王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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いさなに関する騒ぎで、どちらも大混乱になります。

とりあえずミランがやるのはいつも通り。

危険な任務の処理ですね。

休暇?ある訳ないです。








3、いさなが去って

いさなの存在が大きな騒ぎになったが。

 

支援者中枢からもいさなはいなくなり、各地にもいさなという存在は姿を見せなくなった。

 

それで頓挫していた攻勢が再開できるかというと、そう簡単な話ではない。

 

今回、少なくともいさなは友好的に振る舞っていたが。

 

あれが全て本当かは分からない。

 

いくつもやらなければならないことがある。

 

特に最大の課題はワープ阻害装置だ。

 

最大級の防御で固めていた支援者中枢に、あっさりいさなの接近を許したのである。

 

これは、このテクノロジーを解析されたら、侵略者が同じ事をしてくる事を意味している。

 

いさなの研究に、かなりのリソースを割かなければならない。

 

勿論今アンドロメダに手を出すのは自殺行為だ。

 

今回いさなが手を引いてくれたのは、侵略者とは違う存在だと言うことを認めてくれたから。

 

もしも同じ存在だと認識されたら。

 

下手をすると、天の川銀河が消し飛ばされるかも知れなかった。

 

それくらいやりかねない相手だ。

 

理性的な高次元生命体といっても。

 

相手が怒ったら、どうなるかしれた物ではない。

 

様々な種族が考えている神とほぼ同等の存在が表れたのである。

 

それを思うと、混乱もまた、仕方がない話であるのかも知れなかった。

 

ミランは休憩している間に、状況を聞く。

 

まず各地に斥候が出ていて。

 

前線後方にいる侵略者の戦力を、調査しているようだ。

 

各地で小規模の艦隊が制圧活動を続けているのは同じだが。敵の残党をまず徹底的に調査。

 

これを叩くことにより。

 

制圧行動を加速させる。

 

また、中枢にいた第∞艦隊のうち、四割ほどが今回の制圧行動に参加する。これは急いで再編成を済ませ、戦える状態にして送り出すと言うことだ。

 

確か二千万隻いるとミランは聞かされているので。

 

800万隻くらいが戦線に加わると言うことだ。

 

いさなを前にして何も出来なかった。

 

それもあって、色々とパニックに陥っているのだろう。

 

何しろ神だ。

 

見て正気でいられるとも思えない。

 

ミランは間近で見たが、実際問題超存在であるのは一瞬で理解できた。今でも冷や汗が出る。

 

相手が興味をずっと持っていて。

 

それで集まってきていたというのが分かったが。

 

だからこそ、今も冷や汗が出る。

 

何度か頭を振る。

 

本当に相手の機嫌次第では、塵も残さず消し飛ばされていたのだ。

 

それを思うと、愉快な気分などではとてもいられなかった。

 

ハコトが呼んでいるので、身を起こす。

 

しばらく顔をこすってから、部屋を出た。

 

「お疲れの所すみません。 第108小艦隊の方針が決まったようです」

 

「聞かせてください」

 

「これからいくつかの、敵の拠点に仕掛けます。 星系の制圧作業は、これから来る第∞艦隊の分艦隊が主軸になって行っていくそうです。 今出ている各小艦隊は、指定があった星系に出向いて、それらにいる敵艦隊を粉砕する事になります」

 

「余程焦っているようですね……」

 

侵略者がいさなを生物兵器として利用しようとした。

 

今回、あのいさなの口ぶりだと、侵略者にかなりのダメージが入った可能性が高い。特にあの指導者辺りに仕置きがされたかも知れない。

 

ただ。それで敵の動きが鈍ったとしても。

 

話に聞く限り、あの侵略者の指導者が、それで反省したりするはずがない。

 

恐らくいさなが使っていたテクノロジーの解析をしようとするはずだ。

 

それは支援者と同じ。

 

特に既存のワープ阻害装置を完全に無視して移動するテクノロジーは、もしも完成したらゲームチェンジャーになる。

 

だからこそ、いさなですら防ぐワープ阻害装置をどうにか開発しないとまずい。

 

そして、敵側に余裕を作る訳にはいかない。

 

遅れていた制圧作業を、可能な限り急いで。

 

敵に圧をかけなければならなかった。

 

ただ、人材は大丈夫なのだろうか。

 

クローンやロボット兵士を大量投入して、それで人員をまかなっているところが、どうしてもある。

 

それについてはミランも当事者だ。

 

ミランのクローンは、何人も育てられているそうだから。

 

ミランが死んだ場合は、即席でクローンを作り意識を転写するので、そこから頑張ってほしい。

 

そういう事も直に言われている。

 

迷惑な話だった。

 

まともに死ぬことすら、ミランは許されないらしいのだから。

 

ともかく、整備を終えると、第108小艦隊は動き出す。

 

ミザラット准将が、大まかな戦場の説明をしてくれる。

 

これから工作班が、まずは通常通りにワープ阻害装置を配置する。これが少なくとも、侵略者に。

 

現状の、だが。ともかく侵略者のワープを阻害して、いきなり後方に出現することを防げることは分かっている。

 

問題はその先で、どうやっていさなの使った未知のワープを無力化するか。

 

それが課題だ。

 

その課題の前に、まず現実を片付ける。

 

今侵略者より支援者の方が、技術の発展が早い。

 

だが、それもいさなを先に兵器として活用しようとした侵略者である。今回は、研究レースには侵略者に分がある。

 

パデラクスも恐らく、最優先課題をそれに設定させられるだろう。

 

まあ、こればかりはミランは関係なさそうだし。

 

あいつにいきなり連絡してこられるのを防げるだけでも、だいぶ気分的には楽だと言えるが。

 

ミランがガルバーリアムのドッグに顔を見せると、戦士達は皆ミランを同情するような目で見ていた。

 

手を叩いたのはアネカだ。

 

「これから戦闘やで。 ミラン大佐が頑張ってくれたおかげでみんな生きとる。 その命、無駄にするつもりか?」

 

「確かにその通りだ」

 

「あんな化け物、俺だったらちびって近づけなかった」

 

それはミランだって同じだし。

 

絶対に近づきたくなどなかったのだが。

 

まあ、それはもういい。

 

ともかく、今は次の戦闘に備えてほしい。

 

ミザラット准将が、まもなく星系に着くと通信を入れてくる。それで、皆戦士の顔に戻る。

 

いさなの機嫌を伺いながらの戦闘をしなくていい。

 

それだけで枷が外れたかのようだ。

 

ワープに入り、そして終える。

 

移動した先は、二連星の恒星がある、β34-881星系だ。

 

この二連星β34-881は、恒星1と2で呼ばれているのだが。1の方が十五倍も大きくて、2は殆ど衛星のような形で振り回されている。

 

惑星は三つあるが、どれもガス惑星だ。

 

星系は比較的安定していて、小型の宇宙要塞がある。勿論侵略者のものである。

 

本来は此処に防衛線を構築して防ぐつもりだったのかも知れないが、防衛の艦隊は大半が撤退。

 

支援者が戦線構築をする過程で、それを防ぐために出撃して、粉砕されたのだ。

 

今残っているのは、3800隻ほど。

 

ただ宇宙要塞が千隻ぶんくらいの活躍はする。敵の戦力は実質5000隻程度とみるべきだろう。

 

「敵艦隊捕捉!」

 

「現在第224小艦隊がこちらに向かっている。 合流して叩く。 それまでは、手出しをしないように」

 

「了解!」

 

調べてみる。

 

第224小艦隊は、第∞艦隊のうち、戦闘が出来そうな艦隊をかき集めて作り上げた即席の部隊だ。

 

色々あって前線に送り込まれてきた。

 

新兵ばかり乗せられているようだが、それでも規模は第108艦隊とほぼ同数の一万八千隻。

 

合流すれば、敵の七倍前後の戦力となる。小艦隊は25000隻くらいまでの規模が普通だから、これはちょっと小艦隊を逸脱した規模にもなる。

 

総司令部としても、かなり焦っているのだろう。

 

ちなみに司令官はいない。

 

大佐が三人いて、それらの大佐で指揮を執り。

 

現地にてミザラット准将が指揮を引き継ぐそうだ。

 

ただそうなると、准将としては異例の規模の艦隊の指揮を執ることになるのだが。

 

まあ、今回は状況が状況なのだ。

 

そうも言っていられないのだろう。

 

敵艦隊は動かない。

 

ただ、それはこちらに仕掛けてきていないというだけで。活発に斥候を出しては来ているようだ。

 

味方も無人ドローンを出して、要塞の様子を確認する。

 

「直径12㎞の岩石小惑星を改装したものです。 ガス惑星の衛星だったものだと思われます」

 

「それなりの規模であるな」

 

「主砲確認。 かなりの戦闘力を備えています。 真正面から当たると、大きな被害を覚悟しなければならないでしょう」

 

ヴァッハー少佐が、いくつかの分析を挙げてくる。

 

その上で、作戦案を出す。

 

「盾艦も旗艦級戦艦も少ない状況で、あの要塞を攻略するのは、工夫が必要かと私は思います。 要塞主砲は可変型で、要塞自体もスラスターで方向を変える事が可能のため、死角はありません」

 

「うむ、それでどうするべきだと言いたい」

 

「一番いいのは、マスドライバで衛星をぶつけてしまうことです」

 

ガス惑星には他にも同規模の衛星がある。

 

それらを艦隊にいる工作艦がマスドライバとなって撃ち込んでしまえば、凶悪な質量兵器となって一瞬で要塞を粉砕できるだろう。

 

敵艦隊が大きな規模を持っている場合、旗艦級戦艦などで反撃してきて、粉砕されてしまう場合もあるのだが。

 

見たところ、戦艦を旗艦とした、ごく小規模な艦隊だ。

 

戦艦も合計四隻だけ。

 

主力も巡洋艦で、空母は存在していない。殆どの艦艇はフリゲートとコルベットだ。

 

要塞を上手に利用した機動戦術でこちらと戦うつもりなのだろうなと、ミランは思ったが。

 

作戦のやりとりについては、聞くだけにしておく。

 

意見を求められないなら、喋る気はない。

 

「ただ、敵の編成は高速艦艇が多いこともあり、悠長にやっていると逃げられる可能性があります。 それに要塞が健在な時間が長いほど、味方の被害も増えるかと思います」

 

「火力を集中して破壊するにしても限界があるな」

 

「そこで、要塞の火力を封じるべきだと思います」

 

嫌な予感がしてきたが。

 

とにかく黙って聞く。

 

ヴァッハー少佐によると、あの要塞に据え付けられている反物質炉は露出形といわれるものだそうだ。

 

反物質炉はその凄まじい出力に比例して、途方もない熱を出す。

 

それもあって、船体の外に露出するように配置して、放熱を楽にすることが多い。動力炉が被弾しやすい理由でもある。

 

それくらいしないと、とんでもない熱がこもってしまうのである。

 

特に要塞の場合は、低コストの要塞であるとなおさらその傾向が強く。

 

要塞の深部に反物質炉を配置しているような要塞は、かなりの高級品となってくるそうである。

 

少なくとも、今見えている要塞は違う。

 

「試算したところ、現在配備されている盾艦を用いれば、要塞の主砲を三度まで防ぎきることが出来ます」

 

「それでどうすればいい」

 

「はい。 全艦隊で要塞に突貫。 その間に、ミラン大佐の特務と工作班が要塞に突入。 露出している反物質炉を破壊します」

 

それで要塞を黙らせれば。

 

味方の勝ちだ。

 

反物質炉は、爆破しただけでは大した破壊は起こらない。核分裂炉などはかなり危険なのだと聞くが。

 

核融合炉などと同じで、別に反物質をたくさん蓄えてあるわけでもないのだ。

 

反物質炉を制御している制御室は、要塞の奥にある可能性が高いそうだ。

 

そして今回の状況。

 

敵は要塞を自爆させてくる可能性もある。

 

つまり反物質炉を自爆させる前に、こっちで危険度が低いうちに破壊してしまう。そういう策というわけだ。

 

細かい作戦が説明される。

 

そして、その話をしている間に、第224小艦隊が出現。見た瞬間に分かるほど練度が低い。

 

まあこればかりは、司令官さえいない急造の艦隊だ。

 

仕方がないだろう。

 

すぐに合流して、作戦の内容について話す。

 

新兵ばかりといえども、今回は前線に出て貰わなければならない。

 

要塞が相手だ。

 

手数が必要なのである。

 

一つ嬉しい誤算があって。

 

多少旧式ではあるが、盾艦を多数第224小艦隊が持ってきてくれていた。使いきってしまって構わないだろう。盾艦は無人の兵器なのだから。

 

ミランとしては異存は無い。

 

作戦としては妥当だし。

 

被害を減らすにはさっさと勝負を決めるのが一番だ。

 

それに、色々あって皆も浮き足立っている。

 

派手な作戦の方が良い。

 

何より最大の問題なのは、第224艦隊が文字通りの烏合の衆ということで。高度な作戦なんて立ててもうまくいきっこない。

 

ならば、わかりやすいくらい単純な作戦でいくのが妥当。

 

ミランもそれは分かっていた。

 

ガルバーリアムのドッグで、ミランが皆に割り振りを決める。

 

ウォーリア隊はミランを直に支援。

 

戦闘機隊は要塞の防空設備を可能な限り引きつける。

 

攻撃機隊は、防空設備と地上兵器を破壊。

 

ガルバーリアムは最新鋭戦艦の火力を生かして、それらを総合的に支援。それだけだ。

 

他にも要塞攻略には、かなりの数のウォーリアと戦闘機が出る。こちらの戦力は敵の七倍。

 

練度が低いとしても。

 

数によって、一瞬で勝負をつけてしまう。

 

それで被害を減らし。

 

新兵達には初陣を経験して貰う。そのうちどれだけが生き残れるかは、今は考えないことにする。

 

作戦決定。

 

後は準備を整え。

 

それが終わり次第、戦闘開始だ。

 

 

 

敵要塞が傲然と存在している。

 

その後方や左右に、敵艦隊は展開。それを、大きく包むようにして、第108小艦隊が動き出す。

 

そのうち主力部隊である旗艦をはじめとする戦艦は、敵要塞正面に。この艦隊は、要塞の位相変換シールドを黙らせる仕事もある。

 

距離が近づいていく。

 

やがて、間合いに入った瞬間、敵要塞が主砲を発射。

 

高出力の硬X線ビーム砲だ。凄まじい衝撃に、前衛に展開していた盾艦が多数破壊された。

 

同時に味方艦隊が一斉に最大戦速で前進。

 

火力を投射しながら、敵艦隊と要塞に迫る。

 

敵要塞から、膨大な戦闘機隊が出撃してくる。味方戦闘機隊も次々に出る。激しい殴り合いが始まる。

 

敵艦隊は逃げようとするが、一気に乱戦に持ち込まれて、それも出来ない。

 

普通だったら、味方を巻き込む恐れを懸念して、こういう場合は主砲を撃てないものだが。

 

そもそも侵略者は、侵略者の指導者の私物だ。

 

人権なんて概念は存在していない。

 

それもあって、やはり要塞は、主砲の第二射を発射。

 

多数の戦闘機を平然と巻き込みながら、それは盾艦を多数粉砕していた。

 

だが、その爆発をかいくぐり、第108小艦隊主力が、要塞に火力を徹底的に投射していく。

 

位相変換シールドが飽和していく。

 

その隙に、ガルバーリアムと、複数の巡洋艦が快速を生かして急ぐ。

 

亜光速ミサイル多数が直撃したことが決定打になり、要塞が位相変換シールドを喪失。だが、それも短時間で復旧してくるはずだ。

 

要塞の表面ギリギリまで接近するガルバーリアムと巡洋艦隊。即座に戦闘機隊が出る。対空砲火が凄まじい出迎えをしてくれる。

 

多数の戦闘機が撃墜されるが。

 

その合間を縫って出撃した攻撃機隊が、対空砲を次々に血祭りに上げる。各艦の掃射砲も、猛攻撃を加え続ける。

 

反物質炉が露出していると言っても、完全に要塞表面にある訳ではない。

 

露出しているのは反物質炉の熱放出口であり、実際に反物質炉があるのは地下二層である。

 

合計六基が存在しているが。

 

まずは、敵要塞の表面を食い破る必要がある。

 

大まかな位置は分かっている。激しい制空権争いの中、ガルバーリアムが各艦とリンク。そして、一斉に主砲を放っていた。

 

位相変換シールドの内側での攻撃だ。

 

要塞の表面が派手に吹き飛び、大穴が開く。

 

要塞内部にも、戦艦と同じように位相変換シールドでダメコンをするための区画が作られているが。

 

それも計算しての攻撃だ。

 

よし、大穴が開いた。

 

ここからがウォーリア隊の出番だ。

 

ミランが真っ先にウォーリア四型で出る。

 

同行する工作部隊。

 

反物質炉を破壊できればよし。黙らせる事が出来ればもっとよし。

 

無傷でこの要塞を鹵獲できれば(完全に無傷というわけでもないのだが)、今後戦力として用いることが出来る。

 

中身をある程度入れ替えるだけで、今度はこの星系を支援者の側として守るための拠点と出来るだろう。

 

食い破られた要塞の穴に突入。

 

多数のワーカーとイーターが蠢いているが、この程度の数だったら、どうにでもなる。問題は工作部隊の護衛だ。ウォーリア隊が展開。ミランも、目立つイーターを片っ端から落とす。

 

多数の無人ドローンが穴に飛び込んできて、それらが肉盾になるが、守るのでは駄目だ。まだ反物質炉は健在で、放っておけば第三射、第四射の主砲を放ってくる。そうなれば、盾艦がもたなくなる。

 

飛びかかってくるワーカーを長槍で斬り伏せると、残骸を蹴飛ばす。

 

残骸は人工重力に引かれて、イーターに飛んでいき。射撃しようとしていたイーターもろとも爆発した。

 

床に降りると、空に対応しようとしているイーターを、片っ端からパルスレーザーでなぎ払っていく。

 

次々にウォーリア隊が降り立ってくる。だが、その過程で落とされる味方だって少なくない。

 

これは戦闘だ。

 

犠牲が出るのは避けられない。

 

味方の数の方が、それでも多い。ワーカーを次々に倒し、道を開いていく。侵略者がわんさか現れる。

 

やはりか。

 

自走爆弾として突っ込んでくる侵略者は、つなぎを着込んだ同じ姿だ。意思もなく、ただ自爆するだけに突撃してくる。

 

なぎ払うしかない。

 

工作班の乗っている中型飛行機が、指示を出してくる。

 

アネカも加わっているが、今回は第224小艦隊と一緒に来た技術者チームが主軸だ。新兵だらけの艦隊だが、技術者については本物がそろっているという。

 

「あの方角です! 反物質炉が密集している設計になっています!」

 

「了解。 道を確保します」

 

無人ドローンが敵のスウォームとやり合っている。性能で多少スウォームに劣るとしても、数が違う。

 

宇宙での戦闘でも、味方が概ね有利で、敵を包囲して潰しているようだが。

 

問題はもたついていると、要塞主砲が猛威を振るい出すことだ。

 

ミランがいくぞと声を掛けて、ウォーリア隊が続く。

 

前から来たのはブレイカーだ。こんな狭いところで。威圧的に突っ込んでくるブレイカーだが、ミランはパルスレーザーを連射。そして、引きつけきったところで、紙一重で回避。

 

そのまま、脇から長槍を突き刺し、抉りながら押し込んでいた。

 

ブレイカーは紙一重の回避に対応できなかった。

 

ウォーリア四型だから出来る事だ。

 

ただ、この閉所での機動だ。

 

流石にミランも冷や汗が出たが。

 

そのまま戦闘続行。通路の奥へ。わらわらと侵略者が出てくるが、酸素がどばどば外に漏れている。

 

一定量の酸素がなければ死ぬ侵略者は、その場で倒れる者もいるようだ。倒れた侵略者を踏み越えて、どんどん来る。近づければ自爆される。意思なき人形の群れ。哀れな光景だ。だが、手心を加えていれば、今度はこちらが殺されるのだ。

 

迎撃用の設備も迎え撃ってくる。味方にも被害が出る。

 

破壊されなかった味方は下がらせる。そのままミランは、最前線で暴れ続ける。程なく、だ。

 

隔壁を出力を絞ったパルスレーザーで粉砕。

 

そして奥に抜けると、あった。

 

反物質炉だ。

 

即座に工作班が作業に掛かる。

 

アネカが飛び出して、PCを反物質炉に接続。その間、ウォーリア隊が展開して、周囲から迫る侵略者やワーカーを防ぐ。

 

粉砕したワーカーの破片が工作班の飛行機を直撃。

 

それで沈むほど柔ではないが、それでも工作班のメンバーが悲鳴を上げていた。

 

「護衛しっかりしてください!」

 

「此処は戦場です。 取りこぼしはどうしても出ます。 幸いデブリ程度でその飛行機は壊れません。 今は作業に集中を!」

 

ミランが一喝すると。

 

技術者達は閉口して、作業に戻る。

 

しかしわんさか来るな。

 

要塞中の戦力をかき集めているかのようだ。そして、第三射の主砲が発射されたようだ。盾艦が案の定、もうもたないようである。

 

「こちらミザラット准将! もうこちらはもたぬ! 急げ!」

 

「対応中です」

 

「うむ……ミラン大佐がそういうのであれば!」

 

相変わらず大仰なしゃべり方だ。

 

ミランは突貫してきたワーカーを真正面から斬り伏せ、死骸を蹴り飛ばして侵略者をなぎ倒す。

 

爆発が連鎖する中、味方も敵も増援が次々に来る。

 

アネカが通信を入れてきた。

 

「よし、一番基、二番基黙らせたで。 三番基ももうすぐや」

 

「頼みます」

 

「アネカちゃんに任しとき! 此処できばらんと、ハコトを悲しませるでな! お姉ちゃんのかっこいいところ見せたるん……」

 

爆発の破片が、アネカを直撃。

 

体を抉っていた。

 

アネカ。

 

思わず叫ぶが、大丈夫と帰ってくる。

 

脇腹を思い切り抉られたようだが、ロボットだ。機能は多少低下するが、破壊にはつながらない。

 

くそ、それにしても切りが無い。更にウォーリア隊が突入してくるが、新兵の中には倒しても倒しても来る侵略者を見て、吐く者もいるようだ。

 

確かにどれだけ倒しても表情一つ動かさずに襲ってくる侵略者は、まさに恐怖の権化と言えるだろう。

 

これを相手に逃げるなというのは。

 

酷な話だとミランも思う。

 

三つ目の反物質炉が黙ったが、出力が半減したところで主砲が放たれたようだ。四射目。

 

出力が落ちているとは言え、要塞主砲だ。

 

ついに盾艦があらかた貫通され、旗艦にもダメージが入ったようだ。

 

アラームが向こうで鳴っている。

 

「ミザラット准将!」

 

「拙者は無事だ! そちらは!」

 

「四基め黙らせたで! 後二基!」

 

「だそうです!」

 

斜め上から襲いかかってきたウォーリアを、逆に突貫して斬り伏せる。

 

エネルギーの残量はもう気にしなくてもいいな。

 

ただ狭い中での乱戦だ。

 

どうしてもダメージは受ける。

 

装甲のダメージを示すアラートが全周モニタのあちこちに出ている。苦しいのはミランだけではなく。敵要塞も炉のパワーが落ちると同時に、人工重力もどんどん低下しているようで、自爆前に倒れた侵略者の死骸やワーカーの残骸が辺りに浮き上がっている。

 

ミランはパルスレーザーで、邪魔なデブリを吹き飛ばしていくが。

 

その隙を縫ったように、また一機敵ウォーリアが来る。

 

動きが妙にいいな。

 

だが、引きつけながら、一気に両断。

 

爆発四散。

 

また破片が多数工作班の飛行機に当たる。またアネカにも。アネカもまた体を抉られたが、気にしなくて良いと叫んで、作業を続ける。

 

ミランは大きく深呼吸すると、更に敵を排除し続ける。エネルギーの残量が切れて下がる味方機。増援に来たが、既に損傷している味方機。

 

想像以上に被害が大きいが。

 

要塞主砲を無差別にぶっ放されるより遙かにマシだ。

 

「敵艦隊、残存1000隻を切りました!」

 

「各艦、要塞に攻撃を集中! 敵のリソースを削り取れ!」

 

「了解!」

 

宇宙艦隊も頑張っている。

 

ミランもそれに倣って力を振り絞る。

 

激しい戦闘の中、イーターの射撃がウォーリア四型の右腕を抉る。だが、その程度なら。パルスレーザーで即座に撃ち抜く。

 

着地。

 

まだいける。そう言いながら、迫ってくるワーカーを斬り伏せる。右に左に。

 

既に侵略者は殆ど見ない。人工重力が駄目になってきたから、恐らく対応できないのだろう。

 

磁力靴などの装備は、「消耗品」であり「私物」である存在には支給などされないのだ。

 

「五基目沈黙! 後一基や!」

 

「アネカ!」

 

叫ぶと、ミランは長槍を投擲。

 

真上から襲いかかろうとしていたスウォームを、長槍が貫通していた。そのまま壁に突き刺す。

 

此処では新しい武器も何もない。

 

パルスレーザーでやるしかない。

 

アネカはとにかく手を動かして、炉の無力化を急いでくれている。最悪の場合は爆破するしかない。

 

あと少し。

 

「要塞が要塞砲第五射を放とうとしている!」

 

「踏ん張れ! 工作班がやってくれている!」

 

宇宙軍の悲鳴混じりの声が聞こえる。

 

不意に、敵ウォーリアが接近戦を挑んでくる。長槍はもうない。振り下ろされる大斧。だが。

 

むしろ逆に間合いを詰めると、相手の腕を取り、ねじり切る。

 

機体の出力が違うのだ。

 

その大斧は少し重いが、使わせて貰う。腕をねじり切って放り投げた敵ウォーリアを空中でパルスレーザーで撃ち抜き爆破すると。

 

大斧を振るって、飛びかかってきたワーカーを粉砕。

 

だが、かなり重い。

 

所詮量産品の武器か。

 

それに使い慣れていないと言うこともある。

 

まだ来る。だが、ワーカーもイーターも露骨に動きが鈍り始めている。アネカが最後と叫んで、タンとキーを押す。

 

それで、反物質炉が黙ったようだが。

 

しかし、まだ今まで蓄積されていたエネルギーがある。

 

主砲はもう撃てないようだが、敵はまだ動く。

 

「アネカ、早く飛行機に」

 

「ごめんな、ちょっと人工体液流しすぎたようや。 もううごけへん……」

 

そのままPCを取り落として、へたり込むアネカ。

 

まずいな。

 

飛行機の中でふるえている技術者達に、アネカを回収しに出る度胸なんてないだろう。しかも相手はロボットだ。命を張る理由もない。

 

分かってはいるが、ミランはまだふらつきながら迫ってくるワーカーを砕きながら叫ぶ。

 

「アネカを回収してください!」

 

「し、しかしロボットのために命を張るのは……」

 

「いや、やる!」

 

飛行機を飛び出したのは、惑星アラタで良く見た種族だ。ミランがいた基地で、何度もみた六種族の一角。基地司令官をしていたり、前線にウォーリアで出てもくれた。

 

触手を伸ばすと、アネカをつかんで、さっと引っ込む。

 

応急手当もすると叫んでいた。

 

「ロボットなんかのためにお前……」

 

「体張ってハッキングの最前線に出てくれたんだぞ! こんなに手傷もうけて! それにロボットにも部分的に人権は認められているんだ!」

 

「そ、それは……」

 

「応急処置は俺がする! 後処理は頼む!」

 

それだけやってくれれば十分だ。

 

敵も殆ど来なくなった。それに対して、味方はどんどん来る。敵の掃討を進めてくれている。

 

ハーネイ准尉から連絡が来た。

 

「こちらハーネイ! 要塞の対空砲、沈黙しました!」

 

「分かりました」

 

「よし、工作班展開。 恐らくあるだろう自爆装置を発見、解体せよ。 この規模の要塞だと、自爆させるのは動力無しでは無理だ。 焦らずやるのだぞ!」

 

ミザラット准将が指示。

 

既に敵の攻撃も散発的。

 

程なく医療班が来た。そして、味方の負傷者の回収を開始する。

 

ミランは突き刺さったままの長槍を回収。そして、これは使いにくいなと思って、大斧を一瞥した。

 

ただ、重量武器を使いこなすのも、今後は必要かも知れない。

 

そう考えて、持ち帰ることにだけはした。

 

撤収開始。

 

アネカはスリープモードと自己診断モードに入って、完全に黙っている。ただ、完全破壊されたわけでない。

 

ロボットだから、恐らくなんとかなるだろう。

 

今の時代は、生身でも生きてさえいればだいたいなんとかなるのだ。

 

それを考えれば、きっとどうにか出来る。

 

だが、それでも。

 

今回は課題が多かった。

 

ミランはそう感じた。







この辺りから、アネカが露骨な無理をするようになります。

人間性がAIに宿った結果、大事な妹に良いところを見せたいと考え始めたせいですね……



本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。

  • 詳細なマシンデザイン
  • 圧倒的な武力による蹂躙
  • 緻密な人間ドラマ
  • 種族や文明の描写
  • 近接した力量のライバルとの死闘
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