ダンジョンに愛を求めるのは間違っているだろうか 作:新グロモント
ギルドは、オラリオにおける
ひょっとしたら、他の街に移動したのか。それとも、裏家業から足を洗って引退したのかなど、希望的観測がギルドにもあった。だからこそ、【ロキ・ファミリア】の救助のため、オラリオ全軍を動かした。
その結果がこれだ。
もはや、ギルド長ロイマンの首一つでは到底賄う事が出来ない被害。地上に残っている冒険者は極わずか、殆どがダンジョンにおり、使い物になる冒険者は中層以降に配備されている。
すなわち、直ぐに戻ってこれるような万年
ギルドは、このままオラリオに残っていても状況は改善しないと判断した。そこで神々を安全な場所に避難させることを最優先にする。彼らが死ねば、ダンジョンにいる冒険者が死ぬ。神や冒険者が死んだ次にターゲットにされるのは、ギルドだ。
それが分かっているロイマンの行動は早い。我先に逃げないのは、逃げた所で捕まるのは分かっている。隠れても同じだ。だったら、目立つ餌を用意して本命を隠すのが、戦略的に正しい。
これからの指示を伝えるためロイマンは、エイナを呼び出して伝える。
「避難民たちを連れて学区に向かいなさい。整備中とて沖合までなら行けるかもしれない。それに学区の一部教師陣営は今回の救助作戦に参加していない。彼らがいれば少しは安全のはずだ」
「ギルド長…じゃなかった、ギルドの
この期に及んでも豚と呼んでくるエイナにロイマンは、責任感ある顔で答えた。
「私はギルド長だ。神々もいるこの場を離れるわけにはいかん。君達だけでも早く避難しなさい」
そう……神ウラノスがいる地下祭壇は、大人数は収容できない。現在、救助作戦で詰めている神々だけでも手狭だ。残った僅かな席は、ロイマン自身が座る。地下祭壇は、対侵入者用の設備もある。
なにより、神フレイヤがいる。神フレイヤの傍にいれば、戻ってきた【フレイヤ・ファミリア】に最速で救助されるという作戦だ。
それに、この状況で大人数で移動するなど
ロイマンは、この時ほどギルドの受付を顔採用していて良かったと思った。慰み者にでもなってくれれば、さらに時間を稼げるだろう。それに彼女たちも命が助かるかもしれない。そんな事だとは知らずに、エイナ達ギルドの受付嬢や職員たちは市民を連れて学区を目指す。
それを見届けたロイマンは、数日分の食糧を携えてウラノスの地下祭壇に避難を始める。
ヒトは、緊急時に程、本性が表に現れる者であった。
◆◇◆◇
オラリオの街にいて、送還された神の数は、6人目となる。
バベルにいる神たちは、今後の対応に悩まされる。この場にいる神ヘスティアを盾に、
神フレイヤが一つの提案をだす。もしかしたら、この問題を解決できる方法かもしれないと。
「私の全力の『魅了』ならオラリオで暴れている
「はいはい!! 僕は、賛成票を入れる。そうだよ、フレイヤの『魅了』で操っちゃえば僕の無罪も証明されるんだから」
神タケミカヅチに逃げられないように、袈裟固めを決められながら神ヘスティアが全力で賛成票を入れる。状況が状況だ、この際眷属たちも助けられるなら『魅了』の一つや二つ構わないと全会一致がなされる。
神フレイヤの『魅了』にかかってからは、神ですら逆らえない程。対『魅了』の専用スキルなんて理解できないものがない限り防げない。
この状況下となっては仕方がないと神ウラノスも承認する。バベルの設備を使って、神フレイヤが『魅了』を全力で行使する。その声を聴いただけで、逃げる市民も動きを止めてしまう。誰もが意識を奪われてしまうが……
間違いなく『魅了』は発動したのに
こんなことができるのは……。
「……ヘスティア。最近、あなたの血をどこ何提供した記憶はないかしら?」
「あのね、フレイヤ。僕が
神としての最高位の
神フレイヤが一度見せた『魅了』の手札だ。今回使われた時に備えて対策しておくのが、冒険者だ。準備も入念に行い神への対策も万全。流石、盟主ヘスティアが率いる
味方の冒険者は弱く少ない。敵の冒険者は強く、充実した装備や『魅了』への対抗装備も備えている。
「ドちび。ぶっ殺したる。もう、我慢できへん。お前等だって、そうだろう。こいつがいるせいで、全てが台無しや。ウチの眷属たちも一人、また一人と死んでんだぞ。救出部隊が間に合っていれば、助かったかもしれへんかったんだぞ」
神ロキの怒りが臨界点を突破する。
周りの男神たちが殺傷沙汰にならないように彼女を押さえつけた。勿論、男神たちも気持ちは、理解できる。だが、今、神ヘスティアを殺して何になる。彼女の眷属には魔剣、レベルブースト、瘴気回復などのチート魔法がたくさんある。
それらを今失うのかと。天秤がギリギリ生かす方向に倒れていた。正直、これらの改宗が終わっていれば、誰も止めなかった。
「何でもかんでも僕のせいにするな。全部、偶然じゃないか。偶然の責任を僕に押し付けて君達は満足なのか。それでも神なのか。何度も言っているじゃないか。本当に、僕が
その言葉……確かに、一理あると皆が思う。
「お前んところの
「情報が古いわねロキ。それだとまだ7割くらいよ。後3割くらいいるからね。というか、私の名前を挙げないのよ……後、私が知らない名前もあるわ」
男神たちは、正直まじで死んでくれないかなと本気で思った。今あげられた女性たちは、神たちの中でも人気がある者が多く、非常に美しい女性たちだ。それだけを半年で釣り上げた才能は恐ろしいどころか恐怖すら抱く。僅か、半年で両手では足りない程のオラリオでも有数の美女・美少女と交友を広げ、数名落としている。実働日を計算すれば、ほぼ毎週新しい女性と関係を持ったことになる。
ダンジョンで冒険をせず、女性関係で冒険をする冒険者
神ヘスティアも脱帽の女性関係だ。だが、今はそんなことは問題じゃない。このままじゃ、本当にロキに殺されかねない。助けが欲しいと願うヘスティアに応える者がいた。
地下祭壇に投げ込まれる熊すら悶絶する超強力唐辛子煙玉。その威力は、ヘスティアを拘束していたタケミカヅチ様が手を放しまう程だ。
「神様、助けに来ました。どうせ、こんなことになっていると思いましたよ」
「そのこえは、サポ……リリ君。すまない。皆が落ち着くまで僕を見つからない場所に」
この地上には、【ヘスティア・ファミリア】の残存勢力がいた。ヘディンに地上での参謀を任せられたリリカル・マジカル……本名リリルカ・アーデ。
その後ろ姿を目撃したフレイヤ。逃げる彼女の魂をはっきりと確認した。
「ねぇ、今煙幕が途切れた隙間から、【ヘスティア・ファミリア】の新人エルフ……リリカル・マジカルだったかしら。語呂がいい名前よね。あの子の魂をこの目で初めて見たけど……先日、うちのアレンとそっちのティオネが殺したと言っていたリリルカ・アーデの物だったわ」
「はぁ?ありえんやろう。その二人が揃って確実に殺したと豪語しとったんやぞ。見間違い……というわけでもないか。戦争遊戯であれだけ多大な被害を出した人の命を何とも思わん
これが許せることなのか。先日の戦争遊戯では、派閥連合側にも尋常じゃない被害が出た。参加させられたファミリアは、死者多数で解散にまで追い込まれたファミリア運営が成り立たないレベルになっているところも未だ多い。
しかも、アレンとティオネが確実にリリルカ・アーデを殺しているのならば、蘇生順番を無視して蘇生が行われた証拠でもある。
「アレが生きている事を隠していたなんてね。ここまでコケにされたのは初めてよ、ヘスティア。あれは、生かしていたらいけない存在なのよ。
神フレイヤは、連絡用の
『後1時間……いいえ、40分で戻ります。それまで、籠城で時間をお稼ぎください』
『随分と早いわね、ヘディン。ところで、そこにいるアレンに伝えて頂戴。リリルカ・アーデは、生きていると。今の名は、リリカル・マジカルというエルフの姿でしぶとく生きているとね。私を失望させないでと』
地上に最速で戻っている【フレイヤ・ファミリア】メンバーたち。彼等の殲滅対象に、リリカル・アーデの名前が追加された。
深層組……そこでは、リュー・リオンの新スキルが大活躍して、再出現した"穢れた精霊"モドキを木っ端みじんに粉砕する。まぁ、リューさんの心もずたずたですが。
リューの放つ魔法が、発動中の【正義継巡(アストラエ・ヴァルマス)】の強化対象である同じ神血(イコル)を持つ眷族に命中、または貫通(フレンドリーファイア)した際に発動する常時(パッシブ)効果。【正義継巡】によって『魔力』及び精神力(マインド)を加算・増幅された眷族の肉体を光の導通線(ブースター)として媒介し、命中・貫通した眷族一人につき、対象の魔法『ルミナス・ウインド』の純粋な破壊力・質量・貫通力を二倍(乗算)へと固定増幅させる。
つまり、蘇生で蘇っているアリーゼ、椿、ライラ、リャーナ、セルティの命を全て同時消費する事でルミナス・ウインドの威力が32倍にまで高まる。オッタルの最大火力にも比肩しチートスキルよ。