さて、まずは何をするべきか。
この村の守護者になったとはいえ、残りの時間で出来ることは限られてくる。
最悪私一人でねじ伏せる事も出来るが、それはゴブリンたちのためにならない。
彼らは、私たちの手を借りたうえで、「自分たちで」倒そうとしているのだ。
なら今出来ることは、出来る限りの戦力の補充と防御柵の設置だな。
私は村長とゴブリンリーダーと呼ばれている者に自らの作戦を伝え、他のゴブリンにも手伝ってもらうよう指示した。
その後、軍勢を1師団分呼び出し、洞窟の中で狩った魔物のスキルの中で今回使えそうなスキルを全員に共有し、それを使って防御柵の補強と簡単なトラップの設置を指示した。やはり迎え撃つ策は多い方がいい。
私はひとまず、怪我をしたゴブリンの治療を優先する。
洞窟の中で回復薬を作って正解だったなと、改めて感じた。
日が完全に落ちるまであと数時間はある。必ず間に合わせよう。
イザーク「父上、私は何をすれば良いですか?」
「そうだな、イザークはこの辺りの防衛を行ってもらいたい。人数的にどうしてもここは守りが脆くなってしまうんだ。」
イザーク「了解しました。」
ヴェルドラ「なぁ、我の出番はあるのか?」
「直接の出番はないな。だが、相手の魔族が対話をせず全員突撃をしてきたら卿の魔素を借りるかもしれん。だから私の合図があるまで大人しくしてろよ?」
ヴェルドラ「分かった。それよりも、我に永劫破壊とやらは使えないのか⁉︎我もやってみたいのだ〜!」
「無理だ、前提条件を満たせていない。……だが、そうだな。私の力で似たような物は創り出せるかもしれん。」
渇望も呪いもいらない永劫破壊か、試してみる価値はある。
本家より強くなるわけないが、この世界だったら十分に猛威を振るえるだろう。
「ただ、卿に合った武器が分かってからな。人間の器を創ったら試してみるぞ。」
ヴェルドラ「よぉし!なら早く創れ!」
「今はそれどころじゃないから後でな。」
イザーク「父上、私も私専用の武器が欲しいです、作ってください。」
「了解、暇が出来たら作ろう。どんな武器がいい?」
イザーク「形を変形出来る銃一丁と短剣がいいです。」
「槍のリーチ問題を解消するための武具だな、了解した。」
形を変形出来るということは、ハンドガンからショットガン、フルオートガンにスナイパーライフルまで網羅する銃ということだろうか?
銃の構造は私もあまり詳しくはないが、まぁやるだけやってみるとしよう。
……私も何か自分のために武器を作ってみようか。
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さあ、時は来た。
柵もなんとか完成し、それぞれが自らの配置に着いている。
村長の言う通りなら、そろそろ……
「……来たな。」
森の暗闇から、妖しく光った目がぞろぞろと近づいてくる。
これが、村長の言っていた「牙狼族」か。
その中でもボスみたいな個体が群れの先頭に出て、入り口で仁王立ちしている私と相対する。
「私はこの村の守護者だ。自らの群れの数を減らすような真似をしたくないのならば即刻立ち去るがいい。」
だが、狼どもは一歩も動くそぶりは見せない。
……それもそうか、なにせ今目の前に映っているのは「ただの人間」なのだから。
ボス「オォォォォォォォーン‼︎」
ボスの遠吠えが響くと同時、群れが一斉に襲いかかってきた。
やはり、そう来るか。なら、今から貴様らが味わうのは未知への恐怖だろう。
「後悔しても遅いぞ?」
私は、牙狼族のボスと睨み合った。
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戦況は圧倒的にこちらが優勢である。
我が師団の配置したトラップに掛かった奴もそこそこいたが、やはり一番頑張っているのはゴブリンたちだ。
柵の隙間から矢を放ち、それを止めようとした狼を両隣の近接係が首を切る。
大して訓練する時間もなかったはずだが……。よほど自分たちの村を守りたかったのだと考える。
イザークも一人で徹底した防衛をしている。
なんなら今は自ら外に出て槍を使って殲滅している最中だ。
対する牙狼族のボスは段々と焦燥を感じている。
私から見ても分かる、もう正常な判断は出来まい。
なら、どうするかというと──
「もちろん、私に突撃だな。」
私はそれを予測していたので、奴の単調な攻撃を避け、頭を鷲掴みにしら握りつぶした。生々しい肉片が、辺りに飛び散る。
途端、全ての牙狼族が動きを止めた。
やなり、この魔物たちは徹底した上下関係があってこそここまでの連携が取れていた。
なら、その自分たちのボスが死んだ今、私から提案することは2つ。
「貴様らに選ばせてやる。服従か、死かだ。私の気はあまり長くない、早急に決めることを薦める。」
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……結果、牙狼族の連中は皆「服従」を選んだ。
ボスが斃された今、斃した本人に付き従うのが賢明だと考えたのだろう。
ボスの死体は私とイザークが「捕食」した。
これにより、自分が仲間と認めた者との「念話」が可能になった。
こちらの被害はゴブリンたちを含め、死者・負傷者共にゼロ。
初陣にしては中々の結果だろう。
そして、生き残った者全員が私に名付けを頼んできた。
まあ別に良いだろと思い、適当に名前をつけた。
名付けで魔素を大量に消費することは承知していたが、私には関係ないからな。
ゴブリンと牙狼族たちは1対1でペアを作らせ、そいつが今日から相棒になるのだと教え込んだ。
ただ、数的にどうしてもゴブリン側に余りが出てしまうので、そういった者たちはまとめて歩兵隊ということにした。
だが正直、いま一番の問題はそれではない。
このゴブリン村の再建だ。
実は、防御柵を作るときに木を切り出すのは時間がかかるとゴブリンの家を使ったのだ。
そのせいで、今は全員が家無し状態。
イザーク「……父上、どうします?」
「……仕方ない、もう一度この木材を出来る限り使って家を作らせよう。図面は彼らに渡しておく。足りなくなった分は森から切り出せばいいだろう。」
イザーク「分かりました、私から指示を出しておきます。」
「助かる。ただ、今日はもう夜遅い。概要だけ伝えたあと各自に睡眠を取らせろ。細かいことは明日伝えればいい。」
イザーク「了解です。」
こうして、無事にゴブリン村の問題は一件落着した。
明日のことを思うと少し憂鬱になってくるが、いくら憂いたところでやる事実は変わらない。
……明日も何師団が動かすか。
そう思い、私とイザークはヴェルドラと共に城で眠りについた。
書いた。
ちょい疲れた。