バンダイナムコ四天王アイドルシリーズ -暁光のシンギュラリティ-   作:BN四天王アイドルシリーズ執筆室

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第6話:夜の語らい ─ 隠されたトラウマの共有 ─

➣ 品川プリンスホテル 大浴場

 

 合同プロジェクトの解体と再構築、そして圧倒的な実力を持つライバル「Queens」と「STAR★GIRLS」の絶望的なまでの高き壁を突きつけられた少女たち。張り詰めていた緊張と対立による疲労困憊の中、品川プリンスホテルの広大な大浴場には、静かな湯音だけが響いていた。衣装や肩書き、それぞれの背負う強固な哲学といった「鎧」を物理的に脱ぎ捨てたこの場所で、彼女たちの張り詰めていた心の糸が、温かい湯気と共に少しずつ解れていく。誰からともなく漏れた小さなため息が、交わるはずのなかった者たちの間に、最も深く、最も痛切な「真実の対話」を促そうとしていた。

 

矢澤にこ:「はぁ……。ちょっと湯当たりしそうね。……でも、こんなところで立ち止まってる暇なんてないのよ。にこたちは宇宙ナンバーワンのアイドルにならなきゃいけないんだから。QueensだかSTAR★GIRLSだか知らないけど、絶対に勝たなきゃ意味がないのよ……!」

 

紫吹蘭:「……あんた、背負い込みすぎじゃないの? 完璧なアイドルを目指すのは勝手だけど、まるで一人で世界と戦ってるみたいな、そんな悲痛な顔してるよ。……馴れ合わないって決めた昔のあたしに、そっくりだ。」

 

矢澤にこ:「一人だったわよ! アイドルへの本気度が違って、誰もついてこれなくて……気づいたらアイドル研究部に残っていたのは、にこ一人ぼっちだった。あの絶望的な孤独の中で、それでもアイドルへの執着だけは絶対に捨てられなかった。だから、自分の理想を少しでも妥協する自分が、他人が、許せないのよ!」

 

星空凛:「にこちゃん……。凛も昔は、自分には可愛い衣装なんて似合わないって、ずっと一人で自分に呪いをかけてたにゃ。にこちゃんも、蘭ちゃんも、見えないところでずっと一人で泣いてたんだね……。」

 

紫吹蘭:「……ああ。あたしも、昔一番の親友とオーディションで離れ離れになって……もう誰も失いたくなくて、傷つきたくなくて、一人で孤高の刃になろうとした時期があった。でも、いちごやあおいの暑苦しいくらい真っ直ぐな想いが、あたしのその冷たい壁を壊してくれたんだ。」

 

加部律:「……クソ、どいつもこいつも重いわね。あたしだって、ちんちくりんで色気もないこの体がコンプレックスの塊よ。だからこそ、針と糸で魔法をかけて、誰にも文句を言わせない最強の衣装で自分たちを武装させてやってんのよ。……あんたたちのその痛々しい孤独も、あたしが最高のデザインで包み込んでやるわよ。」

 

藤原歌南:「蘭、それに矢澤さん。過去の深い孤独と喪失を強さに変えたからこそ、お二人のパフォーマンスには他を圧倒する鬼気迫るものがあるのでしょう。ですが、今は一人で戦う必要はありません。私たちの正義は、互いの傷を理解し、補い合うことで成立するはずです。」

 

佐伯咲:「てやんでぇ! 湿っぽい話はここまでだ! 孤独だのトラウマだの、全部ひっくるめてあっしのギターとみんなの歌で吹き飛ばしてやんぜ! 音楽に壁はねぇ、傷だらけの魂(タマ)のぶつかり合いこそが、最高のロックンロール(エクレクティック)なんだよ!」

 

➣ 品川プリンスホテル 客室

 

 大浴場での静かな吐露を経て、相部屋となった客室。消灯の時間が近づき、間接照明の微かな明かりだけが部屋を照らしている。布団の上に身を寄せ合った彼女たちは、普段の華やかで明るいステージの裏側に隠された、決して癒えることのない深い悲哀とトラウマの歴史を静かに語り始めた。それは同情を引くためのものではない。これから本当の意味で「一つの巨大なハーモニー」を創り上げるために避けては通れない、魂の奥底の共有儀式であった。

 

天海春香:「みんな、起きてる……? なんだか、いろんなこと考えちゃって、眠れなくて。Queensの圧倒的な実力とか、STAR★GIRLSの信じられないくらいの結束力とか……私たち、まだまだだなって。でも、絶対に諦めたくないの。」

 

高坂穂乃果:「うん、私も! 壁がどんなに高くても、絶望して立ち止まるくらいなら、みんなで泥だらけになって登るしかないよ! μ'sもそうやって、廃校っていう終わりと戦ってきたんだから!」

 

如月千早:「……そうね。でも、彼女たちの壁の高さよりも、私は……私たち自身の抱える痛みが、まだ本当の意味で重なり合っていないことに焦りを感じているわ。……私は、幼い頃に弟を事故で亡くしたの。それから、歌うことは私にとってただの贖罪だった。」

 

星宮いちご:「千早ちゃん……。そんなに悲しくて重いものを背負って、ずっと一人で歌ってたんだね……。」

 

如月千早:「ええ。カトリック神田教会の冷たい長椅子で祈りと共に歌い、自分の心を深く閉ざし続けてきたわ。春香やみんなに出会うまでは、暗闇の中でただ一人、弟への消えない後悔のために声を枯らしていたのよ。でも今は、誰かに希望を届けるために歌いたいと思っているわ。」

 

平アンナ:「……わかるよ、千早さん。私ね、本当のパパとママの顔、写真でしか知らないの。私が生まれて半年で、プラハの会堂でテロがあって……二人とも亡くなっちゃったから。」

 

榛名ひかり:「アンナちゃん……。ひかりはいつもアンナちゃんと一緒だよ。どんなに暗い夜でも、絶対に手を離さないからね。」

 

平アンナ:「ありがとう、ひかりちゃん。……私、日本のパパとママに引き取られて、すごく愛されて育ったけど……でも、この前のヘイト発言みたいに、ユダヤ人だからって『帰れ』って言われたり、酷い言葉を投げられたりして……本当に怖くて、世界が真っ暗になったみたいだった。私の居場所は、どこにもないのかなって。」

 

園田海未:「アンナ……。あなたはそのような凄惨な経験をして、あのヘイト発言の絶望的な恐怖を味わいながらも……ステージで『シャローム』と笑顔で叫び、平和を祈っていたのですね。その強靭な魂には、本当に頭が下がります。」

 

平アンナ:「ううん、私一人じゃ全然ダメだよ。でも、憎しみからは何も生まれないもん。パパとママが見たかった平和な世界を、この金色のハムサ・ペンダントと一緒に、歌で作りたいんだ! だから千早さんの歌も、悲しいだけじゃない。誰かの心に届く、希望の光になってるよ、絶対に!」

 

如月千早:「アンナ……。あなたのその無垢な祈りと、理不尽な差別に屈しない強靭なヒューマニズムは、本当に美しくて……眩しいわ。ありがとう、アンナ。」

 

霧矢あおい:「穏やかじゃないわね……。アイカツ界の熾烈な競争や才能の壁に悩んでいた自分が、少し恥ずかしく思えるわ。みんな、見えないところで想像を絶する歴史を乗り越えて、笑顔でステージに立っていたのね。」

 

東條希:「ウチのカードは、試練の後にこそ本当の絆が生まれるって告げてるんよ。過去の傷は消えへんかもしれんけど、みんなで持ち寄って分け合えば、それはウチらが最強のアイドルになるための、かけがえのない『お守り』に変わるんやね。」

 

プロデューサー:「(ドアの外から静かに)……君たちのその痛みに共感し、他者の傷を慈しむことで生まれる真の連帯感こそが、技術や理屈を超えた最強の武器になる。さあ、明日は早いぞ。ゆっくり休んで、明日の新しい夜明けを迎えよう。」

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