Fate/alter Seven Sight ――the First Sight――   作:どっこちゃん

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五章ー3

(土曜日・未明)

 

 私は走っていた。

 あれほど漆黒の色味を重ねていたはずの森の暗がりには、すでに薄ぼんやりとした明かりが差し込み始めていた。

 

 夜はもう終わりを迎えようとしている。なのに、私は止まれなかった。

 

 走って、走って、ただ、走り続けていた。何も考えられなかった。意識は硬直し、思考は停止して、どうして走っているのかさえ、何から逃げているのかさえ、見失って走り続けた。

 

 ただ苦しくて、わけがわからなかった。もう走らなくていいはずなのに、どうして私はまだ走っているのだろう。

 

 いつの間にか、暗い山の斜面に灯りが見えた。ああ、晦の里だ。あそこに逃げ込めば何とかなる。あそこには師の工房がある。――私は知らぬうちに山の反対側に出てしまっていたようで、月を目指して昇っていた筈の斜面をいつの間にか下っている状況だった。

 

 そんなことさえ失念してしまうほど、私は無我夢中で逃げ惑っていたのだ。

 

 訳がわからなかった。どうして夜鳴手錐人は死んでいないのだろうか? あそこまでバラバラになっておきながら、どうして生きているというのだ? サーヴァントの宝具をまともに受けて四散したというのなら、もはや再生など叶わぬはずだというのに……どうして、どうして、どうして…………。

 

 思考はもはや、疲労と混乱とで暗転と空回りとを繰り返すばかりだった。そのまま留まることなく走り続けて、私は知らぬうちに歩き慣れた山道を駆けていた。

 

 淡い安堵が湧き起こった。すでに枯渇したかに思えた五体に僅かな篝火が灯った。

この先には師の屋敷がある。もう、眼と鼻の先だ。

 

 この際、面子だの矜持だのというものはどうしようもなかった。もはや最後の令呪も無くし、サーヴァントであるライダーとのつながりも殆ど感じられない。これ以上は無理だった。

 

 この上は、何の体裁を保てずとも師に助けを求めるしかなかった。

 

 ただ、生き延びたい。死にたくないという、その一念で私は住みなれた師の屋敷の前にたどり着き、そこでしばし呆然と立ち竦んだ。

 

 堅固な守りを持つ一流の魔術師の工房。それは一種の異界にも例えられる魔術的要害のはずだ。なのに、その堅牢な筈の結界は根こそぎ破られていた。トラックの侵入すら防ぎとめられそうな高い塀と城門がまるでおもちゃのように切断されていたのだ。

 

 私はすんなりと敷地の中に入った。何の魔術的設備も働かなかった。つまり誰も私に気付いてくれなかった。そこには誰もいなかったのだ。

 

 凄まじい戦いの痕跡だけが残されていた。なんということだ。最後に師と連絡を取ったのはつい先日のことだ。

 

 その間に、こんなことが起っていたなんて、いや、そもそも私自身が昨夜から交戦状態に入っていたのだから、気付かないのも無理はないのだが。

 

 それでも今日戦闘があったのなら、それを察知することくらいはできたはずなのだ。訝る私は破壊された瓦礫の中に僅かに燻って煙を上げている部分を見つけた。つまり、この惨状を作り出した戦闘、あるいは襲撃は、今しがたまで行われていた可能性が高いのだった。

 

 私はタッチの差でそれに遭遇しないで済んだらしい。それがいいのか悪いのかは判断が難しかった。

 

 一つわかることは、私が縋るべき最後の光明が、全く消え失せたということだ。

 

『やられたよ』

 

 人の声音ではない。音波ではなくノイズの混じった言霊のようなものが背後から響いてきた。

 

 あのまま古代道で回復に専念していればいいものを、あの怪人はわざわざ私を追ってきたのだ。

 

 振り返り、奴の姿を見た。

 

 その変わり果てた姿を率直に言い表すなら、それは真赤な案山子だった。それも何年も風雨にさらされきったボロボロのヤツだ。

 

 あの洒脱な光沢を持っていた外套は殆ど意味を無くし、それの首の辺りに引っ掛かっているだけだった。

 

 真っ赤に見えるのは、四散した五体を無理につなぎ合わせているからだ。まともにつなぎ合わせられるような部品はないと見えて、総身が流れ出した血液と飛び散った肉片にまみれているのだ。

 

 あらためて、とても生物が生きていられる状態ではないと思われた。魔術師だろうが魔獣だろうがなんだろうが、どうしてこの状態で生きているのかまるで理解できなかった。 

 

 それでもその五体には凄まじい魔力だけは歪に循環しており、あの古代道から充分な魔力だけは補充してきているというのが見て取れた。

 

 状況は最悪だった。擬態魔術を持続することができず、私はよろめいて膝をついた。魔力を漲らせているヤツに対し、私の体にはもはやそこらの女学生以下の能力しか残されていなかった。その上助けを呼ぶことさえ出来ないのだ。

 

 不気味な言霊が続いて流れてきた。奇妙なイントネーションだった。まるで喜々として笑っているようだった。

 

『本当にやられたよ。こうまで破壊されてはいくら魔力があっても、もうこの身体(・・・・)の再生は無理だ』

 

 否、事実としてヤツはこの状況を楽しんでいるのだ。

 

『令呪も失ってセイバーとのパスが途切れてしまった。おそらく、君のライダーと相打ちになったのだろうな。あの状況から相打ちにまで持っていくとはさすがに計算外だった。セイバーがだらしないというよりは、はやりあのライダーが凄まじいポテンシャルを秘めていたがための結果だろうな。

 ク、ク、ク。セイバーも、おとなしく君を追っていればこんなことにはならかっただろうにねぇ。――いや、そうではないな。総てはあらかじめ予見されていたことと考えるべきか。

 君はそれも総て見通していたのだろう? 読んでいたのだね。なるほど、ならば真に賞賛すべきは君の機智であるべきだ。――しかし、それでも君には残念な知らせがある。この体はまだ少し動くようなのだ。ここで君を殺しても意味のないことなのだが、ただじっと動かなくなるのを待つのも、無為なのでね。せめて君と決着をつけようと思うのだよ』

 

「…………ッ」

 

 勝手なことを言ってくれる!

 

 私は敵に背を向けて屋敷の敷地内を目指して走った。もう足の感覚は無かったが、とにかく転げるようにして走った。

 

 絶望している暇はない。まだやれる事はある。少なくとも、ここには私の本来の工房があるのだ。そこまで行ければ――。

 

『つれないな』

 

 ダメージを重ねすぎた体は動こうとするたびに歪に引きつって、いくら早く走ろうとしても体は思うように動かない。もたついているうちに、襤褸切れの塊のような体は私に目の前にいた。

 

 今にも分解しそうな腕が伸び、信じられないような腕力で私の首根っこを捕まえた。

向こうもかなりの重症――というか明らかにその五体はちぐはぐに繋ぎ合わされただけの継ぎ接ぎで、どうしてそれが動いているのかさえもが疑わしかった。

 

 しかしそれ以上の思考は許されなかった。私の身体を捕まえた案山子はそのまま人形みたいに私を振り回し、そこいらの瓦礫の上に叩きつけた。

 

 抵抗どころではない。殺される。向こうも殆ど魔術は使えないようだったが、今の私を殺すのに魔術は必要ない。きっと子供でも私を殺せるだろう。

 

 必死になって瓦礫の中から這い出した。骨がまた幾らか折れたようで、腿には太い木片が突き刺さっていた。

 

 芋虫のように這うことしかできず、私は本当にここまでか、という諦観の思いを持て余した。

 

 しかし、それでもまだ手足が動くのなら、諦めることだけはしたくなかった。

 

 私はまだ生きているのだ。人を最後に殺すのは諦めだ。己の念なのだ。最後に自分を殺すのは何時だって自分なのだ。だから、ここで生きる事を止めてしまうことだけはしたくなかった。

 

 だいぶ、時間をかけて身体を起こした。

 

 そんなに時間があるのになぜ追撃がこないのか不思議に思って振り返ると、そこにはキリヒトを取り囲むように何十匹もの猫たちがいたのだった。私の使い魔たちだった。

 

 凄まじい唸り声の合唱が聞こえているはずだというのに、それがまるで聞こえてこないので、私はようやく自分の聴覚が麻痺していたのだということに気が付いた。

 

 私は助かった、とは思わなかった。私の使い魔の使い方はつまるところ感覚の拡張端末としての意味合いが大きく、戦闘には向かないというのは前述のとおりだ。

 

 もとより彼らに戦う力はない。その意味では彼らはただの猫なのだ。あんなバケモノに抗える道理がない。というより、本来足止めなどかなうはずはないのだが……。

 

 怪人は一本だけ残った右手で瓦礫の木柱を引き抜き、それをふるって足許に群を成す猫たちを蹴散らしていた。本来、猫の反射神経と移動速度は人間の及ぶところではなく、さらに今のキリヒトは継ぎ接ぎの身体を持て余しているようで、その動きには精彩がない。

 

 ゼンマイ仕掛けの人形のようなぎこちない動作しか出来ていない。だからこそ使い魔たちは弾き飛ばされながらも何とか持ちこたえてはいたようだった。

 

 が、無論、威嚇するのがせいぜいで、反撃などは出来る筈もなかった。

 

『何処だッ! 何処にいる?』

 

 そう叫ぶ怒号のような念波と同時に、ふいごのようなフューフューという間抜けな音が聞こえてきた。聴覚の異常は一時的なものだったようだ。

 

 ――そこで私は気が付いた。なぜあいつは私を見つけれらないのだろう? 猫の群に阻まれているとはいえ、暗がりの中、私の肢体の姿を覆い隠すものは、それこそ薄布の一枚すらないのだ。

 

 炸裂音のような音が響き渡り、数匹の猫達が吹き飛ばされた。そのうちの一匹が血にまみれながら私のほうに飛んできた。

 

 三郎、と私が呼んでいる野良猫だった。よく私の所に餌をもらいに来る常連だった。

 

「……もう、いい」

 

 私は虫の息の三郎を抱き上げ、その血と自分の血を指で掬い取り、額にラインを描いた。魔術発動の触媒だ。軟膏の代わりだった。用意していた軟膏は総て使い果たしてしまっていたから。

 

 そうして念意を使い魔たちに伝え、私は下がるように命じた。このままでは全滅は時間の問題だったからだ。

 

 確かにこの猫たちは私の使い魔だ。それでも私のための盾になる必要などない。そんな契約はしていない。義務もない。義理だってない。私はただ自分がそうしたいから彼らの面倒をみていただけなのだ。

 

 この猫たちが、私なんかのために死ぬような理由は何処にもないのだ。

 

『ハハァ、そこか!』

 

 猫たちは一斉に道を明けた。そしてようやく、暴れたせいで接合面がずれ、より歪な形になったバケモノが私を見つけた。

 

 私はそれに背を向け、最後の力を振り絞って駆け出した。抱きかかえた小さな鼓動が消え行くのが感じられた。私の鼓動はまだしっかりしている。まだ動ける、まだ生きている。

 

 なら、やれるだけやってやる。もはや逃げても生き残ることはできない。

 

 斃すしかないのだ。ヤツを。

 

 私は必死で駆けた。継ぎ接ぎなバケモノはそれを追って来る。なんとものろまな徒競走だったことだろう。足を引きずる私と、ブリキのおもちゃの様な怪人とで。

 

 まだだ。まだ、やれることがある。敷地の奥、本館の裏手に、私の本来の工房がある。せめてそこまでいければまだやれることがある。だから、それをやるまで諦めるな。

 

 己を叱咤しながら、私は倒れこむように敷地の外れにあった古ぼけた建物の中へ転がり込んだ。

 

『ほう、ここは……君の工房だったのか』

 

 すぐに閉鎖(ロック)された筈の工房ドアを、こともなげに腕力だけで粉砕した歪なバケモノはすぐに天井に向けて瓦礫をばら撒き、室内の照明を根こそぎにしてから再び薄暗い闇に沈んだ室内に入ってきた。もとより雑多な物置状態だった工房内は一瞬で廃墟のような有様になった。

 

『変わった趣向だな。魔女の館にカトリックの祭壇とは……いや、違うな、黒ミサや儀式をするのにも祭壇は必要なのだったな。神への冒涜ためにはうってつけか……しかし、それでも魔術師の工房の中に在るのは解せんな。ここは工房ではないのか?』

 

 私の工房はその大部分が礼拝堂になっていた。とはいってもその殆どは実質的に物置になっている。

 

 実際にはもともと物置だったのだ。この屋敷そのものが今では別の場所に移設したミッション系スクールの跡地をシュタウフェンが買い取ったものなのだという。この礼拝堂はその名残だというわけだ。

 

 物置として使われた場所を、わたしが自分の工房として借りていたという訳だ。無論、魔女の工房としてはまさしく珍妙と映ったことだろう。

 

 私はその祭壇の前に、今にも事切れてしまいそうな猫を抱いて座り込んでいた。

 

『自分の工房の中なら何とかなると思ったのかね? しかし私は捨て身なのだよ? そんな敵を押し留める手段が今の君にあるのかね?』

 

 ちぐはぐになった怪人紳士は血を流し、祭壇の前に座り込む私の姿に、揚々とした念波を送ってきた。それに私は肉声で鋭く応えた。

 

「……口だけだ。捨て身だなんて。それ(・・)は元から、貴方の体じゃない」

 

 もはや口すら無い、継ぎ接ぎの五体にも関わらす、その朽ち果てた案山子のような顔が笑ったような気がした。

 

『もう、全部知られているということでよいのかな?』

 

「……さっきのでようやく確信できた。あの時、あなたは私を見ていなかった。あなたが見ていたのは、私の中の消えかけの魔力だけ。だから周りの猫たちと私の見分けがついていなかった。

 ……あなたの本体は霊体、というよりも生霊なんだ。エクトプラズム体だけが本体で、それが生きた触媒として、戦闘のための、より強靭でそしていくらでも代えのきく身体を使用できる。

 それが、あなたが百年以上も自分でこの儀式に参加し続けていられる理由」

 

 そうだ、今この薄暗い室内でその赤い襤褸雑巾の塊のような五体を注視してみれば、その所々から漏れ出しているのは、最初の夜から目にしていたあの奇妙な青や緑の光に濡れ光る流体物だった。

 

 生身の肉体ではなく。あのエクトプラズムのほうがあの魔術師の本体だったのだ。

 

『やはり、君は……優秀な魔女らしいね。素養はともかく、その思考力、行動力、そして精神力……己の「血」だけに寄りかかった愚図どもとは雲泥の差だ。君を侮りすぎたことが私の敗因だろうな』

 

 己の有様を嘆くような台詞を吐きながら、怪人は哀れみを含んだような感嘆の言霊を響かせた。

 

 私にはそれがただひどく耳障りだ。とだけ感じられた。高名な魔術師に認められたという感慨は微塵も沸いてこなかった。

 

「……あなたこそ言うだけのことはある。……夜鳴手、錐人。御三家の一角にしてこの儀式の核であるサーヴァントシステムの提唱者。……その魔術理論の根本にあるのは、あなた自身の魔術なんだ。……ようやく、解った」

 

『そのとおり、私の体はいわばサーヴァントのプロトタイプとでもいうようなものでね。依代となる人間を用意して、私という生霊が物質化するための触媒とする。最も主従関係は人間と霊体で逆になるがね。

 時空の彼方から英霊を呼ぶのは聖杯の役目だが、それをサーヴァントという形に固定できるのは私の技術あってのことなのだよ。その上、この数十年の間に実際に稼動しているサーヴァントを観察し、幾度となく素体を作り直して最適な素体を作り上げてきたのだ。

 私の本来の肉体は滅んでしまったのでね。私は仕込んだ素体が成熟するまでは眠っているのさ。そして聖杯戦争が始まるとともに、私は新しい身体を得て復活する』

 

「……それが……この街の都市伝説、「赤い外套の悪魔紳士」の噂が数十年ごとに出回ってくる理由ってわけ」

 

 怪人は継ぎ接ぎの顔を歪めて今度こそ確かな微笑を浮かべた。きっと、本物の悪魔が牙を剥いたら、こうなるのだというお手本のような顔だった。

 

『この素体は傑作だったのだがね。その基礎能力は単体において騎士クラスのサーヴァントのそれに匹敵し、さらにこの笹ヶ谷に残されていた古代道遺跡の能力を転用できるようにチューンナップしたのだ。

 この笹ヶ谷という場所での戦闘においてはサーヴァントすら凌駕するといっても過言ではない。どうだったね?』

 

「……あの、遺跡道は、なんなの?」

 

『さてね。その由来衣冠についてはついぞ解らなかった。どうやら有史以前からあったようだということ以外はね。どうやら島原がこの儀式に協力するのはこの遺跡が関係しているらしい。

 ――まあ、私には来歴などどうでも良かった。有るのなら利用するだけだ。未だ生き残っている魔力の循環機構を利用してそこから魔力を吸い上げ、レイ・ラインを幾重にも使用できる機能に特化させた。

 最も、それも君に読まれてしまったわけだがね。君もよくあの古代道の事を知っていたものだ。シュタウフェンはこのことについてはまったく気にもとめていないと思っていたが、そうでもなかったのかね?』

 

 私は唇をかみしめた。

 

「……私がその事を知ったのは、シュタウフェンとは関係ない」

 

『ふむ、では独学だと?』

 

「……それは私の友達が残してくれたものから。貴方が殺した、何の罪も無い、一般人の、あの娘の、ファイルのおかげ……」

 

『…………何のことだ? …………悪いが、心当たりがないな。私とて魔術師、必要の無い殺人(・・・・・・・)など犯しはしない。

 ――いや、面白いな。その話には少し興味が湧いたよ。私達の認識には齟齬があるようだ。なるほどそういうことならば、おそらくは……』

 

 案山子はぶつぶつと念派を漏らしながら考え事を始めたようだった。

 

 私のほうといえば、別にヤツがなんと答えようと構わなかった。今更あやめの事を言っても意味の無いことだとは解っていた。

 

 そもそも魔術師には「唯の人間」の命など物の数に入っていない。きっとあやめの死も、憶え置く必要の無い事柄でしかないのだろう。それはいい。別にそれについて罰を与えたいなどとは微塵も思っていない。

 

 ただ――。血に濡れた猫を抱いて、再び死んでしまった級友の事を想った。きっと、あやめ本人は仇討ちなど望むような人間ではないのだ。

 今ヤツが彼女を殺した事を懺悔したとしても、何も変わりはないのだ。すでに死んでしまったあやめにはそれに応える事など出来ないし、私の溜飲も別に下がりはしない。

 

 罪をあがなうことなど、本当は誰にも出来ないのだ。起きてしまった過去が変えられないように、いくら罰を受けても、与えても、それは罪とは何の関係もないことなのだ。

 

 だから、私のやっていることは彼女のためではない。ただ、自分の自己満足のために――この魔術師を殺すのだと、私は改めて確認した。この行為を決して誰かのせいにしないために。

 

『……まあいい。いくら思考ばかりしても意味が無い。この続きは君の記憶を覗きながら、ゆっくりと考えることとしよう。さて、そろそろ時間もなくなってきた。君との戦いは良い経験になったよ。次の素体はもう少し改良が必要だな』

 

「……次?」

 

『そうとも、今も私の頭の中は次の素体をどうするのかのアイデアでいっぱいなのさ。もうすぐだ。もうすぐ完全な素体が出来上がる。……悪いが、そのためにもわたしは生きなくてはならない。そこで、君の身体をもらいうけようと思うのだよ』

 

 ボロの案山子からは、今や暗闇に滑り塗れ光る、蛸やクラゲの足のような触手が無数に伸ばされ、まるでそれ自体が蜘蛛の巣にでも掛かっているのではないかと思わせるような光景が広がっていた。

 

 いよいよ、キリヒトは素体である身体を捨て、本体であるエクトプラズム体を駆使して動き始めていた。

 

「……エクトプラズムは強い光に弱い……だからアンタは日の落ちた時間にしか活動しなかった。……町の街灯、この部屋の照明まで丁寧に破壊して……闇の中でなら、もしも素体を失っても自由に動けるから」

 

『そのとおりだよ。聡明なるお嬢さん。だから私には時間がない。朝が来ては私の負けだ。だから君の死体を貰い受けたいのだよ。君の中でなら、日光に照らされても問題はない。

 肉体のポテンシャルについてはともかく。君の脳髄の中には興味がある。私にとって、潔白で聡明な人間の脳髄は、例えるなら、綺麗に整頓された神殿のようなものでね。君は、住み心地がよさそうだ』

 

「……今、この子が息を引き取ったの」

 

 興奮を隠し切れないとでも言うかのように喋り続ける奴の言葉には応えず。私は静かに呟いた。

 

 ヤツが何らかの目的があってこそ、時間を駆けて喋っているのはわかっていた。私がそれに付き合っていたのは、これを待っていたからだ。

 

 私の手でそれを早めることはしたくなかった。私がコイツとの問答に応じていたのはこの小さな鼓動が穏やかに事切れるまでそれを、静かに迎えさせてあげたかったからだ。

 

 案山子が下卑た笑いの念派を張り上げた。

 

『――残念だが、その猫では私の隠れ蓑には小さすぎる。まあ、しばらくは一緒に連れて行ってあげるのもいいかもしれないね。それなら寂しくはないだろう。

 一緒に行ける連れ合いもできたことだ。さあ、観念し――』

 

 そのとき、奴のツギハギの身体は、床の下から迫り出してきた鋼鉄の金具に絡め取られた。

 

 後は一瞬だった。それは実際に魔女の拷問に使われたという鉄塊の群れだった。それが幾重にも案山子のようだった奴の身体に群がり、拘束し、切り刻み、あっという間に挽き潰してしまったのだ。

 

 しかし同時に私の体も拘束されていた。

 

 ぬらぬらと濡れ光る半霊体とでも言うようなエクトプラズム体が、私の周囲を取り囲んでいたのだ。

 

 そしてそれらは身体に備わる穴という穴から私の内部へ侵入を果たしていた。ヤツは会話をしながら、紐のようにしたエクトプラズムの触手を私の周囲に伸ばしていたのだ。

 

 時間稼ぎをしていたのはこのためだったか。

 

『私としても残念なのだよ。セイバーは消滅した。ここから存命できても、サーヴァントと令呪を失った私にもはや聖杯戦争を続けることは出来ない。

 つまりは引き分けだな。お嬢さん。しかも、もしも君の師匠が此処にいたのなら私はまんまとやられてということになる。……やはりここは痛み分けというところなのではないかな? 

 それではお嬢さん。名や血筋ばかりで中身の無い魔術師よりも、君と戦うのは面白かったよ』

 

 まるで軟体生物のような奇怪な塊となった生霊から響いてくる『声』は、まるで王手をかけたかのように勝ち誇っていた。後は私の身体を出来るだけ傷つけずに殺せばいいだけなのだ。

 

「……は、……む。」

 

 私は口腔内を塞がれたまま、言った。

 

『ぬ?』

 

 口内から粘液の糸を引いた半霊体物質が引き抜かれた。

 

「……私の名は小高森、涅」

 

 それ(・・)は確かに嘲笑し(わらっ)た。

 

『なるほど。憶えておこう、クロム。わが好敵手として』

 

 しかし、私は良く聞こえるように、言霊を震わせるようにして言った。それが奴にも良く聞こえるように。

 

「……そう、光栄だけど。……残念ながらあなたに次はないの。名乗ったのはあなたを殺す魔女の名を教えてあげるため」

 

 そのとき穴の空いた床のもっとも深い場所――つまり工房の中枢に仕掛けられた美しい装飾の施された軟膏壷がせり上がって来た。そして矢庭に凄まじい吸引力でキリヒトのエクトプラズム体だけを吸引し始めたのだ。

 

『――な、バ、馬鹿な』

 

 それに抗うように、私を拘束していた触手まで騒動紳して、その吸引に抗いながら流粘体のバケモノは悲鳴を上げた。

 

 ヤツは今までの私の戦法から、私の技量で作れる程度の罠ならば、容易に突破できると考えていたのだろう。しかしその目論見は大いに外れたといえる。

 

「あなたが生き残れない理由は二つある」

 

 私は立ち上がり、ゆっくりと宣言した。今錐人を拘束している吸引力は私には何の影響も与えてはいない。

 この罠……というよりも「罰」は、私の技量とは預かり知らぬところから力を得ているのである。

 

「……ひとつ、これは私が仕掛けた罠じゃない。咎人を罰するための「神罰」。ここはなんだと思う? ここは祭壇。……でも、魔女である私が神の子や聖霊を崇めると思う?」

 

 何か、強大な重力にでも捕らわれるかのようなエクトプラズム体の視線が跳ね上がって祭壇の上にあったものを見たのがわかった。

 

 霊体しか感知できなくとも、そこにあった呪物(オブジェクト)が十字架やマリア像とは異質なものなのだということがわかったことだろう。

 

 そこにあったのは、獣頭の女神をかたどったシンボルだった。

 

『こ、これは……』

 

 そのうろたえた様な言霊の響きは、燃え尽きる陽炎のように揺らいでいた。

 

「……彼女はエジプトで神格化された猫の女神『バステト』。古都ブバスティスで信仰されし女主人にして軟膏壷の貴婦人。

 ……古来エジプトでは「猫」は神聖視されるものであり、このバステトの神殿には実際に多数の猫のミイラが発見されている。――そして、彼女の領域、神殿内で猫を殺した者には例外なく神罰が下される……」

 

 濡れ光る生霊の視線が、私の腕に中で温度を失ってしまったそれに注がれた。

 

「……本当なら、使いたくなんてなかったけど」

 

『バカな……たとえそうであっても、この仕掛けを作ったのはお前だ。なぜお前程度の魔術師の罠にこれほどの拘束力があるのだ』

 

「……それは教会の、そしてあなたたちのおかげ」

 

『!?』

 

「……どうして私がこんなあからさま魔女の格好をしていると思う? なぜわざわざ神の教えを愚弄するような礼装を着て、カトリックの祭壇に異教の神を奉じているのかわかる? 

 ……そうすることで、私は全世界に十億以上もいる「神」への信奉者達の「憎悪の対象」となれるからよ」

 

 そう。教会と、その信仰を冒涜するために、私はあえて(・・・)この祭壇に我が信仰対象である彼女を祀ったのだ。

 ここは長らく教会の祭壇、つまり彼らの世界観に支配された空間だった。そこに異教の神であるバステトを祀ることで、彼女は善性の女神ではなく、悪魔としての属性を得ることになるのだ。

 

 キリスト教をはじめとする一神教には根幹となる思想がある。それはthe Creatorつまり「創造主」が天地を含めた世界の全てを創造したとする思想である。故に、彼らにとっては彼らの崇める創造主意外に神は存在せず、それ以外の物は全て塵から造られたcreatureすなわち被造物となる。

 

 ここで重要な事は、彼らはこの「絶対的な神」と「それ以外の総ての物」との関係を、彼ら以外の世界観にも強引に適用しようとする点である。

 

 戦国時代に日本へやってきた教会の宣教師たちは、現地で祀られていた神仏の像に強い嫌悪感を抱き、これを破壊するよう土地の領主たちをそそのかし、キリスト教の植民地となった南アメリカでも土着の宗教は徹底的に破壊され、住民は改教させられてしまったという。

 

 つまり、己が祭る以外の神は総てが塵なのだとする傲慢な教会の世界観の中では、神聖なるラーの娘バステトも神ならざるものであり、被造物。即ち神が創った塵でしかないということになる。

 

 私はこの場所を工房として設置するにあたって、この傲慢にして蒙昧なる一神教のシステムを、逆に利用させてもらうこととした。

 

 一神教の世界観において、神ならざる崇拝対象それすなわち「悪魔」となったバステト。それにむけられる逆説の信仰心、つまり強大な憎悪の念により、「悪魔バステト」はその従僕たる魔女としての私の存在をより強大にしているのだ。

 

「……教会の信者から異教の悪魔や魔女に向け続けられる憎悪の念が、逆に私達魔女の存在を浮き彫りにし、その純度を高めてくれる。……今あなたが受けているのは、数百年にわたって魔女に向けられ続けてきた憎悪の蓄積なの」

 

『か、神への冒涜。この工房はその、そのための邪悪なる儀式を行うために……』

 

「……それは違う」

 

 私は、即座にそれを断じた。

 

「……『神』への冒涜が、すなわち邪悪であるとは限らない。魔女は元来、邪悪な儀式など行いはしない。

 ……魔女が邪悪なものだと言うのは、新興してきたキリスト教徒たちが、もとより各地に根付いていたアニミズムに端を発する宗教の癒しや自然崇拝の観念を、勝手な解釈によって貶め、体系化して神の敵役としてレッテルを貼り付けたに過ぎない。

 ……魔女とは本来、一神教が世に蔓延る以前より人と世界との繋がりを担うものとして役割を持った人々だった。

 ……だから、私が行っているのは人の善性に対する冒涜ではなく、より狭い範囲への冒涜。それは教会の信仰に代表される、私達を「邪悪なる魔女」として貶め、侮辱のレッテルを貼り付けたものたちへのアンチナーゼに過ぎない。

 ……つまり、私が冒涜するのは教会の連中がご大層に崇める『神』に過ぎないということ」

 

 私はさらに続ける。

 

「……もっとも今の『彼女』は、「邪悪であれ」というカトリック信者達の法外な憎悪の念によってその存在をより強固な属性を付与されている。こうなってしまった「邪神」はもはや歯止めが利かない。

 ……解る? 今、あなたは間違いなく強大な「悪魔」と成り果てたバステトの禁忌を犯したの」

 

 吸引力が強まったようだった。エクトプラズム体の生霊は少しずつ奈落の底に引きずり込まれようとしている。

 

『ま、待ってくれ、私は教会の信徒ではない。魔女狩りは仕事で依頼されていただけなのだ。私の心は一度として神を崇めたことなどないのだよ。

 私達は同じ信念のもとに魔道を歩む同士なのだ。たのむ、たとえ死ぬとしても、こんな(・・・)死に方だけは納得できない。私は魔術師として誇りを持って死にたい……』

 

 それ(・・)はもはやスライムのごとく溶け崩れながら、恐怖を露にして命乞いをした。その声に私は応えた。

 

「……そう。確かに、心残りを遺したまま死ぬのは辛いね」

 

『そ、そのとおりだ。もう私に余力はない。頼む、最後に……』

 

「……でも」

 

 私は唇で言霊を揺らしながら、言った。

 

「……悪いけど、私には私のトモダチを殺したヤツを許す気なんて、最初からない。……魔女狩りだ、神だ、教会だ、なんて、……実はどうでもいいんだ」

 

『――――――ッッッツ!』

 

「……ついでに、あなたが生き残れない二つ目の理由」

 

 最後の捨て身とばかりに、キリヒトは総体の一部分だけを切り離して弾丸のように私へ向けて特攻を仕掛けてきた。

 先の戯言とは違う本気の捨て身だった。しかし、それをすさまじい勢いで天井を粉砕して現れた巨体が踏み潰した。

 

 断末魔を上げる間もなく、最後のエクトプラズム体は臨界を迎えたフウセンのように弾け、粉砕されて軟膏壷の中に吸い込まれた。

 

 そのまま、奴の霊体は消滅も出来ずに未来永劫罰を与えられ続け、最後には純粋な魔力の固まりになることだろう。聞こえてはいなかったかもしれないが、私は言葉を続けた。

 

「……セイバーは消滅したかもしれないけど、私のライダーは消滅してなんかいない!」

 

 

 風通しの良くなった天井からは、朝日の光が差し込んできていた。

 

 いつの間にか、夜が明けていたのだ。

 

 そのまま、朽木のごとくその場に倒れこもうとした私を、ライダーの厳つい大きな手が受け止めた。ライダーはそのまま私を壁際にもたれかからせ、その脇にどかりと胡坐をかいた。

 

「……セイバーには、勝てたんだ……」

 

 私は何とか壁から上半身を引き剥がして、ライダーを見た。

 

「フン。当たり前のことをぬかすな。快勝であったわ!」

 

 それにしても本当によくあの不利な状態から……。しかし、そう思ってよく眼を凝らしてみれば、その巨体はすでに存在感を失いかけていた。

 ライダーもまた致命傷を負っていたのだ。ライダー自身の言とは裏腹にセイバーとの一騎打ちは相打ちだったのだ。

 

「フフン。言っただろう、オレ様は今まで一騎打ちで負けたことなどないのだとな」

 

「……結局は引き分けじゃない。……それでも、すごいけど」

 

「フン。あの髭ダルマはちと嫌なヤロウに似ていたんでな、少しばかり力が入っただけのことよ」

 

「…………負けたくない相手に似てたったこと?」

 

「ハッ、負けるはずなどあるわけがないだろうが、ただ気に食わん奴だというだけだ」

 

 私は少し想像してみた。あの樽のような巨体。髭面、このライダーに絶対負けられないと言わしめるほどの豪遊。そして身のこなしは飛燕そのものと来れば……。

 

「……なんとなく、わかるかも」

 

 後世に流布するイメージがわかり易すぎる、この男とも刃を交えたという、ひとりの豪傑の名が浮かんできた。

 

「ええい、言うな! 酒が不味くなるわ」

 

 そう言って。ライダーは酒蔵から持ってきたらしい酒ビンを懐から持ち出した。

 

 私は溜息をついて言った。

 

「……そんなもの探してる暇があったら、もっと早く来れたんじゃ……」

 

「その辺りは大目に見ろ。どの道、もう時間もなさそうだったしな」

 

「……私がやられたらどうする気だったの?」

 

「勝つといったではないか」

 

 巨漢は自前の杯に自分で酒を注ぎ足しながら、あっけらかんと、そういった。

 

「……いや、言ったけど」

 

「そして事実として勝った。フフン。ならもしもの時このことなど考えるだけ損だ」

 

「……ライダー」

 

 これもある意味信頼というやつなのだろうか? とてもじゃないがコイツには似つかわしくない言葉としか思えないが……。それでも結果としてこいつは私の言葉を最後まで疑わなかったのだ。

 

 そう言って笑いつつ、いつものように豪快に杯を仰ぎながら、しかしライダーは情けなく眉根を上げた。

 

「それにしても、何とかならんのか? ここで消えるというのはなんとも歯痒いぞ。もう少しで聖杯とやらも手に入るのだろうし、まだやっておきたいことも、たんまりと有ったというのに……」

 

 私は呆れて顔を顰めた。

 

「……最後くらい、黙ってたほうがかっこいいんじゃない?」

 

「フンッ! 何を言うか、最後まで足掻けるだけ足掻いてなんぼだろうが!」

 

 そういわれて私は呆気に取られた。それはさっきまで私がやっていたことだ。やり通したことだ。

 

「……そうだね。足掻いてみて、なんぼだ……」

 

 観念して、潔くなんてのよりは、そっちのほうがずっといい。今なら私も心からそう思えるのだ。

 

「フン。まあ……仇は討てた。それで良しとしておくか」

 

「…………うん」

 

「で、この後、足下はどうするつもりだ? オレ様なしでも続けるつもりか?」

 

「……どうだろ。案外、もう決着は付いちゃってるのかもしれないし、また一からサーヴァントを探すのは、面倒くさいかも」

 

「だろうな。フフン、ましてやオレ様のように面倒身が良くて手間のかからないサーヴァントとなると、なおさらなぁ」

 

 まさか本気で言っているわけじゃないだろうな、こいつは。

 

「……ライダー、最後に何かして欲しいことはある?」

 

 朝日が私達の身体を照らしていた。ライダーの体はもう光の透過を防ぐことすら出来ていなかった。だから問うた。きっと、これが本当の最後だから。

 

「うむ。数えればきりがないが、ま、取り敢えずはこれだ」

 

 そう言って、酒瓶と一緒に持ってきた硝子杯を私に向けて突き出してきた。

 

「…………」

 

 とりあえずそれを受け取ってライダーを見た。いつもの不敵で分厚い笑みが私を見下ろしていた。

 

「幾度か一緒に卓は囲んだが、杯を合わせたことはなかったからな。フフン。とりあえず、祝杯だ。それから上手い酒と飯の礼は言っておくぞ。マスター」

 

「……うん。私のほうこそ、ありがと、ライダー」

 

 そう言って、一緒に杯を傾け、視線を戻すと、ライダーの巨体は陰も形もなかった。

 

 私はコップを空にして俯いた。

 

 最後の最後で、なんか調子を狂わせられた気がする。あいつはそういうキャラじゃないだろうに……。

 

「……上手い酒、か」

 

 その場に残された唯一の痕跡である酒瓶を手に取った。中身はしっかりと空だ。――しかして、その銘柄を見て、私は眼を剥いた。そして今度こそ仰向けに寝転んだ。まさしく仰天したのだ。

 

「……にしたって、……あのバカ何で一番高いロマネを……」

 

 ゆうに高級外車一台分の価値がある一本であった。師の酒蔵に在るなかでも秘蔵の品だ。あの短時間でじっくりと酒瓶を選んでいたとは考えにくい。

 

 おそらく一発でこれを引き当てて来たというのだろうか? いや、もしかしたら私が死にそうなのを知りながらじっくりと酒蔵に寄り道していた可能性も否定できない。

 

 兎角、これでは後で師に大目玉を食らうかもしれない。

 

「……あんの、馬鹿……!」

 

 まったくなんてヤツだろうか。やっぱりあいつはあいつだったみたいだ。最後の最後まで、私を当惑させてくれる。常識外れのサーヴァントだった。

 

 

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