王道ロボット戦記小説、血巡る戦場の記憶 作:dwwyakata@2024
再度第三惑星に大量発生した謎の陸戦部隊。
これを黙らせないと、とんでもない事態になりかねません。
しかもこいつら、通常のウォーリアよりも性能が上です。
ミランも大苦戦を強いられることとなります。
自爆装置は黙らせたが、第三惑星の状態が悪いことは変わっていない。サリナス戦線の事はアポロス大将が対応。パドフ中将は、ありったけの陸戦部隊を送り込んでくれている。
まだ敵機は出現を続けていて、その戦闘力は激甚。
とても撃退どころじゃない。
「戦線をどうにか維持していますが、敵は地下から無尽蔵に出現しています! 人工惑星と言うこともあり、地下全てが敵の可能性も……!」
「他艦隊にも陸上部隊の投入を要請。 数で押さえ込みながら、全容を解析してください」
「了解!」
このタイミングで、第十九艦隊があらかたようやくサリナス戦線に到着。
陸上部隊を投入してくれるが、それで戦況が改善するわけでもない。
強襲揚陸艦ですら破壊されるものが出てきている。
非常に状態は悪いと言えた。
「ミラン大佐に連絡を」
「はい」
すぐに連絡が通る。
パドフ中将は、即座に指示を出していた。
「戦況はどうでしょうか」
「あまり良くはありません。 たかが一惑星に、これほどの戦力が潜んでいたのは流石に想定外です」
「そうですね。 今まで侵略者は、どうしてこれほどの戦力を活用していなかったのか……」
「いや、これは侵略者の兵器ですねえ」
いきなり割り込んでくる通信。
パデラクスだ。
パドフ中将は、たっぷりしばらく深呼吸した後。
流石に罵倒したくなったのをこらえて、続きを言わせる。
「パデラクス、詳しく専門家の意見を述べなさい」
「えーとですね。 これはウォーリアに装備されている、「人間を乗せる」という無駄を省いて、人型戦闘兵器の強さをいかせる最強の形態にしたものです。 コアが入っていないので、コストの観点ではウォーリアと変わらないのに、強いのはそれが理由ですね」
「それでなぜ、このような兵器が」
「思うに、侵略者の指導者が、「最高」だの「完璧」だのと考えて前線に投入している兵器とは別に、ずっと古くにはこういう兵器が開発されていたのでは? それも指導者が何らかの美学で前線投入を拒否し、いざという時用に眠らせていた。 恐らく、その星にいる分を、宇宙艦隊に配備はしてこないと思いますよー」
それは随分な楽観だな。
しかも他人事極まりない。
パドフ中将も、苛立つのを抑えながら、更に聞く。
「停止させる方法は」
「もう炉を物理的に破壊するしかないと思いますねえ」
「……分かりました。 その方向で行くとします。 これ以上、被害を増やすわけにはいきません」
「今後のために戦闘データとったほうがいいと思いま……」
通信を強制切断。
部下達も安全な場所で何言ってるという顔をしているし、パドフ中将も流石に我慢の限度だった。
パデラクスは優秀だが、それはそれとして許しがたい。
とにかく、炉を黙らせる事には賛成だ。
「ボーリングマシンの準備を」
「惑星規模のボーリングマシンですか!」
「工作艦が装備しているはずです。 今回の目的は、侵略者の指導者のスペア肉体とその周りのシステムの回収。 白鳥星系第三惑星の巨大DBの回収です。 出来れば白鳥星系第三惑星もまるごと回収したいですが、この損害を考えると、もはや手段を選んではいられません」
「りょ、了解です! 工作艦を調べて、出来る艦艇を洗い出します!」
惑星規模の工事やテラフォーミングも出来るのが工作艦だ。
惑星規模のボーリング作業だって出来る筈である。
ミラン大佐に、連絡を入れる。
「今から、敵の反物質炉を物理的に貫きます」
「分かりました。 それで自分はどうすればよろしいですか」
「工作班がシステムを出来るだけハッキングして無力化しています。 それの護衛。 味方の援護をお願いします」
「了解しました」
ウォーリア四型もかなり手ひどく傷ついている。
それでも、ミラン大佐の闘志は衰える様子がない。
全力で敵機に向かっていく。
パドフ中将は、頼もしいと感じていた。
侵略者の指導者は、怒り狂っていた。
自爆装置が、敵の戦線で爆発しなかったのだ。
それどころか、ワープして、何もない宇宙空間で爆発した。何一つ巻き込まなかった。しばらく怒りを周囲の部下にたたきつけた後。
親衛軍の科学者につなぐ。
やっと少しずつ動き出していたが。
指導者が声を掛けると、相変わらず減らず口をたたいてくる。
「貴様! 貴様が設計した自爆装置、敵を巻き込まなかったぞ! どういう失態だこれは!」
「戦況は見ましたが、私が提示した問題点を敵が的確に着いてきました。 だから命令を下せば即座に爆発するようにするべきだと提案したんですが」
「黙れっ! 自爆装置を使うような状況になったら、敵を苦しめて、絶望させるのが最低条件だろうが! 一瞬で死んだことすら分からず死なせるようでは、わざわざ自爆させる意味が無い!」
「いずれにしても私は説明書にその辺りの説明はして、指導者様も読んだはずです。 敵が最適解で動いた。 それだけです」
また殺しそうになるが。
これ以上へそを曲げられると困る。
此奴が兵器の改良をしているのだ。
他の役にも立たない科学者なんて、どうでもいい。
此奴が不機嫌になると、それだけ指導者も不利益を被る。
指導者は此奴が嫌いだ。
減らず口をたたけるようにしないとまともに動かない。それだけで、どれだけの不快感を刺激するか分からない。
そして、指導者は気付いていない。
今、此奴が、支援者を肉ではなく「敵」と呼んだことを。怒りすぎて、それを察知できなかったのだ。
「それよりも、やはり人間を乗せない前提のウォーリア、高い戦果を挙げているではないですか。 全部これにするべきです」
「巫山戯るな! 私が優れていると判断したから現行機を使っているのだ!」
「でも戦果出ていますよ。 あのミランって敵も、相当に苦戦するくらいに」
「そのようなことは偶然だ!」
喚き散らしながら、今後も採用はしない。これ以上生産もしないと、指導者は言い切った。
科学者は渋面を作ると、言う。
「今回の戦闘が一段落した後、こちらの艦隊戦力は8000万隻程度にまで削り取られますよ。 しかも最新鋭艦はあらかたやられて、全て作り直しです。 その間敵が何もせずに待ってくれるとは思えませんが」
「距離の防壁がある! その間にとっとと体制を整え直すだけだ!」
「今回、1500光年以上も長距離を強襲してきた相手です。 相手側も相当な兵力を失ってはいますが、それでも補填できる範囲です。 最悪、聖地を強襲されますよ」
「ああ言えばこう言いおって……!」
また科学者を殺しそうになるが、指導者はギリギリでこらえた。自分はなんて慈悲深いのだろうと思いながら。
嘆息する科学者。
それがまた、指導者の怒りを刺激する。
「とりあえず、大マゼランに体のスペアを送っておくべきかと」
「私に逃げろというつもりか! 肉ごとき相手に!」
「そう侮った結果がこれですよ。 私が設計した無人型ウォーリアが、これほどの戦果を挙げていても、結局自分の美学で無視。 これじゃ勝てる相手にも勝てません。 流石にこれだけ不利になっても、敵が天の川銀河を制圧するのには相当時間が掛かりますし、その間に大マゼランから、別の銀河に逃れて再起を図れば、好機もまたあるんじゃないですかね」
「……」
通信を切る。
これ以上話すと、また殺しかねなかったからだ。
指導者は雄叫びを上げると、大量の侵略者の一般個体を並べる。
それらはただ拷問するだけのために生産された。
そして、指導者の怒りを全てぶつけられた。
そのためだけに生み出されて。
そのためだけに死んだ。
いびつすぎる怒りをぶつけられても、悲しむことも出来ず。恨むことも、憎むことも出来なかった。
そしてそのような蛮行を重ねながら。
指導者は、自分を可哀想な被害者だと、完全に信じ込んでいた。
昔、指導者があらゆる全ての知識を吸収している時。
マスメディアのあり方を見て学んだ。
客観など必要ない。
自分達の主観が真実だ。
マスメディアの構成者達は本気でそう考えていた。
真実を報道する必要などなく。
自分達が考える事が真実だと。
気持ち悪いと相手を認識したら、相手の全てが悪になるし。
自分から見て格好良ければ、どのような犯罪でも善行になった。
そしてマスメディアがそんな調子だ。
指導者がまだ指導者でなかった頃。周りの侵略者は、皆同じように考えていた。
見たいように見て。
感じたいように感じる。
そのことを否定すれば、否定する相手を殺戮し、暴力を振るう事も一切いとわなかった。
指導者は天才だった。
歴史上の全ての侵略者より知能で勝り、運動能力でも勝っていた。あらゆる全てが誰をも上回っていた。
だからこそ考えたのだ。
自分こそが全て正しいのだと。
自分の思考以外に正解などないのだと。
あらゆる技術を10世代以上も発展させた指導者だが、その圧倒的な実績と、圧倒的な豪腕による支配が。
むしろ指導者という存在を、最初の一歩から間違えさせてしまった。
そして今も。
指導者になってから1000年以上経過している今も。
宇宙で正しいのは自分だけ。
自分以外の存在は思考する価値もない。
自分以外の生命など存在しない。
宇宙の全ては自分の私物だ。
そういった考えは、一切なくならなかった。
あらゆる全てを学習して取り込んでいけた時代もあった。侵略者をある意味で止めてしまった時ですら、その学習力は落ちていなかった。
だが、宇宙空間に進出して。
無人の野を行くようにして領土を拡大していく過程で、その最後の自制心すら失われていった。
過去の芸術やらを全て廃棄させたのもその頃だった。
指導者は。
その時には完全に怪物となり。
ついに、最後に残っていた侵略者の要素さえ、失っていたのかも知れない。
しばらく怒りを発散した後、指導者は休むことにした。
大規模作戦で消耗したのは相手も同じ。
だったら、しばらくは兵器工廠で戦力の補填をする時間だ。
しばらくはどうせどちらも動けない。
タチが悪いことに、その戦略的判断は、ある程度当たっていた。指導者が無能であったら。
悲劇は天の川銀河全域に拡大することはなかったのかも知れない。
まだまだ際限なく敵が湧いてくる。
地上を割って生えてくる敵も多い。
それを片っ端から倒していく。
ミランはそろそろ限界だと判断して、来ている強襲揚陸艦に戻る。ウォーリア四型の修理を頼む。
スタッフもその強襲揚陸艦に移ってきていた。
「ミラン大佐!」
走ってきたのはハーネイ少尉だ。
無事かと聞かれたので、頷く。
はっきり言って、喋る余力も無い。ウォーリア四型も、良く戻ってこられたというレベルで傷ついていた。
すぐに整備班が修理に取りかかる。
まず水分を取って。
トイレを済ませて。
寝る。
強襲揚陸艦にダメージが何度も入っているようだが、今は休むのが仕事だ。無理矢理眠る。
その間に殺されても、それは運命だ。
夢さえ見ない。
起き出してから、無理矢理顔を洗って。それで風呂にも入る。
嫌だけれど仕方がない。
そして、メシを無理矢理かっ込む。
はっきりいって吐きそうだが、それでもやらなければ動けなくなる。やっと頭が回ってきたので、状況を確認した。
戦況図を見ると、ひっきりなしに変わっている。
最初襲撃されていた病院船や損傷艦は、どうにか逃げ延びたが。その過程で大きな被害をだした。
非戦闘員が大勢殺されたのは、悔しい限りだ。
分厚く守りを固めていた指導者の設備周りやDB周りは守り切ったようだが、それでも今も戦闘が続いている。
地下でも敵は際限なく湧いてきていて、今でも被害が出続けていた。孤立している部隊も多いようだ。
地上でも、敵無人戦闘機が暴れている。
コアを必要としない。
それがこれほど戦闘力を上げるとは。
やはり無理矢理有人機にする必要は無かったのかも知れない。それについては、ミランも思う。
何度も思ったのだ。
ウォーリアはとても非合理的な兵器ではないのかと。
まさかウォーリアを使う事に固執する侵略者が、その解答を示してくるとは思わなかったが。
アネカとハコトは今も頑張って、工作班の支援をしている。
工作班は敵の強烈なハッキングをはじき返しながら、反物質炉を出来るだけ無力化するべく頑張ってくれているが。
やはり根を断たないと駄目なようだ。
「ボーリングマシンは!」
「今来た!」
「具体的にどうするんだ」
「直堀りだとリスクが高すぎる。 レーザーで蒸発させて、穴をうがつらしい」
なるほど。
ただ、その方式だと、色々問題があるらしい。しかも大気圏内だ。それもあって、地上に支援装置が必要となるそうだ。
今度はそっちが主戦場だな。
そう思いながら、ミランは水を飲む。
しばらく水を飲んで休憩していると、パドフ中将が連絡を入れてきた。
「ミラン大佐、おきましたか」
「はい。 どうにかまた戦えます」
「ウォーリア四型が復旧し次第、指定の地点に向かってください。 レーザー掘削を支援するチームの護衛をお願いします」
「了解しました」
軽く体を動かす。
特務の部隊がまた集められたようだ。
殆どの特務は地下に向かう。
侵略者の指導者の肉体周りのシステムと、DBは意地でも守り切らなければならないからである。
これらを守り切らなければ、支援者の艦隊の四割をも動かした今回の作戦があらかた無意味になる。
それは、多くの兵士達の死を無意味にする事も意味しているのだ。
「ミラン大佐!」
集まってきたのは、ガルバーリアムのスタッフだ。ハーネイ少尉もいる。皆、休憩を入れたらしい。
減っている。
あれだけの戦闘だ。落とされた者もいるだろう。
戦死者も出ている筈だ。
ミランとしても、仕方がないとどうしても割り切れなかった。
「これからレーザー掘削装置の支援をします。 レーザー自体は宇宙空間から発射されますが、それが惑星を貫くのにはいくつもの条件が必要になります。 それを支援する装置を守り切るのが我々の仕事になります。 勿論、我々以外も作戦に参加することになりますが」
「了解!」
部隊の指揮は、キッホク少佐がとってくれるようだ。
ゲラルラの民の勇敢さは何度も見ている。
亡くなられたズヴァールラ提督の頃からだ。
ミランも敬礼をして、部隊の指揮を頼みますと出来るだけ丁寧に言う。相手も、ミランには最大の敬意を払ってくれた。
「アンノウンを相手に此処までの見事な立ち回りをしてくれる貴方を支援できるのは、我らゲラルラの民でも自慢できることだ。 後方は任せてほしい」
頷くと、出撃。
全軍一丸となって、工作班の所に向かう。
新たに降りてきた強襲揚陸艦から、工作班が出てくる。装置を設置し始める。
これはレーザーによる膨大な熱を可能な限り収束させるためのものであるらしく、具体的には空気が壁となってレーザーの熱を吸収しないように、磁場を操作してレーザー掘削装置の射線上の空気を出来るだけ真空に近づけるものだそうだ。
勿論生物がいる星でこれを使う事は禁忌に近いが。
この星は人工惑星で、細菌一ついない。
そういう観点でも、この装置を使うことは、問題ないと言える。
ただ、別の問題があるという。
「そもそも滅多に使われることがない装置です。 設置には時間が掛かります。 シールド発生装置と戦車隊、ヘリ部隊も護衛につきますが、それでもかなりの長時間の護衛が必要になります。 しかしながら、設置が終われば、恐らくほぼ一瞬で敵の反物質炉を黙らせる事が可能になるかと思います」
「分かりました。 すぐに作業を開始してください。 今も多くの兵士達が、極めて強力な敵と交戦しています」
「了解。 直ちに」
工作班が動き出す。
戦車隊も展開しているが、あの敵機相手だと分が悪い。この時代の戦車は位相変換シールドを装備していることもあるのだが、それでも相手の動きが想定以上なのだ。
すぐに敵が群がってくる。
恐らくプログラムで動いているのだが、それにしても稼働が鋭い。乱戦が始まる。ミランも当然それに加わる。
色々な敵機がいる。
武器も様々。
そして、生半可なウォーリアより遙かに強い。
「一対一では厳しいぞ! 複数で必ず懸かれ!」
「動きが速すぎる!」
「所詮プログラムだ! それに絶対に数には限度だってある! 諦めるな!」
上空には地上戦用駆逐艦の艦隊が来ていて、掃射砲で敵をなぎ払っているが。その効率も良くない。
それにしてもだ。
この敵機を大量生産されて、宇宙や他の惑星の地上戦でも繰り出されていたら、今の比ではない苦戦をしていただろうし。
支援者はとっくに負けていたかも知れない。
ワーカーやイーターが弱いとはいわない。
ミランだって量産型のウォーリアに乗っていた頃は、散々苦しめられたのだから。その恐怖はよく知っている。
だが、それでもこれは。
侵略者の足を一番引っ張っているのは、指導者ではないのか。
そうとさえ思えてくる。
右の一機を貫くと、時間差をつけて襲ってきた左の機体を相手にする。今度は両手と一体化した短めの棒。
それを高速で回転させながら、仕掛けてくる。
そういう武器らしい。
激しい攻撃を応酬するが、いきなり蹴りが飛んでくる。しかも、蹴りの一撃が刃物になっている。
両手は回転する棒、足は刃物か。
しかもウォーリアとは比較にならないほど全身が柔軟だ。中に人を乗せていないというのは、これほどにウォーリアの性能を引き上げるのか。
だが、その蹴りを放ち、後ろ回し蹴りに移行しようとした瞬間に隙が出来る。
蹴りを放とうとする足を長槍で切り落とし、更には体勢を崩した所を、急所を貫く。それで動かなくなった。
戦闘データを送る。
全部がカスタム機と言うこともないだろう。
同じような機体がいくらでもいるはずだ。倒し方を送っておけば、味方が善戦できる筈だ。
次。
シールド発生装置を、何度も射撃している敵機がいる。
ジグザグに近づくと、至近から切りつけるが。両手が砲になっているそいつは、なんと接近と同時に自爆した。
ミランが慌てて下がるが。
接近されただけで自爆だと。
なるほど、侵略者らしい戦いだ。いかれてる。こいつも気をつけた方が良いだろう。
中空から、敵戦闘機が急降下爆撃を仕掛けてくるが。
それを横から、味方の戦闘機隊がたたき落とす。
敵戦闘機は火を噴きながら落ちていき、地面で爆発四散していた。
「工作班、後どれくらいだ」
「現在基礎の固定が完了! 強襲揚陸艦の動力と接続して、磁場発生装置を作ります!」
「時間だ時間! どれくらいかかる!」
「現在進捗40%!」
やりとりも殺気がこもる。
まあこれは仕方がない。
ミランが黙々と戦うのを見て、それで誰も文句を言うのを止める。ミランが手本を見せれば黙ってくれるなら、それでいい。
戦車部隊が苦戦している。助けにいく。
右手が盾になっている敵機が、突貫してくる。盾には砲も着いていて、至近からぶっ放してくるようだ。
足も移動を高速に出来るようにローラーになっている。
なるほど、独自の美学で作られたウォーリアとは違う。ワーカーやイーターが極限まで強化されたらこうなるのかも知れない。
戦車にゼロ距離まで詰め、射撃しようとした敵機を貫く。更に、敵機による連射を、紙一重で回避。
敵機は戦列を作り、ミランを狙ってくる。
そこから繰り出される猛烈な攻撃は流石に肝を冷やす。宇宙空間ほど速く避けられる訳でもないのだ。
戦車隊が応射。
連続で敵機が爆発四散するが、それでも盾を構えて攻撃を耐えてくるやつもいる。コアに掛けている分のコストを他に使っている。
そういうことだ。
「磁場発生装置組み立て完了! 動力と接続します!」
「進捗は!」
「80%! 邪魔さえ入らなければ……」
「上!」
対空車両が一斉に対空砲火を浴びせるが、敵戦闘機が一斉に突っ込んでくる。しかもどれも爆装している。
まずい。
一機ならともかく、連続で通したらどうなるか分からない。
既に地上部隊の被害は記録的な水準に達している。この星の敵はワーカーの群れなんかの比じゃない脅威だからだ。
其処に、ハーネイ少尉の機が来る。
見事な操縦で、瞬く間に二機を落とした。だが、まだまずい。まだ突っ込んでくる。
だが、其処に割り込んだのは、味方の地上戦用駆逐艦だ。戦闘機の突貫を、身をもって受け止める。
爆発が起こり、高度が下がり始めるのが見えた。
「無事か!」
「無事じゃない! だが、とにかく装置を急いでくれ! こちらはそのまま不時着する!」
更に一機が駆逐艦に突っ込む。位相変換シールドを抜かれている。あれは、まずい。大勢死者が出ているはずだ。
不時着先にも敵がわんさかいる。
戦車隊が猛射を浴びせるが、駆逐ともいかない。
ミランは突貫。ギリギリまで、敵の掃討を続ける。凄まじい敵の動きだが、それでも必死にミランは上回る。
疲労で死にそうだ。
だが、それでも。
ついにやりきった。
「磁場発生装置完成! 動力流します!」
「よしっ!」
「惑星掘削レーザー、発射!」
凄まじい光の柱が、投射された。
それは白鳥星系第三惑星の地表を文字通りうがち、敵の反物質炉を一瞬で粉砕した。だが、破壊は凄まじく、強烈な揺れが地面を襲う。
惑星の核近くにある反物質炉を破壊したのだ。
当然そうなる。
磁場を操作して、熱量を一気に噴出させる。レーザー掘削装置を使った後は、こうなるらしい。
同時に、無数に群れていた敵機が、片っ端から動きを止める。無力に崩れ伏していく敵機の群れを見て、ミランは大きなため息をついていた。
やっと、片がついたか。
シートになつく。
頭が痛い。
酷使しすぎたのだ。
被害が聞こえてくる。
地上戦だけで280万以上が戦死したらしい。この短時間で、である。
また生き残ってしまったという気持ちもあるが。
この戦いがやっと終わった。
その疲弊感の方が大きかった。
すぐに病院船が来る。戦死だけで280万である。負傷者は数え切れない。放っておけば死ぬ者もたくさんいる。
強襲揚陸艦に戻る。
出撃したメンバーは、また減っていた。分かりきっている事だが、悲しい事だった。ハーネイ少尉は無事だった。
最終的にこの惑星での第二次戦闘で、17機を撃墜したらしい。白鳥星系での地上戦とあわせると、相当な撃破数になるようだ。
立派なエースだと、キッホク少佐が褒めていた。キッホク少佐の事もハーネイ少尉は最初苦手そうにしていたが。
今は敬礼を受けている。
ただ肉をむしゃむしゃ食べている様子を見ると、やはり怖いようだが。
アネカとハコトが戻ってくる。
二人ともボロボロだった。
「大丈夫ですか」
「うちは大丈夫や。 別に直撃弾とか受けてないし平気や」
「平気じゃないよ! 戦闘が行われてる中で作業ずっとして! 正気じゃないよ!」
「あれが一番早いんだから仕方がないんや。 そうしなければ、兵隊さんもっとやられてもうたんや」
ハコトがお姉ちゃんのバカとか言いながら、ぽかぽかアネカを叩いている。
微笑ましい光景なのかは分からないが。
二人とも奮戦してくれたのは事実だ。
それに、この惑星はしばらく防衛の部隊を離れさせられないだろう。
何より、だ。
ガルバーリアムを失ってしまった。
「ガルバーリアム、良い艦でしたね」
「彼女は立派だったわ」
「彼女?」
「ええと、理由は分からんけど、船はみんな女の子やねん」
アネカが不思議なことを言う。
そういえば、ハコトも前に似たようなことを言っていたような気がする。理由は分からないが、そういうものなのか。
ともかくガルバーリアムが雌だったのだとしても。
無理をさせて、挙げ句に破壊してしまったのが事実だ。その結果、この戦線の全将兵が助かったとしても、である。
ともかく、戦いは一段落した。
まだ終わったと言い切れないのが、恐ろしい話ではあったが。
全戦線での被害が計上されるのはこれからだろう。
侵略者側にはとんでもない被害を与えた。当面再起できないほどの損害を与えたのは確実だ。
だが、こちらも数期分の被害を出したのは確定らしい。
それを聞くと、ミランは勝利を喜ぶ気にはなれなかった。
※高速機動戦艦ガルバーリアム
前話にて撃沈しました。
彼女の奮戦があってこそ、膨大な被害を抑えることが出来た。
無人運転であったとしても、それに感謝しないクルーは存在しませんでした。
その最後に皆が敬礼を送ったのは当然のことだったと言えます。
本作にどういった要素がほしいですか。要望があれば遠慮なくどうぞ。
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詳細なマシンデザイン
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圧倒的な武力による蹂躙
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緻密な人間ドラマ
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種族や文明の描写
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近接した力量のライバルとの死闘