明らかにボロアパートで暮らす獣人彼女はキメているのに「これはタバコ!これはビタミン剤!」とか言い訳しているのだが? 作:SUN'S
「彼ピ、野菜は自分が切るス」
「ありがとう」
越司丸野菜を切る隣でオレはグツグツと沸き立つワカメと玉ねぎの味噌汁に、味噌を溶かし入れ、うま味調味料を加える。たまに砂糖や塩をスプーンで炙るところを見るが、アレは何なんだろうか。
カルメラ作ってるのか?
「サラダチキンって、野菜いるんスね」
「サラダだからな」
そう当たり前のように話しながら茹でた鶏肉を細く割いていき、盛り付けているとドアが開き、カハァーッと副流煙が部屋の中に満ちていく。
「ニャーは野菜嫌いにゃ」
「ヤニねこ先輩、今日も来たんッスね!」
「にゃ。バックレてきたにゃ」
くっ。お出迎えするのはオレだけにしてくれ!
そんなことを考えながら折り畳み式のテーブルを広げ、床に寝そべってタバコを吸う佐藤に物申したくなりつつ、オレと越司丸はテーブルに料理を並べる。
「んにゃー、トマトにゃ」
「健康志向でス!」
「ヤクねこにゃのににゃ?」
「も、もう足洗ったんす!信じてくださいよぉお!」
「オレは信じてるぞ。越司丸」
「彼ピぃ…!」
オレの胸の中に飛び込んできた越司丸を受け止め、ワシャワシャと彼女の頭を撫でていると視線を感じ、そっちを見るとヤニカスが見ていた。
「彼ピ、ヤクのこと名前で呼ばないにゃ?もう結婚するんにゃら名前で呼ぶにゃ」
「え?」
「あ、そ、そうッスよね。名前…!」
ワクワクとオレを見上げる越司丸。
お目目キラキラでクソ可愛すぎる。
「や、益子」
「ほひょおっ!?や、やばいッス!心臓が、爆発するかと思ったッ!?」
「や、やべえな、これ」
越司丸、じゃなくて、益子。
「これから、よろしくな。益子」
「は、はいす!」
「おまえも言うにゃ」
「ひ、秀夫……さん?」
「ゔッ」
可愛すぎる益子の上目遣いに心臓が爆裂するかと思った!?こ、これはヤバすぎる!オレの身体が持たないかもしれない!
いや、持つんだろうけど。
ヤバすぎる!
「おまえら、きめーにゃ」
「なんでだよ」
「名前くらいでうるせぇーにゃ」
それは、そうなんだろうけど。
しかし、こんなに可愛い益子が、こんなに愛くるしく言ってきたらドキドキするのは当たり前だろう!?とオレは言うぞ。なんなら可愛すぎるという罪でオレのお嫁さんに終身刑どころか輪廻の果てまで一緒にいたい!
「こいつ、壊れたにゃ」
「ひ、秀夫さん」
「おまえも壊れたにゃ?」
壊れるわけがないのが、愛だ!
それだけが真実なのだ!
「やっぱり、きめーにゃ」
「ぐおっ、臭えぇっ!?」
カハァーッと吐き出された副流煙を顔面に受け、意識が消し飛びそうになる。あ、危なかった。