「でも、色んなゲームがあるんだね」
ミレニアムサイエンススクール、部室棟の一室。ゲーム開発部の部室として使用されているそこには、現在外からの来訪者の姿がある。連邦捜査部シャーレ。現在話題になってる超法規的組織の顧問である『先生』である。
先生がミレニアムを訪れるキッカケは数日前のことだ。シャーレへと送られてきた、ある依頼文。それはゲーム開発部からのもので、現在廃部の危機にありそれを回避するために力を貸して欲しいというものだった。
ミレニアム。その自治区は先生にとっては色々と縁がある自治区である。現在は手伝ってくれる部員も少しづつ増えてはきたが、アビドスの騒動の頃は人手が足りず。そんな中、初期の部員になってくれた生徒の多くはミレニアムの生徒だった。セミナーの会計であるユウカ、書記のノア、治安維持局の副局長のセンナ。そして、治安維持局局長のヒナ。思えば立場だけ見れば凄まじい面子ではあるが、先生にとっては等しく生徒である。
そんな彼女達には大いに助けられた。依頼の現場や書類のこともあるが、自治区としての決定と目的があったとしてもアビドスの騒動に際してミレニアムが手を貸したくれたのは特に大きかった。当然、便利屋の面々やトリニティからの協力を取り付けてくれたヒフミにだって感謝しきれないが。
何かと縁のある自治区、ミレニアム。依頼として訪れるのは恐らく初めてで、最初に訪れた時はその最先端さに呆然とした。近代的なモノレールの駅と街並、街の中では所々に清掃用のオートマタや警備ロボットなどが存在しており、まさに近代的な未来都市という印象を抱いた。
そうして到着したミレニアムサイエンススクール。部室棟に入る前に突然ゲーム機が降ってきて気絶するというトラブルはあったが、なんとかゲーム開発部の部室へと到着。色々と事情を聞いて、現在はそれとは別の話を聞いてみているところなのだが。先生としては個人的な趣味もあって、部室内の調度品などに目を奪われていた。
先生は、プラモデルやゲーム。ホビー用品に目がなく大好きなのだ。シャーレの業務が忙しく、あまりその趣味に対して時間を取ることは出来ていないが、休憩時間に積んでいたプラモデルを作ったり、偶然エンジェル24に入荷していた品薄のカードゲームのパックを迷うことなく大人買いしたり、合間にはロボットの映像作品を見たりして楽しんでいる。ゲームだって大好きなのだ。アクションゲームやシューティングゲームは得意ではないが、シミュレーション系のゲームやテーブルゲームなどは得意である。
そんな先生からすれば、ゲーム開発部の部室は宝の山だった。正直に言えば、現在は依頼中なので私利私欲をできるだけ抑えているが本当なら趣味全開で色々目を輝かせながら見たいと思うほどにだ。
「先生もゲームが好きな感じ?」
「うん、大好きだよ。といっても、最近は忙しくてあまりできていないけれどね……ははは」
「ならウチの部室遠慮なく見ていってよ!きっと先生が面白いと思うものもいっぱいあると思うよ!」
「えっ!?い、いいの?」
「勿論!例えばこれなんて――」
至福の時間だ。先生としてはそう言えるほどに楽しいと感じた。
本当に最近は忙しかったのだ。できればまだまだ積んでいるプラモデルも崩したかったし、新発売のロボットの玩具も買いに行きたかった。けれどそんな余裕もなく。正直に言えば、少し娯楽に飢えていた。だからこそ、ゲーム開発部のモモイ、そしてミドリの提案はとても嬉しかった。
初期型のプライステーション、発売された当初のレトロタイプのバーチャルボーイに、幻のゲーム機ドリームサターン。伝説と名高いレトロゲームまであって先生は思わず声を上げて驚愕した。
「す、すごい……!これって確かモモフレンズの前身だったっていうキャラクターのゲームだよね!?ネットの画像でしか見たことなかったけどまさか実物が見て触れるなんて……。うん……?こ、これはッ!?うおおおおおおおおおお!?」
「ど、どうしたの先生!?」
「『超・ロボット大戦!』の最初期のやつだよねこれ!?し、しかもこれ初版の限定パッケージで、今では珍しいCDのサントラがついてるやつだ……!CD未開封でパッケージも美品!これどうしたの!?超お宝だよ!?」
「えーっと……それは確か、どうだっけミドリ?」
「ブラックマーケットに一度行った時、困ってた古物商のおじいさんを助けて、その後私達の話を聞いてお礼にってくれたやつだよお姉ちゃん。私達も後で価値を知って、流石に貰えないって後日返しに行ったんだけど『ゲームはそれが好きな子供に持たれるのが一番幸せなんじゃ』って言われて突き返されたでしょ」
「あーっ覚えてる!今は別の自治区でお店出すからって、その後ブラックマーケットからも撤退しちゃったおじいさんだ!覚えてる覚えてる!」
「二人共……これすごく……途方もなくお宝だから本当に大切にしてね……!し、写真撮ってもいいかな?」
「勿論!」
満足そうに、楽しそうに様々な角度から写真を撮る先生。そんなゲーム好きの相手の姿を見るだけでもモモイとミドリは楽しくも嬉しいものである。
そんな時だった。
――コンコンッ
「あれ、誰だろう?」
部室の扉がノックされた。特に来訪の予定はなく、あるとしても自分達が依頼を出している先生くらいのはずだ。もしユウカなどであれば、ノックなどせずに容赦なく入ってくるはず。となると、別の誰かだが心当たりがない。
「はーい、どちら様…… ――ふぇ?」
思わずモモイの口から変な声が漏れる。
それはそうだろう。何故なら、扉を開けた先。そこに居たのは。
「やあ、邪魔するよ」
「ゲーム開発部というのはここでいいのかしら?」
ミレニアムにおける治安維持、そして法と秩序を司るセミナー直下の部署。そこのトップである二人だったのだから。
◆ ◆ ◆
「あ……え、えっと。……え?」
思わず完全に固まってしまったモモイだが、それは仕方のないことだろう。突然来訪してきたのは、このミレニアムではネルと並んで有名な二人。最近は日常風景の画像が話題になり人気も高い相手だが、同時。ミレニアムの規律を乱す相手を絶対に逃さない存在でもあるのだ。
「……?大丈夫かしら。 ゲーム開発部というのは、ここであってる?」
「は、ひゃいっ!」
「ヒナ先輩にセンナ先輩!?お、お姉ちゃん何やったの!?先輩達が出て来るって大事だよ!?」
「何もしてないはずだよぉ……!」
とはいうものの、モモイの中ではもしかしたらあれかもしれない。いや、これかもしれないと心当たりが幾つか出てくる。それが原因でセミナーのユウカが遂にキレて二人をけしかけてきたのではないのか、と内心冷や汗が滝のようになっており混乱状態である。
そして、なにかとてつもない誤解をされていると思いヒナは困った、というようにしているがセンナはといえば隣で笑いを堪えるので必死だった。
困った。きっと自分の立場が悪い方に作用したに違いないと思い、どうしたものかと思案する。ヒナはあまりコミュニケーションは得意な方ではなくどちらかと言えば受け身だ。だから、こういった場面でどうしたらいいのかというのはとても困るのだ。
「あれ?ヒナとセンナ?」
ふと。助け舟とも取れる声が聞こえる。それは部室の中からであり、全員の視線がそちらへと向く。
それは、部室内に展示する形で置かれているゲームに関係するものを写真に撮っている人物であり。ヒナ達としてもよく知る相手であった。
「先生?どうしてここに?」
「シャーレの依頼でね。ゲーム開発部から依頼を受けて来たんだけど……二人は?」
「……センナ」
先程の反応からして自分では誤解を招くかもしれない。そう考えたヒナは、視線をセンナへと投げ、彼女もまたそれを受けて頷いた。
「はい、では私から。セミナーの決算が近いということで、次の予算などの算出のために部活動に対しての監査が実施されることになりました。最初の対象は部の存続可否の対象となる部活動で、治安維持局の調査部で実施予定なのですが、試験実施のため今日は比較的業務が少なかった我々でとりあえずやってみようという話になり、その対象がゲーム開発部となった次第です。……ということだから、別に捕まえに来たわけじゃないよ、君達」
スラスラと話していくが、これは殆どがでっち上げである。センナは少々特殊な家の出のため、政や外交なども得意である。だからと言うべきか、化かし合いやでっち上げなどといったことも慣れている。
ホッ、と胸をなでおろすミドリとモモイ。そして、隠れているがユズ。しかし、話を聞く限り監査、つまりゲーム開発部を見に来たのは確定だ。
「そんなに緊張しなくていいよ、監査と言ってもまあ、多少話はあるけどほぼ本当に見に来ただけみたいなものだからね」
「ひとまず、入ってもいいかしら。先生と何か依頼の話をしているのならば、仕方ないけれど……」
それならば、と二人を部室に通すモモイ。
そうして。通された部室で、ヒナは物珍しそうにしており、部室の中のものに興味を惹かれるのであった。
へけっ……強欲ハム太郎なのだ……沢山のお気に入りや感想に評価、ありがとうなのだ、すごくうれしいのだ、もっと欲しいのだ……!強欲なのだ……へけっ……!
ドア開けたら二人が居たモモイ「アーウ!アッ……(白目)」
盆休みが終わり、再び多忙な生活になったので更新頻度が低下していきます。もっとお休みが欲しい今日この頃……休みに日常謳歌するヒナちゃを書いてなんとか元気を出しています。