異物語   作:一兵卒

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100%続かないと思った第二話です。


めだかパーフェクト・貮

003

 

 

 

 場所は移り、時計台地下――にある研究所入口の門。

 ……時計台に地下室があるってだけでも吃驚だって言うのに、それに加えてその奥で非人道的な実験が行われているなんて誰も想像できないだろうな。

 

 どうやら門番もいるようだ。

 白髪と黒髪の、恐らく双子であろうペアが門番の様に立ちはだかっている。それに加えて、人吉善吉が一人で双子と言い合っていた――善吉もいたのか。不知火からは聞いてなかったぞ。

 

「ひょっとしたら勘違いしているのかもしれないけれど、チャレンジは何回してもいいんだよ」

「君の気が済むまで挑戦したらいい」

「な……!?そういうことは先に言えよ!」

 

 ――あの様子を見るに、どうやら一緒にいたはずの黒神めだかは、完璧な生徒会長はこの門を突破したようである。

 門にはよく見ると、三×四のキーボードにプラスしてディスプレイのようなものが存在している。どうやら、あれでパスワードか何かを入力するようだ。

 

「――それじゃあ、僕にもやらせてもらおうかな」

「ッ……阿良々木先輩!」

「よお」

 

 肩に手を置いて話しかけただけで、相当に驚かれてしまった。かなり集中していたらしいな。

 

「「……いらっしゃいませ」」

 

「君たちも、フラスコ計画とやらの参加者なのか?」

「さっきも言ったけど、僕らは只の門番さ」

「無視して通り過ぎてもらっても構わないよ」

 

「「ただし、この拒絶の門を通れたらね!」」

 

 説明を聞いたところ、やはり門に備え付けられている電子錠を解除してしまえば、あっさりとこの扉の向こう側へといけるそうだ。

 一度に通れるのは一人のみ、一度開けばパスワードは変更される。

 

 パスワードは6桁。

 通れる確率は百万分の一、だ。

 

 ――だけどまあ。

 

「空から降ってきたクラスメイトに体重がなくて、あまつさえそいつがとんでもない危険人物の確率よりかは、ずっとマシさ」

 

 そういって僕は、迷うことなく適当に、六桁の数字を打ち込む――。

 

 ビーッ

 

 ……明らかに何かが失敗した音がした。

 扉は当然開かない。

 

「フッ……失敗……ッ、失敗ですね……ッ」

「またのご利用ッ、お待ちしています……フフ」

 

 ダメだ。門番の双子くんも笑いをこらえている。と言うかこらえきれていない。

 

「阿良々木先輩……」

 

 背後からは(間違った評価ながらも)慕ってくれている後輩の落胆したような声。不味い、このままでは数少ない僕を尊敬してくれている人物がいなくなってしまう!

 

 と、合わせる顔もないと言わんばかりに電子錠に向き合っていると(何度かチャレンジしたけれども全部駄目だった)、背後から二人ほど、聞き覚えのある足音がした。

 

「善吉君は諦めがいいし、先輩は相変わらず諦めが悪いね」

「阿久根先輩!喜界島!二人とも……どうしてここに!?」

 

 阿久根高貴二年生と、喜界島もなか一年生。二人とも生徒会のメンバーだ。……紹介が雑なのは許してほしい。メンタルに余裕がないのである。

 聞き耳を立てていると(この間も振り向いてはいない)、どうやら二人もまた、不知火に言われてこの場へと駆けつけてきたようだ。

 この場合助け船どころか、大砲をぶち込んでくる黒船であるが。

 

「せんぱい、のいて」

 

 レディファーストという事で、喜界島が僕を押しのけて電子錠のパスワードを打ち込む。……()()()()()()。しかしそのことに対して、二人は大層に驚いていた。

 

「驚くなよ二人とも、何せこの扉が開く確率は百万分……」

「ですけれど先輩、この扉は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です。つまり、めだかさんが次に打ち込みそうなパスワードを入れれば突破できたはずなんですけれど……」

「……」

 

 僕だった。

 状況をややこしくしたのは、またもや僕だった。

 恐らく彼らは、次の正解のパスワードにあたりをつけていたのだろう。しかし僕と言う外的要因が、その予測をしっちゃかめっちゃかにかき回してしまったのだ……。

 

 やべえ。

 どうするんだよ。

 

 しかしこの、どうしようもないかのように思われた状況に対して、阿久根高貴後輩がとった手段は、非常にシンプルだった。

 

 手にとったのは手段と言うか、蝋台だったが。

 

 彼は一声、喜界島に声をかけ、そして彼女がその場から離れたと同時に、そのいかにも高級そうな蝋台を電子錠に叩き付けた。

 

 とんでもない破壊音と共に、電子錠の破片が散らばる――。

 

 なるほど、()()()()()()()()()()()()()()()のか。

 無理やり扉をこじ開けてしまえばいい。

 

 あらかじめ言っておくが、この行動は普段の彼のキャラクター性とはかけ離れた行動である。

 

 阿久根高貴。

 二年十一組の特別体育科に在籍している秀才――否、『特別スペシャル』。

 何事にもスマートな手段での解決を試みるが、その本質は全くの逆。

 力押しの力技こそが彼の代名詞である。その証拠に、彼の中学での異名ニックネームは『破壊臣』!

 

 六十回ほど叩き付けられ、跡形もなく砕け散った蝋台を見て、僕は自身の影に眠る吸血鬼に囁きかける。

 

 その吸血鬼の名前は忍野忍。

 かつてのキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。美しき鬼のしぼりかす――は、現在僕の影に住まわっている。

 全盛期の力のほとんどは失われたものの、僕の影に存在している間は、その力を少しだけ取り戻す事が出来る。

 彼女に行使してもらった力は『物体創造』。読んで字の如く、無から物体を創造するこの世の自然法則に盛大に逆らう能力だ。そのほかにもまだまだ超自然的な能力を自在に使う上、全盛期には程遠いというのだから、まったく末恐ろしい話である。

 こうして作り上げた物体は『鉄バット』。阿久根の破壊臣時代にも活躍していた、破壊行為のマストアイテムである。

 

「阿久根、これを使ってくれ!」

「先輩が直接手伝ってくれてもいいんですよ……とッ!」

 

 そんな軽口を叩きながら再開された破壊行為。激しさは一層増し、火花を散らしながら一心不乱に叩き付けられた扉は、ついにこじ開けられた。

 

「一生懸命に頑張ってみるものだな。累計僅か152回のチャレンジで扉は開かれた!」

「さすがだな阿久根は……どうした二人とも、そんな目で僕を見て」

「……いや、あの鉄バットはどこから取り出したのかと思って」

「手品ってわけでもなさそうだし」

「ああ、それは俺も思ったよ」

 

 完全に失念していたが、彼等に春休みからの話はしていない。

 

「あれだよ、隠し持っていたんだ。一人前の男たるもの、鉄バッドの一本や二本ぐらい持ち歩くものさ」

「……まあ、そこまで深入りしなくてもいいんじゃねえか?誰だって秘密の一つや二つあるもんだろ」

 

 人吉……!持つべきものは良い後輩だった。いやあ初めてだなあこんなに良くしてくれる後輩は!うん、初めてだ!

 マゾで百合で腐ってて露出癖のある後輩など知らん!

 

「さあ、行こうかみんな。めだかさんが待ちわびている――俺達は、全員そろって生徒会だ!」

 

 かくして僕たちは、と言うか主に阿久根高貴の活躍によって時計台地下の研究所施設を守る門――通称『拒絶の扉』を突破した。




喜界島もがなさんマジでごめんなさい。

アンチ・ヘイトタグが常に火を噴く妄想です
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