王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶   作:dwwyakata@2024

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死闘の末東大陸をついに奪還した支援者。ミランも活躍し、侵略者を大陸からたたき出すことに成功しました。

しかし侵略者も黙っておらず、即座に反攻作戦を開始します。





3、侵略者の反撃

支援者宇宙軍第十三艦隊は、連日大きな戦闘を続けていた。

 

侵略者の艦隊は更に増強され、既に300000隻を超えている。第十三艦隊は増援を求めているが、それでも数が足りない。

 

現在、後方で再編成された第十九艦隊の一部、120000隻がこちらに向かっていると報告があるが。

 

各地でかき集めた部隊が逐次で追加されても450000隻。

 

元々侵略者の艦隊は大型艦艇が多く、同数では相手の方が有利だ。親衛軍のような無体な相手もいる。

 

幸いというか、どういうことかは分からないが。

 

個人の戦士や、或いは砲艦などの特化型艦艇の操縦者として親衛軍は確認されているのだが。

 

艦隊司令官としては、親衛軍はいない。

 

これについては理由は分からないが。

 

これもあって、少なくとも艦隊運用などで相手に後れを取ることはない。

 

ただ、第十三艦隊の司令官であるマーザン中将としては、出来れば1000000隻の動員がほしいと考えていた。

 

既に支配領域、物量においても、支援者が侵略者を上回り。

 

各地で土地の奪回を続けている。

 

だが一気にとはいかず。

 

各地で大きな被害を出しながら、戦闘を継続している状態だ。

 

会話が通じる相手なら、講和でもしたいところなのだが。

 

侵略者はこちらのことを生命体として認めてさえいない。ただの食肉としか考えていないのだ。

 

これは何度かアクセスして、結果として明らかになっている。

 

故にこれは。

 

戦争というよりも、殲滅合戦が近いのかもしれない。

 

ともかく、今日も激しい戦いになる。

 

損耗は相手の方が多いはずだが、次々に戦力を投入してくるので、神経が削られる。各地で攻勢に出てくる部隊を追い返しつつ、こちらも火力を集中して、敵艦隊に打撃を効率よく与えていく。

 

星系全域で戦闘が続いているが。

 

全体ではやや有利、くらいの状況だ。

 

とてもではないが、惑星アラタを守るには足りない。

 

敵も損害を一切恐れない。

 

そのため、支援者の軍勢の中には、恐怖からノイローゼを覚えてしまう者もいる。

 

精神的な治療については種族ごとに違い。

 

主要種族だけで六つある支援者は。

 

そういう観点からも苦労を続けていた。

 

「ズヴァールラ提督からの報告です」

 

「聞かせてくれ」

 

「我勝利せり。 ただし損害著しく大。 即座の攻勢は厳しい。 増援を求む、だそうです」

 

「分かっている。 編成し次第向かわせる」

 

宇宙軍の艦隊は現在この星系だけで450000隻が展開しているが、実は各艦の人員はそれほど多くない。

 

兵士の多くは生体部品を用いているロボットや、純機械部品のロボット達であり。思ったほど兵士は多くないのだ。

 

クローンで増やすにしても兵士には限界がある。

 

各艦は可能な限りオートメーション化を進めており、盾艦などは完全に無人化を実現しているし。

 

小型の駆逐艦なども、宇宙戦闘をしている時は、一隻に十名しかいないようなケースすらある。

 

フリゲートやコルベットに至っては、一人だけしか乗っていない事もある。これは砲艦もしかり。

 

ただ、戦艦や航空母艦は多数の人員が乗り込んでいて。

 

特に全長16㎞に達する大型戦艦は、内部に100000名の人員が定員として最低でも乗ることが義務づけられている。

 

マーザン中将が乗っているこの旗艦も、現在122111名の人員が乗っており。

 

戦闘機や攻撃機、ウォーリアなども中に人が必ず乗る。

 

色々いびつで。

 

手探りの部分が多いのだ。

 

「敵、第四惑星基地から出撃! かなりの数です!」

 

「16分艦隊に迎撃させろ。 足りないようなら後方から22分艦隊を支援に向かわせろ」

 

「親衛軍捕捉!」

 

「ちっ……」

 

ここ数日、惑星アラタでの作戦行動を散々邪魔してくれた砲艦だ。

 

親衛軍が乗っている砲艦は、とんでもないアウトレンジからの攻撃をしている上に。他の艦艇なども支援に回り被害も惜しまないので、損害が増える一方だ。

 

各部隊からは、どうにかしてほしいと泣き言まで飛んできている。

 

どうにかしたいのはマーザンも同じだ。だが、とにかく丁寧に対策していくしかない。

 

幸い、敵の間合いは理解した。

 

「予定通り盾艦の部隊を展開。 アラタにあの親衛軍砲艦を近づけさせるな!」

 

「了解!」

 

「後はアラタの方だな。 ズヴァールラ提督、頼むぞ……」

 

星系辺縁では、次々に来る敵相手に、激しい消耗戦が続いている。

 

何人かいる分艦隊司令も、消耗しきっている。

 

それでも、やらなければならない。

 

支援者は皆、侵略者に母性を蹂躙された経験を持っている。

 

だからこそ。

 

これ以上同じ事をやらせない。

 

その意識で、皆考えを一致させている。

 

それぞれに性質が違うし、考え方だって違う。だが、侵略者を敵にするという点で。皆は団結することが出来ている。

 

それだけは尊いことだと、マーザン中将は考えていた。

 

 

 

北基地に戻ってくると、ミランは丸まって休む。

 

この大陸から侵略者を一掃した。

 

そういう話だが、実感はない。

 

すぐに次の作戦が開始されて。

 

いくつかの島にある基地を攻略して、次の作戦に備える。そういう話もあった。

 

支援者達が、酒盛りをしている。

 

酒の存在は知っているが。

 

まだ若いうちから飲むと、いくつかの内臓にダメージが入る。それもあって、まだ未成年の新たの民には絶対に酒を勧めないように。

 

そう医師から通達が出ている。

 

支援者達も、どこか焼けばちだ。

 

とても勝ったとは言えない大損害。

 

それもあって、酒でも飲まないとやっていられないのだろう。

 

それについては分かるので、黙っていることにする。

 

数日休憩を取って、それからウォーリア二型に乗って少しずつまた体を慣らす。大佐から、連絡が来る。

 

「ミラン少尉。 良くない情報がある」

 

「いい情報はないんですか」

 

「気持ちは分かるが、急ぎだ。 侵略者が動き出した。 シーキャリア500隻以上が確認されている。 背中には、天文学的なワーカーを乗せているそうだ。 イーターも鈴なりらしい」

 

「……分かりました」

 

こちらの大陸に向けて。

 

敵が兵力をかき集めてきた、ということだ。

 

シーキャリアは、昔で言うと空母というらしい。

 

海上に平べったい板を浮かべて、それに多数のワーカーやイーター、その他様々な兵器を乗せて、海を驀進してくる。

 

シーキャリアは基地の部品も搭載しているらしい。

 

基地は確か自己増殖しないとかいう話だ。

 

だとすると。

 

「どうやら侵略者の「指導者」が、直にこの星での作戦指揮を執っているようだ。 厳しい局面が来る」

 

「自分の感覚で使える使えないで命を軽率に奪う輩でしたね」

 

「そうだ。 支援者の皆が嫌っている奴だ。 だが奴がそもそも侵略者の一個体なのか、それとも複数個体が代替わりしているのか、それすらもよく分かっていない。 既に支援者はこの星の基準で1000期近く奴と抗戦していて、圧倒的不利だった初期から互角以上にまで持ち返した。 だが、それでも指導者の正体は分かっていない。 分かっているのは、極めて傲慢な言動を繰り返していて、悪い意味で一貫しているということくらいだな」

 

反吐が出ると大佐は言うが。

 

ミランとしては、なんともいえない。

 

ともかくまた基地を作られれば最悪だ。

 

ちなみに既にズヴァールラ提督が、迎撃作戦を開始しているらしい。

 

各地に戻ったウォーリア部隊は、すぐに再招集。

 

更には、流石にこの事態だ。

 

宇宙から増援も送ってくれるらしい。

 

ただそもそも陸上部隊を捻出するのはとても大変だという話で。宇宙で戦っている艦艇も、基本的に陸上で戦うのは苦手であるらしい。

 

迎えに来た駆逐艦は、まだ修理が完全ではないように見えた。

 

前の戦闘に参加した駆逐艦と同じかどうかも分からないが。

 

ともかく、それにトラクタービームで回収される。酒盛りをしていた支援者も、一緒に向かう。

 

「酒を抜け! 奴らはかなりの広範囲から、一斉に上陸作戦をしてくるつもりのようだ! 現在先遣隊が砲撃を続けているが、相手にはバリア装備のシーキャリアが多数いる! 簡単にはいかんぞ!」

 

「確かシーキャリアが潰されても、ワーカーは海中で動くんだったっけか」

 

「いや、ワーカーは海中に落ちると、機能停止するらしい。 ただ海中だ。 回収したり破壊したりするのは骨だが……」

 

支援者達が話をしている。

 

ミランが姿を見せると、彼らが敬礼してきた。

 

前回、親衛軍ウォーリアを何度も撃退したと言うことで、英雄扱いされているらしい。英雄を作ると士気が上がる。

 

煩わしいだろうが。

 

我慢してほしい。

 

そうミランは言われていた。

 

「新たの民の中でもまだ未成年らしい」

 

「凄いな。 天才って奴か」

 

「親衛軍ウォーリアと10秒戦って何度も生き残ってるんだ。 天才だろうよ」

 

「頼りになるな……」

 

好意的な声が聞こえるのはありがたい話だ。

 

ともかく、大陸西の海岸線まで急ぐ。

 

其処には20隻を超える駆逐艦。更には盾艦八隻。それに地上には、大型の砲が多数並べられていた。

 

ウォーリア部隊も展開する。

 

最前衛はドローンによる迎撃部隊だ。それらは最低限の火器を積んでいるが、主目的はワーカーとともに自爆すること。

 

この辺りは幸いというか不幸というか、生物なんて残っていない。

 

この辺りにあった基地から出てきたワーカーが、根こそぎ狩り尽くしていったからである。

 

ウォーリアは支援者の乗るものが800機ほど。

 

これに新たの民のウォーリアが100機加わる。

 

各地の基地から繰り出された増援だ。

 

見たところ、知っている顔もちらほらあった。

 

ズヴァールラ提督が言う。

 

「他の大陸での偵察で、他大陸の基地は守りを固めていると報告があった。 簡単には攻略できないと言うことだ。 今回の大規模攻撃に対して、敵は準備を整え、横腹をつくつもりでこの部隊を用意していたらしい。 だがこの大陸の基地と戦力が消滅したことで、時間差各個撃破の好機が生まれた。 記録的な数のワーカーが来るが、決して勝てない相手ではない! 各自奮闘を期待する!」

 

歓声が上がるが。

 

不安だ。

 

こんなに早く基地を作りに来るのだ。

 

侵略者は、この大陸をどうしても確保しておきたいらしい。

 

そんなに新たの民を食い荒らしたいか。

 

不快感以上に、嫌悪が強い。

 

展開している部隊が、攻撃を開始する。視界外に、敵が現れ始めたらしい。激しい砲撃が続くが、程なくして。

 

ズヴァールラ提督が、空軍に展開を指示する。

 

理由はすぐに分かった。

 

「スウォームだ!」

 

「!」

 

スウォーム。

 

ワーカーほどの数はないが、空中戦を得意とする敵の兵器だ。ドローンに分類されるようだが、かなりの高い戦闘力を持つ。見かけは鋭角的で、三つの節に体が別れていて、全身を赤黒のしましまで覆っている。

 

以前聞いたが、警戒色というらしく。相手に対する威嚇の意図があって、そんな目立つ姿にしているらしい。

 

ワーカー同様の顎と、更には遠距離攻撃用のレールキャノンを搭載している他。対ウォーリア用の連携阻止のためのジャミング兵装まで搭載しているそうである。

 

「スウォーム、数千、いや万に達します!」

 

「各艦、対空戦闘用意。 地上部隊に近づかせるな。 戦闘機隊!」

 

「こちらファイターリーダー! 任せてほしい! ただし地上部隊の援護は厳しい! 攻撃機、爆撃機は下がらせる!」

 

「各艦、航空機と戦術データリンク! 味方に当てるなよ! 対空砲、射撃開始!」

 

うちーかたー、はじーめ。

 

そう声が響くと、空を覆い尽くすほどのパルスレーザーの光がほとばしる。

 

その中で大量のスウォームが溶けていくが。

 

それでも味方の残骸を盾にしながら、スウォームが突貫してくる。空中戦用のドローンや戦闘機が、それを迎え撃つ。

 

更にだ。

 

これで海上への圧力が減り、シーキャリアがどんどん迫ってくる。最前列はシールドを展開しているが。

 

それらも流石に駆逐艦の主砲を浴びると砕かれるし。

 

シールドを破られたところで大火力の砲撃を受けると、ひとたまりもなく轟沈していく。

 

だが、数が多い。

 

ついに海岸線に接舷するシーキャリアが出始める。そこから、凄まじい数のワーカーとイーターが現れ始める。

 

即座に各自地上部隊が攻撃を開始。出てきたところ、更には海岸に出たばかりのところを狙う。

 

圧倒的な密度の攻撃が集中し、ワーカーを溶かしていくが。二隻目が、三隻目が、次々と接舷。

 

ワーカーとイーターを吐き出し始める。

 

猛烈な砲火が応酬される中、ミランは動く。

 

指示が出たのだ。

 

移動しながら、パルスレーザーを放つ。狙うのはイーターだ。既に味方の最前衛や航空戦力に被害が出始めている。散開したイーターをワーカーが守る形で展開していて。明らかに後続のために道を作っている

 

そうはさせるか。

 

重戦車というのが、激しい射撃を加えている。

 

それを盾に動き回り、次々にイーターを仕留める。

 

羽を広げて回復するのにも、重戦車を盾にさせて貰う。イーターからのレールキャノンが重戦車に直撃するが、重戦車は余裕を持って耐え抜く。ただ何十発も貰うと厳しいだろうし。

 

そもそも重戦車というこの兵器も。

 

最新で、整備が行き届いているようには見えなかった。

 

次々に接舷するシーキャリアだが。

 

ワーカーとイーターが出撃しようとした瞬間、ズヴァールラ提督の乗る旗艦からの主砲が直撃。

 

まとめて消し飛び、隣にいるシーキャリアも巻き込んで凄まじい爆発を引き起こしていた。

 

わっと味方が歓声を上げるが。

 

爆発がなんだとばかりに、次がどんどん来る。

 

敵スウォームも頑強に前線を維持しており、危険すぎて攻撃機も爆撃機も近づけない。戦闘機も何機か落とされている。

 

ドローンはそれ以上の速度で、ばたばたと落とされていた。

 

あまり戦況が良いようには見えない。

 

そう思いながら、ミランは出来る範囲で動く。

 

次の瞬間。

 

上空からの一撃が、重戦車に着弾。

 

重戦車が、爆発四散していた。

 

逃れる。

 

だが、防衛線の一部が消し飛んでいた。

 

「今のはなんだ」

 

「解析中。 ……砲艦です!」

 

「!」

 

「親衛軍砲艦を確認! 大気圏内に入り込んできたようです!」

 

馬鹿な。

 

そうズヴァールラ提督が吠える。

 

宇宙軍は何をやっている。

 

そう叫ぶ声もあるが。

 

それでもズヴァールラ提督が、いち早く衝撃から立ち直る。

 

「宇宙軍に支援要請! 盾艦は、親衛軍砲艦に備え……」

 

「側面から攻撃!」

 

今度は盾艦が爆発四散する。

 

親衛軍ウォーリアだ。とんでもない巨大な火砲を抱えている。それを放り捨てるのを見た。

 

使い捨てとは言え、側面からなら盾艦を落とせるのか。

 

盾艦がすぐに最前衛に展開するが、親衛軍砲艦が凄まじい俊敏な動きを見せている。宇宙軍がどうにもできなかったのが、なんとなく分かる。

 

また砲撃。

 

盾艦がまとまって攻撃を防ぐが、地上から射出した武器を親衛軍ウォーリアが受け取る。シーキャリアにあれを搭載してきたらしい。

 

何発も撃たせる訳にはいかない。

 

戦闘機が仕掛けるが、おぞましいほどになめらかな動きで、親衛軍ウォーリアが地上に突貫。

 

防衛線の中に潜り込むと、手当たり次第に戦車やウォーリアを蹴散らし始める。

 

其処に、ミランが突貫。

 

槍で斬りかかっていた。

 

砲艦を爆散させた武器を、今度は両断してやる。

 

最初の戦いで、槍を真っ二つにされた礼だ。

 

親衛軍ウォーリアは、下がりながら、剣を抜く。やはり同じ機体か。ドローンが群がるが。群がるだけ斬り伏せられるだけ。

 

だが、動きについてはある程度理解したつもりだ。

 

「ミラン機を援護! 対親衛軍ウォーリア用レーザー、発射準備!」

 

「各ドローン、弾幕を展開!」

 

「……当たるか!」

 

嘲笑と怒りが半々混じった声が聞こえた。

 

親衛軍ウォーリアが間合いを詰めてくる。

 

激しいぶつかり合いの末、三合を瞬時に打ち合う。

 

見える。

 

恐ろしく鋭くて、一撃一撃が洒落にならないが。それでも対応できる。ウォーリア二型をあちこち斬られるが、致命傷は避ける。それだけでいい。

 

親衛軍ウォーリアが、片手間に逃げ遅れた戦車を踏み砕く。更に、それに剣を突き立てて見せる。

 

挑発しているんだ。

 

爆発四散し、中の戦士もろとも砕けた戦車。

 

多数飛んでくる弾幕を回避しながら、親衛軍ウォーリアは、多数をものともせずに斬りかかってくる。

 

「最前線に引きずり出されているのはお前だ。 無能な食肉の作戦指揮のまねごとなど、手に取るように分かる。 貴様等が作戦と呼んでいるのは、全て我々の真似ごとに過ぎない」

 

「そうですか。 しかしその割には押し切れないようですが」

 

「我らはどれだけ戦力を失っても痛くも痒くもない。 指導者は絶対で、指導者ある限り我らは不滅だからだ。 それに対して、そちらはどうかな。 無能な肉人形など、いずれ身内で仲間割れする。 我らにそれはない」

 

「肉が仲間割れ? 仲間がいるのなら、それは肉ではなくて生き物で、知能があるということなのではないですか」

 

一瞬、親衛軍が動きを止める。

 

その瞬間、胴をなぎ払いに行く。

 

親衛軍ウォーリアが反応。はじき返してくるが。

 

恐らく初めてだ。

 

まともに攻撃を仕掛けて。

 

それがまともに入った。

 

今までもダメージを与えたことはあったが、それはほとんどの場合、肉を切らせて骨を断つ場合だった。

 

今回は違う。

 

既に二十秒以上戦闘している。

 

猛烈な蹴りを食らったが、受けながら跳び下がり、パルスレーザーを浴びせる。

 

親衛軍ウォーリアは、ミラン機のパルスレーザーと、支援攻撃の十字砲火の中を巧みによけるが。

 

がっと、足がつかまれる。

 

先に蹂躙されたウォーリアの一機が、親衛軍ウォーリアの足をつかんだのだ。

 

その手を払おうとした瞬間。ミラン機の長槍が。

 

親衛軍ウォーリアの首をはねていた。

 

首を失ってもウォーリアは動く。

 

だが、それで動きが止まり。

 

次の瞬間。

 

待ちに待った対親衛軍ウォーリア用のレーザー兵器が、奴を貫く。

 

溶解し、爆発四散する親衛軍ウォーリア。

 

コアが戦闘機として逃げだそうとしたが、それも想定済みだ。既にブースターをふかして上空に。

 

そして、今度はこっちが蹴り落としてやる。

 

蹴り落とした瞬間、足から肩に掛けて両断された。

 

あの戦闘機形態も、強烈な武器を内蔵していたらしい。一瞬でミラン機のウォーリア二型が戦闘不能になる。

 

戦闘機になった親衛軍ウォーリアが、逃げ出していく。

 

今度は間違いない。

 

遁走だ。

 

「親衛軍ウォーリア、逃走!」

 

「陣列を整えろ。 かなり押し込まれている」

 

「了解!」

 

「敵砲艦、上空に回り込もうとしてきています!」

 

キャリアが来て、ミラン機を引っ張っていく。

 

前衛は阿鼻叫喚。

 

今親衛軍ウォーリアが大暴れして、更には敵も増える一方。砲艦も暴れ、空軍も押さえ込まれている。

 

其処に多数のワーカーが攻めてきて。

 

イーターやブレイカーも混じっているのだ。

 

あちこちで既に構築した防御陣地が食い破られ始めている。

 

それでも、ズヴァールラ提督の指揮は極めて粘り強い。

 

駆逐艦に収容されて、修理が開始される。

 

ウォーリア二型は、しばらく戻らない。

 

ミランがコアから降りると、急いできたのは支援者の一人だ。技術士官であると名乗られた。

 

「予備機で出撃してもらえますか。 専用の武器を渡します」

 

「人使いが荒いですね」

 

「ミラン少尉、親衛軍ウォーリアを退けた貴方の助力が必要です! あの砲艦を仕留めないと、この艦隊は全滅します!」

 

そう叫ぶ支援者は、見たことがない種族だが。

 

それでも、切実さはよく分かった。

 

準備をすると言って、まずトイレに。

 

それから栄養ゼリーを口に含んで、それで体も冷やす。今の戦闘で受けたフィードバックダメージは、どうにかなる。

 

味方の駆逐艦が前進している。

 

これは。

 

「全艦、掃射砲用意! 前衛を援護しろ!」

 

「イーターの射程に入ります!」

 

「構わない! それでも前衛が崩されるよりマシだ! 押し返せ!」

 

猛将といわれるズヴァールラ提督が、旗艦を前進させると、他の駆逐艦もそれに習う。

 

イーターどころか、スウォームまで仕掛けてきている最前列の上空だ。

 

其処に出ると、駆逐艦は圧倒的な掃射砲の火力で、敵を蹂躙し始める。

 

反撃を受けて、駆逐艦が次々に火を噴く。ミランが乗っているこの駆逐艦も例外ではない。

 

其処を嘲笑うようにして、砲艦が狙ってきた。

 

駆逐艦の一隻が貫かれ、大破する。そのまま必死に下がりながら、不時着。地上部隊がよけるだけで精一杯。

 

乱戦が更に混乱する。

 

ミランも出る。

 

渡されたウォーリアは通常のもの。ただしウォーリアが手にしているのは。さっき親衛軍ウォーリアが手にしていたような大火力兵器だ。

 

対砲艦巡航ミサイル。

 

対親衛軍仕様。

 

そういうものらしい。

 

そんなものがあるなら宇宙空間で使えば良いのではないかと思ったが、技術士官が言うには。使っても届く前に撃墜されていたらしい。普通大気圏内でコストの問題からミサイルは使われないと聞いていた。だから、ミサイルを見るのは初めてだ。漏斗状のものを打ち出す、発射台と組み合わされた大型の兵器。ウォーリアで担いで、キャリアとして持っていくわけだ。

 

今までは敵との距離があり、その過程で迎撃された。

 

だが、今回の戦闘距離なら。

 

しかもあの親衛軍ウォーリアは既に追い払われた。先の映像で確認したようだが、ダメージも深刻らしい。

 

ミランがいれた蹴りは、無駄ではなかったのだ。

 

少なくとも、すぐに戦場に戻ってくることは不可能だという話だ。

 

掃射砲の猛攻で、前衛が立て直す。

 

その隙に、ミラン機が出る。

 

砲艦が恐ろしいほど剽悍に動いているのが見えた。

 

見た感じ、そのまま巨大な大砲に、動力炉だけをつけた兵器、という感じだ。巨大さが洒落にならないが。

 

宇宙ではごく少人数で動かすことが多く。

 

故に、敵親衛軍がそれに乗って出てきても不思議ではないらしい。

 

ブースターをふかして、飛ぶ。

 

味方戦闘機が火を噴いて、墜落していく。操縦者は脱出したが、ワーカーどもの中に落ちなければいいのだが。

 

味方ドローンは、スウォームに押され気味だ。

 

だが、それでも必死に前線を維持している。

 

爆発。

 

スウォームとイーターの攻撃に曝された駆逐艦が大破したのだ。煙を噴きながら下がっていく。

 

其処に、後衛から別の駆逐艦が出て、勇敢に前線を守りに掛かる。

 

それを見て、放ってはおけないと判断したか、攻撃機が出る。

 

攻撃機も厳しい状況の中、イーターを次々粉砕。そして自身も、次々に落とされていった。

 

爆発。

 

盾艦が粉砕された。

 

もうほとんど盾艦が残っていない。

 

その中で、ミランは加速。

 

爆発をつっきり、砲艦の近くに。砲艦が、明らかにぎょっとしたようだが、遅い。

 

対砲艦ミサイルを放つ。

 

放つと同時に、それは大火力のレーザーを放ち。更には、大量の子弾に分裂し。包み込むように砲艦に襲いかかる。

 

砲艦のあちこちから、恐らく対空攻撃と思われるレーザーが出て。子弾を迎撃する。ミランはその隙に、砲艦にとりついて、このウォーリアに装備されている大型の斧で装甲を破る。

 

砲艦が滅茶苦茶な動きで、振り落とそうとするが。

 

次の瞬間、砲弾にミサイル本体が直撃していた。

 

凄まじい揺動。

 

ミラン機が空中に投げ出される。

 

砲艦が、半ばから折れている。

 

何度も爆発しながら、部品をばらまいている。

 

親衛軍砲艦として、散々こちらを苦しめてきた厄介な機体が、滅びようとしている。それでも一射を放とうとしている其処に。

 

剽悍に迫ったのは、ズヴァールラ提督の旗艦。

 

旗艦が放った主砲が、親衛軍砲艦を粉々に消し飛ばす。おおと、歓声が上がっていた。

 

「親衛軍砲艦撃破! 脱出者、確認できません!」

 

「後で残骸を回収しろ。 敵を押し返すぞ! 総力戦続行! 援軍も来る! 皆、持ちこたえるんだ!」

 

「やってやらああっ!」

 

「ワーカーども、今日はてめえらの煮付けを作ってやる! 逆に喰ってやるからな!」

 

興奮した支援者の戦士が吠えている。

 

ミランはブースターで落下速度を落としながら、冷や汗がどっと出るのを感じた。

 

あのミサイルの子弾が足りていなかったら。

 

砲艦はミラン機を狙ってきた。それは理解できていた。

 

接近して斧での一撃に切り替えたのも、そうした方が安全だと判断したから。そうしなければ、多分第二射のレーザーで落とされていた。

 

砲艦は駆逐艦より更に小さかったが、それでもウォーリアから見ればとんでもない巨体だ。

 

あれをウォーリアで落とせると思うほど、ミランもバカじゃない。

 

もしもやるなら。

 

あに親衛軍ウォーリアが持ち出してきていた大火力兵器をゼロ距離からたたき込むとか。いや、それでも足りない。

 

傷をつけたところに、ゼロ距離射撃とか。

 

それくらいしないと、駄目だろう。

 

着地。

 

限界だ。それを告げると、すぐにキャリアが来てくれた。

 

前衛で頑張ってくれている味方には悪いが、休ませて貰う。だが、下がるミランに、歓声が送られる。

 

「凄かったぞ! あのくそったれ砲艦を落とせたのは、あんたのおかげだ!」

 

「新たの民の新しい勇者の誕生だな!」

 

「後はどうにかする! 休憩してくれ!」

 

「助かった! そして此処からは、俺たちの番だ!」

 

士気が上がった部隊が、前衛で暴れる。

 

敵のシーキャリアはまだ続いているが、これは形勢が逆転したとみていい。ミランはともかく、休ませて貰う。

 

ベッドで丸くなると、手が震えているのが分かった。

 

勝った、のだろうか。

 

今までにない長時間、親衛軍ウォーリアとやりあう事に成功し。味方の支援もあったがそれでも明確に遁走に追い込んだ。

 

それだけで充分だろう。

 

今は、とにかく生き残ったことを喜び。

 

ファーガの栄養液を飲みたいなと思った。







ミランが丸くなって眠るのは、腹を守るためです。

動物としての本能が強いからですね。

新たの民の標準的な性質です。




※スウォーム

侵略者の攻撃型高空ドローンです。制空権確保のためだけに存在していて、とにかく数で圧倒することを得意としています。

火力はそれほど高くありませんが、基本的に性能は支援者の展開する制空権確保用のドローンより高く、支援者は戦闘機とドローンをフル活用してスウォームを駆逐しないと危険すぎて攻撃機や爆撃機を出せません。駆逐艦などにはうっとうしいだけでも、攻撃機や爆撃機がたかられると致命的なのです。

ちなみにこの名前は侵略者のつけたものです。それを傍受したので、そのまま支援者でも使っています。





本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。

  • 詳細なマシンデザイン
  • 圧倒的な武力による蹂躙
  • 緻密な人間ドラマ
  • 種族や文明の描写
  • 近接した力量のライバルとの死闘
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