FINAL FANTASY Ⅶ Revengers 作:オレンジⅩⅢ
FF7をプレイしてきて、どうしても創作意欲が湧いてしまい、筆を取りました。
拙作ですが、よろしくおねがいします。
赤、朱、紅……
燃えている。過ごしてきた家が、村が、人が。
灼熱の焔は、未だ衰えることなく。
全てを燃やし尽くさんと、その勢いを増して。
全て奪われた。
母を、妹を、家族を。
友人を。隣人を。子供が生きる狭い世界の全てを。
誰に?ーー父に。神羅に。
何故?ーー逆らったから。戦争だから。
だから、何もかもを壊すのか。
許せない……
許せない……!
許せない!!!!
忘れるな、この悲しみを。
忘れるな、この怒りを。
奴にも、同じ悲しみを。
奴らにも、同じ苦しみを。
否
否
否
許すな、この暴力と憤怒に犯された世界を。
壊す、壊し尽くす。
それだけが、俺のーー
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いつもの夢を見た。
あの頃から、既に10年は経とうとしているのに。
その身に、心に、刻まれた炎は、未だ衰えることなく。
寝汗で濡れた肌着を不快に感じ、ベッドから起き上がる。
毎日、この悪夢を見るわけではないが、定期的にこの夢を見る。
忘れるな、ということだろう。
忘れるものか。忘れられるはずがない。
しかし、これからまた、1日が始まる。
野望は胸に、しかし蓋をして、いつものように過ごさなければならない。
まずはシャワーを浴びよう。
寝汗を落とすとともに、冷水で思考をリセットしよう。
立ち上がるとともに、左腕につけた義手の付け根がズキリと痛む。
幻肢痛……。喪ったという心の痛みが、まるで身体の痛みとなって現れる。
左腕を義手へ付け替えたのは3年ほど前だが、この痛みには慣れない。
自ら、手放したにも関わらず。
神羅自慢の科学技術により、見た目は除いて肉体よりも高性能なそれをもってしても、喪失の痛みから、逃れることはできない。
シャワーを終え、身支度を整えていると、支給された端末に通知が届いていた。
送り主は、上司であるツォンのものだった。
『本日10:00、指令を与える。細部は対面にて』
片手間に『了解』とだけ返信するとともに、端末の時刻を確認する。
7時……。まだ時間は十分ある。
自らが所属する組織、タークスは、神羅にとって様々な任務を有する。神羅の戦力の要であるソルジャーの勧誘から、要人警護、裏工作、果ては暗殺まで。
その特性から、あらゆる情報は機密事項に近い。主任であるツォンのメッセージが、当たり障りがなさすぎて簡素なのも、いつものことだ。
軽い朝食を用意して、それを食べつつ、私物のパソコンを引き寄せる。
一通りニュースを確認するが、目新しい情報はない。
ミッドガルが平和な証拠だ。
その平和が、どれだけの欺瞞と傲慢と工作の上に成り立っているか……胸糞悪くなりそうな気分を、コーヒーと共に飲み込む。
私物のーーシステムをクラッキングして足取りを掴ませないよう工作した端末を確認する。
今の所、思い描いたシナリオに変化は無い。
タークスとしてのコネクションとは別に、自らの野望を実現させるためのコネクションからは、特段気になるような情報は無い。
ただ、一部からの返事が滞っていることを確認し、私物端末の連絡先を検索する。
タークスの仮面から、スパイとしての仮面を被り、コールする。2コール目で、相手は着信に出た。
「私だ。ビショップ3とポーン15からの連絡が途絶えている。何かあったか分かるか?」
「ーーーーーーー」
「そうか……。カバーストーリーはパターンB2でいく。引き続き、足がつかないように気をつけろ」
変声器越しに必要な指示だけを飛ばし、電話を切る。
アバランチ本流の工作員のうち、2名が拘束されている。工作員とは言え、たかが連絡員程度の2名であることから、こちら側の動きを察知されることは無いだろう。
相変わらず、本流は動きが遅い。
身元の偽装で恩があるとはいえ、最近彼らの利用価値が下がっているように感じる。
まぁ、そもそも向こうも、こちらのリークを無視して強行した暗殺作戦の失敗で、及び腰になっているのだろう。
(使えん駒だ……)
何やら、自分とは別のルートからの情報で、神羅が隠し持つマテリアを強奪しようと企んでいるようだが、まず失敗するだろう。
わざわざウータイと手を組み、信憑性の低い情報を元に、不毛な作戦を行おうとしているのだ。
まぁ、自分もあくまで工作員の1人でしかない。他の工作員のもつ情報の正確性に、口を出せる立場にはいない。
ただ、自分の野望のためには、いっそ痛い目にあって貰ったほうが良いのかもしれない。
その点、過激が故に追放された分流のほうが、まだ価値がある。
とはいえ、ついにミッドガルの魔晄炉を爆破することを計画しているのは、どうなのだろうか。
確かに、ミッドガルを支えるインフラである魔晄炉を破壊すれば、神羅への打撃にはなるだろう。
ただ、彼らの大義名分は、『星の命である魔晄の使用を止め、星の命を守ること』である。その大義名分を間につけて、焦りにも似た突拍子もない行動をされても困る。
(扱いにくい駒ばかりだな……)
頭の痛くなる現状に、だらりと椅子に背中をもたれる。
足りないのだ。
世界を壊すためのピースが。
戦えるだけの戦力も。
同じ怒りを持つ同志も。
付け入る隙も。
(ままならないものだな。復讐というものは……)
ともあれ、時間はある。
裏工作も、まだ計画はある。
計画を阻む壁や障害はあるが、まだリスクとしては管理できる範囲であろう。
……いや、希望的観測は入れない方がいい。
思考が散漫になっていることを自覚して、一度深呼吸をする。
そろそろ出勤しなければ。
タークスでは、辞令を受けたら即出撃となることもある。
同僚の、分かる範囲での活動予定を思い出す。今自由に采配できる人数は、そこまで多くなかったはずだ。
いつもの鞄に、必要な荷物と武装ーー本型魔晄演算器“グリモア”ーーを入れる。
そして、表向きの役職である、総務部調査課と記載された身分証を手に取る。
ジュリアス・キングスレイ
かつての名を捨て、偽名を名乗るようになって、既に10年以上が経つ。
もはや、この名前で生きた時間の方が長くなってしまった。
……どうも、今日はハッキリとした悪夢のせいで、センチメンタルになっているようだ。
鏡を見て、自分の顔を見る。
ジュリアスとしての、タークスとしての仮面を被れているか、確認する。
……問題ない。
いつも通り、冷酷な“算術士”として、違和感の感じさせない表情を作ることができる。
その日、運命が回り出す。
否、とうに破綻していた人生に上乗せした野望と計画の歯車が、軋み出す。
そのことを、いったい誰が予想できただろうか。
主人公の簡易プロフィール
名前:ジュリアス・キングスレイ(コードギアスシリーズの、同名キャラが外見イメージ)
年齢:本話段階で22歳
所属:タークス、???
戦闘スタイル:魔法主体(FFTシリーズの、算術士がイメージ)