バンダイナムコ四天王アイドルシリーズ -暁光のシンギュラリティ- 作:BN四天王アイドルシリーズ執筆室
➣ 品川プリンスホテル レッスンルーム
合同プロジェクトの更なる高みを目指し、四つのユニットを解体して結成された混成チーム「A~Dチーム」。その中でも、各シリーズを牽引する圧倒的な「太陽属性」と、底なしの体力を持つ「パッション属性」が密集した『チームA』の初回合同レッスンは、予想通り、いや予想を遥かに超える凄惨な大クラッシュを引き起こしていた。
プロとしての基礎を重んじる天海春香、刹那の情熱で限界を突破しようとする高坂穂乃果、己のオーラで高みへ登ろうとする星宮いちご、そして多様な文化の融合を夢見る平アンナ。彼女たちの「絶対に譲れない哲学」は、互いの光を打ち消し合い、レッスンルームには重く苦しい不協和音だけが響き渡っていた。
天海春香:「はぁ、はぁ……みんな、一度ストップして! ステップもカウントも、完全にバラバラだよ。私たちはプロとしてステージに立つんだから、まずは基礎のフォーメーションを完璧にシンクロさせないと、お客さんに最高の笑顔は届けられないよ!」
高坂穂乃果:「でも春香ちゃん、カウントや形ばっかり気にしてたら、一番大切な『情熱』が消えちゃうよ! 今この瞬間に魂を燃やして、全部の気持ちを前にぶつけなきゃ、奇跡なんて起こせないよ!」
星宮いちご:「うーん、穂乃果ちゃんの情熱も春香ちゃんの基礎も大事だけど、アイカツ!は自分自身の『オーラ』を限界まで光らせることも必要なんだよ! 崖を登るみたいに、もっと自分の個性をアピールしないと埋もれちゃうよ!」
平アンナ:「ま、待ってよみんな! それぞれの考え方はすっごく素敵だけど、こうやって自分の『正しさ』をぶつけ合ってるだけじゃ、ただの喧嘩になっちゃうよ……。もっと平和(シャローム)に、みんなのやり方を合わせる方法があるはずだよ……!」
双海亜美:「んっふっふ〜……って笑えないっしょ! ほののんといちごんがアクセル全開すぎて、亜美の天才的なステップすら大渋滞に巻き込まれてるよ! これじゃただのカオスな事故現場になっちゃうっしょ!」
星空凛:「うにゃー! 凛はもっと自由に、元気に走り回って踊りたいのに、どこに行っても誰かとぶつかっちゃうにゃ! こんなの全然楽しくないし、すごく窮屈だよぉ!」
川原恵:「いいい!ひひひ! わたしもスタミナには絶対の自信があるっすけど、ゴールが見えないままバラバラに走り続けるのは、体より心がキツいっす! アンナ、また足元ふらついてるっすよ、危ないっす!」
新条ひなき:「おっつかー……じゃないぜ。このままじゃ、それぞれの長いキャリアで培ってきたスキルが、完全に裏目に出ちゃってるんだ。自分の殻を破れないまま、互いの良さを潰し合ってる……これじゃダメだぜ」
大空あかり:「私……いちごちゃんやみんなの隣で、私だけの光を見つけたいのに……みんなの光が強すぎて、どこに向かって羽ばたけばいいのか、全然わからなくなっちゃいました……」
高槻やよい:「うっうー……。みんなで一緒に、元気いっぱいハイタッチして家族みたいになりたかったのに……お互いの手が全然届かなくて、すっごく悲しいです……」
有栖川おとめ:「らぶゆ〜のパワーが、全然みんなに届かないんですぅ……。みんなのお顔がすごく怖くて、こんなの、おとめのハッピーなステージじゃないですぅ……」
大地のの:「北海道の吹雪より厳しいべさ……。東京のアイドルのみんな、熱すぎるっていうか、自己主張が強すぎて、自分みたいなイモっころはどうしていいか分かんないっしょ……」
圧倒的な光を持つが故に生じた、絶望的なまでの不協和音。互いのルーツを否定したくないからこそ、どう合わせればいいのか分からず、少女たちの心は折れかけていた。しかし、その重い沈黙を破ったのは、胸元の金色のハムサを強く握りしめた、平アンナの震える、けれど力強い声だった。
平アンナ:「世界はそんなに甘くない……。でも! 甘くないなら、私たちが甘くしちゃえばいいんだよ! みんな、聞いて!」
天海春香:「アンナちゃん……?」
平アンナ:「私たち、どうして無理に『ひとつ』の色にまとまろうとしてるの? 私のルーツのユダヤ文化でも、いろんな国の人や考え方が混ざり合ってるんだよ。それを『エクレクティック(折衷)』って言うの! みんなのルーツや哲学を否定するんじゃなくて、全部そのままの形で、ひとつの大きなお鍋で混ぜちゃえばいいんだよ!」
高坂穂乃果:「全部の情熱を、そのまま混ぜ合わせる……!? それって、すっごくめちゃくちゃになりそうだけど……想像しただけで、最高に楽しくて胸が熱くなってくるよ! 誰も見たことない奇跡のミックスジュースだね!」
星宮いちご:「そっか! 特上スペシャルアイドル弁当みたいに、春香ちゃんのしっかりしたご飯、穂乃果ちゃんのアツアツなおかず、アンナちゃんの甘いデザート……全部乗せちゃえば、誰も勝てない最強のアイカツ!になるんだね!」
天海春香:「……なるほど。プロフェッショナルっていうのは、自分の形を守ることだけじゃない。異質なものと真っ向からぶつかることを恐れずに、互いの長所を吸収して『新しい正解(イノベーション)』を創り出すことなんだ! わかったよ、私がリズムの土台を作る! 穂乃果ちゃんは最前線を切り拓いて、いちごちゃんは高く舞い上がって! そしてアンナちゃんが、みんなを平和(シャローム)に繋いで!」
平アンナ:「うんっ! 違う色の私たちが集まるから、誰も見たことない虹のハーモニーになるんだよ! これが私たちの『エクレクティック』だよ!」
川原恵:「いいい!ひひひ! やっと目指すゴールが見えたっす! エンジン全開! みんなの個性が爆発してもバラバラにならないように、わたしが底なしのスタミナで全部支えてみせるっすよ!」
星空凛:「凛も、みんなの熱いリズムに乗って、今までで一番高くジャンプするにゃ! みんなが受け止めてくれるって信じてるから、もう全然怖くないよ!」
双海亜美:「んっふっふ〜! 綺麗にまとまるだけがアイドルじゃないっしょ! 全員の個性がドッカンドカーンってぶつかり合う、宇宙一カオスで最強のステージを創り上げてやるよ!」
➣ 品川プリンスホテル 廊下
一方、防音ガラスの向こう側で、チームAの惨状、そしてそこからの劇的な「再生」の瞬間を見守っていた者たちがいた。チームBに所属し、それぞれのユニットの参謀役・知性の象徴として君臨する四人である。彼女たちは、論理では決して導き出せないその「エクレクティックの萌芽」を前に、深い衝撃と畏敬の念を抱いていた。
如月千早:「……信じられません。自身のアイデンティティを削って周囲に同調するのではなく、互いの強烈な異質さをそのままぶつけ合い、融合させることで全く新しい和音を生み出すなんて……春香、あなたはやはり、底知れない太陽ね」
園田海未:「計算式が完全に崩壊しました。穂乃果のあの無謀とも言える引力が、不協和音を破壊するのではなく、未知のイノベーションを起こすための強力な触媒(カタリスト)として機能している……理屈を超えた奇跡です」
霧矢あおい:「穏やかじゃないわね……! 互いのルーツを否定せず、全てを包括して新しい正解を創り出す。これは単なるアイドルの合同レッスンじゃない、全く新しいエンターテインメントの生態系の誕生よ。私のデータバンクが、凄まじい熱量でアップデートされていくわ」
藤原歌南:「アンナの『多様性の絶対的肯定』が、あの強大すぎる太陽たちを一つに束ねたのですね。……ふふっ。どうやら私たち管理側(チームB)も、彼女たちの爆発的な進化を支えるために、これまでの『正しさ』の定義を根底から書き換える必要があるようです。……妥協なきステージの、真の幕開けですね。……אמת」