両軍のエースが姿を見せる!?
2-3、2ターン目
「おれのターンだァ!」
堂藤は手札のカードを一瞥してからニヤリと笑った。
「手札調整はなしィ。進軍フェイズに移るぜェ」
デックトップのカードを裏向きのまま自軍領土の前まで引っ張っていく。
「堂藤が代理地形を置いたぞ……」
「護方陣はなしか」
「デックに入ってないんじゃないか?」
「いや。引かなかっただけだろ」
「どうだかな」
外野たちがガヤガヤと騒ぎ立てた。
地形?
何のことやら分からない六道は自分の手札にそれらしきカードがないことを確認して、気を取り直した。どうやら、なくても大丈夫なカードらしい。だったら深く考える必要もなさそうだ。引いたらそのとき考えよう。
「おれは代理地形に〈ゴルディアスの爆殺兵〉と〈ゴルディアスの斬首兵〉を進軍させて、進軍フェイズを終了するぜェ! それから、装備品〈ブラッドアックス〉を〈ゴルディアス爆殺兵〉に装備ィ! さらに本陣に〈爆殺王ゴルディアス〉を召喚ン!」
ドンッ!!
重々しい物音と同時に一枚のカードが本陣に叩きつけられた。
「で、でたぁぁぁあああ~~ッッ!!」
「〈爆殺王ゴルディアス〉!!」
「堂藤が序盤から狂牛の王を出しやがったぞ!」
「こりゃぁ、六道とかいうやつがどう返すか……見ものだな!」
本陣に呼び出されたモンスターは、他のミノタウロスとは一線を画く姿をしている。
禍々しいまでに伸びた二本角。
鋼のような巨躯。
赤くきらめく邪悪な双眸。
モンコレに詳しくない六道でも何か得体の知れぬ迫力を感じた。
こちらの反応に気をよくした堂藤は、にやにや笑いながらデックトップを二枚捨て札へ送った。
「おれは2点の英雄点を支払い、手札を補給してターンエンドだァ!」
「くっ! オレのターン!」
異様なプレッシャーを感じつつ、六道はターンを開始した。
堂藤にならって代理地形を配置。そこに〈フェンルリ〉と〈サキュバス〉を進めようとしたところで、また宮村に手を掴まれた。
「代理地形のリミットは8よ!」
「日本語で話せ!」
「あー……ごめんごめん。本陣以外の地形には、ユニットの合計レベルが8以内になるようにしか進軍できないんだよ。ちなみに本陣だけはリミットが10あるんだけど、とりあえず、今の場合は〈フェンリル〉を進軍させたら、〈サキュバス〉は本陣でお留守番しなきゃ」
「なるほど」
六道は素直に言われた通り、〈サキュバス〉を本陣に戻した。
睨み合う〈フェンリル〉と〈ゴルディアス〉軍団。
何となく、次から潰し合いが始まりそうだ。バスケで鍛えた勝負のカンがそう告げていた。六道が手札を見ると、また輝いているカードがあった。
――自己主張の強いヤツラだ。
六道はひとりで苦笑しつつ、一枚のカードを本陣に出した。
「オレは〈髑髏の騎士ゲイル〉を召喚!」
「六道くん! 英雄点!」
「おうよ!」
六道は堂藤のやったようにデックトップ二枚を捨て札に送った。
――その瞬間、場が凍った。
「……え?」
「おいおい。冗談だろ」
「大会なら警告モノだぜ!」
「まさか、あいつ……本当にズブの素人なのか?」
宮村も困って目を回している。
六道は必死に場に並んでいるカードたちをいろいろ見比べながら、必死に頭を働かせた。どこで間違えた。〈爆殺王ゴルディアス〉と〈髑髏の騎士ゲイル〉の違いは何だ? その二つを見比べているうちに、ハッと閃いた。
「英雄点は……一点、だった……のか」
「そうだよ。六道くん……」
二人は為すすべなく黙ってうなだれた。
そんな二人見て、堂藤は愉快そうに豪快に笑った。
「ぶっはっはっは! おいおいィ。何のジョークだァ? まぁいいさァ。今回だけは『特別』に違反行為を見逃してやるぜェ? と・く・べ・つになァッ! ぶっはっはっはっはァ! ほら、早くターンを終了しなァ!」
「…………」
六道は黙って手を震わせていた。
こんな屈辱を受けるくらいだったら初めから暴力を振るっておくべきだった。
怒りで顔を赤くする六道の代わりに、宮村が手札を一枚補給した。
――そうだ。
今さら暴力を振るったところで何も解決しない。
モンコレをバカにしたこの男を、モンコレでぶちのめしてやらねば何の意味もない。怒りは頭を濁らせる。オレの勝負スタイルには不要な感情だ。ビークール。冷静に勝ちを求めろ。オレならやれるはずだ。
六道は喉の奥から声を絞り出した。
「……ターン、エンドだ」
次回はついに戦闘が幕を開ける!!
ぶつかり合うモンスターたち!!
これぞモンコレ!!
次回をお楽しみに!!