FINAL FANTASY Ⅶ Revengers 作:オレンジⅩⅢ
直接的な表現は避けておりますが、ご注意ください。
坂を駆け上がるたび、下草を薙ぎ払う足音が重なる。
鬱蒼と茂る木々の間を抜け、視界が開けた瞬間、湿った土と焦げた金属の匂いが鼻先を掠めた。ザックスの実家で束の間過ごした穏やかな時間が、遠い記憶のように感じられるほどの落差だった。
神羅の飛空艇は既に魔晄炉の上空で機体を停止させ、無骨な着陸脚を岩肌へと突き立てていた。灰色の船体が朝の光を鈍く弾き返し、ゴンガガの空を切り裂くようにして居座っている。あの規模の艦艇を送り込んでくる時点で、神羅側も相応の本気を出している証拠だった。
「クラウドたちが先に入ってる……!」
ユフィが息を切らしながら叫ぶ。
隣を走るティファの表情には、焦りと覚悟が同時に滲んでいた。エアリスは短杖を構えたまま、視線だけを鋭く前方へ向けている。誰も足を緩めなかった。
魔晄炉の外縁に辿り着くと、進路の先に水没した坑道が広がっていた。長年の放置による老朽化が、内部の構造をそこまで蝕んでいたらしい。濁った水面には、かつての配管や梁の残骸が半ば沈んだまま突き出ており、下手に踏み込めば足を取られかねない深さだった。
「これ、迂回するの結構かかりそうじゃない?」
ユフィが眉を寄せる。
「時間をかけるつもりはない」
告げると、ティファが腰の得物入れからワイヤーガンを引き抜いた。ゴンガガに立ち寄った際、シスネから借り受けていた代物だという。
「これなら大丈夫。近くの梁に引っ掛けて、足場を作るから」
慣れた手つきで銃口を構え、梁の一点へと狙いを定める。発射されたワイヤーが的確に絡みつき、張力を確かめてから、水面を迂回する形で足場が組み上がった。
「へえ、随分と手慣れてるものだな」
「セブンスヘブンをやってた頃、力仕事は一通り覚えたから。それに、ワイヤーガンはミッドガルの外壁登りで使ったことがあるし、これくらいは平気」
ティファが小さく笑い、先に足場へ体重を乗せて強度を確かめる。問題ないと見て、皆へ視線で渡るよう促した。
「相変わらず器用ね」
エアリスが軽口を叩きながら、先陣を切って渡っていく。ユフィが続き、最後尾からティファがワイヤーの張りを見ながら全体の均衡を支えた。四人分の体重を支えるだけの強度は、事前の点検通り問題なかった。
水没エリアを抜けた先、金属の通路の奥から低い震動と共に銃撃音が響いてきた。爆発の余波だろう、壁面が細かく震え、天井から砂埃が舞い落ちる。時折、獣のような咆哮に似た音も混じっていた。
「あれ、クラウド達だよね……? 大丈夫かな」
ティファが足を止めかけるのを、軽く手で制した。
先行したクラウド、バレット、レッドⅩⅢ、ケット・シーの四人が、魔晄炉の下層で交戦している気配だった。
(あの咆哮――魔晄炉の異常な活性化に引き寄せられ、棲みついた魔物か。それとも、宝条の実験体がここにも投入されているか。いずれにせよ、並の神羅兵が相手とは思えない。)
単独の相手であれば、あの四人の連携で崩れることはまずないはずだった。
(下の混戦に加わるより、飛空艇が降りた上部を押さえる方が先だ。目的が兵器の輸送や資源の強奪なら、狙いは間違いなく上層にある。)
判断は一瞬で固まった。
「下は任せよう。俺達は上だ」
告げると、三人が揃って頷く。異論を挟む者はいなかった。旅を重ねる中で、各々が己の役割を弁えるようになっている。以前であれば、理由の説明を一つ一つ求められていたはずの場面が、今では一言で片付く。指示に無駄な確認を挟まず動けるという意味では、これ以上ないほど信頼の置ける三人だった。その変化を、少しだけ好ましく思った。
金属の階段を駆け上がり、上部の制御デッキへと躍り出た瞬間、視界に飛び込んできたのは、魔晄だまりを見下ろす広いキャットウォークと、そこに佇む一機の巨体だった。
赤を基調とした重厚な装甲。四肢に取り付けられた無数の砲門。操縦席の風防越しに、豪奢な巻き髪と真紅の口紅を纏った女の姿が見える。派手やかな出で立ちと、それに見合わぬ物々しい武装の落差が、かえって不気味さを際立たせていた。
(クリムゾン・メア改――神羅兵器開発部門が誇る最新鋭の歩行兵器か。噂には聞いていたが、実物は想定より一回り大きい)
「あら、あら。まさかこんな辺鄙な場所で、私のお気に入りのおもちゃに再会できるとはね」
拡声器越しの声が、不快なほど甘く響いた。
「久しいな、スカーレット」
淡々と返す。感情の起伏を見せるつもりはない。
「相変わらず、辺境の資源漁りに精を出しているらしい。神羅も暇なことだ」
「口の減らないところは変わらないのね。昔はもっと可愛くて、言いつけをよく聞く子だったのに」
スカーレットが機体のコンソールを軽く撫でながら、目を細める。その仕草一つにも、自身の美貌への自負が滲んでいた。
「まあいいわ。私くらいになるとね、オバサンって呼ばれたところで今更傷ついたりはしないの。若さだけが取り柄の小娘達と違って、こちらには積み重ねてきた貫禄というものがあるんだから。だから安心して、思う存分憎まれ口を叩いてちょうだい」
ユフィが小さく舌打ちする気配が伝わってきた。挑発に乗るなと目線だけで釘を刺す。
機体の右腕が持ち上がり、砲身がこちらへ向いた。
「散開!」
叫ぶと同時に、地面が爆ぜた。四方に跳んだティファとユフィが左右の柱の陰へ、エアリスは杖を構えたまま後方で回復支援の態勢を取る。破片が飛び散り、視界の端で火花が散った。
素早く機体の背面へ回り込み、胸元のグリモアを起動する。展開した術式を義手が受け止め、右腕の関節部を狙って魔力弾を撃ち込んだ。狙いは正確だったが、装甲の厚みに阻まれ、目に見える損傷には至らなかった。
「意外と粘るじゃない。まあ、昔からしぶといのは知ってたけどね」
スカーレットが唇の端を吊り上げる。
機体左腕のガトリング状の砲門が唸りを上げ、キャットウォーク一帯に弾幕を張り巡らせた。ユフィが跳躍しながら苦無を投げ、着弾の隙間を縫うように転がって着地する。ティファもまた低い姿勢のまま踏み込み、着弾の合間を縫って肉薄した。エアリスの詠唱に合わせ、味方の動きだけが加速したように見える一瞬が生まれる。その隙を突き、再びグリモアの術式を練り上げ、義手を通して魔力弾を叩き込んだ。今度は脚部の関節に浅い亀裂が走る。
「くっ……この程度で……!」
体勢を崩しかけたスカーレットが、悪態をつきながら機体を無理やり立て直す。左脚を庇うような挙動から、確かな手応えが伝わってきた。
「へえ、少しは腕を上げたじゃない」
スカーレットが機体を後退させ、距離を取り直す。仕切り直すように、風防越しの視線がこちらへ真っ直ぐ向けられた。
「けど――そろそろ、本音を聞かせてもらおうかしら。それとも、可愛い仲間たちの前じゃ都合が悪い?」
嫌な予感が背筋を這った。
「後輩ちゃん達、知ってるの? この子ったら、夜な夜な私の部屋に呼び出されてね――ええ、義手の“手入れ”だけじゃ、なかったのよねぇ?」
ユフィの動きが止まる。
「私の可愛いおもちゃだったのよ、この子。首輪をつけてやる必要すらないくらい、よく躾のなった従順な体でねえ。命令一つで何でも聞いて、優秀で――それはもう、可愛がりがいがあったわ」
拡声器の向こうで、スカーレットが愉悦を隠そうともせず続ける。
「そうそう、あの頃はよく、夜中に呼び出しては可愛がってあげてたのよねぇ。跪いて、私の言うことを一つも違えず聞く姿――ああ、あれは本当に、極上の眺めだったわ」
嘲笑混じりの言葉が、デッキ全体に響き渡った。都合のいい呼び出しに応じ続けた、屈辱にまみれた夜々を、まざまざと思い起こさせる言い回しだった。
動揺は、意識して押し殺した。過去の屈辱そのものに揺らぐことは、もうない。とうに消化した傷だ。ただ、この暴露によって仲間内に不必要な動揺が広がり、戦闘の連携が乱れることだけは、最悪のリスクとして警戒すべきだった。
「相変わらず、趣味の悪い玩具自慢がお得意らしいな」
冷ややかに切り返すと同時に、義手を通してグリモアの魔力弾を放つ。着弾と共に、機体側面の装甲板が一枚、大きく歪んだ。
「自慢のコレクションが減って欲求不満か? だとしたら、随分と惨めな八つ当たりだな」
「な……っ」
スカーレットの声が一瞬詰まる。図星を突かれた反動か、機体の砲撃が明らかに精度を欠き始めた。乱れた射線を難なく躱しながら、追い打ちをかける。
「それと――もう少し念入りにシャワーを浴びたらどうだ? 香水で体臭を誤魔化しきれてないぞ」
「はあ……っ!? よくもそんな、下品な……!」
激昂したスカーレットが砲門という砲門を全開にし、キャットウォーク全体を薙ぎ払うような一斉射撃を放つ。狙いが荒く大味になった分、避けること自体は容易くなっていた。降り注ぐ弾雨を横に跳んでかわし、着地の勢いのまま再びグリモアの術式を練り上げる。
「頭に血が上ると、狙いまで雑になるらしいな」
指摘と同時に、練り上げた魔力弾を機体の砲身へと叩き込む。過負荷を起こした砲門の一つが、火花と共に沈黙した。
「ジュリアス……」
ティファの声が震えていた。振り返らずとも、その表情は容易に想像がついた。
「今のは……」
「気にするな」
短く遮る。
「過去の話だ。今更、揺らぐような傷でもない」
言い切ると同時に、砲撃を回避しながら反撃の一手を打つ。グリモアから練り上げた魔力弾が義手を通して放たれ、機体の脚部装甲を掠めて火花を散らした。ティファが拳を握り締め、追撃の隙を作るために前へ踏み込んだ。
「あんたがどんな過去を背負ってたって、今のあんたがあたし達の仲間だってことに変わりはないから!」
叫びながら、クリムゾン・メアの脚部へ渾身の一撃を叩き込む。装甲の継ぎ目に走った亀裂を見て、スカーレットが小さく舌打ちする。
「そうよ! わたし達が信じてるのは、今のジュリアスだもん! そんな昔話で仲間を分断できるなんて思わないで!」
エアリスの声にも、迷いはなかった。杖の先から光が溢れ、疲弊した味方へと降り注ぐ。回復と同時に、機体の照準を逸らすための幻惑魔法も編み込まれていた。
ユフィだけが、一瞬遅れて動いた。何かを堪えるように奥歯を噛み締め、視線を一度だけこちらへ向ける。過去に触れたばかりの相手だ、動揺しないはずがない。それでも、すぐに視線を上げ、正面のスカーレットを睨みつけた。
「アタシ達が知ってるのは、今のアンタだ! そんな下品な自慢話で、この関係壊せるとでも思ってんの!?」
苦無を放つ動作の中に、隠しきれない怒りが滲んでいる。タークス時代の話を聞いたばかりの彼女にとって、この暴露は決して軽いものではなかったはずだ。それでも、迷わず言葉を選んでいた。
(――上出来だ。)
内心で呟く。声には出さない。誰にも聞かせるつもりのない一言だった。
「あら、随分と結束が固いこと。つまらないわ」
スカーレットが忌々しげに機体を後退させる。四方からの猛攻に、装甲の随所から蒸気じみた煙が噴き出し始めていた。
一瞬だけ訪れた膠着の隙に、ティファが素早く視線を寄越す。責めるでも、憐れむでもない、ただ確かめるだけの眼差しだった。頷き返すと、それだけで十分だったのか、彼女はすぐに前へ向き直った。エアリスもまた、杖を構え直しながら小さく息を吐き、何事もなかったかのように次の一手へ意識を切り替えている。誰も、これ以上その話題を引きずろうとはしなかった。その配慮が、かえって胸の奥に静かな熱を残した。
激戦が続く最中、眼下の魔晄だまりに異変が生じた。
緑色に発光する液面が、大きくうねりを上げる。震動が足元まで伝わり、キャットウォーク全体が微かに揺れた。
「な、何あれ……!?」
ユフィの叫びに視線を落とすと、液面を割るようにして巨大な影が姿を現した。星の生命体――「ウェポン」。長大な胴体をゆったりとくねらせ、緑の液面を波立てながら滑るように旋回している。海龍を思わせる流線形の輪郭が、魔晄の光を纏って鈍く浮かび上がっていた。空へ舞い上がる気配はどこにもない。ただ、静かに、しかし圧倒的な質量で、魔晄だまりという領域そのものの主として、悠然と佇んでいる。眼下を見下ろす形になっている今の位置関係からすれば、その巨躯の全貌を捉えるだけでも、しばらく息を呑む必要があった。
「あれは……」
言葉を失いかけたところで、スカーレットの声が割り込んだ。
「あら、いいところに来てくれたじゃない」
機体が急旋回し、魔晄だまりの縁へと迫っていく。風防越しに見える横顔には、隠しきれない歓喜が浮かんでいた。
「あの子の胸元、見える? とびきり上等な原石が眠ってるわ。あれさえ手に入れば、今日のところは十分な収穫よ」
視線を凝らすと、ウェポンの胸部深く、脈動するように輝く巨大な結晶が見て取れた。並のマテリアとは比較にならない大きさと輝きだった。
(ヒュージマテリア――神羅が血眼になって追い求めている代物か。あの規模の力を渡せば、戦況そのものが傾きかねない。ここで、絶対に持ち帰らせるわけにはいかない。)
「阻止する!」
告げると同時に、義手を経由してグリモアの術式を展開し、機体の脚部を狙って拘束魔法を撃ち込む。
だが、スカーレットの狙いはこちらの牽制を織り込み済みだったらしい。クリムゾン・メアは魔晄だまりの縁に沿って大きく迂回し、拘束の範囲外から接近を試みる。
「行かせない!」
叫んだのはティファだった。誰の指示も待たず、キャットウォークの手すりを蹴って身を躍らせる。
「おい――!」
制止の声は届かなかった。落下の勢いをそのまま推進力に変え、機体の脚部へと肉薄したティファが、渾身の掌打を叩き込む。予期せぬ角度からの一撃に、クリムゾン・メアの巨体が大きく傾いだ。
「なっ――!」
スカーレットの驚愕の声が拡声器越しに響く。魔晄だまりの縁ぎりぎりで機体が踏みとどまり、伸ばしかけていた採取用のアームが、ヒュージマテリアに届く寸前で空を切った。
「ユフィ、エアリス、上から援護を!」
叫びながら、グリモアの術式を練り直す。二人が即座に呼応し、苦無と魔法弾がクリムゾン・メアの装甲を立て続けに打ち据えた。
「な――生意気な!」
スカーレットの声に、初めて焦りが滲んだ。
腕部の装甲が弾け飛び、推進機構が黒い煙を上げる。それでも機体はかろうじて体勢を立て直し、後方へと大きく後退した。ウェポンへの接近を完全に断たれ、風防の内側でスカーレットが忌々しげに顔を歪める。
「今日のところは、これくらいで見逃してあげるわ。覚えていらっしゃい!」
捨て台詞と共に、クリムゾン・メアは損傷した機体を反転させ、デッキの外へと大きく離脱していく。噴煙を引きずりながら、その姿はやがて上空の飛空挺へと消えていった。
追撃するべきか一瞬迷ったが、機体はすでに大破寸前だった。深追いする必要はない。
「ティファ、無事か……!」
キャットウォークの縁から見下ろすと、機体を弾き飛ばした反動で、下層へと繋がる連絡通路の足場に転がり込んでいるティファの姿があった。
「大丈夫……! ちょっと勢い余っただけ」
苦笑しながら立ち上がるティファの向こう、通路の奥から、今度は聞き慣れた金属音と怒声が響いてくる。クラウド達の戦闘が、まだそこで続いている気配だった。
「下は、まだ終わってないみたい。あたし、様子見てくる!」
「――ああ、頼む」
短く応じると、ティファは頷き返し、通路の奥へと駆け出していった。その後ろ姿を見送りながら、上に残った二人へ視線を戻す。
「はぁ……疲れた……」
ユフィが座り込みながら零す。
「でも、勝った……のよね?」
エアリスが確認するように問う。
「ああ。少なくとも、あれを渡すことだけは防げた」
肩で息をつきながら、眼下のウェポンへと視線を戻す。液面をたゆたうその巨体は、こちらの戦闘には一切関心を払っていないようだった。ただ星の胎動そのもののように、緑の光の中で静かに脈打っている。あの中に眠るヒュージマテリアは、いずれ何らかの形で回収する必要が出てくるだろうが、今この場で無理に手を出す理由はなかった。
「行くぞ。ティファに続く」
告げると、二人が頷いた。三人でティファが消えていった連絡通路を辿り、下層へと足を進める。
金属の階段を下るほどに、戦闘の余韻を伝える焦げた匂いと硝煙が濃くなっていく。やがて視界が開けた先、崩れかけた足場の上に、見慣れた顔ぶれが揃っているのが見えた。
バレットが最後の一体を叩き伏せ、レッドⅩⅢが油断なく周囲を見渡している。ケット・シーはその後ろで、すっかり毛を逆立てながら震えていた。ティファは既に合流しており、クラウドの傍らに立っている。
だが、その光景に違和感を覚えたのは一瞬遅れてだった。
倒れ伏した神羅兵にとどめを刺そうとしていたクラウドの動きが、不意に止まっていた。剣先が震え、握った柄を持つ手に、余計な力がこもっている。
「クラウド……?」
異変に気づいたティファが、すぐさま彼の隣へ寄り添う。
「ッ……!」
クラウドが小さく呻き、空いた手で額を強く押さえた。何かに抗うように、奥歯を噛み締めている。
「大丈夫、あたしがついてる」
ティファがそっと肩に手を添え、支えるように身を寄せた。その言葉に応えるように、クラウドの呼吸が少しずつ整っていく。
「……悪い。もう、平気だ」
短く答えるクラウドの表情には、まだ拭いきれない緊張が残っていた。
「ジュリアス、こっちだ! 無事だったか……!」
バレットが手を振りながら駆け寄ってくる。
「ああ、そちらも片付いたようだな」
告げながら、崩れかけた足場を見渡す。宝条の実験体だったという残骸が、隅で異臭を放って転がっていた。
全員が集まったところで、誰からともなく安堵の息が漏れる。だがその時――足元の暗がりから、ざわめくような気配が湧き上がった。
「……何だ、これ」
ユフィが警戒するように身構える。
暗がりの奥、崩落した瓦礫の隙間から、黒い靄のような影が一つ、また一つと滲み出てくる。人の輪郭を成しながらも実体を持たないそれは、音もなくこちらへとにじり寄ってきた。
「フィーラー……!」
レッドⅩⅢが低く唸る。
「くそ、キリがねえ……!」
バレットが武器を構え直す横で、クラウドが再び額を押さえ、ゆっくりと顔を上げた。虚ろな瞳が、誰もいないはずの虚空の一点を見据えている。
「……セフィロス……?」
その呟きは、あまりにも小さく、あまりにも冷たかった。
冷静に考えると、オリジナル版ではサラッと終わったヒュージマテリアですが、リベレーションだとどうなるんだろ?
トレーラー映像だと相当でかいぞ……?