翌日の昼ごろ、私はイザークと共にゴブリンの村を出た。
聞けば、ドワーフ王国は川の流れを沿えば自然と着くらしいので、その旨をランガに伝えて私たちはただ景色を眺めていた。
イザーク「一時的と言えど、私たちがいなくなってあの村は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だ。先日の宴の時の食料集めの時に周辺の魔物はほとんど狩ったし、念の為に5師団分の戦力をあの村に残してきた。突然襲われてもなんとかなるだろう。」
イザーク「それならば安心です。元の世界よりもだいぶ自由に軍勢を扱えるようになったのが功を奏しましたね。」
ヴェルドラ「なぁ、ラインハルト。お前の軍勢とやら、強すぎないか?たまに一つの魂で我と互角に戦える者がいるのだが。」
ヴェルドラは城の中は暇だからと、私の軍勢と毎日腕を磨いている。
私の軍勢も竜を相手にするのは初めてだから、良い経験になるだろう。
「そうだ、イザーク。卿の言っていた銃、まだ試作段階だが一応作ったぞ。護身用に持っておけ。」
イザーク「あ、ありがとうございます。随分と早かったですね。」
「作業の合間を縫って作ってたし、カールから貰った聖遺物が参考になった。と言ってもまだ試作段階だから、改良したいところがあったらどんどん言ってくれ。」
ランガ「主人!もうすぐ着きそうですよ!」
「随分と早かったなランガ。無理してないか?」
ランガ「大丈夫です!貴方に名付けてもらってから力が有り余ってるので!」
……なら大丈夫か。
そう思いつつ、私は眼前に広がるドワーフの国を眺めた。
大賢者『……普通、あの場所からドワーフの国に行くまでは3日ほどかかるはずですが……名付けの効力がとても出ていますね。』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
入り口に随分と人が並んでいたので、ランガを影に引っ込めて2人で列に並び待つことにした。
何気にやってみたけど、これ便利だな。他の者たちにも習得させよう。
イザーク「ハンドガン、ショットガン、フルオート、スナイパー……変形は問題ありませんね。銃弾はどうすれば?」
「引き金のあたりにゲージがあるだろう?そのゲージが満タンになるまで魔素を入れれば、あとは勝手に銃に合った銃弾を生成してくれる。一回ゲージを満タンにすれば100発くらいは打てるんじゃないか?」
イザーク「なるほど、理解しました。ならもう魔素を入れておきます。……少し満タンになるまで時間が掛かりますね、0.5秒程度まで縮められますか?」
「分かった、もう少し効率を高めてみよう。」
ヴェルドラ「なぁ、我の武器はいつ作ってくれるのだ〜?」
「お前の体が出来たらな。肉体を一から作るのは案外難しいのだぞ。」
モブ「おい、お前。」
う〜ん、どこをどう改造したら効率がさらに良くなる?
私は武器を作るのは素人だから、けっこう難しいな。
こういう武器も、ドワーフの職人たちなら作ってくれるのか?
でしたら是非お願いしたいところだ。
大賢者『告。先ほどから声をかけられています。早急に対応したほうがいいでしょう。』
「……あぁ、私に声を掛けてたのか。それで?何の用だ?」
モブ「あ?用なんてねぇよ。」
「ならもう話しかけないでくれ。私はお前のような奴は嫌いだ。」
モブ「そんなん知らねぇよ。ってか、今のでイラついたから、それとそのガキ置いてどっか行け。そしたら今回は見逃してやる。」
そう言われた瞬間、私はそいつの腹部を蹴り飛ばしていた。
やれやれ、魔素を外に放出してないだけでこんなに舐められるのか。
良かったな、私が寛大で。シュライバーとかだったら死んでたぞ、お前。
仲間「は⁉︎何やってんだよお前!」
「態度が悪かったから少し罰を与えただけだ。」
仲間2「お前、やってくれたな。ボコボコにしてやる!」
……なんか仲間らしき奴らが4人集まってきた。
こうなるから面倒ごとは起こしたくないのに。
イザーク「……どうします?殺しますか?」
イザークは殺意を隠す気もなく言う。
さきほどの男の発言がだいぶ頭にきたようだ。
「いや、良い。私がやる。」
先ほどは私が魔素を体外に出してないから舐められたのだ。
つまり、私の分+ヴェルドラの分の魔素を常に垂れ流したら良いわけだ。
大賢者『警告。そんな事をしたら彼らが死ぬ可能性があります。ここはヴェルドラの分だけで良いと考えます。』
……流石に人を殺すのは目立ちすぎるか。
仕方ない、ここは大賢者の言う通りにヴェルドラの分だけ放出しよう。
えい、放出。
仲間達「「「「‼︎?」」」」
「……これでいいか。流石にもう懲りるだろう。」
これ以上の面倒ごとは避けたいため、彼らが気絶したタイミングで魔素を引っ込める。
こいつら、威勢が良い割にはすぐに気絶したな。
イザーク「……父上、そんなに魔素を貯めてたんですか。」
「どうした?イザークもヴェルドラの魔素は直に感じたことがあるだろう?」
イザーク「いや、あの時よりも質が段違いに上がっています。だってほら、周りを見てくださいよ。」
周り?
そう言われて周囲を見渡す。
するとどうでしょう、彼らのみならず、並んでいた人たち全員が泡を吹いて倒れているではありませんか。
通行のチェックをしている人たちでさえ足がすくんで動けない様子。
これはマズイ。
「……なるほど、私の軍勢になったからか。」
ヴェルドラ「確かに、封印されている時、いやそれ以前よりも魔素の最大量が増えたし質も高まった気がするな。試したことないから分からんが!」
「私の城は壊れないから、暇な時に試したらどうだ?」
ヴェルドラ「なんだ、壊れないのか!そうなら先に言ってくれよ〜。」
そんな事をヴェルドラと(心の声で)話していると、
軍警「ちょっと君、少し良いかな?」
また話しかけられた。
今度はなんだと思い、そっちを見やる。
すっごく笑顔の軍警さんだった。めっちゃ額に青筋入ってる。
軍警「話を聞きたいから、詰め所まで来てくれる?」
……これは早々に交渉失敗しそうだ。
書いた。