明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「うおっ、地震か?」
カタカタと揺れ始めたアパートに驚きつつ、ガスコンロの火を消して、炒めていた青ネギ、刻んだチャーシューを皿に移し、サランラップを掛け、麦わら帽子を被る越司丸の頭にバイクのヘルメットを被せて、財布とか必要最低限のモノを持って、ゆっくりと部屋を出る。
「なんやねん!?メイク出来んやん!?」
「カンサイ、おはようス!」
「……ナチュラルに守られとるやん」
? オレの嫁を守るのは当たり前だろう。
そう思いながら腕の中に収まっている越司丸のヘルメットを撫でる。クッ、直に頭を撫で回したいのに、ヘルメットが邪魔すぎる。
いや、越司丸の安全第一だ。
「長いッスね」
「ヤク、これアル子んとこちゃう?」
「やっぱり、そうッスかね」
「あるこ?」
まだ会ったことない住民かと考える。
基本的に佐藤や西、天使みたいにタイミングの合うヤツとしかあったことないからな。たまに、酒やビールを大量に買い込んだ毛むくじゃらには会うけど。
あれ、体格的に幼女では?
親御さん、毒なのでは?と考えたりする。
「彼ピ、こっちやこっち」
「揺れてる建物に近づく度胸やべえな。関西人」
「……自分がいるのにカンサイ褒めるのは違うんじゃないスか?自分も褒めてほしいんスけど。」
「可愛すぎる罪で即逮捕だわ、越司丸」
「にゃへ~~~♪︎♪︎♪︎」
は?照れ顔可愛すぎるんだが?
「ウチを出汁につこうて惚気んなやボケカス」
そんなことを言われながら西に連れられ、オレと越司丸はドアを開け、部屋の中を覗き込む。いた。毛むくじゃらの正体は、やはり幼女だった。
───が、しかし、それよりもだ。
「……何やってんだよ、酒井先輩」
「お、おお?ぼくの後輩君だぁ」
「彼ピ、まさかの知り合いッスか!?」
「意外な関係性出てきおったな。なに?元カノ?」
「ちげえよ。初彼女も初結婚も全部オレは越司丸とするから浮気するわけないだろうが。普通に大学で会ったことあるだけだ」
「……ちょいタンマや。ウチも同じ大学におるんやけど、一回もおうて変のはなんでなん?」
「そりゃあ、避けるためだろ。越司丸にあらぬ誤解を持たせたくないし、あと西の周りって異様に湿度高いし、ジメジメしてるんだよ」
あとシンプルに捕食者が怖い。
「ウチ、先輩やったん?」
「ぼくの後輩くんだよぉぉ……お酒ぇ飲むぅ?」
「いやいや、ダメッスよ?!自分の彼ピはタバコもお酒もしないんですから!?」
「「「「人生の九割損してる」」」」
なんだぁ?てめぇらァ……?
「うっ、彼ピには自分がいるんス!!」
「クソかわ」