ロックマンゼクス&はぴねす!〜バディ・コネクション!!〜 作:騎士誠一郎
八輔とモデルAが命がけで仕掛けた「アルバートのブラフ」——。
その一瞬の虚妄が生み出したシステムのエラーと心理的な隙を、雄真が見逃すはずはなかった。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
青と赤の共鳴波を最大限界(オーバーロード)まで引き上げたロックマンZX——雄真は、空気を切り裂く突進スラスターの爆音とともに、瓦礫の山を蹴って跳躍した。
右手に握られたゼットセイバーの刃が、青白いプラズマと激しい超高熱の赤き爆炎を纏い、一筋の巨大な彗星と化す。
狙うはただ一つ、DIN000「アポカリプス」となったイザナミの胸元——狂気の源流である『新生モデルV』の核!
「届いてくれぇぇぇっ!!」
ドッッッッガァァァァァンッ!!!!!
閃光が弾け、空間を揺るがす強烈な打撃音が市街地全体へと響き渡った。
「グッ……ァァァァッ!?」
アポカリプスの悲鳴にも似た重低音が轟く。
雄真の渾身の突きは、見事にアポカリプスの胸部中央の装甲を捉えていた。超高密度のエネルギー同士が激突し、紫黒のプラズマと赤炎の火花が四散する。
だが——。
「……フフ……フハハハハハハッ!!」
胸元にセイバーの刃を突き立てられたまま、アポカリプスの巨大な頭部がゆっくりと持ち上がった。
四本の角の奥で、悪魔のような紫色の眼光が凶悪に明滅する。
「甘い……甘いですわよ、小日向雄真ぁぁぁッ!!」
バチチチチッ!!
アポカリプスの胸部装甲がまるで生き物のように蠢き、ゼットセイバーの刃をその肉体の中へと噛み砕くように締め付けた。
さらには、新生モデルVから溢れ出す無尽蔵の暗黒エネルギーが、即座に破壊された装甲を再生・増殖させていく。
「なっ……!? セイバーが抜けない……!?」
「ブラフごときに一瞬でも動揺した私(わたくし)も愚かでしたけれど……たかだか人間一人の腕力で、この『終末の化身』を穿てると思いましたの!?」
アポカリプスの右腕が、しなやかかつ爆発的な速度で振り下ろされた。
ドカァァァンッ!!
「ぐあぁぁぁぁぁっ!?」
直撃を受けた雄真の腹部装甲が粉砕され、彼の身体は弾丸のような速度で地表へと叩きつけられた。
何重にも重なったコンクリートの瓦礫を突き破り、数百メートルにわたって地表を削り取って激突する。
「兄さんっ!!」
すももが悲痛な叫びを上げる。
「フハハハ! 虫ケラどもが、調子に乗るからだぁッ!」
プロメテが大鎌を突き立て、ハッタリの恐怖から脱した安堵とともに嘲笑を投げかける。
アポカリプス(イザナミ)は巨体をゆるりと滞空させ、瓦礫の底で煙を上げる雄真へと、冷たい視線を向けた。
「終わりです。貴方たちの『希望』という名の足掻き……ここで完全に潰して差し上げますわ」
「ハァ……ハァ……っ……!」
煙と炎が立ち込める崩落現場の深底。
ロックマンZXの装甲は半ば破砕され、バイザーの内部には連続する赤色の警告アラートが明滅していた。
『雄真! しっかりしろ、雄真!』
モデルXの切羽詰まった声が脳内に響く。
『くそっ、ボディの損傷率が四十パーセントを超えている……! あのイザナミってバケモノ、街から吸い上げているサイバーエルフの力で、受けるダメージの数十倍の速度で即時再生していやがる!』
モデルZが悔しそうに歯噛みする。
「……大丈夫だ……モデルX、モデルZ……。まだ……俺の足は動く……!」
雄真は吐血しながらも、歪んだセイバーを握り直し、ゆっくりと地表へ立ち上がった。
周りを見渡せば、小雪も、すももも、杏里も、八輔も……先の激闘と無茶なブラフの反動で、身動きが取れないほどに消耗し、倒れ込んでいる。
(俺が……立ち塞がらなきゃダメだ。倒れたら、すももも、みんなも……瑞穂坂の街の人たちも……全員、あのイザナミの復讐の犠牲になる……!)
雄真はスラスターの残圧を全開にし、一人でアポカリプスの正面へと跳躍した。
「ほう……? まだ立つ気力がありましたのね。ですが……孤立無援で何ができますの?」
アポカリプスが冷酷に指先を奏でると、空中に無数の紫の光弾が生成され、雨のように雄真へと襲いかかる。
「うおおぉぉぉっ!!」
雄真は単身、その弾幕の真っ只中へと飛び込んだ。
バスターを連射して光弾を相殺し、死角からの攻撃を感覚だけでセイバーで弾く。極限状態の中で集中力を研ぎ澄まし、雄真はイザナミとの怒濤の一騎打ち(タイマン)へと持ち込んだ!
ズバァァァンッ! ガキィィィンッ!
一閃、二閃。
雄真の放つ剣技がアポカリプスの巨大な腕や肩を削り取る。しかし、どれほど傷を与えようとも、新生モデルVの暗黒の粘液が瞬時に傷口を埋め戻し、イザナミは何事もなかったかのように反撃の重圧力拳を叩き込んでくるのだ。
「無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
アポカリプスの尾が鞭のように唸りを上げ、雄真の胸板を強打する。
「ぐはっ……!?」
「私の肉体は、瑞穂坂の魔法脈と人々の生命そのものとリンクしているのです! この街に生命が存在し続ける限り、私のアポカリプスは不滅! 貴方の攻撃は、海に一滴の水を落とすほどの意味もありませんわ!」
激しい攻防の中で、雄真の体力は確実に削られていく。
圧倒的な再生力と不滅の耐久力。ただの力押しでは、どれほど命を燃やしてもイザナミを倒すことは不可能なのだ。
「くそっ……再生が早すぎる……! どこかを撃ち抜かないと……核(コア)を……完璧に破壊しないと……!」
雄真は息を乱しながら、アポカリプスの全身を目で追う。
だが、暗黒の装甲と過剰なまでの超重力波が全方位を覆っており、どこに本当の核——『新生モデルVの真の本体』が存在するのか、目視で見抜くことは不可能だった。
「……諦めちゃ……ダメ……」
瓦礫の上で、血を流しながら倒れていた春姫——ロックマン・モデルHが、必死に指先を動かしていた。
彼女のバイザーの奥、モデルHの緑色の光が絶え絶えに激しく点滅している。
『春姫! ダメだ、これ以上『エネミー・アナライジング(敵詳細解析)』の広域スキャンを展開したら、あなたの精神波形が耐え切れず……!』
モデルHが制止の声を上げる。
「いいの……モデルH……! 雄真くんが……一人で街を、私たちを守るために戦ってくれているのよ……! 私に……私にだって、できることがあるはず……!」
春姫は歯を食いしばり、両手を大地へと突き立てた。
私立瑞穂坂学園高等部で培った、彼女の天才的な魔法理論。
そして、モデルHが持つ「風と情報」を司る解析能力。
その二つを、自らの命を削る覚悟で限界を超えて融合させた。
「風よ……目となれ! 空間を巡り……あの悪夢の『偽りの心臓』を暴き出しなさいっ!!」
**『エネミー・アナライジング』最大出力(フルパワー)解禁——!**
視界が透き通り、世界が緑色のデータストリームへと変換される。
春姫の視線は、アポカリプスの複雑怪奇な重力波の渦を通り抜け、暗黒の装甲の内部、血管のように張り巡らされた巨大なエネルギー流動の「起点」へと潜り込んでいく。
イザナミの強大な再生力。それは、外見上は胸部中央から発しているように偽装されていたが……実際は違っていた!
「……見つけた……っ!」
春姫の瞳が光を放つ。
「雄真くん! 聞いて!! 胸じゃない……! イザナミの胸のコアはただの偽物よ!!」
「何……!?」
一騎打ちの渦中で、雄真が目を見開く。
「本当の核(コア)は……**アポカリプスの『左肩の装甲内部』**! 瑞穂坂の魔法脈から吸い上げたエネルギーを一度そこに集約させて、全身へ循環させているの! そこを……あの左肩の内部核を打ち砕けば、再生能力は完全に止まるわ!!」
「な、何だと……!?」
アポカリプス(イザナミ)の顔色が一変した。初めて、その絶対の余裕が崩れ去り、歪んだ焦燥が浮かび上がる。
「貴様……あの短時間で、アポカリプスの回路構造を見抜いたというのですか……!? 伝承のロックマン・モデルHの解析能力……鬱陶しい雑草がぁぁッ!!」
狂乱したイザナミは、解析を完了した春姫へ向けて、全弾の誘導光弾を向けた!
「春姫には手をさせない!!」
雄真が叫び、全速力で春姫の前へと割り込む!
背中で光弾の爆風を受け止めながら、雄真はゼクスバスターモードに変形させ、最後の、全ての力を注ぎ込み始めた。
「春姫……ありがとう……! 最高のパスを……もらったよ!!」
雄真の全身から、青と赤の共鳴波が限界を超えて溢れ出す。
モデルXのチャージエネルギーと、モデルZの限界切断波動。さらには、仲間たちの想いが、雄真の背中を強力に押し上げる。
アポカリプス(イザナミ)は左肩を庇うように巨大な腕をクロスさせ、絶対の重力障壁を最大展開した。
「させません……させませんわぁぁッ!! 追いつめたのは私です! この世界を滅ぼすのは、十六夜美奈子の復讐の業火ですわぁぁッ!!」
「いくぞ……イザナミィィィッ!! これが……俺たちの、瑞穂坂の『絆』の力だぁぁぁぁぁっ!!」
狙うはただ一点。
アポカリプスの『左肩の装甲内部』——真の実核!!
雄真の解き放つ最大出力のダブル・チャージバスターの必殺の一撃が、イザナミの展開した絶対障壁へと真っ向から激突する!
世界が激しい光の渦へと呑み込まれていく中、決着のときは近い。
「ぬおおおおおおおおっ!!」
雄真の全身から解き放たれる青と赤の共鳴波が、瑞穂坂の夜空を裂く巨大な光の柱となって吹き荒れる。
アポカリプス(イザナミ)の左肩に展開された、絶対無の重力障壁。
春姫がその命と引き換えにして暴き出した「真の核(コア)」を守るため、イザナミは新生モデルVの莫大な暗黒エネルギーを集中させ、完璧なる無敵の盾を構築していた。
バチバチバチバチッ!!!!!
雄真の放ったダブル・チャージバスターの光弾が障壁へと激突し、激しい次元の火花が四散する。
「無駄……無駄ですわぁぁッ!」
アポカリプスの巨大な威容の奥から、イザナミの狂乱した叫びが轟く。
「いくら核の場所を見抜こうと、私(わたくし)の障壁を破ることなど不可能ですのよ! この街から吸い上げた人々の生命、瑞穂坂の膨大な魔法脈……その全てが私を護っている! 貴方たちの脆弱な『絆』ごときで、私の二十年越しの怨念を超えることなど絶対にできはしませんわぁぁッ!!」
重力障壁が激しく脈動し、雄真の攻撃をじわじわと押し返し始めた。
雄真の装甲からパチパチと過負荷の火花が吹き出し、脚のフレームが悲鳴を上げる。
「くっ……うあぁぁぁぁっ!?」
「兄さんっ!!」
すももが泣き叫ぶ。
「負けないで……雄真くん……っ!」
春姫が、小雪が、杏里が、八輔が……倒れ伏した体から声を振り絞り、祈るように雄真の背中に叫びを届ける。
その時だった。
『雄真! 剣や銃のエネルギーだけじゃない……! 僕たちの本当の力を……君の“生身の魂”の力を乗せるんだ!!』
モデルXの叫び。
『そうだ雄真! 武器を捨てろ……! 怨念だの復讐だの、そんな下らねえ小細工をブチ破れるのは……お前の怒りと、仲間を護るその『熱い拳』だけだッ!!』
モデルZの咆哮が、雄真の魂を激しく揺さぶった。
「武器を……捨てる……!?」
雄真は目を見開いた。
次の瞬間、バスターを消滅させ、チャージを完全に解除した。
すべてのエネルギー——モデルXの希望、モデルZの勇気、春姫たちの解析、すももの祈り、八輔たちのハッタリ、そして何より「この街の人々と日常を護る」という小日向雄真自身の生身の意志——そのすべてを、彼の**「右拳」**ただ一点へと集約させていく!
「おおおおおおお……っ!!」
雄真の右拳が、太陽のごとき金色の光を放ち始めた。
「なっ……何ですの、その不吉な光は……!? 武器を捨てるなど……血迷いましたのね、小日向雄真ぁぁッ!!」
アポカリプス(イザナミ)が全威力を込めて重力障壁を最大展開し、雄真を押し潰そうと襲いかかる。
だが、雄真の足は一歩も引かなかった。
低く踏み込み、大地を蹴り上げ、魂の全てを乗せて右拳を振り抜く!
「これが……俺たちの……全てだぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
**ドッッッッッガァァァァァァァァンッ!!!!!!!!**
衝撃波が、瑞穂坂の市街地全体の雲を綺麗に吹き飛ばした。
雄真の生身の感情が乗った右ストレートは、アポカリプスが誇る「絶対の重力障壁」の表面に、目に見える巨大なヒビを走らせた。
「な……な……破れ……ッ!? 私の重力障壁が……人々のエネルギーを集めた絶対のバリアが……叩き壊される……!? そんな……そんな馬鹿なことがあってたまるかぁぁぁぁっ!!」
イザナミの悲鳴。
次の瞬間、パリィィィィンッ!という高潔なガラスの破砕音とともに、バリアが完膚なきまでに粉々に弾け飛んだ!
「これで……終わりにしよう、イザナミぃぃぃぃっ!!」
バリアをぶち破った雄真の右拳は、そのまま一切の減速なしで、春姫が見抜いたアポカリプスの『左肩の真のコア』——そしてその奥に潜む、十六夜美奈子の「顔面」へと一直線に叩き込まれた!
**ドゴォォォォォォォォォンッ!!!!!**
「グッ……ガハァァァァァァッ!?」
凄まじい肉砕の音。
アポカリプスの左肩の核が粉々に爆砕し、全身へ行き渡っていた暗黒のエネルギー流動が完全に断ち切られた。
さらには、雄真の右ストレートの衝撃がイザナミの精神そのものを激しく打擲する。
「あ……が……っ……!?」
巨大な悪魔の威容を誇っていたアポカリプスのボディが、まるで砂の城のように内側から崩壊を始めた。
吸い上げられていた大量のサイバーエルフたちが、青白い温かな光の粒子となってアポカリプスの体内から噴出し、空へと解放されていく。その光たちは、街で倒れていた市民たちのもとへと吸い込まれ、吸い上げられた生命が元通りに還っていく。
崩れ去る暗黒の装甲の狭間から、元の姿——十六夜美奈子の体が宙へと投げ出された。
彼女の顔の右側には、雄真の拳の痕が残っていた。
頬を腫らし、髪を振り乱し、呆然と自らの手を見つめる美奈子。
「わたくしが……この私が……敗れた……? 魔法工学の頂点に立ち……完璧な復讐の計画を練り上げたこのわたくしが……?」
美奈子の身体が、コアを失った反動で徐々に粒子となって消滅し始めていた。
「天才と呼ばれ……そして全てを奪われたわたくしを……殴る……? 説得でも……魔法の力でもなく……ただの『生身の拳』で殴りつける人間が……この世に……いたというのですか……?」
美奈子は腫れた頬に手を当て、どこか茫然とした、しかし憑き物が落ちたような顔で雄真を見つめた。
「ふ……ふふ……あはははは……」
美奈子の口から、乾いた笑いが漏れた。
「惨めですわね……。二十年間……怨念だけを糧に生きてきて……最後に残ったのが……男の子の力任せな『右ストレート』だなんて……」
「イザナミ……十六夜美奈子さん」
変身が解け、満身創痍の姿で肩で息をする雄真が、美奈子へと歩み寄った。
「君の怒りも、苦しみも……俺には本当の意味で分かってあげられないかもしれない。でも……人の想いを、街の日常を踏みにじって得る復讐なんて、どこにも救いなんてないんだよ!」
「……生意気な……ガキ……」
美奈子はフッと寂しげに微笑むと、目を閉じた。
「瑞穂坂学園……私を捨てたあのぬるま湯の庭……。少しは……スカッとしましたわ……」
その言葉を最後に、十六夜美奈子の身体は美しい光の粒子となって、瑞穂坂の夜空へと完全に霧散し、消滅していった。
二十年越しの狂気と復讐の幕は、一人の少年の直球すぎる熱き拳によって、静かに下ろされたのだった。
新生モデルVが消滅し、アポカリプスの巨体が崩壊したことで、市街地を包んでいた紫黒の雲は完全に晴れ渡った。
空からは、瑞穂坂の街を優しく照らす満天の星空が広がっている。
「……ハッ。呆れたぜ」
崩壊したタワーの瓦礫の上で、漆黒の大鎌を肩に担いだプロメテが、吐き捨てるように言った。
「絶対の死神だの、終末の化身だの言っておいて……最後はガキのパンチ一発で終わりかよ。イザナミの企みも、底が知れてんな」
その隣で、無数の浮遊ビットを背後に従えたパンドラが、静かに自らの指先を見つめていた。
「……イザナミは消えた……。サイバーエルフだった私たちに……この新しい肉体だけを残して……」
「おい、プロメテ! パンドラ!」
下から叫んだのは、傷だらけの雄真だった。
春姫、杏里、小雪、すもも、八輔たちも立ち上がり、二人を見上げている。
「君たちは……これからどうするんだ!? また誰かに利用されて、世界を襲うつもりなのか!?」
プロメテはゆっくりと振り向き、狂暴な、しかしどこか晴れやかな不敵の笑みを浮かべた。
「ハッ! 誰かに利用されるだと? ふざけるな。俺たちはもう……セルパンの駒でも、アルバートの玩具でも、イザナミの奴隷でもねえんだよ」
プロメテは大鎌を一度大きく振ると、背中のスラスターから黒炎を吹き上げさせた。
「この肉体は悪くねえ。……これからは、誰の言命でもなく……俺たちの『自らの意志』で歩かせてもらうさ」
「……つまらないわ……」
パンドラが無機質な、けれどどこか微かな温かみを帯びた声で呟いた。
「……あなたたちと遊ぶのも……もう飽きた……。この広い世界のどこかで……私たちは私たちの『答え』を探す……」
「待てよ!」
雄真が手を伸ばすが、プロメテとパンドラは互いに顔を見合わせると、空間の歪みの中へとゆっくりと足を踏み入れた。
「またな、ヒーロー気取りの雑種ども。……次に会う時は、お前たちのその『絆』とやらが本物かどうか……俺たちの意志で確かめてやるよ」
プロメテの捨て台詞とともに、空間の亀裂が閉じ、二人の死神は夜の彼方へと去っていった。
敵ではあったが、もう誰かの操り人形ではない。彼らもまた、この瑞穂坂の地で「己の足で生きる」という新たな運命の第一歩を踏み出したのだ。
「……行っちゃったね」
すももが雄真の隣に寄り添う。
「ああ。でも……これで良かったんだと思う」
雄真は空を見上げ、深く息を吐き出した。
東の空から、静かに朝日が昇り始めている。
瑞穂坂の街に、いつも通りの、けれど何よりも愛おしい新しい「日常」の光が差し込んでいく。
「さあ、みんな……帰ろう! 俺たちの瑞穂坂へ!」
雄真の弾んだ声に、春姫、杏里、小雪、すもも、八輔、そして六つのライブメタルたちが、心からの笑顔で頷いた。
激闘の果てに掴み取った希望の光を浴びながら、物語は感動のグランドフィナーレへと静かに包み込まれていくのだった——。