ダンジョンに愛を求めるのは間違っているだろうか 作:新グロモント
突如現れた
僅か数か月で成し遂げた偉業は、誰にも真似できないほど。だが、その栄光にも陰りが生じ始めていた。出る杭は打たれる――世の常とはいえ、その逆境を覆してこそ、英雄たる資格があるというものだ。
今、ある派閥の円卓では、新たに彼らを仲間に加えるべきか否か、真剣な協議が行われていた。歴史ある派閥として、容易に受け入れるわけにはいかない。どんな組織であれ、加入のための最低条件というものがある。
そうでなければ、長年組織の椅子に座り、血肉を削って支えてきた者たちに示しがつかないからだ。
ある者が口にする。
【結成から一年も経たぬ未熟な派閥を、末席とはいえ加えることには反対だ】
また、別の者が追随する。
【主神の神格は最上級だ。あれに比肩する神格など、そうそうない】
会議は熱を帯びていく。
【【ソーマ・ファミリア】を崩壊させ、我々の取引先である【アスクレピオス・ファミリア】がソーマを牛耳る形となり、豊富な資金がこちらにも流れてきている】
【更には、ダンジョンに神を連れ込み、迷宮の楽園で神威を発動させ、リヴィラの街を半壊させたモンスターを自ら討伐する……まさにマッチポンプの鏡だ】
【まだあるぞ。あの【アポロン・ファミリア】を、
【そして、娼婦欲しさから【イシュタル・ファミリア】をも事実上壊滅させている。しかも、どうやってかは知らぬが、あの【フレイヤ・ファミリア】も介入させている。どさくさに紛れて娼婦だけは、しっかりとホームに匿っていたぞ】
並べられる成果に、その場にいる誰もが「素晴らしい」と感じていた。同じことができる存在がどれだけいるだろうか。だが、それでも腑に落ちない者がいる。
【だが、今までの出来事は全て偶発的だった可能性もある。我々の立場からしても、慎重にならざるを得ないだろう】
【偶然で、数か月も経たずに大規模なファミリアをいくつも潰せるなら、我々はこれほど苦労はしていない。彼等は我々の同胞になり得る存在だ。……だが、そちらの懸念も理解できる。仮に我らと目的を同じくする者だった場合、オラリオで明日も危うい彼等を助ける必要がある。既に眷属に指示して、彼等のホームに魔法を撃ち込もうとした馬鹿は処理してある】
【さすが、争いが本業だな。では、此方は商業系らしく物資支援といこう。彼等は今、オラリオ中から疎まれて食料調達すら苦労しているはずだ。食べ物の恨みは長引くからな】
こうした影からの手助けこそ、支援を受ける側にとっても好都合だ。いわゆる『足長おじさん』理論。恩を売れば、相手はいつまでも恩義を忘れない。
【駄目だ。駄目だ。駄目だ。今までどれだけ実績を積まれようと、主神の性格的にあり得ない。俺は天界でのやつの性格を知っている】
【一理ある。では、こうしよう。やつらが再度オラリオに多大な影響を与える大事件を起こしたとき、正式に我々の仲間に受け入れると】
【……大事件か。いいだろう。誰もが認めるレベルの大事件を起こした場合には、私も派閥の席に加えることを認めよう】
こうして、長い会議が終わる。まとめ役が高々と宣言した。
【我ら
オラリオでは評価が下がるようなファミリアであっても、相対的に闇派閥内では評価がうなぎ登りになる。そして、酒が入ると会議に出席する神と言えども、軽口が出始める。
【『リトル・ルーキー』への貢物はどうするか。やはり、女か】
【それ以外にはあり得ないだろう。とある確かな情報筋からな、『金髪』『長髪』『エルフ』が好みだと】
【娼婦の狐人は、『金髪』『長髪』だったな】
【戦争遊戯での助っ人は、『金髪』『エルフ』だったな】
【思いを寄せていると言われる剣姫は、『金髪』『長髪』だったな】
英雄色を好むというが、幅が広すぎた。
英雄色を好むというが、幅が広すぎた。そもそも『エルフ』の女性の何割かは、『金髪』『長髪』の特徴に該当する。そんなに欲しいのならば、闇派閥はダース単位でベル・クラネルの好みの女性を用意するだろう。
【あんたの所にたしか、『長髪』『エルフ』がいたな。属性が一つ足りないが、丁度よいだろう。たしか、二つ名は『
闇派閥内部で、誰が新たに加わる盟友に贈り物を準備するか、第二の会議が始まる。オラリオに変革をもたらすため、彼等は今を輝くベル・クラネルを待ちわびていた。
そんな会議が行われた翌日にまさか、地上で大騒動を起こすとは――闇派閥の神々も、彼の活動から目を離せなかった。
本編とは関係ない閑話と言ったレベルです。