異物語 作:一兵卒
めだかちゃんには阿良々木先輩とタメ口で話していてほしいね
それと、本話から原作の台詞を端折ることが多くなります。叱られるのが怖いので……どうかご了承ください
あとスマホ執筆なのでここ数話は短めかもしれません
004
双子の異常児が門番を務める、通称『拒絶の扉』を突破した先には、件の生徒会長・黒神めだかが待っていた。
「阿良々木先輩じゃないか――なるほど合点がいった。そりゃあ喜界島会計も善吉もいつまで経ってもこないわけだ」
「……どういうことだ?」
「私はヒントを出していたんだよ。恐らく次のパスワードが善吉の誕生日だったからな。善吉はもとより、喜界島会計になら聞こえると踏んで言い残したのだが……阿良々木先輩が挑戦して失敗したのだろう」
う。
そうか、阿久根と喜界島は黒神のヒントの上で目途をつけていたのか。
……で、僕がそれをめちゃくちゃにしたと。
「ちなみに善吉は気が付いたか?」
「……残念ながら全く。と言うか喜界島が俺の誕生日を覚えてくれていたことがびっくりですよ」
こいつらの付き合いはせいぜいが二・三カ月だろう。それなのに仲間の誕生日を覚えているとは……最初見たときは冷たい奴だと思ってたけど、喜界島はやはり仲間想いなのだろう。
「ごほん!」
「そろそろいいかな!」
話していて、一向に先に進む気配のない僕らにしびれを切らしたのか、双子の門番くんたちがわざとらしく咳払いをし、そして説明を始めた。
「見えてないわけじゃないだろう、この扉とキーボードが」
「これはフラスコ計画の最深部にして最新部直通のエレベーター――そしてそれを稼働させるキーボード」
「「ただし今度は六桁の暗証番号なんて温度調整な関門じゃないぜ」
「キーボード入力によるかな漢字交じりの文字数制限なしのパスワードを入力しなければ」
「このエレベーターは稼働しない!」
……これまた骨が折れそうな難易度である。それに、今度は扉をぶっ壊すわけにはいかない……何せそんなことをしてしまったら、エレベーターは停止するだろうから。
「……もういいよそういうのは。試されるのは一度で沢山だ――私たちは階段で行かせてもらうよ」
ま、僕としては異論はない。そもそもエレベーターの突破なんてできないだろうし……生徒会メンバーも、どうやらやる気十分のようだ。
「正気かい生徒会長」
「それだと全フロア――全13階を網羅することになるぜ!」
双子からの問いかけに、黒神は凛として答える。
「構わん」
と。
そうして僕らは、茨の道を歩むこととなった。
005
「ははは、さすが黒神さんですねえ」
理事長室で、不知火袴は呟く。豪奢な椅子に座りながら見ているモニターには、黒神めだか一向が映し出されていた。
「十三組一人、十一組二人、そして一組二人ですか。ダンジョンに踏み入るパーティーとしては随分とバランスが悪い⭐︎
「人吉くんが黒神さんについてくるのは当然としても、阿久根くんと喜界島さんが──ましてや阿良々木くんまでが一緒についてくるのは想定外です
「ひょっとして、君が何か企んだんじゃありませんか?
「袖ちゃん」
袴が視線を移した先にいたのは不知火半袖。
彼女はがつがつと、ばりばりと、むしゃむしゃと、肉やら魚やらの料理を貪っていた。彼女は心底愉快そうに、理事長であり祖父である袴の問いに答える。
「んー、イエイエ、ちょおっとばかしソソノカシタだけですよ。仲間外れは可哀想だしね──最も、一人は
「ははは、
ぼりん、と一層強い音を立てて、半袖は肉のこびりついた骨を噛み砕いて飲み込む。
二人のいう『彼』──阿良々木暦。
その正体は、怪異もどきの吸血鬼もどき。腕をくられれば再生し、しかして十字架に触れようとも死ぬことはない──死んでも死なない吸血鬼体質を、彼は所持している。
発端は春休み、無事人間に戻ることはできたものの、わずかにその力の残滓は体中に留まることとなった。
しかして彼はあくまで『異常体質』であり、『異常』であるかは定かでない。
「あたし個人としては、『吸血鬼体質』をのぞいたとしても『異常』だと思うけどねー」
「そんなことありませんよ──彼はただの『普通』です。だから彼を一組に配置したんですよ」
「……ま、私としては普通だとか特別だとか異常だとか、
「黒神めだかの最も特異な点は周囲に対する強烈な影響力」
「だからあたしはあの女が嫌いなのさ!」
「……ははは、そうですね。そうかもしれません。袖ちゃんからの珍しい忠告、ありがたく受け取っておきましょう」
袴は茶を啜り、そして思考する。
「(そういう意味では。一番気にかかるのは善吉くんだし、一番警戒するべきは阿良々木くんなのかもしれません)」
「(扉の番号を示唆したのは黒神さんとはいえ、人吉くんが通ろうとした時に拒絶の扉が設定した暗証番号は彼の誕生日でした)」
「(しかも、そこまでお膳立てが済んだ上で、阿良々木暦が介入して状況をややこしくした)」
「(コレは果たして、偶然で済ませても良いことなんでしょうか……?)」
答えはない。
ちょっとずつこの世界の阿良々木暦くんを深掘りしていきましょう