明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
酒井アル子。
通称アルねこはアルコール中毒者だ。そんな彼女は月に2、3回ほど大学に向かって大量のお酒を持って帰ってくるのだが、同じアパートの住民、ヤクねこの彼ピは自分によくしてくれる後輩だったのである。
同じ大学に通うカンサイねこは蚊帳の外。というより彼ピは認知していたが、カンサイねこの周りにいる捕食者にビビって話し掛けず、普通に過ごしていた。
「そっかあ~、ヤクちゃんの彼ピかぁ…」
「あ、あげないッスよ!」
「いーよー、後輩くんはノート見せてくれるしぃ」
カタカタと震えるアルねこはチューブを咥え、一升瓶を抱っこしながら話している。最近、アルコールだけでは物足りなくなってきた彼女は、日に日にアルコール度数を高めている。
「うぅ、自分の彼ピッスからね」
「見てみいハメ。アレが自分に自信無くて彼氏が盗られるんじゃないかと不安になっとる乙女の顔や。ドチャクソにおもろくなってきたんとちゃう?」
「ハメちゃん、親友の逆NTR堕ちとか勘弁なんだけど。ってゆーか、アルっちって彼ピっちのこと好きだったりするの?」
「ニャーは好きにゃよ。飯が美味いにゃ」
「ヤニには聞いとらんてえっ!」
「んにゃ?」
大人の余裕(ただの酩酊)を見せるアルねこに対し、彼ピを奪われるシチュエーションを脳内で連続して繰り返すヤクねこの目はグルグルと回転している。
ヤクねこ、クソ可愛すぎるね!
「じ、自分に魅力無いのは分かってるッスけど。友達に盗られるのはイヤッス」
そう言うとヤクねこはへにゃりと沈み、話を聞いていたアパートの住民にワシャワシャと頭を撫でられ、どこか嬉しそうに左手の指輪を光らせる。
「あんしんしなよぉ~~~~、後輩君は告白とか合コンとかことわってるしぃ~~、とっても良い子だからヤクちゃんも大丈夫だよぉ~」
「は、はいッス!!」
アルねこに励まされ、みんなに褒められる。不安と焦りと、恐怖で泣きそうだったヤクねこは幸せに笑う。誰かに信じてもらえて、誰かに愛してもらえる。
ヤクねこは、幸せにまた一歩前進した。
「ニャーも養ってほしいにゃー」
「ねえ、ヤクっち。一番の敵ってヤニっちじゃないの?このままだと結婚しても着いてきそうだよ?」
「ッスかね?」
「せやろなあ。ヤニ、彼ピはヤクのやぞ?」
「後輩のモノは先輩のものにゃよ。彼ピと結婚したらついでに養ってもらうにゃ」
「アカンてぇ!?」
「さ、流石にダメッスよ。先輩……その、子供とかほしぃし…」
「? 聴こえなかったにゃ」
「な、なんでもないッスぅ!!」
可愛いね、ヤクねこ。(自我出現)