地球連合軍・情報部
極秘/閲覧権限:佐官以上
対象:リリー・マルレーンを旗艦とする正体不明武装集団
1. 概要
対象艦隊は、ザフト・地球連合軍双方の既知の艦艇体系に属さない大型艦を旗艦としている。
主力MSについても、既知のザフト製MS、ストライク系列とは明確に異なる設計思想を持つ。
特筆すべきは、これらの兵器が旧式に見えるにもかかわらず、搭乗員の練度が極めて高いことである。
対象艦隊は単なる海賊・傭兵集団として分類するには組織化されすぎている。
戦闘時の連携だけでなく、補給、整備、損傷機の回収、負傷者の救護に至るまで、一個の軍事組織として高い統制が確認されている。
2. 人員について
構成員の身体的特徴について、コーディネイター特有の身体能力を明確に示す証拠は得られていない。
一方、MSパイロットの反応速度、空間認識能力、戦闘時の判断速度には高い水準が認められる。
特に艦隊司令シーマ・ガラハウについては、年齢・外見から想定される一般的な兵士の能力を明らかに上回る。
しかしながら、
「コーディネイターである」と断定できる遺伝学的証拠は存在しない。
むしろ興味深いのは、対象自身がナチュラル/コーディネイターという区分にほとんど関心を示していないことである。
尋問および接触時の会話記録からも、構成員が相手の遺伝的属性を問題視した形跡は確認されていない。
3. 推定
現時点で以下の三説を検討する。
A:コーディネイター主体の傭兵集団
可能性:中
B:ナチュラル主体だが、長期間の軍事訓練によって高い戦闘能力を獲得した集団
可能性:中~高
C:既存のナチュラル/コーディネイター分類そのものが適用できない集団
可能性:不明
ただし、Cについては現時点で根拠が乏しい。
なお、対象の戦闘能力を「コーディネイターであること」によって説明することは推奨しない。
確認されている技量の多くは、長期間にわたる軍事経験、反復訓練、機体特性への高度な習熟によって説明可能である。
4. 危険度評価
高。
ただし、敵対意思は確認されていない。
対象は戦闘そのものよりも、補給・修理・生存を優先する傾向がある。
これは戦力不足の結果ではなく、彼らの行動原理そのものと考えられる。
「勝つこと」より「生き残ること」を優先する武装集団。
この点は通常の傭兵とは異なる。
対象が交戦を避ける場合、それを「弱腰」と判断するべきではない。
むしろ、勝利によって得られる利益と人的・物的損失を比較した上で、必要のない戦闘を避けているものと推定される。
補足:
本情報部が現在最も判断に苦慮している点は、対象が高い戦闘能力を有しながら、戦果そのものにほとんど執着していないことである。
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ザフト・プラント最高評議会/軍事情報部
対象:未確認大型艦および所属MS部隊
1. 第一印象
対象艦隊の装備は奇妙である。
旧式に見えるMSを多数保有しているにもかかわらず、操艦・戦術運用・整備能力は高い。
特にMS部隊は、一機あたりの性能差を戦術によって補う傾向が顕著。
個々の機体性能よりも、複数機による相互支援、退路確保、損傷機の援護を重視している。
これはザフトのMS運用思想とは異なる。
2. コーディネイター判定
現段階では、
「コーディネイターである可能性は否定できないが、積極的にそう判断する根拠もない」
とする。
対象の会話・文化・技術知識には、プラント圏のコーディネイター社会との明確な共通性が認められない。
また、ザフト系MSの操縦者であるにもかかわらず、ザフトの軍事思想やプラント社会への帰属意識が希薄。
むしろ、
「国家や民族ではなく、自分たちの集団そのものを単位として行動している」
と評価するべきである。
対象にとってMSは、ザフトを象徴する兵器ではない。
あくまで生存のために使用する兵器の一つであると推定される。
3. シーマ・ガラハウについて
対象司令官は危険人物。
しかし、典型的な好戦型指揮官ではない。
交戦回避、撤退、補給、整備、人的損失の抑制を優先する。
これは臆病とは異なる。
彼女は戦闘能力を持ちながら、
「戦わなくて済むなら戦わない」
という選択を躊躇しない。
この判断は合理的である。
また、部下の損失を許容することで勝利を得るという判断を極端に嫌う傾向がある。
4. 総評
対象艦隊を「ナチュラル勢力」「コーディネイター勢力」のいずれかに分類することは推奨しない。
彼らはシーマ艦隊という単独の集団として扱うべきである。
ザフト製MSを使用していることは、ザフトへの帰属を意味しない。
彼らが何を信じ、どこから来たのかについては依然として不明。
ただし、
我々の兵器を使用する。
しかし、我々の大義を必要としていない。
この点には注意を要する。
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オーブ連合首長国・情報局
対象:シーマ艦隊
評価
対象は非常に興味深い。
彼らは自分たちの出自について極端に口が堅い。
しかし、同時に他者の出自についても深く追及しない。
ナチュラルかコーディネイターか。
それを聞いても、
「仕事ができるか」
「約束を守るか」
「仲間を裏切らないか」
という基準を優先する傾向が確認されている。
これはオーブの理念と完全に一致するわけではない。
彼らは平和主義者ではない。
必要なら武力を行使する。
ただし、武力を目的にはしない。
彼らにとって戦闘は目的ではなく、目的を達成するための手段である。
特記事項:技術者について
対象艦隊の整備思想には興味深い特徴がある。
旧式機を使い続けることに対する抵抗が極めて少ない。
むしろ、
「まだ使えるなら使う」
という思想が徹底されている。
これは物資不足による苦肉の策とも考えられるが、艦隊全体に共有された文化である可能性が高い。
彼らにとって「古い」という言葉は、必ずしも「使えない」という意味ではない。
修理できる。
部品を作れる。
整備できる。
そして乗員がその機体を理解している。
その条件が揃う限り、旧式機であること自体を問題視していないようである。
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ジャンク屋組合・内部評価資料
対象:シーマ艦隊
危険度:高
信用度:高
この二つは両立する。
シーマ艦隊は荒っぽい。
武装もしている。
だが、契約を破るタイプではない。
ロウ・ギュールによる付記:
「シーマさんは怒ると怖いけど約束を守るいい人だぜ」
詳細な出自については本人たちから説明なし。
ロウは彼らのMSを調べた結果、既知のCE系統とは異なる技術体系であると判断している。
しかし、シーマ艦隊は自分たちの出自について説明することを拒否。
ロウ自身も、それ以上は追及していない。
組合側総評
あいつらがナチュラルかコーディネイターか?
知らん。
そんなことより、
「あいつらが約束を守るか」
のほうが重要だ。
そして今のところ、守っている。
だから仕事を回す。
それだけで十分。
追記:
シーマ艦隊について、組合内で出自を詮索することを推奨しない。
本人たちが話したくないことを無理に聞き出す必要はない。
仕事をして、約束を守る。
それで互いに困らないなら、それ以上のことを知る必要はない。
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クライン派・非公式分析
対象:シーマ・ガラハウおよびその艦隊
ラクス・クラインによる所見
「あの方々は、自分たちが何者であるかを、とても大切にしているのでしょう」
ただし、それは「自分たちはナチュラルだ」「自分たちはコーディネイターだ」という意味ではない。
むしろ逆。
彼らにとって重要なのは、
「自分たちはシーマ艦隊である」
ということなのではないか。
国家でも、民族でも、遺伝子でもない。
長い戦争を共に生き残ってきた仲間そのものが、彼らの帰属先になっている。
だからこそ、彼らにとって「所属する場所」を尋ねることは、単純な質問ではないのだと思います。
彼らはすでに、自分たちの帰属する場所を持っている。
ラクスによる補足
「だからこそ、私たちも彼らを無理にどこかへ分類してはいけないと思います」
彼らはクライン派ではない。
しかし、敵でもない。
利害が一致すれば協力する。
必要がなくなれば、それぞれの道へ戻る。
その距離感を尊重する必要がある。
彼らが私たちと同じ考えを持つ必要はありません。
私たちが彼らと同じ考えを持つ必要もありません。
それでも、互いに約束を守ることはできる。
それで十分なのではないでしょうか。
非公式追記
シーマ・ガラハウ本人への面談記録より。
ナチュラル/コーディネイターの区別について質問した際、対象は一度だけ沈黙。
その後、
「……そんなこと知って、何になるんだい?」
と回答。
続けて、
「仕事ができる奴なら、それでいいじゃないか」
と述べた。
それ以上の質問には回答しなかった。