機動戦士ガンダム三次創作 ゆっくり機動戦士ガンダムZZ   作:泉 とも

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・奪われた核弾頭

 一夜明けて、ジオン軍アクシズ基地内MS格納庫。

 

「昨日の決闘は凄かったな」

 

「ああ、自分たちもやりたいって問い合わせが、役所に殺到してしてるらしいぜ」

 

「早い所だとアッガイで始めたコロニーもあるんだって」

 

 基地内の話題はマシュマーとグレミーの戦いで持ち切りだった。

 

 そんな空気の中、一機の重MSが搬入された。

 

 ズサをベースにガザ系列の機構を取り入れた重MS。

 

「オーライオーライ、ストップ!」

「ありゃ何だ、新型か?」

 

「ああ、新型核弾頭搭載の狙撃用だとよ。またティターンズみたいなのが出た時に備えてってことらしい」

 

「身内には南極条約は適用されないからな」

 

 南極条約。たまに出て来るが媒体や後付け設定で中身が変わる謎条約。

 

 スパロボαではこの条約が通じない敵が現れた時を想定して条約を破りましたとかいう驚きのトンチが披露される。

 

「新型核弾頭狙撃用ガズサ、いい機体だな」

「はっ、自分もそう思います」

 

 モブっぽい金髪のオールバックが、モブっぽい青年士官と言葉を交わす。

 

 ガズサ。

 

 ズサにガザのフレームを流用した可変型重MS。機体内部の余剰スペースに推進剤を詰め込み、変形した際に露出する足の付け根には、推進器が増設されている。

 

 武装がメタス系列のバリエーションから影響を強く受けており、バックパックには狙撃用ビームライフル、ビームバズーカ、大型のナックルバスターなどの重量級の火砲を用いるようになっている。

 

 核弾頭狙撃用は専用設計の核バズーカと機体保護用の盾が装備されている。本機は長距離を高速で移動し、核弾頭を目標に叩き込むための改修がされている。

 

 機体は黄色を基調としたピンク色との二色となっており、用途と外見の両方で関係各位からの評判は悪い。

 

「核弾頭は既に装填されているのか?」

「そのはずであります」

「よし、試して見るか」

「え?」

 

 勝手に乗り込む地味な顔をしたおっさん!

 知り合いもいないから誰もそれを疑わない!

 

「おいなんだ、誰が動かしてる!?」

「止まれ、止まるんだ!」

 

「このMSと新型核弾頭は頂いていく!」

 

 直後に降り注ぐ多弾頭ミサイル!

 襲撃される基地!

 混乱に飲み込まれる兵士たち!

 

 けたたましく鳴り響く警報に、基地内は蜂の巣を突いたようになる。

 

「ええい何事だ!」

「敵襲だ、急ぐぞマシュマー!」

 

 マシュマーが部屋から飛び出すと、グレミーと共にMSデッキへと駆け出す。

 

「すいません、お二人の機体は昨日のことで」

「分かっている。代わりの機体はないのか!?」

 

「ハイザックやマラサイは出払っていて、アレしか」

 

「構わん、やるぞグレミー!」

「ああ。機体を回してくれ、やるだけやる!」

 

 二人は格納庫に残された最後の二機と向き合う。

 一機はズサの改修機。

 

 そしてもう一機は。

 

「マシュマー・セロ、ズサV、出るぞ!」

「グレミー・トト、バウ、発進する!」

 

 竜飛(バウ)。

 

 ネオジオン系列機の中でゼータガンダムの影響を最も強く受け、そして最も忠実にデザインを踏襲した名機。

 

 ZZ随一のイケメン。それがバウである。

 

「初陣で新型か、不具合を起こさんでくれよ」

「弱気になるなグレミー、行くぞ!」

 

 グレミーが緊張する一方で、マシュマーは気合を入れ直す。未だ怖気付くということを知らない、若さ故の力であった。

 

「お前こそ、そんな機体でやれるのか」

「速さとはパワーだ。パワーがあるなら負けん!」

 

 ズサ・ヴァルキリー。

 

 ズサとガザ系列の統合機、ガズサ。そのバリエーションの一つとして、高速戦闘を主眼にした可変型MSである。

 

 背部にMS形態をオミットしたバウを背負っており、上半身をメタスのように被ることでガウォーク形態、通常のMS状態でバトロイド形態、横になって飛べばファイター形態へと移行できる。

 

 当初こそ開発部の悪ふざけのペーパープランでしかなかったが、試しに一機作って見た所、使えなくはないということで実験機が数機作られ、その内一機がアクシズへと送られた。

 

 頭部もガザ系のレンズ顔となっているので、某マクロスのバルキリーに寄せるにもほどがある。

 

 武装はミサイルとガンポッド。そして頭部に備え付けのビームガン。

 

「くっ、何という有様だ!」

 

 地上部へとようやく発進した二人を待っていたのは、降り注ぐミサイルの雨に破壊され、炎上する基地の光景だった。

 

「敵は何機いるのだ!」

 

 マシュマーの見ている前で、ドムトローペン二機がザクⅡと改良型らしきジムを撃破する。

 

 アクシズ内では通常のコロニーと同じく、重力下にある地域も多い。そこでは地上用の機体でも問題なく運用が可能だった。

 

「どうやら無人機らしいが、数を頼りに殺到してくる。油断するなよ!」

 

「グレミー、何処へ行くのだ」

「後方の砲撃を黙らせる。でないとここは更地だ」

「そうか、抜かるなよ」

 

 グレミーのバウが変形し、高速でアクシズに広がる偽りの空を飛ぶ

 

 飛び込む火線を掻い潜ると、レーダーに無数のボールが見えて来た。

 

「アレか! 散れ!」

 

 バウのビームと盾のメガ粒子砲を受けて、固定砲台と化したボールが全滅する。

 

 例え置物でも、同じく置物である拠点への攻撃能力は、決して下がらない。

 

 むしろ廃れて侮られるほどに、ゲリラ戦やテロ活動の主力へと変貌する。

 

「マシュマー、こちらは片付いた。そっちはどうだ」

 

「こちらも片付いた。やはり誰も乗ってはいない」

 

 襲撃を乗り切ったアクシズ基地内部は、惨憺たる有様だった。

 

 無傷な外側が、内部からの襲撃の傷跡を浮き彫りにしていた。

 

「新型核弾頭を乗せた機体は?」

「分からん。どうも一目散に逃げたらしい」

「何という失態だ」

 

 グレミーとマシュマーは、苦い顔をして唇を噛む。突然のテロ、屈辱を刻まれた初陣。

 

 

 一方その頃、ハマーンたちは。

 

 

「大変なことになった……」

 

 顔を青白くしたハマーンは、呆然と呟いていた。

 

 此度の襲撃により多数の死者を出し、基地の最高司令官も死亡した。アクシズは機能不全に陥ってしまったのだ。

 

「なあ霊夢、これはどういうことなんだぜ?」

 

「どうやらジオン勝利後のZZの世界だと何もイベントが起きないから、今更0083の物語が起きたみたい」

 

「ごめんなさい。もさっとしてパリッとしない年代なばっかりに」

 

 ゆっくりハマーンが原作の不出来を詫びる。

 

「おいおい、お前が謝ることは何もないぜ。そんなことより問題は、この後どうなるかだ」

 

「ガンダムって結局は地球と宇宙を行ったり来たりして戦うだけだし、OVAならそのスパンは短くて済むはずよ」

 

 これだけで50年擦れる伝統芸能である。

 

「そうか。我ながらとんだ旅行を掴んじまったのぜ」

 

「まあ話の種が割れているなら心配は無用でしょう」

 

「そこ!不穏な会話を慎め!人が死んでいるというのに!」

 

 怪生物たちの暢気な様子にハマーンは怒りを顕にした。

 

 そんなことを言ってもガンダムにおける人の命ほど安い物は無い。

 

 種といえば死んだのに回想で十回以上死に直すキャラクターがいるらしい。

 

「ハマーン様、ギレン閣下から通信が」

「総統から?幾ら何でも早過ぎる」

 

「如何しますか?」

「よい、回せ」

 

 テロによる襲撃直後、下手をすればまだ続いていてもおかしくない現場に、見計らったかのような通信。

 

 ハマーンは訝しみながらも回線を繋ぐ。

 

「ギレン総統閣下、申し訳ありませんが当基地は現在、何者かの攻撃を受けておりまして」

 

『存じている。貴公が活きていたのは幸運だった』

 

 ギレンは事も無げに言った。まるで事が起きると初めから知っていたかのように。

 

『新型核弾頭が奪われたということは分っている。下手人のことも追って伝えよう。貴公の非を問う気は無いが、司令官が死亡した以上は職務を引き継ぎ、テロリスト共の追跡と討伐の任に当たれ』

 

「新型核弾頭?それはいったい」

 

『二度は言わん。君は今日からアクシズの指揮官だ。お父上の名代として重責を果たすことを期待している』

 

「閣下!」

 

 ハマーンは突然かつ一方的な指示に困惑した。

 

 アクシズには『処分用』の核弾頭が大量に保管されており、搬入された機体の情報も、核弾頭の使用を再び考慮した物という、それだけのことだった。

 

 しかしギレンは新型核弾頭と言った。現場でもその認識である。

 

(軍政部への通達を改竄している者がいる。そして少なくとも、今回の事件の首謀者とギレン・ザビはそれを把握している……!)

 

 自作自演にしろ、反乱分子の誘き出しにしろ、それが意味する所は不穏分子の粛清である。

 

(せめて一言でもあれば良かったものを!)

 

 ハマーンの胸に怒りの火が灯り、原作のような攻撃性が芽吹く。

 

 しかし今は負わされた使命を果たすしかない。今度は自分から回線を開いた。

 

「はっ、ハマーン様、如何しましたか」

 

 背後に慌ただしい様子を映しながらゴットンが応じた。

 

「たった今ギレン総統から直々に賊の追跡と討伐の任が下された。状況が落ち着き次第、追撃隊を編成する。各部署に通達しろ」

 

「はっ、了解しました!」

 

 通信を終了する頃には、いつもの人を殺しそうな形相のハマーン様がいた。

 

「これからどうするのぜ?」

「最後まで見届けましょう。嫌な予感がします」

「この分だと私たちも戦った方が良さそうね」

 

 時にUC.88年頃。コウもガトーもいないスターダストメモリーが始まろうとしていた。

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