バンダイナムコ四天王アイドルシリーズ -暁光のシンギュラリティ-   作:BN四天王アイドルシリーズ執筆室

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第11話:癒やしの聖域 ─ 傷ついた魂たちの調律 ─

➣ 品川プリンスホテル ティーラウンジ

 

 合同プロジェクトにおける度重なる対立と、「Queens」「STAR★GIRLS」という圧倒的な実力差を突きつけられた絶望。連日の過酷なスケジュールと、互いの哲学をぶつけ合う日々に、少女たちの心身は限界に近づいていた。特に、元来内気で自己評価の低い少女たちは、この激しい競争社会の重圧と、強すぎる個性同士の不協和音の中で、自らのアイデンティティを見失い、逃げ出したくなるほどの深い恐怖と孤独に苛まれていたのである。

 

 そんな疲弊しきった魂たちが、まるでオアシスを求めるかのように引き寄せられた場所があった。品川プリンスホテルの一角にある、静かで落ち着いたティーラウンジ。そこには、言葉による論破も、実力の誇示もない。ただ、温かいお茶の香りと、傷ついた心を優しく包み込む「無条件の肯定」だけが存在する、彼女たちだけの『癒やしの聖域』であった。

 

萩原雪歩:「あ、あのぅ……花陽ちゃん、スミレちゃん。お茶、入りましたぅ……。今日はダージリンにしてみました。……あ、私なんかが淹れたお茶で、本当によろしいんでしょうか……?」

 

小泉花陽:「わぁ……ありがとうございますぅ、雪歩ちゃん。とっても良い香り……。なんだか、温かいお茶を飲んでると、少しだけ……心が落ち着きますぅ……」

 

氷上スミレ:「ええ、本当に……。雪歩さんの淹れてくださるお茶は、荒れた心を静める魔法みたいです。……ありがとうございます」

 

萩原雪歩:「そ、そんな! 魔法だなんて、私にはもったいない言葉ですぅ……! 私、いつも穴を掘って逃げてばかりのダメな人間で……今日も、みんなのすごい熱気に気圧されて、逃げ出しちゃいましたし……」

 

小泉花陽:「わかりますぅ……。私も、凛ちゃんや穂乃果ちゃんみたいに前を向いて走れなくて……。Queensの人たちのパフォーマンスを見た時、私、ここにいていいのかなって……足がガクガク震えちゃって……」

 

氷上スミレ:「私もです。占いのカードは『試練』を示していましたが、現実は私の予測を遥かに超える厳しさで……。自分の意志で前に進むことの恐ろしさに、押し潰されそうになっています」

 

萩原雪歩:「私たち……アイドルに向いてないんでしょうか……。こんなに弱くて、すぐ泣いちゃって……みんなの足手まといになるくらいなら……いっそ、このまま……」

 

三人の少女たちが、自己否定の闇に沈みかけそうになったその時。ラウンジの隅に置かれていたグランドピアノから、ぽろん、と、まるで夜空に星が瞬くような、優しく澄んだ音色が響き始めた。

 

榛名ひかり:「(静かにピアノを奏でながら)……雪歩ちゃん、花陽ちゃん、スミレちゃん。大丈夫だよ。みんなの音、少し震えてるけど、とっても優しくて綺麗な色をしてるよ」

 

小泉花陽:「ひ、ひかりちゃん……? あの、私たち……」

 

榛名ひかり:「ううん、何も言わなくていいよ。……前に出ることだけが、強く輝くことだけが、アイドルの全部じゃないよ。ひかりはね、みんなのその優しい音色が、大好きだよ」

 

氷上スミレ:「私たちの……優しい音色……。でも、私たちは弱くて……」

 

榛名ひかり:「弱いからこそ、誰かの痛みがわかるんじゃないかな。誰かの痛みに寄り添って、一緒に泣いてあげられる。それって、とっても強くて、素敵なことだと思うな。……ねえ、ひかりのピアノ、聴いてくれる?」

 

 榛名ひかりの指先から紡ぎ出される旋律は、説教じみた理屈でも、奮い立たせるような激しいビートでもなかった。ただ純粋に、傷つき疲れ果てた彼女たちの存在を、ありのままに肯定し、優しく撫でるような『無償の愛』の音色であった。

 

萩原雪歩:「……ひかりちゃんのピアノ……すっごく、温かいですぅ……。なんだか、お母さんのお腹の中にいるみたいに、安心して……涙が、止まらなくて……」

 

小泉花陽:「あぅぅ……。私、アイドルになれて本当に良かったって……。こんなに優しい音楽に包まれて……私、もう少しだけ、頑張ってみようかなって……思えましたぅ……」

 

氷上スミレ:「……ええ。占いの結果がどうであれ、この温かい時間だけは、絶対に嘘じゃない。……ひかりさん、ありがとうございます。私の心に張っていた氷が、少し溶けたような気がします」

 

榛名ひかり:「ふふっ。みんなの音が、少し明るくなったね。よかった。……ひかりにできるのは、こうやってピアノを弾くことくらいだから。みんなが泣きたい時は、いつでもひかりが、優しい歌を弾いてあげるね」

 

山梨鳥:「(いつの間にか現れ、静かに微笑む)……よろしおすなぁ。競い合うて傷ついた羽を休める止まり木が、ここにはあるんどすね。ひかりはんのピアノも、雪歩はんのお茶も、五臓六腑に染み渡りますえ」

 

東條希:「ウチのカードも、今は『癒やし』を示しとるんよ。無理して前に出んくてもええ。ここでしっかりパワーを蓄えて、またみんなを優しく包み込んだらええんよ。それが、ウチらの『強さ』なんやからね」

 

三浦あずさ:「あらあら〜。本当に、心洗われるような素敵な空間ですねぇ。迷子になってしまった時は、ここで焦らず、ゆっくりとお茶をいただきましょうね〜」

 

プロデューサー:「(少し離れた場所から見守りながら)……激しいパッションや論理的な統率だけでは、チームはいつか焼き切れてしまう。彼女たちが作り出すこの『無償の愛』の聖域こそが、この合同プロジェクト全体を繋ぎ止め、不協和音を調律する最も重要な防壁になるんだな……」

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