[DQ3]へんげのつえIF-トロルのメイド 作:ばっどぼーい
それから起きたことを、一つ一つ語れば長い話になる。
ベルタは王の前で、自分がボストロールであること、王へ成り代わるために城へ侵入したこと、魔王軍の命令を受けていたことをすべて告白した。
王子もまた、以前からベルタを疑いながら、それを父王にも衛兵にも知らせなかったと認めた。
当然、王は激怒した。
ベルタに対してだけではない。
むしろ最も激しく叱責されたのは、王子の方だった。
「怪しいと気づいていながら、なぜ黙っていた!」
「好きだったからです」
「それを理由になると思っているのか!」
「思っておりません」
「ならば少しは反省した顔をしろ!」
「反省しております」
「ベルタの手を握りながら言うな!」
王子は怒鳴られている間も、ベルタの手を離さなかった。
ベルタは何度も離せと小声で命じたが、王子は聞かなかった。
勇者一行は、その場でも気まずそうに視線を逸らしていた。
国王暗殺と国家転覆を企てた魔物。
その正体を疑いながら黙っていた王子。
本来なら、どちらも簡単に許されることではなかった。
それでもベルタは、計画を実行する前にへんげのつえを差し出した。魔王軍の侵攻を警告し、勇者たちへ王国と共に戦ってほしいと頭を下げた。
間もなく国境に魔物の軍勢が現れたことで、その警告が正しかったことも証明された。
戦いは激しかった。
だが最後には、勇者一行が魔王軍の指揮官を倒し、サマンオサへ侵入した軍勢は退けられた。
王国は守られた。
長い協議の末、ベルタは厳しい監視と行動制限を受けることを条件に、命を許された。
もっとも、実際の監視役として名乗りを上げた王子が、あまりにもベルタから離れなかったため、途中から誰を監視しているのか分からなくなった。
ラーの鏡は、結局ベルタへ使われなかった。
王子は一度だけ、純粋な興味から言った。
「本当の姿を見てみたい」
「絶対に嫌だ」
ベルタは即答した。
「だが、君がどのような姿でも――」
「そういう問題ではない! 俺にも見せたくない姿くらいある!」
王子はなおも、少しだけなら、と食い下がった。
しかし勇者一行の女性陣がベルタの前へ立ちはだかった。
「本人が嫌がっているのですから、見る必要はありません」
「ですが、正体の確認は」
「へんげのつえは回収しました。本人はすでにすべて告白し、共に戦いました」
「それに、女性が見られたくないと言っている姿を無理に見ようとするのは感心しないわね」
「女性という分類でよいのでしょうか」
「殿下?」
「何でもありません」
こうしてラーの鏡は袋へ戻され、勇者たちは旅立った。
それからしばらくは、比較的穏やかな日々が続いた。
ベルタは以前と同じようにメイドとして働いた。
ただし、周囲の扱いは少し変わった。
正体が公になった当初、城の者たちは恐れ、距離を置いた。
ミレーヌたちも、すぐには以前のように振る舞えなかった。
ベルタも彼女たちを責めなかった。
当然だと思った。
自分は一年間、彼女たちを騙していたのだから。
ところが数日後、洗濯場で一人作業をしていたベルタのところへ、ミレーヌがやって来た。
「あなた、本当にボストロールなの?」
「ああ」
「王様を殺そうとしていたの?」
「ああ」
「私たちのことも、最初は何とも思っていなかった?」
「人間ども、としか思っていなかった」
ミレーヌは顔を歪めた。
ベルタは目を伏せた。
「すまなかった」
「私たちがあげた物も、全部捨てた?」
ベルタは顔を上げた。
「捨てるわけがない」
仕事着のポケットから、王子にもらった革手袋を取り出す。髪にはアンナから贈られた髪紐が結ばれ、制服の下にはロッテが編んだ靴下を履いていた。
「全部、持っている」
ミレーヌはそれを見て、しばらく黙った。
「誕生日に泣いたのも嘘?」
「泣いていない」
「そこはまだ認めないのね」
「両目に紙の屑が入った」
「分かったわ。もうそれでいい」
ミレーヌは深く息を吐いた。
「私、まだ怖いし、腹も立ってる」
「当然だ」
「でも、ベルタがベルタじゃなかったとも思えない」
ベルタは何も言えなかった。
「だから、すぐ元通りは無理だけど……また一緒に働くくらいなら、いいと思ってる」
その日の夕食には、ミレーヌがベルタの隣へ座った。
翌日にはアンナが裁縫箱を持ってきた。
ロッテは数日迷ったあと、以前慰めてもらったときの礼をまだ返していないと言って、菓子を半分よこした。
関係は少しずつ戻っていった。
完全に元通りではない。
それでも以前より、正直なものになった。
ベルタはもう故郷や家族について嘘をつく必要がなかった。
分からないことは、知らないと言った。
魔物の頃の話を求められれば、話せる範囲で答えた。
人を殺したことも隠さなかった。
皆が顔を曇らせれば、ベルタも黙った。
それでも、誰も彼女を寮から追い出そうとはしなかった。
やがて王子が、ベルタと結婚したいと言い出した。
そこからが、本当に大変だった。
「駄目です」
王は即答した。
「身分でしょうか」
「その前に種族と経歴だ!」
「現在のベルタは人間と見分けがつきません」
「見分けの問題ではない!」
「国を守るためにも戦いました」
「最初は国を奪うために来たのだぞ!」
「今は違います」
「それだけで王族との婚姻を認められると思うな!」
王子は諦めなかった。
ベルタの身分をどうするか。
過去の罪をどこまで公表するか。
王位継承権へどのような影響が出るか。
子どもが生まれるのか。
生まれた場合、それは人間なのか魔物なのか。
そもそもベルタの年齢はいくつなのか。
「分からん」
「おおよそでも」
「分からんものは分からん!」
「王子と同じくらいの姿ではあるのよね」
王妃が尋ねると、ベルタは苛立ったように腕を組んだ。
「この姿は二十五歳くらいに作られた。元の俺が何歳だったかは知らん」
「百歳を超えていたりは?」
「数えていない」
貴族たちは頭を抱えた。
神官たちは議論した。
学者たちは資料を漁った。
国外から魔物に詳しい者まで呼ばれた。
ベルタは何度も、もう結婚しなくてよいのではないかと言った。
そのたび王子は、嫌だと答えた。
「お前は王子だぞ。もっと都合のよい相手がいるだろう」
「都合のよい相手と結婚したいわけではない」
「俺との結婚は都合が悪すぎる」
「知っている」
「なら諦めろ」
「嫌だ」
「子どもができるかも分からないぞ」
「二人で生きればいい」
「国民が納得しない」
「納得してもらう努力をする」
「俺が途中で元へ戻るかもしれない」
「そのときは、そのとき考える」
「醜いボストロールだぞ!」
「君は鏡を見せてくれないから、まだ分からない」
「見せん!」
結局、王子は何年かかっても説得を続けるつもりだった。
だが、彼が想像したほど長くはかからなかった。
ベルタは戦いのあとも城で働き、町へ出て、人々を助けた。
壊れた家の修繕を手伝い、風車の点検に通い、冬には兵士たちと共に雪かきをした。
最初は魔物だと恐れていた者たちも、やがて以前と同じように彼女をベルタちゃん、ベルタさんと呼び始めた。
パン屋の娘など、正体を知った翌日に言った。
「でも、パンはちゃんと毎朝買いに来てたじゃない」
「それでよいのか」
「代金もごまかさなかったし」
「判断基準がおかしくないか」
「それに、魔物でもベルタちゃんはベルタちゃんでしょう?」
ベルタはその場で泣きそうになり、危うくパンの籠を落としかけた。
城下の住民から、二人の結婚を認めてほしいという嘆願まで集まり始めた。
風車を作った職人たち。
井戸を使う住民。
ベルタに荷物を運んでもらった商人。
戦いで助けられた兵士。
メイド仲間と厨房の者たち。
ベルタ自身は、誰にも頼んでいなかった。
むしろ知ったときには、恥ずかしさと戸惑いで全員を怒鳴りつけた。
「余計なことをするな!」
「結婚したくないの?」
ミレーヌが聞いた。
「そうは言っていない!」
「じゃあ、したいのね」
「声が大きい!」
最後には王も折れた。
ベルタにもサマンオサの民を二度と裏切らないことを誓わせた。
「誓う」
ベルタは迷わず答えた。
「今度は、何に化けてでも守る」
「できれば今のままで守ってくれ」
王が疲れた顔で言った。
そして今日。
長かった騒動のすべてが、ようやく一つの結末を迎えようとしていた。
サマンオサ城の大広間には、朝から多くの人々が集まっていた。
王族と貴族だけではない。
城の使用人。
兵士。
町の職人や商人。
風車を作った者たち。
パン屋の親子。
王子は大広間の前方で、ベルタを待っていた。
正装に身を包んでいるが、落ち着かない様子で何度も入口を見る。
「殿下、まだ始まっておりません」
侍従に言われても、すぐにまた振り返った。
「逃げていないだろうか」
「花嫁がですか」
「今朝、ひどく緊張していた」
「逃げるような方なら、もっと前に逃げております」
「それもそうだな」
その頃、控え室では、ベルタが本気で窓から逃げようとしていた。
「無理だ!」
純白の花嫁衣装を着せられたベルタは、鏡の前で顔を真っ赤にしていた。
「こんな格好で人前に出られるか!」
「昨日までは大丈夫だって言っていたでしょう」
ミレーヌが背後から肩を押さえている。
「昨日は着ていなかった!」
「きれいよ、ベルタ」
アンナが裾を整えながら言った。
「似合ってる」
「だから余計に嫌なのだ!」
「どういう理屈?」
ベルタの花嫁衣装は、王家の婚礼にふさわしい格式を持ちながら、過度に華美ではないものが選ばれていた。
柔らかな白い布が長身の身体へ沿い、腰から下へゆるやかに広がっている。袖は動きやすいよう細身に作られ、裾もベルタが転ばないよう、一般的な王族の婚礼衣装より少し短く調整されていた。
髪は赤褐色のまま、丁寧に編み込まれている。
そこへ小さな白い花と、仲間たちから贈られた髪紐が結ばれていた。
「王子が見たら、きっと固まるわね」
ロッテが笑う。
「なら見せるのをやめよう」
「無理です」
「普段の制服では駄目か」
「駄目です」
「裸よりましだろう」
「比較する対象がおかしい!」
ベルタは何度も深呼吸した。
戦場へ出るときより緊張している。
魔王の影と向き合ったときよりも、勇者へつえを渡した夜よりも、足が震えていた。
「本当に、俺でよいのか」
不意にベルタが呟いた。
部屋が静かになった。
「王子の妻になるのだぞ」
「そうね」
「いずれ王妃になるかもしれない」
「そうね」
「元ボストロールだぞ」
「知ってる」
「王を殺そうとした」
「それも知ってる」
「皆を騙していた」
「何度も聞いたわ」
ミレーヌはベルタの前へ立った。
「でも、今までずっと、それを理由に逃げなかったでしょう」
ベルタは黙った。
「王子殿下も、王様も、町の人たちも、何も知らずに許したわけじゃない。全部知った上で、今日ここにいるの」
アンナも頷いた。
「ベルタが自分を許せないのは分かる。でも、今日は少しくらい、自分が幸せになることも許してあげたら?」
「……難しい」
「メイドの仕事だって、最初は難しかったでしょう」
ロッテが言った。
「祝い方だって分からなかった。友達になる方法も、好きな人と話す方法も」
「今もよく分からん」
「でも、できたじゃない」
ベルタは鏡へ目を向けた。
そこには、白い衣装を着た女がいた。
一年前、初めてへんげのつえでこの姿になったときは、屈辱に顔を歪めていた。
人間の女の身体など、王を奪えばすぐ捨てるつもりだった。
だが今、鏡に映る姿を見ても、偽物だとは思わなかった。
床を磨き、パンを運び、仲間と笑い、風車を作った身体。
王子に抱き締められた身体。
自分がベルタとして生きてきた証だった。
扉が開いた。
大広間へ続く廊下の先から、音楽が聞こえる。
ベルタは仲間たちに囲まれながら歩き出した。
大広間の扉が開く。
集まった者たちの視線が、一斉にベルタへ向いた。
ベルタは一歩目で帰りたくなった。
二歩目で王子を見つけた。
彼は祭壇の前に立ち、目を見開いていた。
本当に固まっている。
ベルタは少しだけ胸を張った。
あれほど見惚れているなら、この衣装を着た苦労も無駄ではなかった。
だが、王子の目が潤んでいることに気づくと、得意な気持ちはすぐに戸惑いへ変わった。
「泣くな」
近くまで来たベルタが、小声で言った。
「まだ泣いていない」
「目が赤い」
「両目に紙の屑が入った」
「その言い訳は俺のだ」
二人は小さく笑った。
王子が手を差し出す。
ベルタは一瞬、その手を見つめた。
勇者たちの宿で抱き合った夜。
王の前で裁かれた日。
結婚を認めさせるために、二人で何度も頭を下げた日々。
すべてを越えて差し出された手だった。
ベルタは自分の手を重ねた。
式が始まる。
神官が二人の出会いと、これから共に歩む道について語った。
ただし、出会いの事情についてはかなり穏当な表現へ言い換えられていた。
「異なる場所より来た二人は、城において出会い――」
「国を奪いに来たのだが」
ベルタが小声で言う。
「今日は黙っていてくれ」
王子も小声で返した。
「互いに理解を深め、困難を乗り越え――」
前列にいる王が額を押さえていた。
誓いの言葉を求められ、最初に王子がベルタへ向き直った。
「ベルタ」
「ああ」
「初めて君と話したとき、君は噂通りの、力持ちで美人だが異常にガサツなメイドだった」
「結婚式で喧嘩を売るとはよい度胸だ」
会場から笑いが起こった。
「だが、君は誰より真面目に仕事を覚え、誰かに必要とされることを喜び、国を守るために自分のすべてを捨てようとした」
王子の声が真剣なものへ変わる。
「君がどこから来たのかも、どのような姿で生まれたのかも、過去に何をしたのかも忘れない。それでも私は、今ここにいる君を愛している」
ベルタは唇を引き結んだ。
目が熱くなる。
「生涯、私と共にいてほしい」
「ああ」
声が震えた。
ベルタは一度咳払いをし、言い直した。
「私は、お前を騙した。お前の父親を殺そうとし、この国を壊そうとした」
大広間が静まり返る。
王子は目を逸らさなかった。
「だが、お前はそんな俺を見つけ、ベルタと呼んだ。この国の者たちは、俺に働く場所と、帰る場所と、生まれてきた日までくれた」
ベルタは会場を見渡した。
ミレーヌたちが泣いている。
パン屋の娘も、職人たちも、兵士たちもいる。
勇者一行の女性陣も微笑んでいた。
王は厳しい顔をしていたが、その隣の王妃は静かに頷いていた。
「俺は、立派な人間ではない。そもそも人間かどうかも怪しい」
小さな笑いが起きた。
「だが、ベルタとして、お前とこの国を守る。今度は命令されたからでも、潜入のためでもない。俺自身がそうしたいからだ」
王子の手を、強く握る。
「だから、これからも俺のそばにいろ」
「それは私の台詞では?」
「先に言った者のものだ」
「分かった。では、一生そばにいる」
神官が困ったように咳払いをした。
「誓いは成立したものといたします」
指輪が交換された。
内側には、五月十八日の日付が刻まれていた。
「なぜ誕生日まで」
「君がベルタとして生まれた、大事な日だろう」
ベルタは指輪を見つめた。
もう涙を止めることはできなかった。
今日も止められなかった。
けれど、止めようとは思わなかった。
王子がベルタの頬へ触れ、涙を拭う。
「泣いているな」
「両目に――」
「今日は紙の屑をまいていない」
「なら、衣装が重いせいだ」
「目から出るのか」
「うるさい」
神官が二人へ口づけを促した。
ベルタは急に緊張し、王子の胸元をつかんだ。
「皆が見ている」
「結婚式だからな」
「後では駄目か」
「駄目だと思う」
「人間の習慣は本当に面倒だ」
「もう慣れただろう」
「これには慣れていない」
「では、今日から慣れればいい」
王子が身を寄せる。
ベルタは一瞬だけ目を閉じるのを忘れ、慌てて閉じた。
二人の唇が重なった。
大広間に歓声と拍手が響いた。
ベルタは驚いて王子から離れ、反射的に周囲を睨みつけた。
「騒ぐな!」
さらに大きな笑いが起きた。
「花嫁が客を威嚇するな」
王子が笑いながら言う。
「うるさい。慣れていないのだ」
「知っている」
王子はもう一度、今度は額へ口づけた。
ベルタは顔を真っ赤にしながらも、逃げなかった。
式のあと、城の中庭で祝宴が開かれた。
ベルタは次々に祝いの言葉を浴び、何度も礼を言わなければならなかった。
パン屋の娘は特大の祝いのパンを焼いてきた。
「ベルタちゃん、おめでとう」
「ありがとう」
「最初にお礼を言ってくれた日、あんなに怖い顔をしてたのにね」
「忘れろ」
「無理」
ミレーヌたちは、ベルタが贈り物を受け取るたびに横から説明した。
「これは花嫁用の髪飾り」
「すでにつけている」
「これは明日から使う部屋着」
「布が薄すぎないか」
「王子殿下が喜ぶと思う」
「返してこい!」
近くにいた王子が残念そうな顔をしたため、ベルタは足を踏んだ。
皆が笑った。
夕暮れになると、風が中庭を通り抜けた。
城下町の外れに立つ風車も、同じ風を受けて回っているはずだった。
以前、ベルタはその前で一人泣いた。
自分が何者なのか分からず、どこへ行けばよいのかも分からなかった。
今日は、隣に王子がいる。
周囲には仲間たちがいる。
指には、誕生日が刻まれた指輪がある。
「ベルタ」
王子が呼んだ。
「何だ」
「幸せか」
ベルタはすぐには答えなかった。
幸せというものが、何なのか。
昔の自分なら考えもしなかった。
力を持つこと。
敵を屈服させること。
食べたいだけ食べ、恐れられること。
それが満足だと思っていた。
だが今は違う。
朝になれば仕事があり、町へ行けば名前を呼ばれる。
失敗すれば叱られ、うまくできれば褒められる。
誕生日を祝い、誰かのために贈り物を選ぶ。
作ったものが人の役に立ち、守りたい相手が隣にいる。
ベルタは王子の手を取った。
「ああ」
今度は迷わなかった。
「幸せだ」
王子が微笑む。
ベルタも、少しだけ笑った。
魔王の命令によって作られた、偽りの姿。
王へ近づくためだけに与えられた、偽りの名前。
けれど、その姿で過ごした日々も。
その名を呼んでくれた人々も。
ここで得た幸せも。
もう、何一つ偽物ではなかった。
風が吹く。
遠くで風車が回り、水を汲み上げている。
王子とベルタは手をつないだまま、祝福の声に満ちた中庭を歩いていった。