第四魔法使いのヒーローアカデミア   作:ネル

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 誤字報告ありがとうございます… ずっと気づいてなかった…
 


13話一回戦、前半

 

 

13話一回戦、前半

 

『最終種目発表の前に、予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げてもらうぞ!さぁさぁ皆楽しく競えよレクリエーション!』

 

『それが終われば最終種目!進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!』

 

 騎馬戦が終われば昼ごはんの時間。

 

 プレゼントマイクのざっとした今後の予定を聞き流しながらお昼ご飯に向かう。

 

 昼ごはんに待ち受けているのは運動直後の高校生に相応しい多用多種な、そして膨大な料理。

 ラーメン、カレー、牛丼、焼き魚定食、ありとあらゆる料理がランチラッシュの手により用意されている。

 そんな大量の昼ごはんとの格闘が終われば体育祭も折り返しとなる。

 残るはレクレーションと最終種目。

 

 満腹となった腹を抱えながら残る競技をこなすためにスタジアムに向かっているとゾロゾロ歩くA組の女子を目にする。

 だが見えるのは遠目からでも普段と違う、違いすぎる姿。

 

「皆なんでそんな格好を?」

「箱内じゃんって、こっち見んな!?」

「皆似合ってるね、でも何故チアガール?」

 

 見つけたが体操服でもコスチュームでもないチアガールの姿。

 堂々としているのも恥ずかしそうにしている。これは目に毒ですわ。

 で?本当になんでチアガール?

 

「午後はヒーロー科女子によるチアリーディングによる応援合戦をしなければならないそうですわ!」

「相澤先生からだって上鳴と峰田から伝言があったんだよー!」

 

 なるほどと納得しかけてから、ふと疑問に思う。

 これから八百万と耳郎、麗日、芦戸は本戦に出るのにチアで応援?

 むしろ応援される側では?

 

「何か気になることでも?」

 

 まぁ、学校には学校のやり方があるからな、と自分を納得させる。

 

「いや、気のせいでしょ。それに可愛いからヨシ!」

「可愛い!?」

「…………!」

「ストレートや……」

 

 何人か照れて恥ずかしそうにしている。

 少し気になるがぶん投げてけ!気のせいだ気のせい!

 それにこんな機会でなければチアの格好をした皆の姿を見る事などないのだからヨシ!

 

「分かった、客席から応援してるよ!」

「楽しみにしてて!頑張るよー」

 

 応援合戦となればB組もだよな?

 さっき見かけたけど普通に体操服だった気がするのだが…まぁ気のせいだろ。

 

 そんな一幕があってスタジアムに戻ってきた。……のだが。

 

『どーしたA組!?』

 

 スタジアム入り口付近で立ち尽くす影が6つ。

 虚無の表情、かつチアガール姿でポンポンを持ってならぶA組の女子6人。

 

「峰田さん、上鳴さん!!騙しましたわね!?」

 

 憤慨して叫ぶ八百万。

 チアガール衣装をきたA組女子6人をカメラが映す。

 A組女子は綺麗な子も可愛い子も多く、スタイルも良いので観客席から嬉しそうな歓声が上がっている。

 

 やっぱ嘘だったか…哀れ本番前に騙されるとは…

 …いいぞもっとやれ!!

 

 

 

 そんな茶番がありつつ。

 

「トーナメントか……!毎年テレビで見てた舞台に立つんだぁ……!」

「去年トーナメントだっけ?」

「スポーツチャバラだったよね!」

 

 体育祭恒例のトーナメント戦では一対一の、ガチバトルは毎年の恒例。

 

「それじゃあ組み合わせのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったら、レクリエーションを挟んで開始になります!

 レクに関しては進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。

 息抜きしたい人も、温存したい人もいるしね。

 んじゃ騎馬戦1位チームから順に……」

 

 ミッドナイトが号令台の上でくじ引きの箱を手にしながら説明をしていた。

 でクジを引き終えた結果が。

 

「というわけで!組み合わせはこうよ!!」

 

1回戦 緑谷対心操

2回戦 轟対瀬呂

3回戦 飯田対発目

4回戦 箱内対上鳴

5回戦 芦戸対耳郎

6回戦 常闇対八百万

7回戦 尾白対切島

8回戦 麗日対爆豪

 

 出場者はA組ばかり。

 その中でたった2人、心操と発目だけがヒーロー科どころか別科で異彩を放っている。

 それだけ強い、或いは厄介だとわかるんですね。

 

 そんなこんなで対戦相手が決まり、騙された哀れなA組女子を背景にレクリエーションが終われば最終種目。

 とうとう始まるトーナメント戦。

 

 レクリエーションの終わる頃にスタジアム2階のクラス観客席に向かう。

 移動している最中に、プレゼント・マイクの実況が聞こえてくる。

 

『色々やってきましたが!結局これだぜ、ガチンコ勝負!

 頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!

 心・技・体に知恵、知識!総動員して駆け上がれ!』

 

 競技場にはコンクリートで出来た正方形のステージ、四隅からは演出で火が上がる。

 セメントスによる個性で出来上がったステージが用意される。

 

 トーナメントのルールは簡単。

 相手を場外に落とすか行動不能にする、または「まいった」とか言わせても勝ち。

 

 試合の順番が来るまでそこそこあるので客席で最初の試合の始まりを待つ。

 ちょうど近くに普通科の人と組んだ飯田がいるので雑談がてら気になっていた個性のことを聞いてみた。

 

「あの普通科の人の個性は何だったんだ?

 見てたけど動きを止める系の個性であることしか分からなかったぞ」

「見ていてくれ!彼、心操君の個性だけ知られているのは不公平だからな!」

「ま、そうだよな。緑谷は知ってるのか?」

 

 緑谷チームは騎馬戦終盤、飯田たち轟チームと対峙していた。

 心操も轟チームの一員として参加していたので緑谷チームと対峙している。

 そこで心操が個性を緑谷チームに使っていれば個性はバレている。

 

「うむ、騎馬戦で常闇くんに個性を使ったからな。

 おそらく緑谷くんにはバレてしまっているだろう。

 この勝負は、心操くんの個性がバレた状態でも個性を通せるかが勝負を決める鍵になるだろうな」

 

 騎馬で心操と組んでいた飯田に聞いても答えてくれない。

 騎馬戦で心操の個性は相手の動きを止めること、動きを止められた人は誰かから叩かれれば復帰する事は判明している。

 しかしそれ以外は完全に不明で情報がほぼない厄介な状況だ。

 どちらにしろその影響を受けるのは緑谷が最初で後は情報が割れた状況からスタートだ。

 俺が当たる時にはバレてるだろうから問題はないな。

 

 そんな情報収集兼、時間潰しをしていれば雄英体育祭のトーナメント戦が始まる。

 トーナメント戦第一戦目は緑谷対心操。

 

『一回戦!

 その成績の割に何だその顔。ヒーロー科、緑谷出久!

 ヒーロー科を押し除け本戦出場!普通科、心操人使!』

 

『スタート!』

 

 プレゼントマイクによるスタートの合図が響く。

 試合は観客の大声援と共に始まった。

 そんな観客の声援を浴びた緑谷は心操の方に数歩歩いただけで完全に止まってしまった。

 

『オイオイどうした、大事な緒戦だ盛り上げてくれよ!?

 緑谷開始早々―――完全停止!?アホ面でビクともしねえ!心操の"個性"か!?』

 

 両者動かぬまま、しばらくして、緑谷は心操に背を向け場外に向けて歩き出した。

 息を呑む。動きを止める拘束系個性じゃない。動きを止めるのは副作用。オマケ。

 

『全っっっっっ然目立ってなかったけど彼ひょっとして、やべえ奴なのか!?』

 

 プレゼント・マイクが驚愕している実況が響く。

 ここでプレゼント・マイクによる"個性"の説明がされた。

 

『心操人使、"個性""洗脳"!

 彼の問いかけに答えた者は洗脳スイッチが入り、彼の言いなりになってしまう!

 本人にその気がなければ、洗脳スイッチは入らないぞ!』

 

 飯田が答えなかったのもやむを得ない。

 心操の個性はネタバレすれば無力化される類の個性、そして対策は簡単。

 

「喋らない。それで完封できる」

「その通りだ、喋らなければいいが知らなければほぼ確実にかかってしまう。

 だが対ヴィランを考えれば、これ程有用な個性はないだろう」

 

 知ってしまえば苦戦する事はない。喋らなければいい、非常に簡単な対策方法。

 だが知らなければ完封されかねない初見殺しの個性。

 

 緑谷はあと一歩で、場外。

 

 心操は轟が同じクラスのメンバーを差し置いて組むぐらいだ、やっぱりヤバい奴だった。

 コレで決着。

 心操の一言で全てが終わったはずがステージにはもう一人。

 もっとヤバい奴が存在した。

 

 緑谷が場外に足を踏み出し、これで決着かと思った瞬間、緑谷から強力な風が吹き荒れる。

 緑谷は個性を使い左手の人差し指と中指を折り、痛みで洗脳が解け身体の自由を取り戻す。

 

「何で……身体の自由はきかないハズだ、何したんだ!」

 

 強制的に"個性"を解いた緑谷に驚愕する心操。

 心操は質問と見せかけて同時に個性を通そうと声を上げる。

 が、緑谷は今度こそ口を開かず頭を左右に振った。

 

「うわ、痛そう」

「わざと個性を暴発させたのか…!」

「アイツ骨をシャー芯か何かと勘違いしてない?」

 

 この展開には解説も大盛り上がりし落ち着いていた観客のボルテージが上がる。

 

「指動かすだけでそんな威力か羨ましいよ!」

 

 心操は個性を通そうと声を荒らげる。

 が、緑谷は今度こそ口を開かない。

 

 その後については語るまでもなし。

 1度失敗したことを緑谷は繰り返したりしなかった。

 2度目の個性の発動は許さず心操へと接近し、一気に場外へと投げたのだ。

 

「心操くん場外!緑谷くん、二回戦進出!」

 

『IYAHA!初戦にしちゃ地味な戦いだったが!

とりあえず両者の健闘を称えて、クラップユアハンズ!!』

 

 プレゼント・マイクの実況と共に、会場全体に拍手が満ちる。

 聞こえてくる多くのプロヒーローたちからの心操の評価は高い。

 普通に考え個性の洗脳を評価できなければプロとして論外とも言える。声をかけて反応させれば勝ちなのだ、こんなに簡単な勝ち方はない。

 

「心操だったな、ヒーロー科にくるかもな」

「結果によってはヒーロー科編入もあり得るんだっけ?」

「運動能力的にはどうなんだ?指を怪我した緑谷相手に個性抜きでアッサリやられてるぜ」

「そこはヒーロー科に入ってからどうにかなるんじゃない?」

 

 皆の評価はまちまち、確かにフィジカル面はよろしくない。

 だが個性は対人戦では有用の極み。

 一芸特化した個性を通せればよい、極まり切ったものは何処かしらで需要があるものだ。

 

 

 

 第2試合、轟と瀬呂の試合。

 スタートと同時の不意打ちで瀬呂がテープで轟を拘束して場外を狙った。

 実況のプレゼントマイクも絶賛する一手。

 

 だが、轟は場外に出る直前、最大出力で氷を作り出した。

 

 作り上げられたのは大氷壁。

 スタジアムを大きく揺らし天井すら遥か超えてゆき観客席にも届かんばかりの氷壁。

 オールマイトの初授業で轟はビルを丸々一棟凍らせた。

 そんな初授業で圧倒的な実力を見せつけていたがそれすら小手調べであったと言わんほど。

 

 瀬呂は氷壁の中に取り込まれ動けなくなった。当然、瀬呂は身動き取れず降参。

 

 おまけに審判のミッドナイトも氷漬けだ。

 審判を巻き込んでもお咎めはなしと。

 

 どんまーい、どんまーい…。どんまーいコールが会場に響き渡る。

 瀬呂の動きは悪くなかったのにあっさりやられてしまった。

 どんまーい…どんまーい…。

 

 

 

 次の試合は飯田対発目だったが、ある意味先ほどの瀬呂の試合よりも悲惨な試合となった。

 

 ヒーロー科と違いサポート科の発目は自分で作ったサポートアイテムの持ち込みは許可されている。

 そんなハンデありだったサポート科の発目は飯田にこう持ちかけたのだ。

 ──ここまで来た以上対等だと思うし、対等に戦いたい、と。

 

 飯田はその心意気に打たれ了承した。了承してしまった。

 更に主審のミッドナイトもOKを出してしまった。

 

 そんなことをすれば、次の試合が発目によるサポートアイテム実演会と化すことを知らずに。

 

『スタート!』

 

 スタートの合図と共にエンジンの個性で猛烈なスピードを出し発目に迫る飯田。

 発目は動じることなく持ち込んだマイクを使い会場に向けてこう言い出した。

 

「素晴らしい加速じゃないですか飯田くん!

 普段よりも足が軽く上がりませんか!?そのレッグパーツが動きをフォローしているのです!

 そして私は油圧式アタッチメントバーで回避!」

 

 何をしているかと言えば飯田と自分が使用しているサポートアイテムの説明。

 飯田に渡したサポートアイテムが解説され、また飯田の攻撃を楽々と回避するのに使用したサポートアイテムの紹介がスタジアム中に広がる。

 

 その後、飯田はサポートアイテム全ての説明が終わるまでひたすら翻弄された。

 サポートアイテムを紹介するテレビショッピングのノリで発目に散々に遊ばれたのだ。

 発目はサポートアイテム込みだったら下手なヒーロー科より圧倒的に強いのでは?

 

 その後、飯田と自分が身につけているサポートアイテム全ての紹介が終わったからとアッサリ発目は自分から場外に出た。

 

 発目を見るとサポートアイテム縛りで戦うのもちょっと楽しそう。魔術で作った道具、礼装は戦闘で使わない主義だけど少しぐらいなら面白いのでは?という気にさせてくれる。

 ……やっぱ色々と考えながら礼装を切り替えて戦うのは面倒なので却下。殴った方が早い。

 レベルを上げて物理で殴れ教の信者なので無かったことに。

 

 そんなわけで飯田一回戦勝利。

 内容は完全に負けだったが…なんか飯田可哀想。

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