第四魔法使いのヒーローアカデミア 作:ネル
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
(間違えてお蔵入りにした小説をお出ししてた…)
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
(でも読んでくれる人がいるみたいなので続けます)
俺たちヒーローチームはヴィランチームに勝利を収めた。
これで俺の出番は終わりだがその訓練として2組目、授業としては始まったばかり。
その後の訓練ではビルごと氷漬けにする個性、レーザーを連射する個性、放電する個性など、多くの個性が披露された。
正面からぶつかりたくない強力な個性持ちも多い。
しかし対処不能なほど、強力な個性持ちはいない。が、油断できる相手もいない、そんな具合だ。
そうして全チームの戦闘訓練が終わった。
「お疲れさん!緑谷少年以外は大きな怪我もなし!
しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ、皆上出来だったぜ!」
オールマイトがよくやった!と皆の前に立ち話す。
緑谷が大怪我した時点で上出来どころかかなりのアウトでは?ヒーロー科ならセーフ?さよか…。
「相澤先生の後でこんな真っ当な授業……何か、拍子抜けというか……」
「真っ当な授業もまた私たちの自由さ!それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室にお戻り!」
オールマイトは一息で授業の終了宣言を終えると共に一足先に猛スピードで演習場から離れていく。
ヒーロー基礎学の授業は午後にみっちり詰まって終われば放課後。
これで本日の授業はすべて終わりだ。
更衣室に向かうまでの道中、ワイワイと授業の感想で盛り上がる。
「なぁ、どうせだったらこのまま反省会しようぜ!」
「賛成ー!みんな着替えたら教室に集合ね!」
授業が終わって放課後。
授業中こそ真面目にしていたのだが。まだまだ高校1年生、授業関係ない放課後はハジけるもの。
特に話題が個性についてで、カッコいいヒーロー、人気ヒーローを目指しているとなれば尚更。
ヒーロー科に入学間もなくとなれば話題に上がりやすいのはお互いの個性について。次々と反省会と名前のついた自己紹介がてらの個性発表が進む。
「万能に見えても割と大変なんだ」
「ええ、創造を使いこなすには知識が大事ですわ」
創造という、いかにも強力な個性の持ち主は八百万。消しゴムを実際に創造しての説明も終わる。
なんかこの消しゴム使いやすいわ。
「ヤオモモはこれで終わりだね。んじゃ、次の人行こー!」
「次は同じく二試合目!ヒーローチームの箱内!」
「たしか増強系並みのパワーに遠距離攻撃も出来る個性だよな!」
訓練では個性の説明はほとんどしていなかったので、これが初の個性の説明だ。
手札晒したくなぁーい!
「個性は魔術。魔術っぽいことが出来る。
得意としてるのは代償魔術。代償魔術は何かを代償として何かを得る魔術。基本的に自身の魔力を代償にしてる。
魔弾、攻撃に使ってた光の球も代償魔術の応用」
「魔力が代償って、魔力が尽きたらどうなるの?」
「動けなくなる。だから基本的に省エネで動く」
個性とされている魔術の説明をする。実は違うとかそんな野暮なことは言わない。
そして魔法使いであるが魔法のことは秘密、語られることはない。あくまでヒーロー科、そしてこの世界に住む箱内挟の個性は魔術。それは一生変わらないだろう。
「他には!?箒に跨って空飛んだり出来ないの!?」
「エクスペリアームズ!とかも!」
「無理!ハリポタ的ファンタジーじゃないんです!魔術師、いわゆる理論屋的魔術だな」
酸の個性を持つ芦戸がテンション高く聞いてくるが箒に跨り空を飛ぶなど出来そうにもない。箒で出来ることなど箒で殴りかかることぐらいだ。
そこっ!バーサーカーと言わない!
バーサーカーと違って箒が壊れないように強化してから殴りかかってます!
「じゃぁ、何出来るの?ヤオモモと同じ造る系のことも出来る?」
「ある程度ならね。ただそんな高度なものはほぼ使えない。」
代償魔術と比べたら初心者同然だが使える。とりあえずの見本として八百万が創り出していたのに合わせて消しゴムを投影する。
「投影魔術、魔力でできたニセモノを創り出す魔術」
「ヤオモモの個性みたい」
「そうですね、私の脂質を消費して生物以外の物を作り出す個性と似てますわ」
八百万が消しゴムを触りながら尋ねてくる。物を作る系の個性だからか創ると聞いて気になったのだろう。
「私は分子配列を記憶して脂質から作り替えていますが、箱内さんはどのように創られるのですか?」
「「創造理念」、「基本骨子」、「構成材質」、そのた諸々を解析して物を再現する。本物を徹底的に解析して一時的に再現する魔術。」
解説しているうちに八百万の触っていた投影魔術で造られた消しゴムが崩れた。
存在を維持できたのは数十秒、この程度しか俺の投影魔術は持たないが俺の腕前からしたら上出来だ。そこそこ投影魔術も上手くなってきたんじゃない?
一方で八百万が造った鉛筆はまだ残り続けている。チーターやチーター!
「確かにそれは違いますわね…」
「じゃさ、他に魔法は使えないの?」
「魔術な、俺は撃つと殴る以外の魔術は基本苦手なんだよ」
俺が訓練で使ってたのは本業である代償魔術から派生させた護身用の魔術。
この世界はヒーロー社会と呼ばれつつも治安が悪い。悪いどころではなく非常に悪い。ヴィランは何処にでも現れるし誰をターゲットにするかわからない。
そんな世界に住む以上護身用の魔術の一つ二つを開発するのは当然だし、必須だった。
そんなものを使えるように鍛えていれば護身用魔術は得意になっていた。
他も本業の代償魔術を除けば魔術は使えるが戦闘時には使い物にはならないのが多い。
「狭ちゃん、一つ気になったのだけど、魔法と魔術わざわざ言い換えたのは何故かしら?」
特大の理由があるからだ。魔術と魔法にはかなりの差がある。
「魔術師からすると違う。
魔法はどれだけ時間や金をかけても“現代では到達できない結果”を起こすもの。
それに対して魔術は、過程を省略する技。俺が使ってるのは全部魔術。」
ん?と首を傾げるクラスメイト達。
「んー、どういうこと?」
「魔法は現代では再現不可能な奇跡。例えば因果の操作みたいなものが魔法。
対して俺の魔弾は拳銃で代用できるし、強化してぶん殴るだけなら増強系の個性持ちなら誰でも出来る。
魔術は拳銃を持ってくる手間や増強系の個性持ちを引っ張ってくる手間をカットしてるだけ。」
「なるほどねー」
魔法も因果の操作ではないが使える。だが、世界が終わるその日まで使うことはない。
魔法使いとしての俺は世界が終わる日にしぶしぶ腰を上げるのだ。
「じゃあさ!杖は!?杖!?魔術師っぽく何か持ってるの!?」
「はい、持ってますよー。これが杖。主にぶん殴るのに使います。」
「ぶん殴る!?」
「魔術使うより殴った方がヴィラン退治は早いんだ、常識だぜ」
「そんな常識知りたくなかった…夢も希望もない…」
こんな風に俺の番は終わるが賑やかに反省会は続く。
高校生らしくあちこちに話が飛んでいるがほぼ初対面で皆のことを知らない反省会など半分自己紹介のようなもの。ほぼ初対面ならこれでも上出来だろう。
だが、まだ誰も知らない。
箱内は個性として魔術で出来ることを紹介しただけの事を。
魔法を使ってないとしただけで使えないとはしてない事を。
魔法使いはおろか、魔術師としての顔も出してない事を。
今見せた”魔術”は、まだ表層に過ぎない。