タイトル思いつかない。
シズが叫んだあと、一瞬の静寂。
彼女の仮面にヒビが入り、そこから魔素が溢れ出る。
そしておもむろにシズが立ちあがり、何かの詠唱を開始した。
大賢者『告。彼女が行っているのは召喚魔法です。対象は、炎の魔人イフリート。早急に防御する事を推奨します。』
イフリート?どれくらい強いんだ?
「なぁ、カバルよ。イフリートはどれくらい強い?」
カバル「突然なんだ?でもイフリートって言えば、確かAランクオーバーの上位精霊ですよ。」
じゃあ危険ってことじゃねーか!
でも確かに、溢れ出る魔素をよく見たら炎に見えなくもない、か?
「いや、そんな事を考えている場合ではない!卿ら、とりあえず私の後ろに隠れろ!」
カバル「え?そりゃまたなんで……」
「今シズが召喚しようとしてるのがそのイフリートなんだよ!」
カバル「はぁ⁉︎それ本当ですか⁉︎」
「本当だ!だから今すぐこちらに来い!」
私の態度でこれは本当の緊急事態だと悟ったのか、3人とも私の後ろに隠れる。
その瞬間、シズを中心とした爆発が起きた。
全員命は無事だが、私のテントがもう跡形も無くなってしまった。
現れたのは、大賢者の予測通りのイフリート。炎の巨人だ。
どうやら彼女、「爆炎の支配者」は50年前に活躍した英雄らしく、今の状況はおそらくそのイフリートに操られている状態に近いのだそう。
もし先に木を切り倒してなかったら危なかった。
だがAランクとなると、ここの魔物たちはおろかこの冒険者たちでも歯が立たないだろう。
……結局、私が相手するしかないのか。
私は危機を察知して駆けつけたイザークに、リグルドと協力してこの冒険者たちと魔物たちを避難させるように指示。
皆が避難完了した事を思念伝達でイザークに確認し、大賢者の詠唱破棄で私の創造位階を一瞬で発動。もしものために保険をかけておく。
イフリートは周りを見渡し、困惑したような表情を浮かべる。
それもそうだ、一瞬で景色が別物になったのだから。
だがそんな隙だらけの姿を、私は見逃さない。
無機物操作で水を生成、彼女(今はイフリート)に向けて放つ。
だが、彼女を取り巻く炎の前に蒸発してしまった。
水はあまり意味をなさない、か……。
シズ(イフ)「ここから出せぇ!」
っと、次はイフリートの攻撃が飛んできた。
自分の置かれている状況が分からず、無闇矢鱈に攻撃してきている。
炎の巨人だから、魔素切れを起こすのは期待しない方がいいな。
「断る。私と貴様のぶつかり合いは、周囲の被害がデカ過ぎるからな!」
今度は、永劫破壊によって強化された身体能力によるゴリ押しで攻めてみる。
器が生身の人間だから確かにダメージは通っているが、決定打にはならなさそうだ。
それに、今は操られている彼女の体を無闇に傷つけたくはない。
……そんな悠長なこと、言ってられないか。
それに、イフリートから解放するにはどちらにしろ一回死んでもらわないといけないからな。
見たところ、シズとイフリートの体は何らかのスキルで合体統一されているが、魂までは同化しきっていない。
ならば、一度殺し、イフリートの魂だけを意思持たぬ軍勢と変え、シズの魂だけを体に残し軍勢として生き返らせる方が手っ取り早い。
「この一撃で、終わってくれよ?私とて、戦闘を長引かせるつもりはないからな。」
そうして私は、絶対不可避の即死の一撃を放つ。
今の私は、第八のスワスチカが開いた状態と同じ。
神でも躱せないその一撃をただの炎が避けられるはずがなく。
シズ「…………」
「……成功、だな。」
そこに残ったのは、イフリートの呪縛から解放され、強制的に我が軍勢に加わってしまったシズと私だけだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんだか、とても現実味のある夢を見た気がする。
カバル、エレン、ギドという3人のパーティに一時的に入り、森の調査に行ったのは現実だ。
そのあと、カバルのポカで巨大蟻と戦ったのも覚えてる。
だけど、そこからの出来事がまるで夢のようなのだ。
巨大蟻に対して苦戦していた私たちを、ゴブリンたちが助けてくれた。
そのあと、自分たちの住む場所へと案内され、事情を話すと食事を用意してくれた。
出された食事を食べてる時に、この辺りの魔物の主だという人間が来た。
私は一瞬、目を疑った。
その人間の顔が、あの憎き魔王、レオン・クロムウェルとそっくりだったのだ。
もっとも、その人間の名前はラインハルトと言ったから、他人の空似らしい。
彼は食事中の私たちを気遣ってか、終わったら話そうと言い、テントから退出した。
私たちは食事を終え、彼の待つテントへと向かった。
カバルが彼に私たちの事情を隠すことなく伝え、彼も向こうの事情を話してくれた。
……悪い人ではない、そう思った。
その時、ついに限界が来た。
抑えていたイフリートが暴走を始めたのだ。
抗魔の仮面も外れ、本格的に止まらなくなる。
その後の記憶は曖昧だ。
でも最後の瞬間、私の中からイフリートを感じなくなった事だけは覚えてる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
シズ「……ここは」
「目が覚めたのか。」
私が目を開けると、そこはあの時いたテントの中だった。
そして目の前には、ラインハルトという男。
「起きて早々で悪いが、今の卿の状況を説明させてもらうぞ。」
私は彼に、あの時の後の事を教えてもらった。
まず、私が目覚めるまでに一週間かかったこと。
3人は無事で、ギルドへの報告のためにもう旅立ったこと。
そして、私の中のイフリートを消し、私の命を救ってくれたこと。
最後に彼は、こう言った。
「卿の意志を尊重せず、勝手な判断をした事を詫びる。すまなかった。卿に使った軍勢変生の力は、私が死ぬまで消えることはない。また一種の呪いをかけてしまったような物だ。」
シズ「……なんで貴方が謝るの。少なくとも私は嬉しかった、まだ誰かに必要とされている感じがして。それに、もうイフリートという呪縛が私を縛っていない事実だけでも、私はとっくに救われてるわ。」
私の命を助けるために、彼は私を只人ではなくした。
それでも、私は嬉しかった。彼の呪いなんて気にしなかった。もう二度と、あの悪魔の事を気にしなくていいことの方が大きかった。
なんなら彼の呪いも、縛るようなものでもない。
むしろ、私にさらなる強さを与えてくれる「加護」のように感じたのだ。
「……そう言ってもらえると助かる。なら改めて、卿の名を聞かせてもらっていいか?」
シズエ「シズエ。シズエ・イザワ。召喚者よ。日本出身で、そこでの名前は井沢 静江だったわ。」
「そうか、シズエか。これからよろしくな。私はラインハルト・ハイドリヒ、卿と同じ異世界人で、出身はドイツだ。」
彼は少しして、ああそうだ、と呟き、
「これ、卿がつけてた面だ。私の方で出来る限り形と効果を修復しておいた。渡しておこう。」
と言い、私に抗魔の仮面を返してくれた。
私が受け取ったそれは、勇者が渡してくれた時よりもずっと、抗魔の力が強いように思えたが、気のせいだという事にして、素直に貰った。
シズエ「それで、外は今何してるの?」
「今はな、私たちの住む街を作っている最中だ。良かったら見るか?」
シズエ「うん、見たい!じゃあその街を見ている間、貴方がいた地球を教えて?私、何十年も前にここに来たから、今の地球が分からないの。」
「分かった。けど卿が知ったら驚くと思うぞ?なにせ、昭和と平成じゃあ文明のレベルが違うからな。」
シズエ「えぇ〜っ‼︎元号も変わったの⁉︎余計知りたくなってきた!」
「私はドイツ出身だから日本のことはあまり詳しくは分からないが……教えられることは教えてやろう。」
彼はそう言って、私の手を引きテントの外に出た。
何者にも縛られない、新しい人生での生活。
私はそれがとても楽しみで、高ぶる高揚感を抑えられずにいたのだった。
書いた。
文章相変わらずきったねぇな。
まだ続けようと思う。