二人はデックトップに手を置いて叫んだ。
「「モンコレファイト、デックオン!」」
流れるような動作で堂藤がダイスを振った。
見よう見まねで六道もテーブルの上に置いてあったダイスを転がす。
「2!」
「6だァ!」
「先攻は堂藤くんに決まったわ。こっちのターンが来るまで何もしないで」
宮村が小声で解説してくれた。
堂藤はじっと手札を見つめてから、本陣にカードを並べた。
「おれは〈ゴルディアスの爆殺兵〉と〈ゴルディアスの斬首兵〉を召喚するぜェ」
本陣に出されたカードはミノタウロスの絵が描かれていた。
大きくて立派なミノタウロスと、その部下っぽいひ弱そうなミノタウロス。
筋骨隆々の牛人はどことなく堂藤に似ている。
「おい。見ろよ」
「ああ。堂藤はゴルディアスデックみたいだな」
「あの難しいデックを回すのか!」
「だとすりゃ、噂以上の使い手だな」
堂藤の召喚したユニットを確認した外野たちは口々に驚きの声を上げた。
どうやらヤツは強いらしい。
モンコレ初心者の六道にもその雰囲気だけは伝わった。
――油断は禁物だ。
堂藤は外野のざわめきに満足げに頷くと、カードを二枚引いた。
「手札を二枚補給してターンエンドだァ」
「ようやくオレのターンか」
六道はデックトップに手を掛けた。
その挙動を見て、慌てて宮村が手を掴んできた。
「六道くん! モンコレにターン開始時のドローはないんだよ!」
「なんだと!」
「代わりに第一手札調整フェイズっていうのがあるんだけど、これは今のユニットたくさんの六道くんの手札ならやらなくていいかな。次の進軍/地形配置フェイズもいいかな。そうなると、次は召喚フェイズになるね!」
「よし! モンスターを出すんだな!」
六道青年は手札のカードを眺めた。
相手がそこそこの実力者らしいなら、出し惜しみは無用だ。手札のなかで一番強そうなヤツを出してやる! だったら、こいつで決まりだ! 六道は一枚のカードを抜き出して、本陣に叩きつけた。
「来い! 〈フェンリル〉!」
「おォ!? いきなり〈フェンリル〉だとォ!」
これには堂藤も驚いたようだ。
六道はさらにユニットを召喚しようと手札に目を戻したところで、奇妙なことに気が付いた。
――カードが光っている。
「え?」
手札のなかにある〈サキュバス〉のカードが光り輝いているのだ。
何度も瞬きしてカードを見直してみても、依然として変わらず光を放っている。
自分を出せ。ということか……?
六道はよく分からないまま、気づいたときには〈サキュバス〉を本陣に召喚していた。まるで夢魔の微笑に誘われたような動きであった。目覚めた直後の夢遊病者の気分とは、きっとこういうものなのだろう。
「〈フェンリル〉に、〈サキュバス〉……」
「一体どんなデックなんだ!?」
「想像しがたいな」
「ちゃんと回るのか?」
外野たちの心配そうなひそひそ声が耳につく。
少し不安になって六道は宮村を見たが、彼女も困ったように盤面を眺めていた。
「宮村、オレやっちまったか?」
「ううん。そんなに大きな失敗はしてないけど……」
「ならいい」
宮村の歯切れがイマイチ悪いのが気になったが、今はとにかく試合を進めることが第一だ。六道は自分の不安に蓋をして、冷静を装ってカードを二枚引いた。彼は手札補給に関するルールを知らないものの、堂藤の見よう見まねでそっくりそのまま二枚引いたのだ。
「で、ターンエンドだ」
こうして、六道の初めのターンは終わった。
ようやく試合らしくなってきました!!
いやー、ここまで長かった。
ほんとに、いろんな意味で……
ショップ大会に出て、ルールもあやふやなまま試合したり(まんま六道ですね)。自分でオリジナルデック作って、市販のトライアルデックに吹き飛ばされたり(モンコレは難しい)。「なろう」にアップして、消されたり(てへっ☆ミ)
次回は二ターン目まで終わらせます。
乞うご期待!!