翌朝。
私たちは作業部屋に集まった。
昨日は弟子用の空き部屋を使って泊めさせてもらったのだ。
イザークは城で休んだけどな。
私たちが部屋に入ると、そこには既に4人揃っており、昨日私が見せた魔鋼を、ため息をつきながら何度も何度もひっくり返したりしながら確かめている。
そんなに希少価値が高いのか?と思い、質問してみた。
カイジン「お前は何を言っているんだ?」
それがカイジンからの返事だった。
そこからカイジンの鬼のような説明が始まったのだが、長いし大賢者が頭の中で手短に説明してくれたのでここでは割愛とする。
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そして一通りの説明を終え、カイジン達は作業に入る模様。
後々のため、私も作業を見学する。
イザークはヴェルドラと城の中で暇つぶしをするらしい。
私としてはどんな剣が出来るか気になっていたが、10時間の作業の末、出来たのは普通のロングソードだった。
しかも、私が譲渡した魔鋼もほとんど使っていない。
剣一本丸々使うと思ったのだが、どうやら違うらしい。
その後は剣と魔素の関係みたいなのを暫く語られたので、ここも割愛する。
出来上がったロングソードを、手に取って眺めてみる。
シンプルな形をしているが、よく見れば歪みがなく、綺麗な刀身をしている。
どうやらここから、個人に合わせて形を変えていくらしい。
なるほど、だから最初はこんなシンプルな形なんだな。
さて、ここからは約束通り私の番だ。
「最高品質の剣を作ってくれてありがとう。後は私に任せておけ。それで悪いが、この作り方は企業秘密だから、素材の確認だけ済ませたら皆この部屋から出てもらえるか?」
カイジン「材料は残り19本分、全部揃ってる。でも、良いのか?良ければ手伝うぞ?」
「いや、大丈夫だ。私を信じて外で待っていろ。3日あれば完成するから、それまで部屋を開けないでくれ。」
カイジン「……分かった。お前を信じるとするよ。」
そう言って、皆は部屋の外に出た。
まぁ3日間と言ったが、ものの数分で終わる作業だ。
やり方はとっても簡単。
まず、作ってくれたロングソードを「捕食」する。
次に、材料を「捕食」。
後は「大賢者」と「捕食者」の解析を使って、材料を用いてコピーすれば……
「はい完了。いやー簡単だった。」
やはりこの2つのスキルは便利だな。
それで、だ。私が3日間もこの部屋を占拠したのには、他に理由がある。
それは……
「こんなに良い設備が整ってるんだ、残りの日数武器を作りまくるとしよう。」
大賢者『……それは不法占拠なのでは?』
「良いんだよ、期限にも余裕あるし。それに、ヒポクテ草と魔鉱石だけだが、ほぼ無限化出来ているから材料も問題ない。」
そう。武器を作るためだ!
城の中でも頑張れば作れるのだが、やはりここは雰囲気を楽しむとしよう。
それに、今ある武器の改良に、イザークの短剣作り。
私専用の武器とか色々と作りたいものがあるからな。
「この3日間は、誰も入ってこない。ふふふ……どんどん武器を魔改造させてやる……」
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そして、3日間が過ぎた。
一睡もしないで研究を続けていたからか、想像以上に充実した。
そして、鋼もちょっとくすねたので、今も城の中で無限化の研究を続けている。
「そろそろ彼らが心配するだろうし、部屋を出るか。」
私は、部屋のドアを(なんとなく)勢いよく開けた。
そこには、4人が心配そうな目をして立っていた。
カイジン「な、なぁ。あれから三日たった。どうだ?ちゃんと出来たのか?」
他の3人もよほど心配なのか、今にも死にそうな顔で私を見つめる。
「ふっ、安心しろ。約束通り、ちゃんと完成させたぞ。」
そして私は、20本の剣を見せつけた。
その瞬間、4人から怒号にも似た歓声が沸き起こった。
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「「「「かんぱ〜い!」」」」
私たちは5人で、納品祝いと称して夜の店に来ていた。
最初私は断ったが、4人がどうしてもと言うので仕方なくだ。
だって、イザークは城の中からだがずっとこっちの様子を見ているし、大賢者は小言をずっと言ってくるし、ヴェルドラはヴェルドラだ。
正直、居心地が悪くて仕方ない。
この国でも人間はさほど珍しくないと思うのだが、さっきからエルフがめちゃくちゃ言い寄ってくるのだ。
彼女達も仕事なんだろうが、正直とてもウザったらしい。
とっとと終わってくれないものか、と思っていると……
?「おやおやぁ?カイジン殿ではありませんか!そして誰ですか?その隣にいる顔だけが取り柄のような人間は?」
喧嘩腰のような言い草で、人間のような体格をした者が声を掛けてきた。
そしてその一瞬で、そこそこ盛り上がっていた店内が静まり返った。
なんだこの中年、失礼なやつだな。
見ろ、ここのエルフたちも嫌そうな顔してるぞ。微細な変化だけど。
そしてまずい、イザークが今にも殴りかかりそうな顔になってるし、ヴェルドラも何故か顔をしかめている。大賢者も静かになってしまった。
カイジン「まずいな……大臣のベスターだ。」
ああ、こいつが噂の大臣か?
なるほど……確かに、ねっちっこそうに嫌がらせをしそうな顔である。
ベスター「ふん!偉そうな顔しやがって!」
こいつ、あろうことか私の顔に向かって水をぶっかけてきた。
私が無機物操作してなかったら顔も服もずぶ濡れだったぞ。
そしてさらにまずい、イザークがスナイパーに銃を変形させて空間開けて狙撃しようとしてる。これ以上コイツに喋らせたら……お陀仏だ。
カイジン「……おい、てめえ……黙って聞いてりゃ、ウチの客に何してんだぁ……?」
黙っていたら、カイジンがついにキレた。
目の前の机を思いっきり蹴っ飛ばした。これ、あとで直さないとダメなやつかな?
カイジン「舐めやがってぇ……覚悟、出来てんだろうなぁ……?」
……被害者の私が言うのもなんだが、大丈夫か?
相手は大臣だぞ?
ベスター「き、き、貴様!この私に向かって、なんていう口の書き方を……!」
カイジン「お前はそろそろ黙らんかい!」
Oh,No………カイジンのやつ、躊躇なく大臣を殴りやがった……
もう度胸試しとかいう次元じゃない……。
カイジン「なぁ!あんた、名はなんて言うんだい?」
「……ラインハルト。ラインハルト・ハイドリヒだ。」
カイジン「じゃあ、ラインハルトの旦那!腕のいい職人を探してたよな?俺じゃ不足かい?」
「……いいや、全く。むしろ、その言葉を待っていたよ。よろしく頼むぞ、カイジン。」
もうここまで来れば成り行き任せだ。
どんな手段を使ってでもカイジンをウチに引き入れてやる。
私はカイジンと熱い握手を交わした。
イザーク「……今回は見逃しますか。」
大賢者『解。なのでスナイパーを降ろした方が良いと考えます。』
イザーク「まだあの男が無礼を働く可能性があるので。完全にいなくなるまで警戒は解きません。」
ヴェルドラ「あの男、我の友だちに何を……我があの場にあったらすぐにやり返すのに……」
……城と頭の中がけっこう地獄絵図になっているが、気にしないことにする。
書いた。