明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
レンタル振り袖を着た越司丸をスマホで動画撮影していると、どこかで見た覚えのある獣人の姉妹が鳥居の近くにいた。
佐藤妹子、だったか?
「んにゃ。彼ピとヤクにゃ。あけおめ」
「あけおめッス。先輩、妹さん」
「明けましておめでとうございます」
「此方も明けましておめでとう」
ヤニカスはカチカチと歯を鳴らし、タバコを取り出そうとしている。が、妹に手を掴まれ、それを阻止されている。こいつ、なにしたんだ。
「そういえば結婚したんですよね。おめでとうございます」
「にゃふっ!?」
「ありがとうな、佐藤妹。ちゃんと結婚式に呼ぶから楽しみにしててくれ。な、越司丸」
「ッス。が、がんばるス!」
ズルズルと落ちる佐藤の着物の襟元を押さえる妹と越司丸の優しさに気付かず、「重いし、暑いにゃ」とカチカチと歯を鳴らしている。
お前はそれでいいのか。ヤニカス。
まあ、ヤニカスより重要なのはオレの嫁だ。
振り袖を着た姿もクソ可愛すぎるぜ。写真フォルダが7GB越えてるんだが、まあ、誤差だな。越司丸益子の可愛さは、もうテラバイトでも収まりきらねえぜ。
「今日も彼ピはキッショいにゃ」
「彼ピゆうなて」
しかし、キッショいのか?
そんなことを考えながら、離れないように越司丸と手を握って参拝を済ませる。
「甘酒にゃ!彼ピ!」
「ちょっと、お姉ちゃん!?」
「ああ、良いよ。新年早々に文句を言うのはアレだし。越司丸と佐藤妹も飲むか?」
「妹子で良いですよ、彼誰さん」
「自分の彼ピッスよ?」
「取りませんよ!?そんなことしたら不倫になるじゃないですかもうっ」
「ニャーはペット枠だからセーフにゃ」
「いや、それはアウトだ」
オレは嫁の友達をペットにするほど猟奇的な趣味はしていない。そういうのは、大家に頼んでくれ。オレの腕はもう越司丸益子という女の子でいっぱいだ。
「あ、シケモクにゃ!」
「お姉ちゃん!!」
「先輩、流石に踏まれてるスよ」
「ダメだぞ?佐藤」
オレ達の言葉にムスッとした佐藤は口の中をモゴモゴさせたと思ったら、ペッ!と黒ずんだ何かを吐き捨て、それに当たった参拝客が「ぐぎゃああああああっ!!?ごげっん!ぐぎぎぎゅいいぃっ!!!」と悲鳴を上げた。
「……歯磨きしようよ、お姉ちゃん」
「してるにゃ」
「いつ?」
「……えーっと、4日にゃ」
それはしてるとは言わないんじゃないか?と思いながらも越司丸にやられたらブチギレそうだから、黙っておくことにした。
あんまり言うとマジで殺しに来そうだ。