あかねのたいよう   作:かぜのこ

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第3章『2.5次元舞台編』
第30回:『日野ハルト 1』


 

 舞台の照明というものは、外から見るよりもずっと眩しく、そして冷たい。

 幼い頃の俺――日野ハルトが夢見たのは、画面の向こうで悪を挫き、誰かの明日を守る特撮ヒーローだった。だが、現実の芸能界という眩い光の裏側に足を踏み入れた瞬間、そこにあるのは無数の大人が蠢くビジネスと、どこか薄暗く湿り気を帯びた空気感だった。自分がどれだけ手を伸ばしても、本物の〝ヒーロー〟になれるわけではない。その現実を理解するのに、そう時間はかからなかった。

 だが、それ以上に俺を苛ませたのは、自分自身の〝演技〟に対する絶望だった。

 芝居をすることは好きだった。

 自分ではない自分を心の奥から呼び出して、別の誰かになりきる。幸い、俺には特別才能があったらしく、時を経たず大人たちを感じさせるほど上達していった。

 だけど、すぐに壁にぶつかった。才能があるからこその壁だ。

 俺の芝居は、いつだって俺の頭の中で完成している。100%のイメージを具現化し、完璧に演じ切ることはできた。しかし、どれほど技術を磨き、経験を重ねても、俺の演技は()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 役者としての実力が上がれば上がるほど、周囲との温度差も広がっていった。

 名優と呼ばれる一握りの演者とのセッションは、確かに脳が痺れるほどの快感をもたらしてくれた。しかし、すべての現場がそうであるはずもない。共演者やスタッフに気を配り、現場の空気を整え、作品全体のクオリティを引き上げる――そんな裏方のような立ち回りを覚えていく一方で、俺自身の演技だけはどこまでも冷め切っていた。自分の頭の中にある限界線を突き破るような熱狂は、どこにもなかったのだ。

 人が独りでは居られないように、芸術の分野も独りでは成立しない。それは何も芝居だけではなく、美術、音楽……今俺がいる配信の世界だってそうだ。

 自分と共演者、あるいはオーディエンス。創り上げた作品を観る人々――それらがあってこそ、初めて芸術は完成し、そして俺のパフォーマンスは、俺の想像の限界を超えるはずなんだ。

 仮に()()1()0()0()()()()()()()()()()()9()9()()()()()、後者の方が優れた芸術を生み出すだろう。色とりどりの才能()のきらめきが織り成す星雲を、銀河を、俺はいつまでも見つめていたかった。

 そうして、キャリアを重ねる度に高まる名声も、俺の渇きを癒すことはなかった。俺が光り輝いていることは夜が明け、いつか必ず太陽が昇るのと同じ当たり前のことで、誰かの承認がなくとも俺が一番知っているのだから。

 そんな鬱屈とした日々を過ごし、心底嫌気がさした俺は、朝ドラ『ひまわりの日』の撮影を最後に役者を辞めようと心に決めていた。

 ――そんな時に出会ったのが、黒川あかねだった。

 当時のあかねは、まだ右も左もわからない駆け出しの若い女優だった。緊張でガチガチになり、重要なセリフを飛ばしてしまった彼女のミスを、俺は即興のアドリブで拾い上げ、何事もなかったかのようにシーンを成立させた。

 本当につむじ風のような気まぐれだったと思う。

 引退を決めていた俺は、辞める前のちょっとしたお節介のつもりで、同い年の後輩であるあかねに演技の指導を始めた。発声、視線の配り方、役の感情を自分の中に落とし込むためのアプローチ……俺が培ってきた演技論や技法を惜しみなく伝授した。

 あかねの吸収力は凄まじかった。

 俺が与えた知識や経験を、まるで乾燥したスポンジが水を吸い上げるかのように、見る見るうちに自分のものにしていく。退屈しきっていた俺の日常に、小さな波紋が広がった。あかねに教える時間は、純粋に楽しかったのだ。

 指導を受けるうちにあかねが見せるようになった自然で力強い表情は、監督の目に留まり、彼女の出番は当初の予定よりもどんどん増えていった。結果として、俺たちは半年近くの期間を同じ現場で過ごすことになった。

 今にして思えば――ずっと冷めた(ツラ)で現場にいた俺が、あかねと接している時だけは心底楽しそうに笑っていたからこそ、監督はあかねの出番を増やしたのかもしれない。

 色を失った世界が、色彩を取り戻した。

 自分と同じ『天才』。まだまだ未熟だが、いずれ俺に追いつくか、あるいは凌駕するかもしれない素質。コイツと演技をしたら、きっと俺の演技は〝俺の限界〟を超える事が出来るはず。

 当時の俺は、それが初恋だということすら気づいていなかった。だが、俺の記憶の奥底には〝黒川あかね〟という存在が、消えない傷痕のように深く刻み込まれていた。

 後に彼女が舞台に立っている姿を偶然見かけ、俺の残した演技の欠片が今も彼女の中に生き続けていると知った時、胸の奥から突き上げてきたあの溜息が出るほどの歓喜。

 人は独りでは居られない。

 同じ価値観、同じ世界観を共有出来る誰かが欲しい。他者の承認を必要としていないこの俺でも、それは同じだった。

 ――独りで暗闇を歩いていた俺と同じ目線に立ち、理解しようとしてくれた彼女。あかねこそが、俺がずっと求めてやまなかった唯一の理解者だったのだ。

 

 ☆ ★ ☆

 

 九月初頭。厳しい夏の残暑がいくぶん和らぎ、夕暮れ時にはどこか寂しげな秋の風が都会のビル群を吹き抜けていく。

 放課後の橙色の陽射しが斜めに差し込む都心の街並みの中、制服のネクタイを少し緩めた日野ハルトは、イベント運営会社『マジックフロー』の自社ビルへと足を踏み入れていた。

 応接室へと通されると、そこには高級感のある黒の革張りソファーと、手入れの行き届いた観葉植物が配置された静謐な空間が広がっていた。窓からは沈みゆく赤銅色の夕日が差し込み、ガラスのローテーブルの上に長い影を落としている。エアコンの低い静音だけが響く室内に、淹れたての珈琲の芳しい香りが漂っていた。

「いやあ、『ソレイユ』先生! 本日はお忙しい中、足を運んでいただきありがとうございます!」

 重厚なソファーに深く腰掛け、豪快な笑声をあげたのはプロデューサーの雷田(雷田)澄彰(スミアキ)だった。派手な柄シャツの胸元を少し肌けさせ、親しみやすさと業界人特有の抜け目なさを同居させた視線をハルトに向けている。

「いえ、お招きいただき光栄です。雷田さん」

 ハルトの隣に座っているのは、ハルトの個人事務所『サン・マネージメント』の代表であり、配信者『HARU』のチーフマネージャーを務める宮川みやびだ。三十八歳。黒髪を後ろで綺麗に一つに束ね、知性的なメガネの奥から柔らかい笑みを浮かべたビジネスウーマン風の女性である。彼女の落ち着いた佇まいには、長年芸能界の荒波を潜り抜けてきた者だけが纏う隙のなさと圧倒的な安心感があった。

「単刀直入に申し上げますとね」雷田は手元の資料をトントンと整えると、身を乗り出すようにして前傾姿勢になった。「今年12月末公演予定の大型舞台『東京ブレイド』――その劇伴音楽のメインコンポーザーとして、ぜひソレイユ先生をお迎えしたいんです」

「……『東京ブレイド』ですか」

 ハルトが低く呟くと、雷田は大きく頷いた。

「ええ。アニメ化、劇場版と大ヒットを記録した大人気コミックの初舞台化です。実はですね、今回の劇伴オファー……原作者の鮫島アビ子先生たってのご希望なんですよ」

「アビ子先生が?」

「ええ!『アニメ映画のクライマックスで流れたソレイユさんの楽曲じゃなきゃ、あの劇中の絶望感と疾走感は表現できない!』とおっしゃいましてね。アビ子先生は『ソレイユ』先生の作る楽曲の大ファンなんですよ。過去にもいくつか楽曲を提供していただいている縁もありますし、先生自身も『ソレイユさんなら舞台の空気感を完璧に理解してくれる』と絶対の信頼を寄せておられまして」

 雷田の熱弁を聞きながら、ハルトは脳内でスケジュールと楽曲の方向性を素早く組み立て始めていた。アニメ版『東京ブレイド』への楽曲提供を通じて、鮫島アビ子という作家のこだわりと尖った感性は熟知している。彼女の要求に応えるのは一筋縄ではいかないが、クリエイターとしては非常に刺激的な仕事だ。

「劇伴の制作自体は、喜んでお引き受けします。作品の持つ世界観を最大限に引き立てる音を作らせていただきます」

「おお! 受けていただけますか! いやあ、よかった!」

 雷田が破顔したその瞬間、隣に座っていたみやびがすっと背筋を伸ばし、上品な所作で手帳を開いた。

「雷田様。弊社の日野の快諾、私どもとしても大変嬉しく思っております。つきましては……ひとつ、こちらから魅力的なご提案がございます」

「おや? 宮川代表、提案とおっしゃいますと?」

 みやびはメガネのブリッジを人差し指で軽く押し上げると、営業用の完璧な笑みを雷田に向けた。

「今回の舞台『東京ブレイド』のメインテーマソングですが――劇伴だけでなく、『ソレイユ』自身がシンガーソングライターとして歌唱するタイアップソングとして制作させていただくのはいかがでしょうか」

「……はい?」

 ハルトは思わず息を呑み、隣のみやびの横顔を二度見した。そんな話、事前に一言も打ち合わされていない。

 しかし、雷田の反応は劇的だった。目を丸くした後にパンッと勢いよく両手を叩き、ソファーから身を乗り出した。

「なっ……! 『ソレイユ』先生本人が歌うタイアップ!? ちょっと待ってください、『ソレイユ』先生といえば、これまで作詞作曲や劇伴提供、あるいは他アーティストへの楽曲提供のみで、ご本人の歌唱楽曲は一切世に出ていないですよね!?」

「ええ。ですが今回の『東京ブレイド』という超大型タイトル、そして鮫島アビ子先生との深いご縁を考えますと、満を持して『ソレイユ』――日野ハルトがヴォーカリストとして表舞台に立つ作品として、これ以上の舞台はないかと考えております」

「素晴らしい! 最高ですよ宮川さん! 劇団ララライの役者陣による演劇と、天才コンポーザー『ソレイユ』の初歌唱タイアップ……! 話題性としてもこれ以上ない爆弾だ! ぜひ、ぜひその方向で進めさせてください!」

「ありがとうございます。詳細な条件につきましては、追って詰めてまいりましょう」

 完璧な手際で話をまとめていくみやびの横で、ハルトは完全に置いてけぼりにされていた。

(おい……みやびさん、何勝手なこと言ってんだ……!)

 ハルトが憮然とした視線を向けると、みやびは雷田に見えない角度で、極上の、しかし一切の反論を許さない圧力を秘めた笑顔を返してきた。そのメガネの奥の目が「余計な口を挟むな」と無言で語っている。

 ハルトは喉まで出かかった文句を飲み込み、静かに口を噤むしかなかった。

 

 打ち合わせを終え、『マジックフロー』のビルを出た頃には、街はすっかり夜の帳に包まれていた。雨上がりの湿ったアスファルトに、色鮮やかなネオンの光が反射している。

 送迎用の黒い高級ミニバンの後部座席に乗り込むや否や、ハルトは助手席に乗り込もうとしていたみやびに向かって低い声を投げかけた。

「ちょっと待てよみやびさん! シンガーソングライターとして歌うなんて話、俺は一言も聞いてないぞ!」

 みやびは落ち着いた動作でドアを閉め、助手席から振り返ると、心底おかしそうに口元を緩めた。車内にはエアコンの微かな送風音と、上質なレザーシートの匂いが満ちている。

「あら、事前にお話ししたら、あなたは絶対に『面倒だ』と言って断るでしょう?」

「当たり前だろ! 俺は裏方として音を作って満足してんだよ。わざわざ歌い手として矢表に立つ必要がどこにあるんだ」

「ハルト。今のエンタメ業界の波を感じなさい」

 みやびはトーンを少し落とし、チーフマネージャーとしての真剣な眼差しをハルトに向けた。

「先日の『HARUチャンネル』での新生『B小町」とのコラボ生配信、そして有馬かなさんの切り抜き動画の大バズ……覚えているでしょう? 『B小町』のブレイクの波に乗って、今やあなたのチャンネルも世間の注目の的です。そして、ネット上では『HARU』と『ソレイユ』の同一人物説や、あなたの音楽的才能に対する期待がかつてないほど高まっています」

「それは配信者としてのバズだろ。音楽活動とは別だ」

「別ではありません。今の時代、コンテンツはすべて地続きです。『ソレイユ』としての正体を、最も劇的かつ魅力的な形で明かすなら、この『東京ブレイド』のタイミングを置いて他にありません。それに……あなたは別に、自分の才能を隠したくて隠しているわけではないのでしょう?」

 痛いところを突かれ、ハルトは言葉に詰まった。

 子役時代からのハルトを知るみやびは、ハルトのビジネスの師であり、彼という人間の扱い方を誰よりも熟知している。

「常々言ってきましたが、あなたのその溢れ出る才能を無為にしておくのは、我が社にとっても、このエンタメ界にとっても大きな損失です。いい加減、観念しなさい」

 みやびは淡々と、しかし決定的な言葉を突きつけてくる。ハルトは背もたれに深く体重を預け、車窓の外を流れる街灯の光を眺めた。

「……無茶苦茶言いすぎだろ、まったく」

「それに」みやびはニヤリと意味深な笑みを浮かべた。「周到なあなたのことです。自分が歌うための未発表曲のストックくらい、パソコンのフォルダに隠し持っているのでしょう?」

 ハルトは思わず苦笑いを漏らした。

 自分の頭の中にある表現を形にするため、誰に聴かせるでもなく個人的に作り溜めていたヴォーカル曲のデモ。完全に読まれていた。

「……みやびさんには、昔から本当に敵わないな」

「ほめていただき光栄です」

「はあ……ま、いいさ。シンガーソングライターってのも、悪くないか」

 ハルトが吐き捨てるように言うと、みやびは「よろしい」と満足そうに頷き、車を走らせるようドライバーに指示を出した。

 

 ☆ ★ ☆

 

 車を降り、都内の一角にある自宅へと戻った。

 時刻は日没を過ぎ、鍵を開けて扉を開けると、廊下の奥から香ばしい醤油と出汁の柔らかい匂いが漂ってきた。

「あ、ハルトくん! おかえりなさい!」

 パタパタという軽やかなスリッパの音とともに、奥から顔を出したのはあかねだった。

 学校帰りの制服の上から、薄ピンク色の可愛らしいエプロンを身につけている。少しほつれた髪を耳にかけながら、弾んだ声でハルトを迎えてくれた。

「ただいま、あかね。いい匂いがするな」

「ふふ、今日はハルトくんの好きな和食にしたの。あ、カバン持つよ」

「いいよ、自分で持つ。……それより」

 ハルトはあかねの手を引き、そのまま軽く彼女の身体を抱き寄せた。不意をつかれたあかねが「んっ……」と小さく声を漏らし、彼女の体温と、シャンプーの甘い香りが一気に鼻腔をくすぐる。

「ちょっと、ハルトくん……! ご飯冷めちゃうよ……?」

 顔を真っ赤にしながら照れるあかねの額に軽くキスを落とし、ハルトは微笑んだ。

「癒やしが必要だったんだよ。今日、みやびさんに散々絞られてさ」

「ふふ、宮川さんに? ハルトくんの、宮川さんくらいだもんね。ほら、手を洗って着替えてきて。すぐご飯にするから」

 

 着替えを済ませ、二人で食卓についた。

 今日の献立は、肉じゃがと季節の野菜の小鉢、そして具沢山の味噌汁と炊き立てのご飯だ。丁寧にとられた出汁の味が染み込んだ肉じゃがを口に運ぶと、一日の疲れがすーっと溶けていくような気がした。

「うまいな。あかねの料理は本当に落ち着く」

「本当? よかった! ハルトくん、最近配信の準備とかで忙しそうだったから、栄養のあるもの食べてもらいたくて」

 嬉しそうに微笑むあかねの姿は、昼間の女優としての凛とした空気とは異なり、等身大の可愛らしさに満ちている。

「あ、そういえばハルトくん、今日はお仕事の打ち合わせだったんでしょ? どうだった?」

「ああ。かなりでかい案件が決まったよ。……まあ、まだ情報解禁前だから詳しいことは言えないけどな。守秘義務ってやつだ」

「そっか。情報公開を楽しみに待ってるね」

 あかねは温かいお茶を一口飲み、満足そうに頷いた。

 ハルトは箸を一度置き、彼女の顔を静かに見つめた。そして、雑談の延長のような、ごく自然なトーンで問いかけた。

「――ところでさあ、あかね」

「ん? なに?」

「お前、最近星野んち……アクアやルビーの家に、よく出入りしてるよな。なんか用事でもあんのか?」

 その瞬間、あかねの手が一瞬だけピタリと止まった。

 彼女の大きな瞳がわずかに泳ぎ、箸でつついていた人参を不自然に整え始める。あかねのプロファイリング能力や洞察力は天才的だが、自分自身が嘘をついたり隠し事をしたりするのは、昔から驚くほど下手だった。

「え……? あ、うんと……その、ルビーちゃんとは今度のお仕事のことで相談に乗ったり……あと、アクアくんとも『今ガチ』の後のビジネスカップルとしての設定の打ち合わせとか……いろいろ、ね?」

 視線をあちこちに飛ばしながら、しどろもどろに言い訳を並べるあかね。白々しい言い訳にハルトは、今さらビジネスカップルもないだろ、と内心でため息をつく。

 アクアが何を企んでいるのか、そしてあかねがそれにどう関わろうとしているのか。ハルトにはおおよその見当がついていた。アクアの瞳の奥にある昏い復讐の炎と、あかねが持ち前の鋭すぎる観察眼でその闇に触れてしまったこと。そして、彼女がアクアを助けたい一心、あるいは演技を究めるために危険な領域に足を踏み入れようとしていることも。

 ハルトは深く息を吐き出すと、食卓越しにあかねの手を優しく包み込んだ。

「ハルトくん……?」

「……まあ、俺はお前のこと信じてるし、お前がやりたいようにやればいいと思ってるよ」

 あかねの手をギュッと少し強く握り直す。

「……ただし」

 ハルトにあかねの目をじっと見つめられ、一切の冗談を排した真剣な声で釘を刺された。

「危険なマネだけは、絶対にするなよ。……わかったか?」

 ハルトの言葉に込められた意図を感じ取ったのか、あかねは一瞬ハッとしたように目を見開いた。精神の深い部分を見透かされたような感覚に息を呑みながらも、ハルトの真剣な表情から目をそらさず、小さく、だがしっかりと頷いた。

「……うん。わかった。約束するよ、ハルトくん」

「よし。じゃあ、ご飯の続きを食べようか」

 ハルトがいつもの笑みに戻ると、あかねもほっとしたように胸を撫で下ろし、愛らしい笑みを返した。

 温かい湯気が立ち上る食卓。だがハルトの胸の奥には、これから巻き起こるであろう芸能界の巨大な渦と、そこに呑み込まれようとするあかねたちを守らなければならないという、静かな決意が芽生えていた。

 





 ちょっとしたネタバレ。
 仮にハルトに声優を着けるなら、カミキと同じ宮野真守。そのつもりで言動とかを決めてます。
 カミキと血縁とかそういうのではまったくないけど、関係があると言えばある。

 ……しかし、こうやって我慢できずに更新するから色々伸びないんかなぁ……(ーー;)

1話の文字数はどのくらいがいい?自分は5000文字を目安にしています

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  • 5000文字〜10000文字
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