変身中の無敵状態でフリーズした魔法少女(男の娘)は服が欲しい ~ヤンデレ欠損少女達に肉食介護されてるけど、謎の光に包まれているので多分セーフ~ 作:信頼できる語り手
「わー、右手があるって懐かしいー」
ドキュメントは声を弾ませながら、虹色に輝く右腕をグルグルと回転させた。
「……目が回るのう。もっと優しく扱ってくれんか? 腕の中には我がおるのじゃぞ」
彼女の右腕と化した我がぼやく。
「アヴィオン。これ、どうなってるのー?」
「唯一接触可能なキュメの体を支点に、我と『絶対領域』を右腕として固定した。自分から動く事はできんから、貴様に引き摺られる形で移動しようという魂胆じゃ」
幻想世界の
内臓などの器官で生命維持を行っているわけではなく、在中世界に棲む人間や動植物を模した姿は単なる『張りぼて』だ。だから、発想次第ではこういう無茶もできる。
「ふーん。とりあえず、アヴィオンにしかできない神業ってヤツでしょー? いつものー」
「まあ、同じ状況に置かれた鬼が真似できる芸当ではないじゃろうな。数多の
あのヒヨコ型マスコット『マシュマロ』の形状変化も参考になった。
小難しい話ではない。幻想世界の『
「それよりも、キュメ。右腕が馴染んだのなら、外がどうなっちょるのか教えてくれんか? ここからでは何も見えんけぇのう」
フィギュアの腕
外の様子は見えず、直接繋がったドキュメントの聴覚を経由して、音だけが聴こえていた。
「あー、ごめんー。えーっとー……」
「貴様に傷を負わせた
「んー。それはもう大丈夫なんだけど……何て言ったら良いかなー? 僕、あんまり解説とかするの得意じゃないからー」
「とにかく、気付いた事を片っ端から話せ。深掘りの必要があれば質問する。我の状況把握能力の高さは知っておるじゃろ?」
「分かったー」
そして、ドキュメントが実況を始める。
「僕を襲った大きい虎型の幻妖獣は、見付けた時には死体になってたよー」
基本的に、人の空想から生まれた
ただし、例外もある。
「『怪化』か。遺体に不審な点は?」
「特に何もー……。ねー、アヴィオン。虎の体って黒い縞模様が入ってるよねー」
「一般的にはのう。それがどうした、キュメ」
「僕の気のせいだと思うけど、黒い部分が段々と大きくなってるようなー? ……ぁ」
彼女の乱れた息遣いだけが絶対領域に響いた。喋る余裕もないという事か。
「くっ、やはり音だけでは対処が間に合わんな……! せめて、外が見えさえすれば……!」
「……見えれば良いピヨ?」
「ヒヨコ!?」
ぬるっと復活していたマシュマロは、まるで戦場に赴く兵士のように翼で敬礼する。
「私は魔法少女を導くマスコット。自己判断で非常モードに切り替え、再起動したピヨ。それが虹鍵の持ち主の助けになるなら、命を賭して偵察してくるピヨ」
「ヒヨコ……! すまん、ぶち恩に着る! 死んだら化けて出ても構わんぞ!」
「安心してピヨ。外に出すのは実体のない幻影だから、死ぬ事はないピヨ。命を賭すというのは言葉の綾で、それくらいの心意気を持っている事はどうか評価して欲し……」
「うむ、そうか。早く行け」
黒、黒、黒。
真っ黒に侵食され切った虎の体が、ばしゃっと溶けて液状になった。幻妖獣を呑み込んだ『黒』は溢した墨汁を連想させる勢いで、不気味な水溜まりを拡げていく。
単に地面を濡らすだけでは終わらない。黒い液体は跳ねて樹となり、集まって山となり、合流して河となる。同時に、見渡す限りの背景が黒の映える純白に変わっていた。
「まるで水墨画じゃけぇ」
絶対領域の内部に投影されたマシュマロの視界が、その空間の異常性を雄弁に物語っている。これは明らかに鬼の仕業だ。
固有の物体を喚び出す鬼の異能『
「『
「わわー! あの黒いの、絶対に触ったら不味いヤツだよねー!? えーい、こっち来るなー!
逃げ惑うドキュメントが叫ぶと、虚空からリールに巻かれたテープが現れた。カラフルな粘着帯を伸ばして黒液を弾こうとするが、あまり効果はない。
「いやあー!!」
「落ち着け、キュメ! 貴様の構造体ではぶち相性が悪い!
「り、了解ー! 絶対領域パーンチ!!」
彼女が虹色の右腕を突き出すと、干渉を拒否する絶対領域が黒の濁流を弾き飛ばした。
「やったー! 今の内に脱出を……!」
辺りを見回すドキュメントの前に、黒液がボコボコと迫り上がる。それは四肢を持つ人型となって襲ってきた。額には1本の角。
「鬼ー……? もー、邪魔ー!」
彼女はテープの先を遠くの地面に貼り付け、左手で掴む。キュルキュルと巻き取って高速で移動しながら、黒鬼に虹の拳を叩き込んだ。
「1体目、撃破ー」
体を破壊された黒鬼は墨汁に戻り、白い地面をビチャッと穢す。
「まだじゃ! 横に避けろ!」
「ぇ……?」
間一髪。我の警告に反応したドキュメントの脇腹を黒い腕が掠めた。
「嘘ー! 復活、早過ぎー!」
何度倒しても結果は同じ。手間取っている内に新しい黒鬼が増える。敵の数を減らせない彼女は、無数の黒鬼に囲まれつつあった。
そして。
「が、ふ……?」
ドキュメントが咳き込む。口に添えた左手はべっとり黒く汚れていた。
「ヤバっ……さっきの……黒鬼に触られ……」
獲物を確実に弱らせる野生の狩り。
「鬱陶、しい……っ!」
寄ってきた鬼を殴り潰すが、直ぐに元の形に戻った。徒労。重苦しい空気の中で1つの違和感が浮かび上がる。
「キュメ! 文字じゃ! 散った墨が一瞬だけ文字を象っておる! それを崩せば再生を阻止できるやもしれん! ……聴こえておるか!?」
「……アヴィオン。それって、文字じゃなくて黒鬼の名前じゃないー? 僕にも今、見えたよー。『リック』……」
ドキュメントの声は震えていた。それは恐怖か、はたまた怒り故か。
「少し前に未帰還になった班員の名前。道理で見覚えがあると思ったよー」
数多の命を呑み込んできたであろう不気味な黒が、彼女を嘲笑うように脈打った。
「自力での脱出は厳しいかのう」
「ピヨ?」
ドキュメントが黒液と戦い始めた頃に時を遡ろう。我とマシュマロは絶対領域の内部で作戦会議をしていた。
「
「相手も同じ種族の鬼ピヨね? 話し合いで解決できないピヨ?」
「それができれば、とうに試みておるわ。『怪化』しておると言うたじゃろうが」
「……『怪化』って何だピヨ?」
マシュマロが素朴な疑問を呈する。
「私は魔法少女のサポート役として生まれたばかりだから、必要ない事象については知識が入力されてないピヨ。赤ちゃんピヨ。できるだけ平易な解説を求めるピヨ。ピヨピヨ」
「……貴様、鬼格者の我を主に選んで、ぶち命拾いしたのう。幻想世界の一般鬼は実年齢に配慮してくれるほど優しくはないぞ」
考慮されるのは外見年齢くらいだ。だから、いつまでも若々しい見た目の我は100年以上前から『最強美少年』を名乗り続けている。
「考えをまとめる意味も込めて、簡単に教えてやろう。『怪化』とは
そして、いずれは自身の元となったオリジナルの幻想生物を殺して成り代わるのだ。
凶暴、狡猾、残忍。古来より『怪化』は最も多くの鬼を殺傷してきた
「つまり、『魔法少女アヴィオン』から『ダーク・アヴィオン』が創られる感じピヨ? 闇堕ち偽物との戦いは鉄板ピヨね!」
「……まあ、その理解でも構わん。ついでに言うと、怪化した者同士にも仲間意識などはなく、先ほどの虎のようにあっさり殺されたりする。当然、話し合いの余地はないのじゃ」
「納得したピヨ! ……ところで、適合者。さっきから何してるピヨ?」
「見て分からんか? 精神統一じゃけぇ」
我はずっと分析していた。水墨画のような
「焦らずじっくりと追い詰め、獲物をなぶり殺しにする嗜好。能力を披露したくて堪らないような自信。こういうタイプは確実に直接手を下そうとするはずじゃ。……そこを我が討ち取る」
「で、でも……適合者は絶対領域から出られないピヨ! ドキュメントちゃんに触れてる間しか動けないのに、どうやって戦うピヨ!」
「わはは」
ヒヨコの円らな瞳に世界一美しい顔が反射する。引き締まりつつも愛らしさを残した輪郭。癖のない白髪に赤と黒のオッドアイ。
「今、自分で答えを言ったじゃろ?」
──後は、服があれば完璧だ。
「だっ! 誰か、助けてください……!」
ドキュメントが悲鳴に顔を上げると1体の男鬼が目に入る。彼の下半身は既に黒に沈んでいた。同時期に捕らわれた犠牲者か、それとも……。
「どうか、手を貸して……!」
「……君がこの御園の主ー?」
油断なく右腕を構える。この状況は明らかに怪しい。獲物を誘き寄せる為の演技ではないかと考えるのは、当たり前の判断だった。
「キュメっ! 後ろじゃ!!」
「くすす」
意識の外。背後から飛んできた黒がドキュメントの左腕をトプンと呑み込んだ。
「勘が良い御嬢様ですわね。頭に当てて仕留めるつもりだったのですけれど」
緑色の髪の女鬼が淑やかに微笑む。彼女は片足がなく、黒い墨が義足のように体を支えていた。
「それとも、その虹色の腕が何かしているのでしょうか? 気になりますわ」
「あーもー、しんどー……」
ドキュメントは俯く。サイドテールを結んでいたテープが解け、桃色の髪が血のように滴る。
「あら、降参ですの? 満身創痍でどれだけ抗ってくれるか、楽しみにしていたのですが……。
緑髪の女が大きな筆を出現させ、黒い墨の付いた筆先を上段で構えた。
「拙は『奪銘』の『ネームコレクター』。貴方様の御名前、頂戴いたします」
「……ねー、知ってるー? 幻妖鬼が異能で創り出すモノって、僕達の体の一部として認識されるんだってー」
「……はい?」
キュルキュル。
「言われてみればそうだよー。このテープは絶対領域に弾かれなかったしー」
キュルキュルキュルキュルキュル。
「だからさー。『この空間』も僕の一部だよねー?」
「おかしな悪足掻きを……」
ネームコレクターが筆を振り下ろす。だが。
「
──もう、遅い。
白黒の風景を塗り替えるように、パーティー会場のような華やかな空間が展開される。至るところに色とりどりのテープが張り巡らされ、我の登場を歓迎していた。
「『
我の局部を隠していた謎の光が、今度こそ本物の着衣となって体を覆う。
華奢な肩からくびれた腰まで、流麗な曲線美を桃色のシルク生地が引き立てる。深く刻まれたスリットから覗く太ももは、正しく女性ならではの眩しい色気。
「これが、魔法少女の変身か……」
「浸ってる場合じゃないピヨ、適合者! ドキュメントちゃんの御園にシステムを補って貰う形で、変身中の不具合を一時的に解消してるだけピヨ! 長くは保たないピヨ!!」
紅を差した目元と唇を弛めながら、我はコキコキと指を鳴らした。
「充分じゃけぇ」
「……驚きましたわ。虹色の腕が鬼だったなんて、幻想世界は何でもありですわね」
「ふん、第一声が我の美貌への感想でないとは……やはり、
「くすす、では美しい御嬢様。御名前、伺ってもよろしいでしょうか?」
何じゃ、意外と話が通じるではないか。
「──魔法少女『アヴィオン』じゃ」
褒美として苦しませずに殺してやろう。
魔法少女『アヴィオン』が限定変身するとしたら?(票数多い順に衣装獲得)
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①ボディスーツ
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②ゴスロリ
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③修道服
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④チャイナドレス
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⑤体操服
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⑥キャミソール