十二月二十三日。クリスマス・イブの前日。
劇団ララライの冬期稽古を終えた黒川あかねは、マネージャーの車で都内郊外の住宅街へと送り届けられていた。
「いい、あかね? 明日の午後五時から、日本中……いや世界中の何百万人という人間があなたを見るのよ。粗相のないようにね!」
「は、はい……!」
車を降り、冷たい夜風の中で見上げたのは、一見すると少し大きめの、お洒落な一軒家だった。しかし、一般的な住宅とは違い、外壁には防音設備が施されている形跡があり、駐車場にはハルトの愛車であるオレンジ色のスポーツバイクが静かに佇んでいる。
(男の人の、一人暮らしの家……。しかも、泊まりがけ……っ)
あかねは心臓が口から飛び出そうなのを必死に抑え、インターホンを押した。
ピンポーン、と軽い音が響き、数秒後、ガチャリと重い防音のドアが開く。
「おう、あかね。お疲れ。寒かったろ、早く入れよ」
現れたのは、ゆったりとした黒いニットを着たハルトだった。少し日焼けした肌と、相変わらず整った顔立ち。
「お、お邪魔します……っ」
ガチガチになって靴を脱ぐあかねに、ハルトは呆れたように笑った。
「なんだよその緊張。お前んとこの親御さんから『ハルトくんなら安心だから、娘をよろしくね』って、めちゃくちゃ快諾のLINE届いたぞ?」
「えっ!? うちのお父さんとお母さん、そんなこと……っ」
「あはは、二人とも俺の熱烈なファンらしいからな。『ひまわりの日』のDVD全部持ってるってさ。親公認なんだから、そんな緊張すんなって」
(親公認って……そういう意味じゃないのに……!)
ハルトの無自覚な言葉に、あかねは一瞬で顔を真っ赤にしながら、彼の後に続いて廊下を歩いた。
一歩足を踏み入れた室内は、驚くほどに整然としており、チリ一つ落ちていなかった。
「あ……すごく綺麗にしてるんだね。男の子の一人暮らしだから、もっと散らかってるかと思った」
「普段から定期的にハウスクリーニング入れてるからな。自分で掃除する時間があるなら、動画の企画かスクリプト書いてる方がコスパいいだろ」
ハルトの徹底した合理主義的な側面に、あかねは「なるほど」と圧倒される。
「ここがリビング兼、メインの配信部屋」
案内された部屋を見て、あかねは思わず「あっ、配信で見たことある!」とミーハーな声を上げた。
画面越しに見ていたお馴染みの背景。だが、カメラの死角になる場所には、最新のプロ仕様の防音壁、いくつもの巨大なモニター、最高級の音声ミキサーが要塞のように鎮座している。
「キッチンもこっち。普段から料理配信もするし、自分の飯もここで簡単なのは作ってるから、使い勝手は悪くないはずだぞ」
綺麗に磨かれたオープンキッチンには、しかし確かに人が使っている生活の痕跡が残っていた。
「で、こっちが地下のダンススタジオ」
階段を下りた先には、壁一面に大きな鏡が張られた広大なスペースがあった。
「すごい……。これなら、劇団のワークショップの復習とか、演技の稽古にも使えそうだね」
「ああ、お前が使いたきゃいつでも使っていいぞ。俺も踊ってみたの収録とか、身体動かす時はここに篭ってるし」
さらに、ハルトは二階の客間へとあかねを案内した。
「期間中、あかねが休むのはこの部屋な。スタッフが控えるのにも使ってる客間だから、清潔さは保証する」
案内されたのは、綺麗にベッドメイクされた六畳ほどのシンプルなベッドルームだった。清潔感のあるシーツの香りに、あかねは再び(ここに私が泊まるんだ……)と、むっつりとした緊張感を爆発させそうになる。
最後に通されたのは、ハルトのPC作業部屋だった。
動画の編集や事務作業を行うための部屋だが、あかねの目を引いたのは、壁一面に映像メディアや資料が収められた巨大な棚だった。
そこには、二人の運命を繋いだ作品が並んでいた。
「あ……これ、『モルモのやくそく』だ。懐かしい……」
あかねが棚の一角を指差す。十一年前、ハルトが五歳の時に出演した社会現象ドラマだ。
「ああ、それな。有馬かなと共演した作品じゃ一番当たったやつだな」
ハルトが懐かしそうに目を細める。
「あの時のかなちゃん、本当に凄かったよね。私の憧れ……」
「俺はどうなんだよ」
「もちろん、日野くんの演技も凄かったよ。このドラマの二人を見て私、役者をやってみたいって思ったんだから」
「そうなのか。……有馬の奴、ここんとこイマイチ乗り切れてないみたいだよな。演技が小さく纏っちまって、勿体ないねーっつーかさ」
「うん、ちょっと心配だけどかなちゃんならきっと大丈夫だよ」
有馬かなのガチオタであるあかねは、推しの復活を心から信じていた。
「で、こっちが九年前の、俺とお前が出会ったキッカケ」
ハルトが手にしたのは、連続テレビ小説『ひまわりの日』の台本だった。
平均視聴率25.3%を記録し、ハルトが主人公の幼少期とその子供の二役を演じ分けて社会現象となった名作。あかねはそこで、ハルト演じる主人公の息子のガールフレンド役を演じた。
「私、この時は全然上手く演技できなくて……。ただ、ハルトくんと一緒にいるのが楽しくて、素の顔をしてただけなのに、それが評価されちゃったんだよね」
「それが最高の演技なんだよ、あかね。作られた嘘じゃなく、本物の関係性が画面に出てた。あの頃から、お前は俺の最高のパートナーだったよ」
「日野くん……っ」
不意に投げかけられた、あまりにも重い信頼の言葉に、あかねの胸がキュンと鳴る。
しかし、あかねは棚のさらに奥、異様なほどに資料が詰め込まれた一角に目を留めた。
「……これ……? ええと、『B小町』、『アイ』?」
そこには、伝説のアイドル『アイ』に関する雑誌の切り抜き、ライブ映像、膨大なデータファイルが整然と並んでいた。
ハルトが並々ならぬ執着を見せていることに、あかねの嫉妬心が首をもたげた。
「……この『アイ』って、どんな人なの?」
「ああ、俺が表現者として一目置いてる一番の星さ。残念なことに、ずいぶん昔に死んじまって直接会ったこともないんだけどな」
「そうなんだ……」
ハルトのひまわりの瞳が、その時だけはどこか遠くを見つめていた。あかねはその瞳の深邃さに、言葉を失う。ハルトには、自分の見えない何かが見えている。優れたプロファイラーの彼女でも、その見据えた先を覗くことはできなかった。
「よし、一通り家も回ったし、リビングで明日のタイムスケジュールの最終確認やるか」
ハルトの言葉で、二人はリビングのローテーブルの前、カーペットに座る形で向かい合った。
ハルトが広げたのは、二十四時間の壮大なエンタメ設計図だ。
「……ごめんね、日野くん。私が配信に出たいなんて我が儘言ったから、こんな大ごとになっちゃって」
あかねは、分厚いタイムスケジュール表を見つめながら、申し訳なさそうに眉を下げた。その手元には、使い込んだメモ帳が置かれている。
「いや、あかねが悪い訳じゃねーよ。お前の熱意は嬉しかったし。ただ、ちょっとうちのマネちゃんも、そっちのマネージャーも、俺への信頼感……というか、このコラボのビジネス価値を本気にしすぎただけだわ」
ハルトは苦笑しながら、手元のペンを回す。
「つーかさ、普通に考えて年頃の娘を男の家に泊まりがけさせるとかどうなの? 途中で帰るって選択もあっただろ。なんであかねの親御さんが一番乗り気なんだよ」
「あ、あはは……さっきも言ったけど、お父さんもお母さんも、日野くんのことなら信頼できるって……」
「あかねんとこの社長の反応が正常だよ。まあ、あの人は配信者の『HARU』じゃなく、
やけに正論を述べるハルトに、あかねは小さく笑った。
「で、あかねに一つ、本番前に絶対に覚えといてほしいんだけどさ」
ハルトの顔が、一瞬で配信者『HARU』のプロの顔に切り替わった。その冷徹なまでの鋭さに、あかねは思わず背筋を伸ばし、愛用の手帳とペンを取り出してメモの構えをとる。
「俺らがどれだけ事前に手を尽くして、大人がバックアップして、
「え……? そ、そうなの?」
ネットの事情に疎いあかねが、ペンを止めて困惑の声を上げる。
「ああ、100%するね。俺は炎上するって思ってるし、うちの事務所の連中も盛大に燃えるって予測してる」
「どうして……? 悪いことは何もしてないのに……」
「ネットなんてそんなもんだよ。まず俺の熱狂的なガチ恋勢やアンチが燃やすだろ? で、配信者全体のアンチも乗っかってくる。最後に、事情を何も知らない野次馬が、大物YouTuberがクリスマスに女優を連れ込んだ的なデマに踊らされて、お祭り騒ぎだ。まさに大炎上だよ」
ハルトは嫌そうに、しかし完全に状況を客観視して淡々と言い放った。
「まあ、結果的にあかねの知名度は間違いなく爆上がりするから、プロモーションとしては大成功なんだけどな。あかねのマネージャーが乗り気だったのもそれが理由だし」
あかねは顔を青ざめさせ、握ったペンを震わせた。自分がハルトと一緒にいたいという恋心で提案したことが、ネットという巨大な怪物を呼び起こそうとしている。
「私……どうしよう。そんなの、怖い……っ」
怯えるあかねの頭に、ポン、と大きな手のひらが置かれた。
見上げると、ハルトがいつもの、悪戯っぽい太陽の笑顔で彼女を見つめていた。
「だから言っとくんだよ。あんまSNSの内容にマジになんな。お前、クソ真面目なんだからさ、生々しい誹謗中傷に触れたら気に病んじまうかもしれないだろ? でもな、あんなの画面の向こうの有象無象が喚いてるだけの、所詮は便所の落書き以下なんだからさ」
小学生時代からネットの最前線に住まう、歴戦の配信者としての言葉。その言葉の重みに、あかねの心の震えが不思議と収まっていく。
「いいか? ネットの誹謗中傷は、傷つく必要なんて1ミリもない。黙って泳がせて、スクショ撮って、弁護士通して一括で開示請求するに限る。これ、マメな?」
「か、開示請求……?」
「そう。税金対策にもなるしな!」
最後にはいつもの調子で茶化して締めるハルトに、あかねはいまいちピンときていないながらも、コクコクと深く頷いた。ハルトがこれほど真剣に釘を刺してくれたのは、何よりも自分を守るためなのだと分かったからだ。
☆ ★ ☆
「よし、じゃあ実際の配信スケジュールをおさらいするぞ」
「うん! よろしくお願いします」
ハルトはタイムスケジュール表を指でトントンと叩くと、あかねは真剣な表情でメモを取り始めた。
【12月24日:午後5時 配信スタート】
「あかねの存在は完全サプライズにする。告知なしだ。だから、配信始めはコメント欄が質問と混乱で大荒れすることが予想される」
「うう、緊張する……」
「だから最初の一時間は、質問兼雑談タイムにする。コメント裁きや荒らしの対処は全部俺と裏のスタッフに任せて、あかねはまず、画面の向こうに何万人もの人間がいる配信の雰囲気に慣れること。オッケー?」
「は、はい!」
【午後6時:クリスマスパーティー・お料理タイム】
「ここでご飯の準備だ。食材は明日の午前中に二人で買い出しに行く。下拵えもあらかじめしておこうな。何作るか決めた?」
「ええと、冬だから、あったかいクリームシチューと、それからローストチキンに挑戦しようと思って……っ」
「ええ、マジ? ローストチキンとか最高じゃん。今からめちゃくちゃ楽しみになってきた。ケーキはもちろん、一応足りない時のために宅配ピザも予約しとくわ」
「うん、お腹いっぱい食べようね」
【午後8時〜10時:パーティータイム】
「ここからは、作った飯を食べながら雑談だ。もちろん、リスナーのコメントを読みつつな」
「でも、本当に……ただ普通にご飯を食べるだけでいいの? 番組として成立するのかな……?」
テレビや舞台の基準で考えてしまうあかねが不安げに尋ねると、ハルトはニヤリと不敵に笑った。
「そこを成立させるのが、プロの配信者の腕の見せどころさんよ。あかねは何も気にせず、どーんと構えて美味そうに食ってればいいんだからさ」
「お、おおー……頼もしい……」
【午後10時〜深夜0時:ゲームタイム】
「休憩を挟みつつ、ここからはゲームをやるぞ」
「あの……私、テレビゲームってあんまりしたことなくて、足引っ張っちゃうかも……」
「大丈夫だって。この『アソビ大全51』ってやつをやるから。トランプのスピードとか、チェス、オセロ、五目並べみたいな定番ゲームが詰め合わせになってるから、直感的にできて難しくない。俺があかねをボコボコにして、コメント欄を煽る時間な」
「む、む。負けないんだから……っ!」
【12月25日:午前0時 クリスマス当日・プレゼント交換】
「日付が変わった瞬間、お互いのプレゼント交換だ。リスナーへのプレゼント企画の当選者発表もこのタイミングでやる」
「私のプレゼント、期待しててね。日野くんに絶対喜んでもらえるもの、選んだから」
「おう、俺もあかねのために用意しとくからさ。……あ、でも、二十四時間出ずっぱりって本当に大丈夫か? 体力的にキツくなったら、この辺りで二階の客間で睡眠時間とってもいいんだぞ?」
「だ、だいじょうぶだよ!……たぶん。日野くんはずっと配信するんでしょう?」
「そりゃあな、チャンネル主だし。シャワーとトイレ休憩以外は配信画面から一歩も出ないつもりだわ」
「だったら、私もがんばる! 日野くんと一緒に、最後まで同じ景色が見たいの」
「……あかね」
真っ直ぐに自分を見つめるあかねの熱意に、ハルトは一瞬だけ目を見張り、それから嬉しそうに微笑んだ。
「分かった。じゃあ、一緒に駆け抜けるか」
【午前1時〜2時:映画『コマンドー』同時視聴&感想会】
「深夜枠は、映画の同時視聴をやる。実はこれ、俺が一番やりたかったまであるわ」
「コマンドー……? ごめんなさい、聞いたことないんだけど、どんな映画なの? 恋愛もの……?」
「ぶはっ! 恋愛要素は1ミリもねえよ! 初見のリアクションが欲しいから絶対に秘密。事前に調べるなよ?」
「う、うん、わかった……。日野くんがそこまで言うんだから、きっとすごい名作なんだよね?」
「まあ、あかねの思う名作とはベクトルが違うだろうけど、男のロマンが詰まってて、一度見たら脳裏から離れなくなるのは確かだな」
「???」
【午前2時〜5時:まったり深夜雑談&カラオケタイム】
「ここからは時間調整も兼ねた、深夜のまったり枠だ。リスナーの質問に答えたり、カラオケしたり、テキトーに遊ぶ」
「雑談とカラオケはわかるんだけど、もう一度質問コーナーをするの?」
「ド頭の質問コーナーは俺が選んで俺が答えるけど、この深夜枠の質問は、あかねが自分で選んで答えろよ」
「ええっ!? で、できるかなぁ……」
「何事も経験だよ、経験。お前、台本無しの完全アドリブに弱いからなぁ。ここでちょっと鍛えてやるよ」
「うう……先生、お手柔らかにお願いします……」
【午前5時〜7時:早朝・リングフィットアドベンチャー】
「朝イチは、地下のダンススタジオに配信用機材を移動させて、身体を動かすぞ」
「リングフィットアドベンチャー……? これもゲームなんだよね? でも、早朝から体操するだけだよね? リスナーさん、見てて面白いのかなぁ……」
「いや、めちゃくちゃウケるだろ。というか、俺が一番観たいわ。あかねが限界迎えて、可愛い声上げながらスクワットする姿」
「な、ななな……ッ!? 日野くんの変態! スケベ!!」
「ははは! 冗談だって! お前の身体能力なら余裕だろ!」
【午前7時〜9時:朝食タイム】
「シャワー休憩を挟みつつ、朝飯を用意して食べる。まぁ、夜のパーティーの残り物があるだろうから、そんな手の込んだことはしなくていいだろ」
「うん、シチューを温め直して、パンと一緒に食べようね」
【午前9時〜11時:映画同時視聴Part2】
「ここで映画の第二弾なんだが……実は何見るかまだ決めてないんだよなぁ」
「うーん、ハルトくんの好きなB級映画とかどうなの?」
「悪くはないけど、クリスマス当日の朝にゾンビとかB級サメ映画観るもんじゃなくない?」
「あ、確かにそうだね……。じゃあ、当日のコメント欄でリスナーさんにアンケートをとって決めてもらうのはどうかな?」
「お、それいいね。それが一番無難だし、配信っぽいわ。採用!」
【午前11時〜午後1時:昼食の準備&ランチ】
「お昼ご飯だね。今度こそ、私が腕によりをかけて美味しいもの作るね!」
「いや、せっかくだから一緒に作ろーぜ。男の手料理ってやつを見せてやるよ」
「あ、そっか、二人で作るんだよね。えへへ、楽しみ……」
【午後1時〜3時:リスナーお題による即興劇(インプロ)】
「お昼を食べたら、この配信のメイン企画の一つ、即興劇をやる」
「インプロ!? 生配信で、何万人もの前でやるの!?」
あかねが驚いて身を乗り出す。
「ああ、お前の方の事務所からの強いリクエストでな。女優・黒川あかねのプロモーションだ。リスナーからその場で募集したお題に沿って、即興で演技をする」
「む、無理だよぉ〜! 舞台のエチュードとは訳が違うよぉ……!」
「大丈夫だって。劇団ララライの黒川あかねなら絶対にできる。ウチのリスナーは俺が元子役だって知ってるから、どうせ俺にもやれって言ってくるだろうし……あかね、一緒に
「余計無理だよぉ……日野くん相手なんて、緊張してセリフ出なくなっちゃう……!」
「なんでさ! 昔、何度も一緒に演っただろ!」
【午後3時〜5時:二十四時間達成フリータイム&プレゼント当選者発表・エンディング】
「即興劇の後は、ラストスパートのフリータイムだ。企画のプレゼント当選者を発表して、二十四時間達成のグランドフィナーレ。これで終了だ」
☆ ★ ☆
「――と、大まかな流れはこんな感じ。どうだあかね、覚悟は決まったか?」
ハルトがタイムスケジュール表を畳み、ひまわり色の瞳を真っ直ぐにあかねに向けた。
あかねは、ぎっしりとメモを書き込んだ手帳を胸に抱きしめ、深く、大きく呼吸をした。
ネットの炎上リスク、何百万人という視聴者の視線、そして何より、隣にいる大好きな男の子と二十四時間ずっと一緒に過ごすという、心臓が保ちそうにないシチュエーション。
不安と緊張は限界を超えていた。だが、それ以上に、プロの配信者として自分を守り、導こうとしてくれるハルトの姿が、そして役者として自分と同じ高さのステージで「一緒に
「うん……。私、頑張る。足を引っ張らないように、日野くんの隣に胸を張って立てるように、全力で、この二十四時間を走り抜けるね!」
あかねは顔を上げ、凛とした、役者としての美しい笑顔で宣言した。
「よし、その意気だ。じゃあ明日に備えて、今日はもう寝ようぜ」
ハルトは満足そうに微笑むと、あかねの頭をもう一度、優しく撫でた。
窓の外、冷たい冬の夜空には、明日の喧騒を予感させるように星々が輝いている。
開かれたプロの
【登場人物・設定紹介】
黒川あかね:ヒロイン。料理が得意。
日野ハルト:オリ主。料理も得意。
朝の連続テレビ小説『ひまわりの日』
あかねが七歳(九年前)の時、ハルトと出会うキッカケになった作品。平均視聴率25.3%を記録し、社会現象になった。
『モルモのやくそく』
ハルトの子役時代(五歳。十一年前)に出演したドラマで、同じく五歳の有馬かなと共演した。元ネタは「マルモのおきて」。つまりハルトのモチーフの一人は鈴木福さんということ。
最新話の更新時間は何時がいいですか?参考までに。
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