王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
ついに支援者の総力を挙げた作戦が開始されます。
ミランが配置されるのはあの名将パドフ中将が率いる第四艦隊。
最強のタッグです。
これだけでも、支援者がどれだけこの作戦に力を入れているのかが分かります。
序、再び第四艦隊へ
第108小艦隊と別れて、ミランの乗るガルバーリアムはサリナス戦線へ向かう。其処で、第四艦隊と合流するよう指示を受けた。
現在サリナス戦線では戦力が増強され続けており、既に四百万隻に達したようだ。敵も戦力を増やし続けている。
今回の任務については、まだ聞かされていないが。
ただ、第四艦隊の司令官はあのパドフ中将だ。
久々に顔を合わせるのはとても嬉しい事だし。
あの人の指揮はとても安心感がある。
パドフ中将については、ハーネイ少尉(この間の要塞攻略戦で、敵戦闘機八機を撃墜して、晴れて少尉に昇進。 亡命前の階級まで復帰した)も既に知っているのだが。
ミランが立体映像で姿を見せると、絶句し。
しばらく黙った後。
ミランと、パドフ中将の映像を何度か見て。
それからまたしばらく黙っていた。
「す、少し気持ちを落ち着ける時間をください」
「別に急ぎではないので構いません」
「あ、ありがとうございます。 分かっています。 支援者屈指の名将で、ミラン大佐が認めるほどの用兵家で、理性的な良識的存在だと言うことは。 そ、それでも、私の生物的な感覚がどうしても苦手としていて」
「慣れてください」
ミランとしては、そうとしか言えない。
そもそもガルバーリアムにも色々な種族が乗り込んでいる。当面はこの高速機動戦艦が母艦になるのだ。
六人部屋にいるハーネイ少尉も、同室の種族は皆それぞれが違っている。
文化も生物的な性質も違うのだ。
慣れていかなければならない。
それが出来るアルカラルドの民が少ないのだとすると。
それはそもそも、他文化交流に関しても、種として未熟である、という事の証左に他ならない。
とりあえず、ハーネイ少尉は休みに行ったので。
ミランは軽く情報に目を通しておく。
また一つ、侵略者に支配されていた惑星が解放された。これも支援者に救出された種族の母星だ。
惑星の資源を絞り尽くされ、地形も変えられ、そしてテラフォーミングもされている。
これを資源を戻し、地形を戻し、元の環境にテラフォーミングし直す。
回収された生物サンプルを使って、生態系も戻す。
それらは専門の部署があり。
専門の技術者が行うことになっている。
この部署の権限は大きく、俊英がそろっているらしい。
実はあのパデラクスは、この部署、環境再生部の出身であるそうだが。
あまりにも悪い意味で独創的な事を続けた事もあって、科学部門に回された過去があるらしい。
まあミランには関係が無い。
ただあのパデラクスも使いこなし。
適材適所を出来ている時点で。
支援者という組織は優秀だと認めるほかない。
他には、惑星コヴァルライトの再建計画が進んでいるそうだ。
既に天の川銀河中枢の超巨大ブラックホールから、ブラックホール展開機で抽出した物資を用いて、地形、大気なども同等の惑星コヴァルライトが再現され。移動しながら、少しずつコヴァルライト星系の生態系が移植されているという。
あの戦いで。
ミランの目の前で、惑星コヴァルライトは、侵略者の悪意に寄って粉砕されてしまった。
いや、粉砕するしかなかった。
今、コヴァルライトの民は、新しい故郷を手に入れようとしている。
寸分違わない地形の人工惑星くらい、今は作るのはそれほど難しくないらしい。そうであってもだ。
良かったなあと、ミランは思う。
他にも資料を見る。
惑星アラタは、侵略者に荒らされた地域の復旧が概ね完了。
少しずつ、新たの民が再移住しているそうだ。
ただ人口が大幅に減ったこともあって、クローンが大勢作られており。社会に混じっているという。
これから、支援者と連携するために。
色々な会議などもするそうである。
新たの民も、先に進み始めている。
ミランとしては、支援者に入って苦しいこともあるが。それ以上に、関わってきた戦闘の結果が。
いずれも良い方向へ進んでいる事は嬉しかった。
ほどなく、サリナス戦線に到達。
戦闘は今行われていない。味方の増援は次々に到着していて、誘導に従って配置されているようだ。
かなり大規模な艦隊が来ている。
あれは八十万隻くらいはいると見て良い。
調べていると、ハコトが教えてくれた。
「あれは第十艦隊です」
「別の場所で戦闘をしていた艦隊ですか」
「つい最近再建が終わった艦隊のようです。 以前激しい戦闘で、倍近い敵を相手に要所を死守して、全滅判定を受けました。 今回再建されましたが、司令官はその時と替わっていません」
「頼りになりそうですね」
これは本音だ。
調べてみると、司令官はアポロス中将。
姿は、これもまた個性的な形状をしている。
浮遊体だ。
全身が傘のようになっていて、その真下に様々な臓器が入った袋がぶら下がっている。
元々中空を浮遊して、細かい微生物を捕食していた種族であるらしい。
この種族は独特のコロニーを作ってそれを文明にまで発展させた種族であるそうで、風の民と自称している。
支援者と合流した時には既に自身の住んでいる場所が惑星であると認識していたそうで。
彼らの母星は「風の元」。
星系は「風生まれる場所」と呼ぶそうだ。
なんだかとても詩的な呼び方だが。ミランとしては、彼らの美学に沿ったものだろうと思うだけだし。
支援者では、そもそも原住種族に配慮して惑星名などは名付ける。
そのため、今ではそれが正式名として、航路図などに乗っているそうだ。
「アポロス中将も、これはまた凄い戦績ですね」
「元々風の民はかなり長寿な種族らしくて、300期以上現役で戦っているそうです。 前回の戦闘では体の殆どを吹き飛ばされてしまったそうですが、再生力も高く、問題なく治療できたとか」
「……凄い」
「今回大将に昇進して、サリナス戦線の方面軍司令官となるそうです。 元々赴任を予定されていた方面軍司令官は、トラブルが続いて別の戦線を担当するとか」
ハコトは情報通だな。
色々助かる。
アネカが料理を持ってきてくれた。
流石にロボットだけあって、もう体は大丈夫なようだ。生体部品とかの再生にかなり手間取ったようだが。
しばらく、三人で食事をする。
ハーネイ少尉はパドフ中将を見て寝込んでいるので、後で食べて貰う事にする。
ファーガの栄養液の成分の分析は完璧で、色々調理してくれている。ミランとしても、十分に満足できる味だ。
「美味しそうに食べてくれてうちも嬉しいで」
「お姉ちゃん色々出来るよね」
「本当はうち、そんなにスペック高くないんや。 ロボットってどうしても後継機の方が性能が高いやろ? ハコトが元々後継機だったらしくて、そういう意味でもどうしてもな」
ただ、パデラクスが色々弄って。
性能をぐんと引き上げたらしい。
色々気にくわない相手だが、それについては感謝しているとアネカは言う。
ミランも、それは感謝しなければならないのだろう。
気にくわない話であるのだが。
しばらく食事を囲んで話をして。
それで、第四艦隊に合流を果たす。
連絡が来た。
パドフ中将だった。
ハーネイ少尉を連れて、挨拶に出向く。
ぞろぞろといくのも問題だ。
今回は、直下の部下として任されたハーネイ少尉を連れて、それで出向くこととする。
ハーネイ少尉はずっと真っ青だったが。
それでも、パドフ中将が理性的で優しい存在だと説明すると。
それで納得したようだった。
口数は露骨に減ったが。
第四艦隊旗艦に出向く。旗艦級戦艦は、最新鋭のものを用意してもらったらしい。いくつかの性能が、向上しているそうだ。
まだマイナーバージョンアップに過ぎないそうだが、あと10期ほどで次世代型の旗艦級戦艦がロールアウトするらしい。
一番艦は第一艦隊の旗艦として配置されるらしくて。
他艦隊に回されるのは後になるそうだが、順次交代していくそうだ。
パドフ中将の所に出向く。
以前と幕僚の顔ぶれが随分と変わっていたが。殆どは異動であるそうだ。
軍閥化を避けるための処置だ。
パドフ中将も、ずっと第四艦隊の司令官だったのではないのだから。
まず挨拶をする。
パドフ中将も、ミランが大佐に昇進したことや。
いさな相手に交渉を成功させたことを褒めてくれた。ミランはただ、言われたとおりにやっただけだが。
ともかく、パドフ中将に褒められれば悪い気はしない。
ハーネイ少尉を紹介する。
敬礼していたハーネイ少尉は、それで絶望的な顔をしたが。
パドフ中将に、挨拶をしていた。
パドフ中将も、それである程度事情は察したらしい。
「まだ殆ど支援者にいないアルカラルドの民です。 環境に慣れないのも仕方がありませんし、相手の姿が生理的に受け付けない場合も多いでしょう。 今回もそのケースであるとお見受けします」
「は、はい、いえ……」
「少しずつ慣れていってください。 貴方の戦歴を見る限り、エース級のパイロットになれる素質は十分にあります。 機転も良く利きますね。 ミラン大佐を助けてあげてください」
「……! は、はい!」
自分が苦手視されている事を理解しながら、それを意にも介しない度量。
中将が、それも本来は方面軍司令官になっている戦歴を重ねている歴戦の司令官が。たかが一少尉にそう振る舞えるのである。
恐らくだが、アルカラルドの民では考えられない事だったのだろう。
ハーネイ少尉は背筋を伸ばし。
明確に態度を改めていた。
それから、旗艦に戻るのだが。
その途中、シャトルで連絡を受ける。
「ミラン大佐、貴方には話しておこうと思います」
「第四艦隊に今更赴任した理由ですね」
「そういうことです。 これから第四艦隊を中心に、百五十万隻ほどの艦隊を編成して、敵地に強行侵入する作戦が立ち上がろうとしています。 どうやら侵略者の指導者の居場所……正確にはその一つが特定できそうだからです」
「!」
そういえば。
いさなの発言の後、侵略者に「制裁」が加えられたらしいという話がある。
いさなの発言を聞く限り、それがなされてもおかしくはないし。
それに関係していると考える方が普通だ。
「現在科学部門が全力で調査していますが、有力候補は三つ。 ただ、一番近いものでも敵領内、前線から千五百光年は離れた地点です。 ワープ阻害装置を破壊しながら進むため、容易にはいけないでしょう」
「千五百光年ですか」
「しかも惑星をまるごと鹵獲する作戦です。 超大型の工作艦を護衛しながらの任務となります」
更に他にも厳しい条件があるそうだ。
この作戦は、出来るだけ迅速に行われなければならない。
敵星系は恐らく要塞化されていて、相応の規模の艦隊が駐屯していると見て良い。
ワープを繰り返し、途中にあるワープ阻害装置はことごとく破壊しながら進み、帰路も確保する。
それを全てこなさなければならないのだ。
「ここ最近侵略者は負けが続いていますが、それでも総戦力はどれだけ楽観的に見ても一億二千万隻には達します。 もしも作戦の意図がばれれば、下手をすれば一千万隻以上の敵に包囲される可能性もあるでしょう」
「いくら何でも無謀では」
「そのため、状況が確定し次第、第一艦隊、第∞艦隊を除く殆どの艦隊が動いて、総力での陽動を行います。 今回私とともに動く艦隊150万隻の他にも、バックアップの艦隊が三百万隻、いざという時の予備艦隊が二百万隻、それぞれ用意される予定です」
それは、凄まじい規模だ。
このサリナス戦線以上の規模ではあるまいか。
支援者の宇宙艦隊二億隻のうち、四割が今回の作戦に主体的、陽動、どちらかに関わると言う。
それだけ重要だと言うことだ。
「確実に、私が今まで経験した中でも、ミラン大佐が経験してきた中でも、最も困難な作戦になるかと思います。 何かしら、やり残したことがあったら、悔いが無いようにしてください」
「はい……」
「しかしもしも成功したら、侵略者を倒す大きなきっかけになるでしょう。 それもまた、理解してください」
通信が切れた。
そうか、それは色々と大変な話だ。
とりあえず、配置される中央部隊にいるガルバーリアムに戻る。ハーネイ少尉はまだ混乱しているようだが。
とにかく、それでもパドフ中将に対する偏見を取り去ろうと、必死に努力を続けているのも分かる。
それでいいだろう。
アルカラルドの民は、一度決めた偏見を絶対に変えない存在だった。
支援者を下と見なして、それで自分の方が上だと、最後まで考え続けていた。
宇宙への道を位相変換シールドで防がれて、閉ざされても。
それだけ絶望的な力の差を見せられても、それでもまだ侮っていた。
そういう種族なのだろうとしか言えない。
身内の愚行はどうしても影響する。
その影響から脱しようとしているだけでも、ハーネイ少尉は立派だ。
ガルバーリアムに戻った後、訓練を続ける。
そうしていると、不愉快な連絡が来る。
パデラクスだった。
「やあミラン大佐! その様子だと、既にパドフ中将から話は聞いているね!」
「何用でしょうか」
「はっはっは! 私を嫌っているようで面白い! とりあえず、いくつか分かったことがあるから話しておこう」
知るかと言いたいが。
此奴が優秀なのも事実だ。聞いておく。
まず侵略者の指導者だが、現在体を最低でも200以上存在させていて。それら全てが同期しているという。
つまり同一の肉体を200以上並列させ、意思を統一させていると。
それはあまりにも巨大な生体PCとでもいうべき存在なのか。
少なくとも、侵略者の指導者という一個体が存在する訳ではないと確定したのだそうだ。
「以前メタトロンとともに破壊されたのは、侵略者の指導者の体の一部に過ぎなかったというわけだ。 いわば端末だね!」
「それで自分にどうしろと」
「特務として例外的な戦果を挙げている君なら出来ると私は思っているのだがね! 今回の作戦では、是非最大限の戦果を期待しているよ!」
それだけ言って、通信が切れた。
相変わらず困りものだ。
ともかく、ミランの双肩に乗せられた荷物がまた重くなった。
一体作戦で何をさせようとしているのかはよく分からないが、今回も大変なのは理解できる。
また通信だ。ヴァッハー少佐である。
今回第108小艦隊から異動して、第四艦隊の参謀になったらしい。
ここ最近の活躍で、パドフ中将の麾下にほしいと思われたのか。それとも。
パドフ中将の負担が大きくなるので、それだけ強力な人材を集める必要があると認識されたのか。
今回の作戦では、ミランを筆頭に、特務も千名以上参加する。
それだけ戦争の終結を早める期待がされているということだ。二万しかいない特務が千名以上である。
更に、最新鋭の艦艇も、優先的に回されるそうだ。
それだけ厳しい任務だというのは確定なのだろう。
いくつか打ち合わせをするが。
具体的な作戦についてはまだ話さない。
既に第∞艦隊から派兵された八百万隻ほどが、後方の安全圏をローラー作戦で制圧に掛かっている。
侵略者の艦隊が残っている星系もあるが、輸送などで主要となる星系はあらかた落ちている状態だ。
今更背後を突かれる恐れもない。
前線に敵艦隊が集まってきているのも事実なのだが。
それを突破さえさせなければいい。
今の時点で、主導権を握り続けている状態だ。
ただ不安要素もまだまだある。
いさなを戦闘に繰り出してきたのはつい最近だ。
侵略者も体制を改めて、新兵器の開発などを急いでいる可能性もあるし。
今までのミランが参加した戦闘でも、開いた口がふさがらないスケールの兵器を侵略者が何度も繰り出してきている。
それを考えると、確かにどれだけ備えても、備えすぎにはならないだろう。
パドフ中将がミーティングを設けたので、今回の作戦に参加する提督や特務と顔合わせをしておく。
提督はいずれも実績を上げている中将クラスが目立つ。
どうしても用兵は属人的な要素が大きいので、政治の分野とは違って改革も難しく。実績を上げているが屑だったり。単に世渡りがうまいだけの者もいるそうだ。改革がいるんだろうな。そうミランも思う。
だが、今すぐには無理だ。
今回の作戦がうまくいけば、侵略者の指導者について、更に具体的なデータを得られると言う。
それを成功させれば、或いは。
「今回の敵中突貫作戦を、翌日作戦と命名します」
パドフ中将がそう言う。
翌日作戦。
よく分からないが、次の自転を迎えることの意味だそうだ。
確かに、この天の川銀河の翌日となるかもしれない作戦である可能性が高い。そういう意味では、気合いを入れなければならなかった。
そして、この作戦の統括指揮を執るのは、方面軍司令官。
敬礼したその顔には覚えがあった。
パーミルトン大将だ。ヴァーグラット戦線の総司令官だった。
ミランも、それでこの作戦にどれだけ支援者が気合いを入れているのか。否応でも理解することになった。
現在二億隻ほど存在する支援者の宇宙艦隊の内、支援、陽動、各地の戦線での行動、更には戦線後方の未支配領域の制圧なども含めて、その四割がこの作戦で動員されます。
そのうち合計650万隻が敵領内に直に直接攻め入ります。
この作戦で侵略者の指導者の肉体を直に抑えられれば。
一気に戦況が変わる可能性があります。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘