だった。
前任者が年齢もあって退任したからである。
「緊急事態です!」
「具体的にお願いします」
「星系外縁部にいさな出現! 全長100㎞を超えています!」
「全長100㎞だと!」
議員の一人が流石に声を上げた。
それは流石に色々と規格外過ぎる。
侵略者の切り札とも言える超大型艦ですら全長40㎞である。通常戦艦が6㎞前後、旗艦級戦艦ですら14㎞程度である事を考えると、その巨大さは異常だ。
「大量のワープ阻害装置があったはずだ! なぜ接近を察知できなかった!」
「それが、反応しなかった模様です!」
「パデラクスの言葉は正しかったようですね。 いさなはどうやら高位次元の生命体のようです。 我々が作ったワープ阻害装置等、彼らの前には役に立たないと言うことなのだと思います」
クアーラ議長が言うと。
議員達は、恐怖で黙り込んでいた。
ガルマザルマ元帥が、青ざめた声で聞いてくる。
新任の元帥とは言え、相当な高齢だ。
男性の方が士官、女性が戦士になりやすいプラパルダで、元帥にまで上り詰めたのは。支援者の歴史でもあまり例がない。
彼女もまた、ようやく元帥にはなったが。
既に若い頃の覇気などは失われてしまっていた。
「戦いますか。 予備部隊とは言え、第∞艦隊の総力を挙げれば、勝てない相手ではないかと思われますが」
「止めなさい。 前線に出ている6㎞程度のいさなとは、多分能力の次元が違うとみてよろしいでしょう。 中枢の総力を挙げても、撃退できるかどうか」
「し、しかし、如何いたしますか」
「とにかくパデラクスに連絡。 最重要調査対象として、総力を挙げてコミュニケーションを図ると同時に、文民の避難を開始しなさい。 勿論私たちは最後まで残ります」
議員達が立ち上がると、即座に指示を出し始める。
支援者の議員は、各地で実績を上げることを要求される。この実績は金を稼ぐ云々ではなく、担当した地域の発展、幸福度の上昇、犯罪率の低下、出生率の安定など。それらをどう達成したかで評価される。
この評価は選挙でも反映され。
過去に汚職などをしている議員などは、その時点で評価が減点されることになる。
選挙制度というのは様々な問題を過去に引き起こしたため、最終的には実績を求められる事になった。
その実績もどれだけ稼いだのかではなく、如何にその担当地域を発展させたか。それを求められるようになり。
ようやく支援者の民主主義は完成した。
統括議長は、担当地域でそれぞれ高度な実績を上げないと、そもそも就任する資格さえ得られない。
古い時代のまだ模索段階の民主主義では、実家が太ければ圧倒的に有利であったりと。形を変えた貴族制に他ならなかったのだが。
クアーラ議長の時代には、出身がホームレスでも、実績次第で統括議長になれるようになっている。
これは、催眠学習で、誰でも潜在能力を最大限に発揮できるようになったのが大きい。教師の質に教育が依存していた時代が終わって、一気に支援者は人材を充実させられるようになったのだ。
事実、歴代の統括議長の中には、実家の財産など皆無だったものが多数存在しているのである。
故に、クアーラ議長も指導力に優れている。
すぐに皆を動かし、軍には攻撃を控えさせた。
そして、呼びかけさせる。
パデラクスが連絡を入れてきた。
「これは凄い事態ですね! わくわくしてきました! 私もそちらに行って構わないでしょうか」
「駄目です。 そこで全力で調査をしなさい」
「えー」
「えーではありません。 急ぎなさい」
即座に連絡を切る。
今までのデータを参照しながら、効果が無かったコミュニケーションを一切排除して、色々試させる。
間違っても攻撃は絶対にするなと指示はしているのだが。
程なくして、いさなが更に現れる。
どれも全長80㎞程度はあるものばかりだ。
粒子の塊とは言え、その威圧感は凄まじい。合計三十体ほどが、中枢の外縁に現れると。
身をくねらせながら、こちらの様子を見ているようだった。
「それにしても、この中枢に直接現れるとは……」
「いさなは高度な知性を持っている可能性があるとは言われていました。 決して不思議な話ではないでしょうね」
議員にクアーラはそう応える。
これは支援者全体に混乱が波及するな。
そう思いながら。
ミランの所に、支援者の中枢にいさなが現れた報告が入る。それも全長100㎞だという。
とんでもないサイズだ。
ミラン自身も、何度も出撃しては、色々とコミュニケーションの手段を試している。どれも手応えがあるとは思えない。
いさなはミランを観察しているように見えるが。
それも本当かどうか。
第108小艦隊を包囲するいさなは増え続け、三百をとっくに超えている。
それも、包囲なのか。
ただまとわりついているだけなのか。
ミランには、どうにも判断が出来なかった。
とりあえず、疲弊がたまってきたので、一度戻る。ガルバーリアムのドッグでウォーリア四型を降りると、調査用飛行機から降りてきたアネカが言う。
「なんだか手応えがないわ。 相手が粒子の塊やし、仕方ないのかも知れへんけど」
「あの身をくねらせる動きがボディランゲージか何かの可能性は」
「それも記録してるんやけど、規則性無しや」
「そうでしたか」
アネカが料理すると言って、厨房に消える。
ミランが椅子にもたれかかってぐったりしていると、ハーネイ准尉が来る。
「たくさんのいさなが現れる理由が分かりません。 ひょっとして、ミラン大佐が目当てなのでは」
「まさか……」
「いえ、なんだかそんな気がします。 支援者でも屈指の名将だというパドフ中将のところにも、ずっとそれなりの数がいて。 更には、ついに支援者の政治的軍事的集約拠点にまで姿を見せた。 偶然とは思えません」
ハーネイ准尉も、催眠学習を受けてもらっている。
偏見を取り去るのにまだ苦労があるが、それでも英雄としてアルカラルドの民でプロパガンダの餌にされていた頃と違って。ちゃんとした知識を、ちゃんと手に入れることが出来ているようだ。
ハーネイ准尉は軍事的な才能が本当にあるらしく。
催眠学習で、どんどん専門知識を身につけている。
ミランも話していて、面白かった。
「しかし今になってなぜ中枢に……」
「いさななりに情報収集をして、その結果なのでは」
「……」
考えられる話だ。
いさながもし高い知能を持っているのなら、そういう挙動をとってもおかしくはないだろうと、ミランも思う。
しかし、だとするといさなは、なぜこちらに分かるようにコミュニケーションを取ってこない。
或いは既にとっているのだろうか。
勿論、いさながこちらに友好的な種族とは限らない。
細心の注意を払わなければならないが。
パデラクスが連絡を入れてくる。
そして、いきなり無茶苦茶な事を言ってきた。
「ミラン大佐! 早速試してほしいことがある!」
「今戻ったばかりですが……」
「今すぐにやってほしい! 私としても、とても楽しみなことなのでね! ちょっとミラン大佐には命がけになるが!」
なんでお前が楽しいことを、こっちが命がけでやらなければならない。
ぶち殺してやりたくなったが。
ともかくぐったりしたまま話を聞いて。
聞かなければ良かったと思ったし。やっぱりブッ殺してやりたいと思った。
「ウォーリア四型から出て、宇宙服で直にいさなに接してほしいんだ!」
「あんたがやれっ!」
「私では駄目なんだ! どうも調査する限り、いさなは既に支援者にとって重要な人物や場所を特定した節がある! 統括議長や前線にいるパドフ中将には任せられない! 君に、だけ! 頼めるのだ!」
確かに統括議長やパドフ中将にそんなことは頼めない。
だがどうしてミランが重要人物なのか。
確かに特務の大佐の一人ではあるが。
パデラクスが、考えを読んだように言う。
「君は自己評価が其処まで高くないようだが、親衛軍ウォーリアを単騎で倒した初の存在で、それからも大きな戦局でいくつも活躍をしている! 個の英雄としては君がこの時代随一の存在であることは間違いない! いさなはどうしてか、それを読み取ったと理解して良いだろう!」
どこから突っ込んだら良いかさっぱり分からないが。
ともかくそれをミランが、今やる理由は。
そうか、此奴のことだ。
ひょっとすると統括議長やパドフ中将にやってくれと言いかねないのか。
その方が問題だ。
最悪ミランは倒れても別に大局に問題はない。
今まで親衛軍ウォーリアには大きな被害を出してきたが、それも対応できなかった訳ではない。
親衛軍全体で見てもそれは同じだ。
ミランの活躍が評価されているのは個人的には疑問ではあるが、いずれにしてもヴァーグラット戦線で完敗を喫した侵略者が立ち直るのは当面かかる。その間に、今回進めた前線の後方を安定させれば、支援者は更に有利になる。
どうせまだ100期や200期でこの戦争は終わったりしない。
それを考えると、別に永遠に生きるつもりなんかないミランとしては、一番これが特務の大佐としてやれることではあるのか。
ため息をつくと、分かったと言って立ち上がる。
側にいたハーネイ准尉が、大慌てした。
「あ、あんなマッドサイエンティストの言うこと、まともに聞くんですか!?」
「議長やパドフ中将にさせるわけにはいきません。 こういうときが特務の仕事です」
「特務って、命を投げ捨てる仕事なんですか!」
「他の人が出来ない事をするのが特務です。 特にいさなは下手に刺激すると、支援者の中枢が落とされかねない。 今、やらなければならないんです」
勿論滅茶苦茶嫌だが。
何よりパデラクスをぶん殴ってやりたいが。
ともかく、今はやるだけだ。
アネカに声を掛けて、ガルバーリアムを出る。ともかく本当にいさながミランとの接触を望んでいるのであれば。
さっさと接触してやるしかない。
※支援者の中枢
支援者という多種族連合星間国家の中枢星系です。此処は恒星以外全て人工惑星で出来ていて、それらの自転速度は全て同じです。500自転で一期ですね。侵略者の使う一年×1.02が一期です。
数多の種族の利権がバッティングしない位置に首都をということで作られた星系で、第∞艦隊という艦隊が守っています。他にも教育施設や行政機関、巨大な兵器工廠などが存在し、天の川銀河の半分弱を領域にしている支援者の首都星系にふさわしい規模を誇ります。
ただここにいる第∞艦隊は2000万隻余という規模ながら、いずれもが実験艦や老朽艦、破損して修理中の艦なども多く、数通りの戦力は期待できません。
このため、今回のいさな襲来に、大パニックに陥ったわけですね。
感想評価などよろしくお願いします。励みになります。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘