外スラを空振り続ける5番バッター   作:フランスパン

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暗黒期の始まり〜大活躍のオールスター

 日本シリーズも終わった十一月下旬。

 その年の優秀選手などを表彰するNPB AWARDSが東京某所で行われた。

 

 沢山の球界を代表する選手が呼ばれる中、表彰される一人として哲人は出席している。

 

 終盤こそ失速気味だったものの、高卒一年目とは思えないほど良い成績を残した哲人は安堂と新人王を争っていた。

 

 最終的には、プロ一年目にして二桁勝利を挙げた安堂が新人王を獲ったが、哲人の成績は他の新人とは一線を画していた。

 

 そのため、哲人は新人王ではないが優秀なルーキーに与えられる新人特別賞を受賞することとなったのだ。

 

 

 

 

 

 

「正直、ドラフト7位で入団してこんなのを貰えるとは思ってなかった」

 

「俺は信じてたけどな。逆に哲人がなんでこんな下位で指名されたのか不思議だったよ」

 

「そりゃちょっと打てるけど三振ばっかりのパッとしない打者を獲ろうとはしないでしょ……」

 

 

 

 無事に式も済み、選手達が思い思いに散っていく中、哲人は高校時代からの付き合いである安堂と二人だけの二次会に来ていた。

 もちろん、二人はまだ未成年であるためアルコールは頼まずに思い思いのソフトドリンクをそれぞれ頼んでいる。

 

 元々、彼らは仲が良く、少なくとも月に一度くらいは会う仲。

 

 SNSで二人でいる瞬間をアップすることも多いため、球界の中でも屈指の仲良しコンビとして世間から注目されている。

 

 高校時代の思い出、プロになってからの思い出。

 今でも高頻度で会う仲とはいえ、いつ会っても話す話題には事欠かない。

 

 

 

「あ、そういえば未来さんは元気?」

 

「うん。ついこないだなんか芸能界事務所にスカウトされたとかでドヤってた」

 

「ええ、やっぱり綺麗だもんな。あんな美人と付き合えるテツが羨ましいよ……」

 

「別に付き合ってる訳じゃないんだけどね」

 

 

 

 同じ高校出身ということは、当然安堂は未来のことも把握していて。

 相変わらず付き合っている自覚のない哲人に呆れたりもしていた。

 

 安堂は哲人と未来の関係性をよく知っていて、高校時代には、彼らをくっつけようと野球部全員を巻き込んで画策したこともある。

 

 もちろん、今の哲人達の関係性を見れば分かる通り、当時の作戦は見事に失敗したのだが。

 

 そんな事情もあるだけに、哲人に男としての自覚が足りないことにはモヤモヤするのだ。

 

 

 

「付き合ってないって、お前なぁ……一年近く同棲してそれはないだろ」

 

「だからこれからも一緒にいてくれると嬉しいって言ったよ? 今シーズン分のお礼」

 

「……お前らしくはあるんだけど、さすがにそれは未来さんが可哀想だぜ」

 

 

 

 しかし、悲しいかな。

 未来の話題を振っても哲人は絶妙にズレた返答をしてくるので、安堂は外から彼らをくっ付けようとすることは半ば諦めている。

 

 今年は進展があったようだが、哲人が自分のプロポーズまがいの言葉に気づいていないと知るや、安堂は大きく肩を落とす。 

 

 一歩前に進んだと思ったらまた一歩下がる。

 

 それがいかにも彼らしい、と思う安堂は、こういうところが彼の美点で欠点でもあるんだよな、とも考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

「来年も頑張ろうな」

 

「ああ。来年はテツと俺の対戦打率を1割切るくらいまで落ち込まさせてやるよ」

 

「……それは、マジで勘弁してほしいかも」

 

 

 

 そして、酔いもちょうど良く回ってきて、電車の本数も段々と減っていく頃。

 

 ある程度話したいことを話し終えた彼らは、来年も共に活躍することを約束して解散するのだった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 二年目、前年の活躍もあり開幕からスタメン入りした哲人は、派手では無かったが確かな打撃で存在感を発揮した。

 

 2軍で打率4割だった頃ほどではない。

 それでも、ボールを捉えて長打にする能力は健在で五番バッターの地位を確実なものにしていく。

 

 その一方で、三振は前年と比べても明らかに多くなっていた。

 

 最初からストライクゾーンに入っていないようなボール球を見分けることは得意なのだ。

 だが、元々苦手としていた外に逃げる球を更に苦手とするようになり、ついつい手を出してしまう。

 

 ファンは、そんな哲人の姿に不安を覚えながらも、結局は長打を打つ哲人を信頼していた。

 というより、デロスサントスと哲人以外に期待の出来る選手が千葉には残っていなかった。

 

 当初は主力として期待されていた、怪我明けの西岡はまるで別人のように打てなくなっていて、それ以外の打線はハナからお察し。

 

 まさにムエンゴとしか言えない打線の冷えっぷりに、ファンの楽しみは三振か長打の重根ガチャしか残っていないのだ。

 

 

 

「今日の重根は何本長打を放つと思う?」 

 

「昨日は2三振だったし、今日はもしかしたらホームランが飛び出すんじゃないか」

 

「確かに、この何戦か打ってないからな。意外とあるかもしれないぞ」

 

 

 

 交流戦が始まる頃には、ツインドリルズは着実に5位との差を広げられ最下位を独走し、今日勝てるかなんてことを話すファンは少数派になっていた。

 

 今年こそはと意気込んでいた開幕の熱量はどこへ行ってしまったのか。

 ホームゲームだろうとビジターだろうと、ファン達が話すのは今日哲人は打つ日なのか、三振を量産する日なのか、ただそれだけ。

 

 今日のゲームも、先発投手が初回から五失点と完璧にK.O.され試合を壊し、試合の行方は火を見るよりも明らか。

 一縷の望みをかけてツインドリルズの勝利を願っていた数少ないファン達も、もはやデロスサントスと哲人の打席以外は、何も気にしていなかった。

 

 

 

 厳しいチーム状況の中でも哲人とデロスサントスは奮闘し続けた。

 

 先発投手が打ち込まれ早々に試合が決した時も、怠慢プレーによってアウトにできたはずの凡打がセーフとなってしまった時も。

 

 デロスサントスはその大柄な体に似合わぬ巧打で出塁しながら。

 哲人はそのデロスサントスが作ったチャンスをしょっちゅう潰しながらも、時にはあわやホームランという長打で打点を重ねながら。

 

 どんな試合展開でも彼らは、少しでも点を取ろうと踏ん張った。

 

 チャンスを潰す哲人には厳しい目を向けられることが増えてきたが、それでもデロスサントスとほぼ同じ量の本塁打を放っていただけに責めるに責められなかった。

 

 

 

 交流戦を安定の最下位で消化し、なおも連敗を重ねたツインドリルズ。

 前半戦が終わり、既に自力優勝の可能性は消滅していた。

 

 優勝が遠く離れているのはいつものことだが、問題なのは前年は後少しというところまで見えていた5位すらも遠ざかってしまったことだ。

 

 暗黒球団仲間だったチームはドラフトで即戦力をいくつも確保し久しぶりのAクラスが見えているというのに、うちの贔屓のチームときたら……。

 そんなツインドリルズファンの嘆きは、日に日に大きくなっていく。

 

 だが、悪いことばかりではない。

 哲人は監督推薦で、デロスサントスはファン投票でオールスターに選ばれたのだ。

 

 デロスサントスは前年と前々年に続き、3回目の選出となるが、哲人はこれが初めての選出。

 足を引っ張らないように精一杯頑張ろうと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、やっぱり若いのの豪快なスイングは堪らん!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「俺もプロ入りたては三振ばっかだったけど今は首位打者争いにも関われてるからな。調子下げないように頑張れよ!」

 

 

 

 あまりの大振りに三振が悪目立ちしがちだが、哲人のスイングは球界の中でもかなり華があるほうだ。

 だからなのか、試合前、哲人は名の知れた強打者によく話しかけられていた。

 

 憧れの選手達を前に、いつもからは考えられないほど緊張でガチガチになった哲人だったが、野球少年だった頃から憧れていた選手達との交流はやはり楽しかった。

 

 自身の弱点や、それを改善するためのアドバイスまでしてくれた選手もいて、試合が始まる頃には、哲人のテンションはこれまでにないほど上がっていた。

 

 そんな、試合前の選手達との交流が効いたのか。

 哲人は、第1戦でなんとホームランを2本も放つことが出来た。

 

 同じく千葉から選出されたデロスサントスも看板に直撃する豪快な一発を叩き込み、ファンを大きく沸かせた。

 すっかり消沈していたツインドリルズのファンも、この結果に思わず後半戦への期待を僅かながらも取り戻すこととなる。

 

 

 

 試合後、哲人は2本塁打の活躍が評価され、見事MVPに選ばれる。

 

 確かに現実のはずなのに、どうにも実感が湧かない。

 

 だが、今日限りのチームメイト達に背中を押され、割れんばかりの大歓声を受けとめて、やっと。

 嬉しさや驚き、そんな沢山の感情が混ざりながら心の奥から込み上げてきた。

 

 初めて立ったオールスターというこの舞台。

 そこで2本のアーチを描けたことは哲人にとって大きな自信となった。

 

 今度は、ホームで今日みたいな歓声を貰えることを目指して。

 そう、心の中で決意し、この夢のような時間は過ぎ去っていった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

【テット】オールスター見るぞ【デロスサントス】

 

61:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

テットがオールスターか…

 

63:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

ほんと感慨深い

 

72:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

(まだ2年目)

 

82:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

テットはようやっとる

 

83:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

>>82

三振数リーグトップだけどな

 

84:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

>>83

その分打ってるから

 

86:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

なんで高卒2年目がデロスサントスと同じくらい打ってるんだよ

 

94:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

テットの第一打席くるぞ

 

102:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

今日は安堂も味方だからいける

 

106:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

 

108:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

まじ?

 

116:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

伸びろ

 

122:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

逝ったあああああああ

 

129:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

こいつ初打席にめっぽう強すぎる

 

131:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

お前…お前…

 

135:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

テ俺誇

 

 

 

 

356:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

この打席もさっきみたいに頼むぞ

 

360:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

MVP狙うぞ

 

365:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

テット、お前ならいける

 

373:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

 

377:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

いい当たり

 

379:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

えこれ切れなくね

 

383:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

入った

 

384:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

二打席連続?

 

386:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

千葉が誇るブンブン丸の姿か?これが…

 

394:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

こんなんMVP確定だろ

 

398:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

デロスサントスも続けるか?

 

404:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

いつもと打順が逆なのなんかエモい

 

406:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

普段だったらここでテットが三振するが…

デロスサントスの場合はどうだ

 

413:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

ファッ!?

 

414:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

看板直撃キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

416:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

デロスサントス…お前ってやつは

420:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

なんか涙出てきた

425:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

現地なんだけど歓声がすごい

 

429:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

千葉のスタジアムでこんな歓声聞いたこともねえよ

 

436:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

なんでこんな打てる選手がそろってるのに千葉は弱いんですか????

 

443:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

エモいとかいうレベルじゃない

 

451:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

>>436

この二人以外誰も打てないからです

 

455:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

デ俺誇

 

457:(*^▽^*)やっと話せるんだ!

この二人を持て余してる千葉は反省しろ

 

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