セイア様、お飲み物はいかがですか? 作:文才が無い饅頭
ちなみに毎回ノリで書いてるので、クオリティに対する文句は感想欄にお願いします。
昼下がり、殆どの生徒が昼食を食べ終え、午後の授業に向けて準備をしている頃、トリニティ総合学園のテラスでは、生徒会長とその補佐の会話が繰り広げられていた。
「セイア様、こちらお茶です」
慣れた手つきでティーカップを差し出しているのは、〝霧峰アリカ〟だ。生徒会長の補佐であり、その仕事ぶりから〝従者〟と呼ばれることもある生徒である。
「ああ、ありがとう」
一方、差し出されたティーカップを、礼を言いながら受け取っているこちらの生徒はトリニティに三人いる生徒会長、ティーパーティーのうちの一人、〝百合園セイア〟だ。以前までは病弱であったが、今ではすっかり元気になっており、むしろアグレッシブすぎるくらいに回復している生徒である。また、アリカが補佐として付き従っているのも彼女である。
最近では聖園ミカやエデン条約調印式関連の仕事の処理があったせいで、二人とも休む暇が無かった。そのためか、時間が空いたら何をするでもなく、二人揃ってこのテラスでゆっくり過ごすことが多くなっていた。そして今日も同じように、二人でゆっくりと過ごそうとしていたのだ。
「……?」
しかし、受け取ったティーカップに口をつけて中身を飲もうとしたところで、セイアの動きが止まる。そして、中に入っている液体の匂いを嗅いでみたり、それをまじまじと見つめたりしてから、一言。
「……これは、緑茶じゃないかい?」
「はい、緑茶です」
セイアの問いに対して、アリカは即座にそう答えた。が、セイアは若干不満そうな顔をしていた。
「トリニティでお茶と言ったら、普通紅茶だと思うんだが、何故緑茶なんだい?」
その理由が、これである。
そう、セイアはアリカの言う〝お茶〟が紅茶であると思っていたのだ。しかしアリカは緑茶をティーカップに入れ、そのまま何も言わずにセイアに手渡した。
普段アリカがセイアに飲み物を用意する時、普通に紅茶を淹れるということが殆どだ。そのため、セイアも特に疑うこと無く飲みそうになってしまったのである。
「セイア様、それは偏見ですよ。固定観念というやつです。別にトリニティにおける〝お茶〟が、全て紅茶のことを指しているわけではありません。そもそも私は、それが紅茶だなんて一言も言っていませんよ」
不服そうなセイアに対して、アリカはそれらしい理由を並べる。しかしセイアは、これを見過ごす気にはなれなかったらしく、反論を続けた。
「まあ、それもそうだけれどね……じゃあ質問を変えよう。何故わざわざティーカップに入れたんだい?別に普通のコップだってあっただろう」
「それは……」
「それに、今回は飲む直前に香りや見た目が明らかに異なることに気付くことができたけれど、もし気付けずに飲んでしまっていたらどうするつもりだったんだい?」
「ええっと、ですね……」
「中身が緑茶だったから良かったものの……極端な例にはなってしまうが、もしも健康に害があるようなものが入っていて、それを私が飲んでしまっていたら君はどうするつもりだったんだ?今回の場合でも変わらない。緑茶を飲んでしまって、騙されたと思った私が君に対して何らかの処罰を下す可能性だってあるだろう。それなのに君は──」
「いや、あの……はい、すみませんでした……」
最終的に、セイアの口調が厳しくなり、喋る量も増えてきたところでアリカが折れた。謝罪を聞いたセイアはというと、まだ少し不服そうな顔だ。
「ふん……次からはしっかりと何を用意したのか明言するようにしてくれ」
「はい……」
「……分かれば良いのさ、分かれば」
そうして、ディベート対決とも言えない小さな論争はセイアの勝利に終わった。
「まあ、とにかく反省したまえ」
「はい、ふか〜く反省します……」
「……ではセイア様、新しく紅茶を用意しましょうか?」
「いや、それはいい。用意されてしまったものは仕方が無いからね、このまま飲むとするよ」
「そうですか……」
Tips:アリカは緑茶が結構好き。
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