シリアスで重い話ばかりやってると胃もたれしますよね、後ミヤコとケイや単純に真面目の塊みたいなRABBIT小隊の面々に友達や知り合いが増えて年相応に楽しそうに幸せそうにするのが見たかった。お前も見たいだろなあイマジナリー強欲ハム太郎!
月雪ミヤコ。現在は閉鎖されているSRT特殊学園の1年生にして、現在は紆余曲折ありミレニアムの治安維持局で嘱託生徒として活動し、住居も友人達。同じ部隊のRABBIT小隊の生徒たちと同じく、現在はそれぞれに充てられたミレニアムにあるセミナーが管理しているマンションで暮らしている。
彼女からして、現在の生活環境はまだ戸惑うことが多いと同時、日々得るものがあり学びが多いものであった。もっとも、自分の常識から外れたことを目にして時々自分の常識が正しいのか疑問に思うこともあるが。
――『爆発と銃弾の集中砲火貰ったはずですよね?なんで無傷なんですか!?』
――『発剄で全部打ち消した!ご飯食べて映画見て寝てトレーニングすればできるよ!』
――『そんなわけ無いでしょう!?』
――『じゃあ今度はこっちの番だね!怪我しても私が治療するから大丈夫!私が傷つけ私が癒すってね!』
――『ちょ、まっ……!なんでそれだけの距離を一瞬でっ……!』
――『縮地って言うんだよ!ちょっと痛いけど我慢してね!ちゃんと私が治すから!』
最近友人になった機動課の一年生。聞けば、自分に色々良くしてくれている同じく友人のルーネと共に機動課部隊長選抜試験において最終選抜まで残った彼女との実戦訓練では常識が本当に常識なのかを疑うことになった。
――『えーっとルーネ……?あれは……?』
――『目を合わせちゃだめっすミヤコ。あれは現在反省中の理性を失って返り討ちにされた獣っすよ』
――『なにしたんですかあの先輩たち……』
――『狙撃課にミユちゃんを着せ替えさせろって叫びながら突撃しようとしたら丁度ミユと出かけようとしてたレイン先輩にボッコボコにされた。後、あのテンションで先輩の背後からいったのが不味かったっすね。容赦なかったらしいっす』
また別の日では、ルーネと機材チェックをしていれば空中から逆さにされて吊るされている機動課の生徒が数名。
しかも、こっちを見るやいなや。
『ミヤコちゃん発見!くっ……身体さえ自由に動けば……』
『己の肉眼と記憶に姿を焼き付けるんだ!そして近い内に着せ替えショ……コホン、天国に招待すると心に誓うんだ!』
などと言っている。ルーネの口から語られるのは平常時の機動課のいつもの光景であるのだが、ミヤコとしてはまだ慣れきれておらずここでもまた常識とは何なのか考えることになった。
――『いえーい、ピスピース』
――『動きがおかしくないですかトキ!?銃弾を避け……いえ感覚的には銃弾が避けていく!?』
――『あまり趣味はなくて困っていた所に、機動課の友人から借りたアニメから学びました。スーパーヤンマーニタイムとか言うらしいです。それを元に再現してみました』
――『それから歌いながら戦うと不思議なパワーで戦闘能力が上がるとかなんとか』
時には、同じ学年である友人のトキが訓練である日突然よくわからないすごい動きで銃弾を全部回避しながら自分とサキのペアを圧倒してきたりもした。
後、新装備の二丁のエンフォーサーによる銃撃は高威力にカスタムされているというだけあってとても痛かった。機動力があって高威力銃撃をしてくるなどなんだそれはと思ったが、トキ曰く『二丁拳銃は万能なんです』とのことらしい。
常識を疑うことも多いが、治安維持局の生徒の実力は紛れもなく本物だと訓練に参加して理解している。特に、現場に出ることの多い課の生徒のレベルはSRTの生徒と謙遜なく、その上澄みの生徒に至っては間違いなくSRTでもトップクラスに匹敵する実力者。更にはその上、友人達や自分の上司であるヒナやセンナ、ルーネという規格外も存在している。
そんな環境では学ぶことも得ることも多い。平常時は混沌としていいるが、訓練中や有事はそれが嘘のように真面目で雰囲気もガラリと変わるのが治安維持局の局員である。
そして、そんな学ぶことの多く。再び自分たちの目標や目指すものに歩き始めた、ある日の休日。ミヤコはある問題、というよりは悩みに直面していた。
――暇なのである。
「…………」
マンションの自室。机の前に座ったミヤコは、端末の画面を眺めながら小さく息を吐いた。
今日は休日。治安維持局の業務も訓練もなく、久しぶりに一日を自由に使える日だった。普段なら、RABBIT小隊の仲間たちと一緒に過ごすことが多い。以前のように公園で食事をしたり、買い物に出かけたり、あるいは四人でゲームをしたりと、何かしら予定が入るものだった。
しかし、今日は珍しく全員の予定が合わなかった。
サキは治安維持局の訓練関係の用事。モエは何やら整備課の生徒と話をする予定があるらしく、ミユはレインと一緒に出かけるとのことだった。もちろん、誰かの予定を無理に変更してもらうつもりはない。それぞれに予定があるのは当然だし、友人として、それを尊重するのは当たり前のことだ。
ただ。
「……さて、どうしましょうか」
ミヤコは端末を置いた。
普段の彼女なら、暇な時間は訓練や装備の点検、あるいは読書などに費やしていた。実際、今日もそのつもりでいたのだが、せっかくの休日に一日中部屋にこもるのも少し味気ない。
それに、最近はミレニアムでの生活にも慣れてきた。治安維持局の生徒たちとも交流が増え、機動課のルーネやC&Cのトキをはじめ、他の課の生徒たちとも話す機会がある。
友人と呼べる相手も、少しずつ増えてきた。
「……少し、外に出てみましょうか」
ミヤコは立ち上がり、外出の準備を始めた。
◆ ◆ ◆
ミレニアム自治区。街には普段より多くの生徒たちが行き交っていた。ミヤコは特に目的地を決めず、商業区画を歩いていた。何か面白いものがあれば見てみよう。そうでなくても、少し歩いて気分転換になれば十分だ。
そんなことを考えていた時だった。
「……あれ?」
ふと、前方に見覚えのある少女の姿を見つけた。
ミレニアムの制服に白いジャケット、白く長い髪。以前ミヤコが少しだけ話す機会があったアリスとよく似た顔立ちだが、その雰囲気は大きく異なる。
少女は、手に持った端末を見ながら、少し不機嫌そうに眉を寄せていた。
「……まったく。モモイ達はどうして毎回毎回、あんなに無計画なんでしょうか」
何やら独り言を呟いている。
ミヤコは少し考えた後、声をかけた。
「あの、こんにちは」
「……はい?」
少女が振り返る。
赤い瞳がミヤコを捉えた。
「こんにちは。ええと……あなたは?」
「私は月雪ミヤコです。治安維持局で嘱託生徒をしています」
「治安維持局の……なるほど。あなたが最近噂の生徒だったのですか」
少女は納得したように頷いた。
噂の、という言葉に対して少し身構えるミヤコ。先日のリオの中継のこともあって、自分たちのことをあまり良く思わない生徒もいるだろう。だから、もしかするとそれに関係するものかとも思ったのだが、少女は苦笑しながら『大丈夫ですよ、噂というのは機動課の子達の騒ぎが発端のものですから』と言った。
「ああ、失礼しました。私は私はケイ、天童ケイです。ゲーム開発部に所属していますが、ヒナの手伝いで治安維持局にもよく顔を出すので。なのでヒナやセンナ、ルーネ達とは面識があるのであなたたちのことは聞いていたんですよ」
「そうなんですか……。ええと、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
互いに簡単な挨拶を交わす。
ミヤコは、目の前の少女を改めて観察した。
顔立ちはアリスとよく似ている。身長も同じくらいだろうか。だが、表情や雰囲気、そして何より瞳の色が違う。
「……何か?」
「いえ。アリスとよく似ていると思いまして。天童という名字がアリスと同じですので、身内の方なのかなと」
「…………アリスのお知り合いですか?」
ケイの眉がぴくりと動いた。しかし、それは気分を害したものではなく。むしろ、目を泳がせるようにしながら口元には隠しきれない笑みが浮かんでいる。
「そ、そうですね。外見だけならよく似ていると言われます。ま、まあ家族、姉妹ですから……へへっ……」
「……?やっぱりそうなんですね。以前アリスとは少しだけ話したことがあって面識があるんです。似ていたのでもしかして、と思って声をかけたんです」
「ま、まあアリスは私が居ないと駄目ですから。元気で楽しそうにしてくれているのはいいですが、ちょっと目を離せばすぐ奇天烈なことはするし部屋は散らかすしで本当に……はあ……」
「ふふっ」
「……何がおかしいんですか?」
「いえ。アリスのことをよく知っていて、大切にしているんだなと思って」
「…………」
ケイは少しだけ視線を逸らした。
「……まあ、家族ですから」
嬉しさをなんとか隠そうとしながらそう言うケイを見て、きっと彼女にとってアリスはとても大切な相手なんだなと思う。
「それで、ええと……ケイさんは今日はお一人ですか?」
「呼び捨てでいいですよ。ええ、少し買い物をしていたところです。ミヤコ……でいいんですかね。そちらは?」
「私も特に予定がなくて、散歩をしていました」
「予定がない?」
「はい。今日は同じ部隊の仲間たちと予定が合わなかったので」
「なるほど」
ケイは端末をしまった。
「それなら、暇を持て余しているということですね」
「……そうなりますね」
そう言って、ケイは小さく肩をすくめた。
ミヤコは、少し意外に思った。見た目や話し方から、ケイはもう少し他人との交流を避けるタイプなのかと思っていた。しかし、こうして話してみると、意外にも会話はしやすい。
「ケイは普段はどんなことをして過ごしているんですか?アリスはなんというか、元気に走り回ってるイメージでしたが。たまに機動課での業務中に見かけます」
「最近はそうですね……。実はゲーム開発部って今凄く忙しいんですよ。私はなんというか、セミナーや外部の企業との折衝や開発計画の管理、ブラッシュアップする部分の調整とかですね」
「そんなに忙しいんですか?」
「……ミヤコは普段ゲームとかあまりしない感じですか?」
「そうですね、ずっと訓練とか勉強ばかりであまり触っていないと言うかなんというか……。あ、でも有名なタイトルくらいは知ってます」
「実はうち、先日大変光栄なことにミレニアムプライスのゲーム関係部門でとても栄誉ある賞をいただいたんです。それに関係して、製作したゲームの製品化の話がS社から出てましてね……それの折衝やら諸々の窓口が私なんです」
「製品化って、すごいことじゃないですか!?しかもS社って私でも知ってるメーカーですよ!?……あ。でもその折衝というと、とても大変なんじゃ」
虚ろな遠い目をしたケイは『ははは……』と乾いた笑いを浮かべて
「とても大変ですよ……。正直セミナーの人達や先方の担当者の方の手助けがなかったら心折れてます……」
「た、大変そうですね」
「ええ。本当に……」
ケイは、心底疲れたような顔をした。
「……ところで、ミヤコ」
「はい?」
「つかぬことを聞くんですが、何年生ですか?」
「私ですか? 一年生です」
「……一年生?」
ケイは少し目を見開いた。
「そうなんですか。私も一年生です。……なるほど、同学年でしたか」
その声が、ほんの少しだけ柔らかくなった。
ミヤコも、少しだけ表情を和らげる。
「同じ一年生なら、あまりかしこまらなくてもいいかもしれませんね」
ミヤコは少し嬉しくなった。ミレニアムに来てから、同年代の生徒と知り合う機会は増えた。しかし、こうして新しく知り合った相手と、自然に話が続くのは嬉しいことだ。
今まではずっと自己研鑽や訓練ばかりで同じ学年の友人といえば小隊の3人くらいのものだった。後は、学年こそ違ったが自分たちに良くしてくれたSRT最強とまで言われた部隊の先輩達。思えば、自分の交友関係とは案外狭かったのだなと認識させられる。
だからとでも言うのか、ミレニアムに来てから日々の騒がしさに巻き込まれつつも新しい知り合いができるというのは、本当に嬉しかったのだ。
「そうだ。よければ、ゲーム開発部に来ませんか?きっとアリスも喜ぶと思いますし」
知り合った相手。そんな彼女から言われたのは、そんな言葉だった。
娯楽に対して疎そうなミヤコが、色々な娯楽を教えられて『わ、私は屈しません……』と最初いいつつも徐々に堕ちていって最終的には笑顔で日常を謳歌しているのは素晴らしいと思いませんか私は思います。作者はね、RABBIT小隊とFOX小隊には幸せになってほしいんですよ……。
尚、作者のブルアカで最推しはユキノだったりする。見た目、性格も大好きなんですがあの最初の頃目が輝いていたユキノから、社会の荒波に飲まれてブラック企業の社畜みたいに目の光が消えてるの最高なんですよ。そんなユキノを幸せにしたい。お前も仲間にして幸せにしてやるんだよ!
今回と次がミヤコの日常回、その次がゲヘナからの小さな来訪者、リオの中継を見て決意を固めたある部隊、その後に間に日常回挟んでその次がヒナとミカの遭遇。細かい話をやってエデンへの接続回やってエデン条約編の予定。エデン条約編では本来関わることがなかった生徒が色々と関わります。
本編時空であまり関わることのない生徒同士を絡ませること、しかも日常回で絡ませることでしか得られないエネルギーがある。実はもっと絡ませたい生徒達は居る。ゲーム開発部はミレニアムでの日常の象徴みたいなものなの。
立ち絵とかは直したので改めて近いうちに上げる予定。