『ミレニアム治安維持局局長』、空崎ヒナ   作:無名のカヤ推し

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EPISODE18:ゲーム開発部のやらかし(功績)

「ぱんぱかぱーん!裏ボス局長……じゃない、ヒナ先輩がパーティーに加わりました!」

 

「……やっぱりアリスの中で私は裏ボスなのね。一度モモイを治安維持局に呼ぶべきかしら」

 

「私はなにもしてないよぉ先輩!お、お慈悲を……お慈悲を先輩……」

 

「善処するわ」

 

「それ駄目なやつ!助けてミドリ、ユズ!このままだと機動課の子達にひどい目に合わされちゃう!」

 

 助けてと言わんばかりに視線をミドリとユズへと投げるが、尊い犠牲だと言わんばかりに視線をそらされた。最早救いはないらしい。

 

 ヒナとしては、あくまで冗談のつもりで言っているが実際にはゲーム開発部。もとい、ユウカがかなり甘くしたり裏でこっそりと手を回して対処したりしていたが彼女達が起こしたトラブルの大半の原因はモモイが発端だったりする。

 

 それが、

 

 『古物研究部モアイ爆破事件』

 『VR研究会VRサーバーTSC混入事件』

 『模型部プラモデルリアルバトル事件』

 

 などである。

 

 特に酷かったのは『フルダイブVR研究会VRサーバーTSC混入事件』である。これはゲーム開発部は知らぬことだが、裏ではユウカがフルダイブVR研究会に謝り倒していた。自分が謝っていたことを内密にして欲しいと言って謝りに来た被害部は、セミナーのユウカにそこまで謝られてはと溜飲を下げた。なお、これについては流石にモモイも謝りに行っている。

 

 内容としては、フルダイブシステムとVRについて研究したりサーバーを構築してそこで様々な活動をしているフルダイブVR研究会のサーバーが突然、TSCの世界観に変化したのだ。当然VR研究会は何事かと驚く。しかも、フルダイブのTSCをクリアしなければサーバーからログアウトできないというものだった。勿論ゲームなので倒されても問題はない。

 

 ただ、TSCの所々に散りばめられているゲームオーバー時に流れるプレイヤーの神経を逆撫でるテロップがフルボイスで流れるが。

 

 気合と根性、そしてフルダイブシステムとVRを愛する魂で研究会は12時間かてけゲームをクリアした。終わった後の部員たちの目は揃って虚ろであり、数日間全員が活動を休んで療養に務めた。このような事件ではあったが、確かに研究会からすれば怒り心頭の部分もあったが彼女達もミレニアムの生徒。しかも、特に自分達のやっている分野に対しての関心や興味が強く勉強熱心である。その部長は、『確かに腹立たしく、地獄のような体験だったが得るものは沢山あったから事後処理の諸々でトントン』と言っていたという。

 

 

 なお、余談だがこの研究会は次のミレニアムプライスでキヴォトスを震わせる研究成果を発表して多大な結果を残すことになる。

 

 

 

 ある意味ではゲーム開発部の成果……とも言えるのかもしれないのが『模型部プラモデルリアルバトル事件』だった。これもまたモモイの悪ノリで、該当の部活動に対して最初はファンタジー系ゲーム開発にロボットやSFという要素をロマンとして入れる参考になるかもしれないと言って知り合いに見学を申し出たのだ。その知り合いはそれを快く了承、見学は特に問題なく進んでモモイも教えてもらいながら比較的簡単に作れるモモフレンズキットなどのプラモデルを作ったりしていた。

 

 

 

 そうして盛り上がっているところでモモイがあることを言ってしまった。

 『ロボット系といえばバトルが定番だけど、自分の作った模型でバトルできたら面白いよね!』

 

 と。

 

 言ってしまった。言ってしまったのだ。

 それを聞いた瞬間、模型部の魂に火がついた。

 

 激論が始まり、『バトルするなら自分も乗らないと駄目だ』『あらゆるキットやオリジナルのプラモデルにも対応できるようにしなければ』などという発言が飛び交い、遂には数メートルサイズの稼働可能なプラモデルの原案まで出る始末。エンジニア部も巻き込み、遂には数メートルサイズのプラモデルでのリアルバトルをやるまでに発展した。

 

 だがそんなことをすれば大騒ぎになるのは明白であり。数メートルのモモフレンズのキャラクターのロボットと人気ロボットアニメのロボットが試験アリーナで戦っているなどということを聞きつけたセミナー、ユウカが介入。流石に大問題に発展しかねない行き過ぎた活動ということで辞めさせた。当然、関係者全員大目玉である。

 

 

 ……こちらもなお、であるが。この自分で作った模型で戦うというのは非常に注目を集め、少し前にゲーム開発部の騒動に巻き込まれていた『フルダイブVR研究会』が後日模型部と手を組み、『現実で無理ならVRでやってしまえばいいのでは?』と言って、自分の作った模型を物理ハードでVRシステムへと読み込み、フルダイブVRの世界でやってしまおうという企画がスタートした。

 

 

 模型部のこれもまた次回のミレニアムプライスでキヴォトス全土を巻き込むほどの話題となり、超話題の大人気ホビーカルチャーとして有名になった。そうして、『古物研究部モアイ爆破事件』でも奇しくもモアイの爆破によってとあることが発見されて大騒ぎになったのだが……当然、これもゲーム開発部の成果にはなっていない。むしろ、爆破をして迷惑と被害があったのだからこれも注意対象である。

 

 

 これらの出来事についてはゲーム開発部が多少なりとも関与しているのだが、それぞれの騒動時点ではただのトラブルやから騒ぎだったため結局成果などにはならず。むしろ、騒動の原因や引き金になったことからセミナーからの厳重注意対象になっていたのだ。

 

 

「えっと……機動課って、そんなに怖いところだっけ?事件対応時は割と真剣な眼してて怖いなって思うことあるけど、普段は自治区を巡回したり困ってる住民の手助けしたりしてる自治区の警察官みたいな子達だよね」

 

「ミドリはあの飢えた獣達のことを知らないから……!それは被ってる皮!一度連行されたら『へへへ……お前を気分よくさせて生まれ変わった気分にさせてやるよ』『ポニィィィイイ!ポニッ、ポニィィィイ!』『いつ見てもいい素材だあ、早く私にも楽しませてよ』とか言ってあんなことやこんなことしてくるんだよ!?」

 

 モモイはこう言うが、実際は着せ替え人形とその画像をモモックスへの投稿である。一応モモイの名前は出していないし、普段のモモイからは考えつかないほど着飾られているのであまりバレることもないのだが。

 

 機動課はミレニアム治安維持局でも最前線の部署である。現場対応や有事への出動が最も多い部署であり、ヒナのゲヘナ時代ほどではないがかなり激務である。アビドスの騒動の際にもネルやセンナの指揮のもと最前線に赴いた生徒達であり、所属するそれぞれがかなりのエリート。謂わば、ミレニアム版の最新技術の武器と兵装で武装したSRTと言って過言ではない生徒達なのだ。

 

 が、それだけ過酷で多忙な部署なのだ。当然、フラストレーションというのは溜まる。そうしてそれを解消するためによく軽い問題を起こした生徒、かつ既に知り合い・顔見知りレベルで常連の生徒に対して行われるのがモモイの受けたそれである。なお、モモイは意外に友人が多く顔も広く、機動課の生徒にも友人は居る。よって、問題を起こせばそのまますぐに連行である。

 

 当然とでも言うべきか機動課の生徒達はヒナを着せ替え人形にしたりあんなことやこんなことをしたいとは思っているがやってはいない。これでも規律と秩序を守る治安維持局局員、しかもヒナはそのトップでありそんなことをすれば大喜びしながらセンナが駆けつけてくるのは目に見えているからだ。今日も治安維持局は平常運転、平和である。

 

 

「……まあ、機動課の子達の眼が時々怖いのは否定しないわ。私も時々背筋が寒くなる時あるから。ごめんなさいモモイ、必要な犠牲だと思って受け入れて。多分、そうね。アリス風に言うならメインタンクのモモイからタゲが逸れたら次に向くの私だから」

 

「くぅ、匿名で上げられている画像がいつもバズっててそれが気持ちよくなってきてるから嫌じゃなくなってる私が居るから何も言えない……!」

 

 アリスが『モモイはアタッカーでタンクだなんてすごいです!』と言っており、ガクリとモモイは項垂れた。キヴォトスにおいての現在の最強格、そんな彼女にも怖いものはあるのだ。冷酷な算術使いと記憶力のいい後輩は当然として、最近はそこに特定の部下達の部署が追加された。後は最近自分の副官からも似たような視線を感じるがきっと気の所為だろう。

 

 

 

「それで、手伝ってほしいことがあるってモモトークで言っていたけれどどうかした?今日は私、午前で業務が殆ど終わって後はほぼ巡回業務だし。……仕事したくても止められるから」

 

 最近は自分を止める相手が増えたのだ。しかも、その相手は四六時中自分の近くにいる相手でもある。業務を手伝ってもらって捗っているのだからもう少しだけキリの良いところまで、と思った瞬間『マスター?』という言葉が飛んでくる。しかも強制的に端末を操作不能にされる。

 

 

「じ、実は……その。先輩にお願いがあって……」

 

「遠慮なく言って。業務がない時に貴女達に協力すると言ったのは私なんだし」

 

 

 

 

 そうして。機会は訪れる。

 ゲーム開発部にとっても、そしてヒナ達にとっても。

 

 

 

「もう一度、私達と一緒に『廃墟』区画まで同行して欲しいの!」

 

 

 

 




■フルダイブVR研究会
 部長の名字は『茅場』。部室のホワイトボードには最新システムの概要と理論について細かく書かれたりするのだが、その端に『ヽ(*゚д゚)ノ < カヤバー』という顔文字が書き込まれている。本人の気に入っている顔文字らしい。

■模型部
 部長の名字は『川口』。普段はスーツのようなミレニアムの制服と黒いサングラスを着用しているが、作業をする時は作業着に着替える。なお、サングラスは殆ど外さない模様。普段サングラスにスーツ、丁寧口調のせいでかなり威圧的に見られることもあるのだがサングラスを外すと評価がガラリと変わるのだとか。治安維持局機動課によく連れて行かれて着せ替え人形にされ、写真を上げられている一人。モモイ同様写真は滅茶苦茶バズっているのだが誰もそれが彼女だとは気がついていない。

■機動課の一部の生徒達
 ミレニアムの中でも実力的にエリート中のエリート集団で、SRTの生徒にも匹敵する実力と最新鋭の装備を備えている。……のだが、日頃の激務のフラストレーションを変な方向に発散する生徒が多い。

■モモイ
 実は交友関係が滅茶苦茶広い、色んな意味でメインタンク。



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