頑張りたい。
異世界に飛ばされて約10時間が経過した。
それにしても、この「大賢者」というスキルはとても便利だ。
私が話しかけない限り向こうの声が聞こえることはないが、私の質問に基本何でも答えてくれるのはとてもありがたい。
そして大賢者曰く、「自分は返答できない世界の言葉にアクセスして乗っ取った」とのこと。
さらに曰く、「普通は疑問に対して応答するスキルはない」とのこと。
つまり、世界の言葉はスキルを獲得したり進化させたりした時に来るメールのようなもので、大賢者というスキルは検索機能、もっと言えばそこに付属しているAIのような役割を果たしているらしい。
私がそう考えると、大賢者が「世界の言葉が聞こえるのは世界の改変が行われたときもです」って揚げ足を取ってきた。
……まぁ情報が手に入る貴重なスキルだから壊すなんてことはしないけどな?
今私たちは何をしているかというと、大賢者にスキルの効果の説明を受けながらここを気の向くままに彷徨っている。
「そういえば、なぜイザークは大賢者と捕食者が獲得出来ていないんだ?」
イザーク「もし父上が言った条件で獲得出来るとなると、私はあの男の永劫回帰時の記憶を持っていませんし、私自身が集めた魂は0に等しいからでしょうね。」
「なるほど、そういうことか。」
私たちで共通しているスキルはどちらも永劫破壊に関するものだからどちらにも存在するのだな。
で、さっきから大賢者のスキル説明を受けているが、私が獲得したスキル、どれも強すぎないか?
名前だけで強いとわかるスキルもあるが、大賢者と捕食者が特に強い。
どちらのスキルもこの世界で生きていくためには十分過ぎるほどだ。
そして、その2つをリンクさせることも出来るらしく、リンクしたら捕食者で喰った物を大賢者の能力の一つである並列演算で解析可能という。
無論、私はリンクさせた。
試しにそこら辺に生えてる草を捕食者で喰ってみて実験だ。
大賢者『………解析が終了しました。ヒポクテ草:傷薬の原材料。魔素濃度の濃いところでしか繁殖しない。草の汁と魔素を融合させると回復薬になる。葉をすり潰し、魔素と融合すると軟膏になる。』
わお便利。
この早さで解析できる大賢者もそうだが、このヒポクテ草という物は傷薬になるらしい。
私はイザークと一緒にヒポクテ草を採り始めた。
採取した物は全て私が捕食者を使って吸収し、捕食者の胃の中で傷薬と回復薬、あと念のため軟膏を大量生産しておいた。
私たちには必要ないかもしれんが、今後使うことがあるかもしれん。備えあれば憂いなしだ。
イザーク「……便利ですね。その「大賢者」と「捕食者」は。」
「そうだな。これは相当使えるぞ。」
イザーク「私も欲しかったものです。」
「なら分け与えようか?」
イザーク「?そんなこと出来るんですか?」
「おそらくな。私とイザークは血が繋がってるし、元々卿は城の核でもあったから………ほら出来た。大賢者は出来ないらしいが捕食者だったら共通して使用可能らしい。」
イザークのスキルには、捕食者が追加された。
大賢者に「スキルの付与はそんな簡単にするものでも出来るものでもありません」と言われた。
別にいいだろ、私にも捕食者は残ってるし、イザークにも正常に付与されたんだから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
イザーク「父上、この先水たまりで進めそうにないですけど。」
「いや、渡れるだろうこのくらい。」
イザーク「父上が行けても私が無理そうなんですが。」
「なら私がシュライバーの形成を使う。あれなら2人くらい乗れるだろう。」
イザーク「……お願いします。」
しばらく歩いていると、小さな湖とも言えるくらいの大きな水たまりがある場所に来た。
先が見えなかったが、ここまで来て引き返すわけにも行かないので、私はイザークをあのバイクに乗せて進み始めた。
『スキルの獲得・進化条件が満たされました。スキル「陸上移動」、スキル「水上移動」、スキル「空中移動」を獲得しました。これにより、3つのスキルはエクストラスキル「三次元高速移動」に進化しました。』
お、世界の言葉だ。
となると、これはこの世界でシュライバーの形成を使ったのがキッカケか。エクストラスキルの名前からして間違いないな。
この世界で過ごしている間もちゃんとスキルの獲得と進化は出来るようだな、ちょっと安心。
あーでも、魔法も使ってみたなー。どうやったら習得出来るかね。あとで大賢者に聞こう。
そんなことがありながら暫く進んでいると、地面が見えてきた。
地面にイザークを降ろした後私もバイクから降り、形成を解除する。
ここはどんな場所だろうか?先ほどの場所とは何か違うのか?
そんなことを考えながら、適当にそこら辺を歩いていた。
?『聞こえるか?小さき者たちよ。』
世界の言葉とも大賢者とも違う、低くて威圧感のある声が私とイザークの頭に響いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「聞こえているぞ。誰だ貴様は?」
?「ほう、この我を貴様呼ばわりとは。生き急いでいるのか?」
言葉に出して返事をしたら、今度はちゃんと耳から声として聞こえた。
この態度のデカさ、よほど強いのかそれとも、ただ態度がデカいだけか。
「別に、生き急いではいない。貴様は誰かと聞いているのだ。」
イザーク「ち、父上。流石に見ず知らずの者にそれは……」
?「……ふふふ、なかなか面白いやつだな、お前。良いだろう、名を名乗ってやる。我は暴風竜ヴェルドラ、個にして完全な者であり、4体しか存在しない竜種が一体よ!」
竜種か……どうやらこの世界の中ではトップクラスに強いやつらしい。
どうりで態度が大きいわけだ。
「そうか。じゃあ私たちは戻るとしよう。」
ヴェルドラ「待て!我のことを教えたんだから貴様らのことも教えろ!」
……面倒くさい。
だがここで答えなければもっと面倒になるのは目に見えている。
私は正直に全て答えることにした。
「私はラインハルト・ハイドリヒ、こっちはイザーク・ハイドリヒ。私たちはこの世界に飛ばされてきた。これでいいか?」
ヴェルドラ「なるほど……つまりは親子揃っての転生者か!」
「その解釈でいい。」
イザーク「……父上、良いんですか?私が父上の姓を名乗っても……」
「別に、私は禁止した覚えがないがな。そもそも、昔の私が操られていたとはいえ私の子供であることは事実だし、もう卿も城の核ではなくなったからな。これからは正式な親子として、そう呼ぶことにする。」
イザーク「……ありがとうございます。」
別に感謝されるようなことはしてないと思うのだがな。
まぁ、イザークが気に入ってくれたのならそれでいい。
ヴェルドラ「なら、この世界のことを我が知ってる範囲で話してやろう!まだこの世界に来たばかりなのだろう?」
別に大賢者がいるから大丈夫だと思ったが、そういえば大賢者の森羅万象は私が見た物じゃないと発動しないことを思い出したので、ここは大人しくヴェルドラの話を聞いた。
ヴェルドラが語ってくれたのは主に魔人や亜人についてのことだった。
説明が少し長かったのでここでは省略させてもらう。
「大体分かった。イザークはどうだ?」
イザーク「私もある程度は。」
ヴェルドラ「そしてお前らは転生者だったな?この世界にはたまに異世界人が来ることがあるが、お前らもそれと同じだろう。もしかしたら同じ世界から来たやつが見つかるかもしれんな。」
気持ちはありがたいが……それはありえないな。
もう私の仲間は、イザーク以外誰一人として生き残っていないから。
「で、いつになったら卿は己の姿を見せてくれるのだ?さっきからぼんやりとした姿形は見えるが輪郭が安定しないんだ。」
ヴェルドラ「む、では「魔力感知」というスキルを習得しろ。そしたらちゃんと見えるようになるはずだ。」
魔力感知……?周囲の魔素を感知するスキルか。
それなら簡単だな、私から魔素を放出して魔素がぶつかったところを輪郭として捉えれば……。
『スキルの獲得条件を満たしました。エクストラスキル「魔力感知」を獲得しました。』
大賢者『エクストラスキル「魔力感知」をユニークスキル「大賢者」とリンクさせて発動しますか?』
ああ、よろしく頼む。
やはり大賢者は便利だな。
さて、これでヴェルドラの全貌が見えればいいが……
イザーク「父上、こっちも習得出来ました。発動しますか?」
「ああ、発動してくれ。」
と、見えてきたな。
全身を覆っている黒光りの鱗は、鋼よりも硬そうで、それでいて柔軟性も兼ね備えていそうな……。
「おお、想像以上に大きいな。流石は竜種か。」
思っていたよりも竜をしていたヴェルドラが、眼前に見えた。
──────────
ステータス
ラインハルト・ハイドリヒ
種族:人間(ほぼ神)
称号:愛すべからざる光、黄金の獣
魔法:なし
技能:ユニークスキル「大賢者」
ユニークスキル「捕食者」
ユニークスキル「攻撃無効」
ユニークスキル「被ダメージ消失」
ユニークスキル「状態異常無効」
エクストラスキル「三次元高速移動」
エクストラスキル「魔力感知」
能力:永劫破壊〈流出位階〉
イザーク・ハイドリヒ
種族:人間(半分くらい神)
称号:太陽の御子
魔法:なし
技能:ユニークスキル「攻撃無効」
ユニークスキル「被ダメージ消失」
ユニークスキル「状態異常無効」
ユニークスキル「捕食者」
エクストラスキル「魔力感知」
能力:永劫破壊〈擬似流出〉
書いた。
ラインハルトの魔法の欄をなしにして、イザークの姓をハイドリヒに変えた。
あと獲得・進化したスキルも加えた。
まだ書けそう。