機動戦士ガンダム三次創作 ゆっくり機動戦士ガンダムZZ 作:泉 とも
「ガオオオオォン!」
「くっ!とうとう理性が崩壊しやがった!」
最早アムロのステータスを持った機械獣が、宇宙を暴れに暴れていた。
「散発的に攻撃したんじゃダメだ! 一度の攻撃に火力を集中するのぜ!」
当てるために散発的に攻撃をしても巨体には効果が薄い。だが。
「ちぃ!Iフィールドが強力過ぎる!」
ビーム主体の攻撃は、サイコミュの力で湾曲された重力場に阻まれる。
「アムロ聞いて。この世界では私はあの人の妻で、子供も三人いるの。だからもう、私たちの前に現れないで!」
「うおおおおおおおおお!!」
ララァの説得によりアムロの自我が呼び起こされ、深く傷ついては気力が下がる!
しかし次の瞬間、憎しみの籠った視線が、彼女の機体を捉える。
「ララァ、下がれ!」
「アムロ、ああー!」
猛然と突進して来たギルギルガンの体が、そのままリガズィを跳ね飛ばす。
「ララァ!」
「ファンネル!」
リリーマルレーンから発進したキュベレイが、ハマーンの念を受けて、怪物の顔面に殺到する。
「このままじゃジリ貧ね、何とかしないと」
――霊夢、そしてみんな、聞いてください。
「その声はハマーン、生きていたのか!?」
――彼の攻撃がコクピットに当たる直前、どうにかテレポートが間に合ったのです。それよりも大事な話があります。
「手短に頼むのぜ! ゲッターレーザーキャノン!」
重力場に紛れて飛んで来るファンネルを撃ち落としながら、ゆっくり魔理沙が答える。
――私は今ゆっくりバースに戻りました。何とか宇宙の裂け目を広げ、援軍を送ります。それまで何とか持ち堪えてください。
「オーケー、聞いての通りよみんな!」
「本当に来ればありがたいが、くっ!」
攻撃を避け切れず、グレミーがダミーバルーンを使い切る。
「グオオオオォンッ!」
アムロの超破壊光線が密集したMS群に迫る!
「まずい、避けろ!」
「む、誰だ、クェス!?」
シャアの頭から白い電波が飛び出す。それと同時に極太のビームが破壊光線とぶつかり合い、宇宙に火花を散らす。
「大佐―!」
「ゆっくりクェス?それがエルメス?ヤクトドーガじゃないのか?」
「こっちの方が強いからね、私がみんなを助けて見せるわ!」
宇宙の裂け目から現れたのは、かつてララァも乗っていたMAエルメスだった。
「流石スパロボだと変なタイミングでしか仲間にならないだけはあるぜ!」
「おいやめろ気にしてるんだから」
しかもでかい。公式に弱体化される前の、ガンダムが逆立ちしても勝てないスペックの方のエルメスである!
「まあそんなことより、どりゃー!」
「邪気が来たか」
「やめろ素面に戻るな」
そのままの勢いで機体をメカギルギルガンにぶつけると、さしもの怪物も大きく体勢を崩す。
「セコくて面白味がなくていまいち人気のない主人公なんか、いっちゃえー!」
「ぐああああああああ!」
持ち上げられる割りにそこまでパっとしないことを突かれ、アムロが苦悶の声を上げる。
「今だ、一気に畳み掛けるわよ!」
――こちらも次の援軍を送ります。
「頼むぜ!」
巨大エルメスによって戦線を立て直すと、一同は攻撃を激化し、アムロを追い詰めていく。
「アムロ、もうこの辺で帰りなさい!」
「ララァ、もういいのか、ん?」
「あなた、私はこっちです」
「いいえ、こっちですよ」
「ふふふ、大佐」
宙域にララァの霊が次々に出現。他の宇宙のシャアと結ばれた彼女たちが、それを認めたくない一心で攻め込んで来た初老の怪物を包囲。
無数の緑色の霧が機体を繭のように包み、その力を根こそぎにしていく。
「それにしてもアムロとくっついたララァは出て来ないのね」
「公式が昔セイラとくっつけたがったり、三人で一組みたいな扱いをしたせいだと思うぜ」
三角関係に決着を付けないことは良くないという良い例である。
「こんなにも大勢のララァが、私には帰るところがあるんだ。こんなに嬉しいことはない!」
「ぎいいいいいいい!」
「台詞を取られて逆上したのぜ」
「しかし弱っているのは確かだ。総員、あの化物にトドメを刺せ!」
段々と顔が険しくなっていくハマーンの号令により、全軍の斉射がガンダム面のメカギルギルガンに命中、大爆発を起こす!
「やったか!?」
――いいえ。根源的破滅招来体を倒すには、人々の意志を託された赤と銀の戦士の力が必要です。
魔理沙の言葉にゆっくりハマーンが答える。
「赤と銀の戦士、そうか!」
「みんな、サザビーに向けて祈って!戦勝祈願でも何でもいいわ!」
「これが全てサイコフレームとニュータイプの力が引き起こしたものだというのか。ナンセンスだな」
「正直付き合い切れないね。さっさと終わらせておくれ」
世界観や空気の違いに、グレミ―やシーマはそろそろ耐えられなくなっていた。
「分かるぞ。みんなの力が集まって、皆の力が、サザビーに!」
※この作品にシャングリラチルドレンは出ません。
「いける!サザビーのサイコフレームに、みんなの念が集まっているわ!」
「シャアアアアアアアアア!!」
「やばい、あいつまだ動けるのか!?」
最後の悪あがきとばかりに、アムロがシャアに迫る。
「うおおおおおおーー!」
『マシュマー!』
「このマシュマー・セロが、いい所も無しに退場するかあーっ!」
推力お化けの渾身のタックルが、アムロの機体に突き刺さり、大きく引き剥がした!
「ガオオオオォンッ!」
「ぐあああああーー!」
「マシュマアアアア!」
だが反撃の破壊光線で機体が大破、マシュマーも宇宙空間へ放り出されてしまう。
――今です。今の一撃で、アムロにFINISHの文字が!
ゆっくりハマーンがスーファミ版のウルトラマンみたいなことを言う。
そして肝心のサザビーだが、既にパワーは全開である!
「残念だアムロ、お前とこんな形で決着をつけることになるとはな。だが、他の世界ではお前の方が勝ち越している、いや、私の一人負けが多いそうだから、大目に見て欲しい」
シャアの言葉と共に、サザビーは胸の前で腕を交差させると、大きく輪を描くようにして、腰に両手を当てた。
「ジオンバックルビーム!」
腹部からサイコミュによって強化されたメガ粒子砲が、光の奔流となって邪悪に撃ち抜く!
浮かび上がるジオン軍のシンボル!
「ぐあああ、シャア、ララァ、お、俺は、必ず、戻って来るぞおおおお!」
敗北により理性を取り戻したアムロは、大爆発を起こし、怨念の咆哮と共に宇宙の闇へ消えていく。
「やった、やったわー!」
ゆっくりクェスの声を皮切りに、周囲ではわっと歓声が上がる。
「そうだ、マシュマーは!?」
「心配いらん。先ほど緑色の光に包まれて、キリモミ回転しながら機艦したそうだ」
「なら安心ね」
こうして、世界と世界観を崩壊させなかねない一連の事件は、ようやく幕を閉じた。
現時点では論理的な説明が困難な事象が数多く発生したため、ハマーンはありのままの映像と記録をザビ家に提出。
単独テロと新型核弾頭による被害は、本来その責任を負うべき司令官が死亡しているため、大幅に減免。
本件の口外禁止を条件に、一定の謹慎の後に復職を命じられるという、ほぼ不問の形となった。
「それにしても何だったのかねえ、この事件」
「これがサイコフレームの恐ろしいところなんですよ、ガラハウ大尉。クローンがいなくても死人は蘇り、宇宙の綻びからはまた別の世界の者たちを呼び寄せる。この世界の人々を、この世界の住人ではなく、読者や作者にしてしまう……」
「ぞっとしないね」
後にサイコフレーム封印戦争と呼ばれる事件が起きるが、これはその発端に位置することとなる。
「アムロ、今度はお互いに、世の中の都合や補正など関係なく、戦いたいものだな」
「大佐、いえ、あなた。あなたも一歩間違えれば、ああなってしまうのです。努々忘れないように」
「ああ、そうだな」
傷付いたリガズィと優しく抱くサザビー。
ララァを抱き締めるシャア。
この世界は今、一つの平和を勝ち取ったのであった。