六道青年のモンコレ道   作:みょこすけ

7 / 7
~前回までのあらすじ~

他人の好きなものをバカにしたヤツが許せねぇ!!
ルールは知らんが、モンコレで片を付けてやらぁ!!


ついにユニット同士の戦闘が繰り広げられる!


2-4、初戦4

 

 堂藤は手札調整フェイズをすっ飛ばし、血を求めるように目をギラつかせ、盤面のカードに手を伸ばした。

「おれはァ、〈ゴルディアスの爆殺兵〉と〈ゴルディアスの斬首兵〉を進軍させるぜェ!」

「……来るか」

 六道は身構えた。

 迎え撃つモンスターは〈フェンリル〉のみ。

 手札のカードは

〈ダークネス・イリュージョン〉

〈黒炎の魔神アザゼル〉

〈カタストロフィ〉

〈デス・シンフォニー〉

〈血塗れの修道女〉

〈英雄の酒〉

 ――これで勝てるのか?

 喩えダメでも今は戦うしかない。

「おれの隊列は〈爆殺兵〉が上でェ」

「六道くんは〈フェンリル〉だけだから関係ないよ」

「そうか」

 心なしか、宮村のサポートが積極的になったような気がする。

 ようやくこの節穴女も、一片の偽りなく、六道がモンコレに初めて触れたことを理解してくれたのだろう。遅い。遅すぎる。できれば朝の出会いから心を入れ替えてやりなおしてほしいくらいだ。

 とはいえ、助言を早めに言ってもらえるのはかなり助かる。

 堂藤がダイスを振った。六道も宮村から渡されたダイスを振った。

「6!」

「ちッ、3だァ!」

 よく分からんが、ダイスの出目は勝った。

「やった! 六道くんの先攻だよ」

「先攻? 攻められた側でも、先攻を取れるのか……」

「ぶっはっはっはァ! ちょうどいいハンデだァ! 先攻はくれてやるゥ!」

 三者三様の反応を見せながら、ついに初戦闘の幕が切って落とされた。

 六道は深く考えることなく、〈フェンリル〉で攻撃を宣言した。

「行け! 〈フェンリル〉!」

「〈フェンリル〉の攻撃力は8ィ。〈斬首兵〉の防御力は3。〈爆殺兵〉の防御力は素の6に加えてェ〈ブラッド・アックス〉でプラス2されて8ィ。こちらのパーティの総防御力は合計11だァ!」

 堂藤は自慢げにフンと鼻で息を吹いた。

 周囲の外野たちがまたもやざわざわと囁き合う。

「けっきょくどうなんの?」

「モンコレ初心者か」

「〈フェンリル〉の攻撃力では〈斬首兵〉を踏み潰しただけで〈爆殺兵〉まで倒しきれない」

「とゆーと?」

「〈斬首兵〉は破壊されるが斧を持った〈爆殺兵〉は生き残る」

「それだけじゃない。六道にこのまま何もなければ、返しで〈フェンリル〉は〈爆殺兵〉に殴り殺される。これはマズイ流れだぞ」

「なるほど。堂藤のほうが優勢なのか」

「あるいは六道に何か対抗札があれば話はべつなのだが……」

「握っているのか……対抗札を……」

 一同の注目が六道に集まる。

 しかし、六道はそれどころではなかった。

 堂藤の目を盗んで宮村が机の下から渡してくれたルールブックに目を通すので手一杯である。制服のポケットからカードゲームのルールブックが出てくる女子高生なんて、ちょっとどうかしていると思うが、今はありがたいので見なかったことにしておこう。もともと頭の回転の速い六道は、乾いたスポンジのように驚異的な速度でモンコレのルールを覚え込んだ。

 机の下から顔を上げて、六道は自分の手札を改めて見渡した。

「堂藤。対抗するか?」

「フン! 一兵卒なぞただの捨て駒に過ぎないィ! 対抗なしだァ!」

 堂藤は〈ゴルディアスの斬首兵〉を捨て札へ送った。

 これで攻撃タイミングは終了する。

 しかし、

「普通タイミング!」

 ――まだ六道の普通タイミングは残っている。

 六道は手札のカードを引き抜き、場に叩きつけた。

「オレは〈フェンリル〉のスペル枠を消費して、〈デス・シンフォニー〉を発動ッ!」

「「おおっ!」」

 外野からわく驚きの声。

 隣りの宮村も目を丸くしていたが、こちらは六道が即座にルールを身に付けたゆえの驚愕だろう。

 六道は堂藤のカードにビシッと人差し指を突き付けた。

「〈爆殺兵〉に8点ダメージ!」

「ぐぅッ! おれの〈爆殺兵〉がァ……ッ」

 堂藤が悔しそうに〈ゴルディアスの爆殺兵〉に手を伸ばし――

 と。

 そこで堂藤はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。

「なぁ~んてなァッ!」

「何!?」

 堂藤は〈ブラッド・アックス〉のテキストを指差した。

「おれは手札の〈ゴルディアスの爆殺将軍〉を捨て札に送り、〈ブラッド・アックス〉の特殊能力を発動するぜェ! 同類の血を啜り、さらなる力をその身に宿せェ! 〈爆殺兵〉をパンプアップゥ! 防御力をさらにプラス2するぞォッ!」

 六道の顔に焦りの色が浮かんだ。

 ここにきて、防御力アップ!

 特殊能力により増加した〈ゴルディアスの爆殺兵〉の防御力は10。もはや手札に対抗策はない。〈デス・シンフォニー〉の威力では〈爆殺兵〉を殺しきれない。打つ手のなくなった六道は普通タイミングを終了せざるを得ない。

「くっ! オレの攻撃は終わりだ……」

「ぐっはっはっはァ! もうおしまいかァ?」

 返す刃で〈ゴルディアスの爆殺兵〉が戦斧を振るう!

 〈ブラッド・アックス〉を装備した〈爆殺兵〉の攻撃力は9。防御力8の〈フェンリル〉は無残にも斬り伏せられた。

「あああ……」

「終世の魔獣があんなにあっさりと……」

「やっぱり堂藤は強ぇぞ!」

「これで六道は王手をかけられたことになるな」

「波乱はなし、か?」

 外野たちのざわめきに目を細めながら、堂藤は空いた地形に〈ゴルディアス〉を進軍させてターンを終了した。

 

 

 

 

 




危うし六道!
それよりも危うし、作者の時間ッ!!


無事に試合を終わらせることができるのかッッ!!?


次回は<サキュバス>が活躍します。たぶん。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。